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第十九章
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しおりを挟む「なんだと。お前、リュウセイさんをバカにしてるのかっっ!!」
一斉にがやがや言い出してもう何を言っているのか聞き取れないくらいだった。
拳も数回飛んできいたが、ひょいひょいと樹は避けていた。
そう言えば逃げるのは昔から得意だったような気がする。
しかし、金髪男だけは黙っていた。
「まぁ……そうとも言うがな……」
ぼそっと溢した後、
「お前ら、もういい。行くぞ」
落ち着いた、それでいて良く通る声で言うと、彼の周りの男たちはさっとコンビニのほうに戻り、駐車場に座り込んでいた男たちも立ち上がった。
『タキ』と呼ばれていた金髪男は皆が傍から離れると、ひょいと樹の身体の向こうから顔を覗かせた。
「あんた」
と僕に向かって言う。
(え? 僕?
何?
怖いんですけどっ)
「見たことある──」
少し考える素振りを見せる。
「そうそう。T校でも樹と一緒にいた」
返事することもないのに圧が凄くて思わず、うんうんと頷いてしまう。
「あ、ほんとだ。ずいぶんカッコいい傷がある」
手が伸びて来て、僕はさっと額を手で隠した。タキはあの時周りの男子が言っていたことまで思い出したらしい。自分ではわからなかったが、恐らく前髪が乱れて傷が少し見えている状態だったのかも知れない。
(こわ……っ)
「こいつに触るな」
ずいっと樹が位置を変え、また僕を背に隠した。
(いっくん……)
「ふーん。前にも思ったんだけど、ずいぶん大事にしてるんだな」
「ほっとけよ」
「……てぇっと……アレはガセの可能性も……」
ぼそぼそっと独り言。
「早く行けよ」
めちゃくちゃ苛ついたように吐き捨てる。
「ハイハイ」
タキは肩を竦めて行きかけたが、もう一度振り返った。
「お前ら身辺には気をつけろよ。リュウセイ会を舐めないほうがいい」
威嚇ではなく忠告のような言い方だった。
(案外いい人?
ちょっとメイさんに雰囲気似てるような。
メイさんよりもっと強面だけど。穴いっぱい空いてるけど。
まぁ、メイさんも怖いところあるから……)
「行くぞ、ナナ」
気がつけば、タキはコンビニの駐車場に戻り、大型バイクに股がっていた。一人または二人にそれぞれ振り分けられ、全員が乗り込んだ姿はかなり迫力があった。
「あ、うん、いっくん」
樹はそちらには目もくれず、僕の肩を押すようにして歩き始めた。
後ろで爆音とパラパラという大きな音が聞こえ、遠ざかって行く。
僕の住んでいる辺りは駅からも遠く少し田舎だ。基本静かだが、近くに高速道路があるので、こういう音も良く聞く。ついでにパトカーのサイレンも。
樹も乗っていたのだろうか。
訊いてみたかったが、横目に見える彼の顔が酷く厳しくて、とても訊ける雰囲気ではなかった。
「ナナ、ごめん。今日はこのまま帰ろう。礼はまた今度するから」
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