5 / 46
ミルフィリアの新たな過去。
しおりを挟む
時を少し戻し、オルセウス達が暗躍している時、もう1人の当事者であるミルフィリアの話をしよう。
ミルフィリアが8歳になった頃、ゼウリスの病気が完治した後、快気祝いのお茶会で初めてゼウリスと顔を合わせた。
「ご回復、心よりお祝い申し上げます」
「ありがとう。トーラス侯爵令嬢。少し歓談でも?」
ゼウリスは高位貴族の令嬢であるミルフィリアに儀礼的に声を掛けた。
「お言葉、ありがとうございます。ですが、本日は挨拶だけで失礼いたします」
他の令嬢達はゼウリスと言葉を交わせる機会を逃すまい、とやや食い気味に頷いていたが、ミルフィリアは綺麗なカーテシーをするとすぐにゼウリスの前を離れた。
回復したとは言え、艶が戻らない淡い金髪や力の無い水色の瞳を見れば、病み上がりでまだ体が辛いゼウリスに負担をかけない様、挨拶の後は他の令嬢達の様にまとわりつく事はしないで、ただ、心から回復を祝った。
その優しい心使いに、ゼウリスはミルフィリアに関心を持って、その後のお茶会では他の令嬢達よりも少しだけ親密にしていた。
その数年後、側妃エロイアの不貞が発覚した事故などで、ゼウリスの異母兄妹のアルレスとテーミスが辛い立場に立たされた時、ゼウリスより3つも年が下で、12歳になったばかりのミルフィリアは彼女達を庇った。
「わたくしはテーミス殿下と親しくなりたいのです」
宮廷で大きな権力を持っていた側妃と言う大きな後ろ盾が無くなった彼らと親しくしても得にならないから、と手のひらを返す者達に傷付いて、癇癪を起こしていたテーミスは、自分の手を取り優しい眼差しをくれるミルフィリアを本当の姉の様に慕い、そんなミルフィリアをゼウリスは婚約者にしたい、とクロイヤス陛下に頼んだのだ。
「ミルフィリア。優しく気遣いのできる貴女を妃にしたい。父上にもそう願いを出した」
「まあ、素敵。ミルフィリア様がお義姉様になって下さるなら、わたくしとても嬉しいわ」
ゼウリスの突然の申し出に戸惑っているミルフィリアにテーミスが嬉しそうに抱き付いた。
「それに、アドニスが居るからトーラス家もミルフィリアの輿入れを悩むことも無いだろ」
ゼウリスから8歳下の弟の名前を出され、ミルフィリアがフワッと笑った。
「まだ幼いのに、アドニスはトーラス家は僕が守るって言っていますの」
弟が可愛くて仕方ないのだろう。
ミルフィリアの笑顔にテーミスやゼウリスも和んだ笑みを浮かべた。
燃えるような恋ではないが、きっと穏やかで温かい夫婦になれる、そんな思いがゼウリスの胸を占めていた。
ミルフィリアが8歳になった頃、ゼウリスの病気が完治した後、快気祝いのお茶会で初めてゼウリスと顔を合わせた。
「ご回復、心よりお祝い申し上げます」
「ありがとう。トーラス侯爵令嬢。少し歓談でも?」
ゼウリスは高位貴族の令嬢であるミルフィリアに儀礼的に声を掛けた。
「お言葉、ありがとうございます。ですが、本日は挨拶だけで失礼いたします」
他の令嬢達はゼウリスと言葉を交わせる機会を逃すまい、とやや食い気味に頷いていたが、ミルフィリアは綺麗なカーテシーをするとすぐにゼウリスの前を離れた。
回復したとは言え、艶が戻らない淡い金髪や力の無い水色の瞳を見れば、病み上がりでまだ体が辛いゼウリスに負担をかけない様、挨拶の後は他の令嬢達の様にまとわりつく事はしないで、ただ、心から回復を祝った。
その優しい心使いに、ゼウリスはミルフィリアに関心を持って、その後のお茶会では他の令嬢達よりも少しだけ親密にしていた。
その数年後、側妃エロイアの不貞が発覚した事故などで、ゼウリスの異母兄妹のアルレスとテーミスが辛い立場に立たされた時、ゼウリスより3つも年が下で、12歳になったばかりのミルフィリアは彼女達を庇った。
「わたくしはテーミス殿下と親しくなりたいのです」
宮廷で大きな権力を持っていた側妃と言う大きな後ろ盾が無くなった彼らと親しくしても得にならないから、と手のひらを返す者達に傷付いて、癇癪を起こしていたテーミスは、自分の手を取り優しい眼差しをくれるミルフィリアを本当の姉の様に慕い、そんなミルフィリアをゼウリスは婚約者にしたい、とクロイヤス陛下に頼んだのだ。
「ミルフィリア。優しく気遣いのできる貴女を妃にしたい。父上にもそう願いを出した」
「まあ、素敵。ミルフィリア様がお義姉様になって下さるなら、わたくしとても嬉しいわ」
ゼウリスの突然の申し出に戸惑っているミルフィリアにテーミスが嬉しそうに抱き付いた。
「それに、アドニスが居るからトーラス家もミルフィリアの輿入れを悩むことも無いだろ」
ゼウリスから8歳下の弟の名前を出され、ミルフィリアがフワッと笑った。
「まだ幼いのに、アドニスはトーラス家は僕が守るって言っていますの」
弟が可愛くて仕方ないのだろう。
ミルフィリアの笑顔にテーミスやゼウリスも和んだ笑みを浮かべた。
燃えるような恋ではないが、きっと穏やかで温かい夫婦になれる、そんな思いがゼウリスの胸を占めていた。
1,008
あなたにおすすめの小説
断罪前に“悪役"令嬢は、姿を消した。
パリパリかぷちーの
恋愛
高貴な公爵令嬢ティアラ。
将来の王妃候補とされてきたが、ある日、学園で「悪役令嬢」と呼ばれるようになり、理不尽な噂に追いつめられる。
平民出身のヒロインに嫉妬して、陥れようとしている。
根も葉もない悪評が広まる中、ティアラは学園から姿を消してしまう。
その突然の失踪に、大騒ぎ。
私ではありませんから
三木谷夜宵
ファンタジー
とある王立学園の卒業パーティーで、カスティージョ公爵令嬢が第一王子から婚約破棄を言い渡される。理由は、王子が懇意にしている男爵令嬢への嫌がらせだった。カスティージョ公爵令嬢は冷静な態度で言った。「お話は判りました。婚約破棄の件、父と妹に報告させていただきます」「待て。父親は判るが、なぜ妹にも報告する必要があるのだ?」「だって、陛下の婚約者は私ではありませんから」
はじめて書いた婚約破棄もの。
カクヨムでも公開しています。
転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ
karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。
しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。
病弱令嬢…?いいえ私は…
月樹《つき》
恋愛
アイゼンハルト公爵家の長女クララは生まれた時からずっと病弱で、一日の大半をベッドの上で過ごして来た。対するクララの婚約者で第三皇子のペーターはとても元気な少年で…寝たきりのクララの元を訪ねることもなく、学園生活を満喫していた。そんなクララも15歳となり、何とかペーターと同じ学園に通えることになったのだが…そこで明るく元気な男爵令嬢ハイジと仲睦まじくするペーター皇子の姿を見て…ショックのあまり倒れてしまった…。
(ペーターにハイジって…某アルプスの少女やんか〜い!!)
謎の言葉を頭に思い浮かべながら…。
このお話は他サイトにも投稿しております。
【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない
朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる