【完結】お父様。私、悪役令嬢なんですって。何ですかそれって。

紅月

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密かに舞台は整った。

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「我々は、ゼウリス第一王子殿下だけで無く、ポセイダス王弟殿下をもお守りしたい」
「ポセイダス王弟殿下を?」

アリアンナが不思議そうに尋ねる。

「前回では、ポセイダス王弟殿下を暗殺した者が居ます。まぁ、どなたの差金かは……」

第一王子殿下の強い後ろ盾である王弟殿下を疎ましく思っている者が誰か、言葉を濁しているが、オルセウス達は大体検討を付けているし、アリアンナもすぐに理解した。

「なるほど。では、手筈は整えているのね」
「勿論です。少々、罠も張りましたから」

ローレルが、クスッと笑う。

ミルフィリアが友人達と健やかに過ごす裏で、オルセウス達は障害になりそうな事案を一つ一つ、誰にも悟られず摘み取っていった。

オルセウスの協力者となった聖女アリアンナは、杖の精霊の力を借り、第一王子であるゼウリス殿下の病気を完治させ、王太子としての基盤を整えた。

その一方でオルセウス達はポセイダス王弟殿下を暗殺から守るだけで無く、暗殺の黒幕である側妃エロイアを、愛人と密会をしている馬車を不慮の事故に巻き込み、半身付随にした。

しかも、彼女は情事の真っ最中というあられも無い姿を多くの者に晒し、王の怒りを買ってしまった。

「陛下は幽閉をお決めになったな」
「処分しても差し支え無かったのですが、我々はアイツらみたいな非道な人間では無いので、ね」
「……ものはいい様だね。だが過去は変わっていく」

自分の執務室でポセイダスが、苦笑しながらオルセウス達に目を向けた。

第一王子の病気を利用して、宮廷での強い権力を握っていた側妃エロイアを半身付随にしただけでなく不貞を暴き、社会的抹殺もお膳立てしたくせに、と視線だけで会話をしていた。

暗殺阻止の計画を話す時、オルセウスは全てを話したのでポセイダスもオルセウス達が娘の為、時を巻き戻した事を知っている。
ポセイダスは、前回の事を聞き、王家の危機にオルセウス達に協力したのだ。

「側妃エロイアが力を失ったし、ゼウリスが王太子候補の筆頭になったから。後はアルレスがどう動くか楽しみだよ」

王宮内の地ならしは既に終えている。
ポセイダスは楽しげに口角を上げて、アリアンナに視線を向けた。

「不測の事態が起こらぬ様、教会も次期聖女候補を選別しております」

アリアンナが数年前から教会内部の改革に取り組み、一部の愚か者達が金儲けを出来なくしただけで無く、教会全体の、聖女への過度の依存を減らす為、聖魔法の使い手を集め、次期聖女として候補者達を切磋琢磨させながら、自分にもしもの事があっても対処出来るよう、聖女の仕事を教えていた。

気が付けば、ミルフィリアも16歳となり、魔法学園に問題の少女が入学する時期になっていた。

「舞台は整った」

オルセウス達が密かに笑い合い、頷いてそれぞれの場所へと戻っていく。
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