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第十九章
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しおりを挟むコンビニの駐車場に大型バイク数台と、柄の悪そうな男たちが十人程座り込んでいる。中にはT高校の制服を着崩した生徒もいた。
道を歩く人もコンビニを出入りする人も目を合わせないようにしている。
「いっくん……」
樹を見ると酷く険しい顔をしていた。
「行こう、ナナ」
僕の肩を押して急いで去ろうとする。
でも。
「冷たいなぁ、久しぶりに会ったのに」
数人がさっと前を遮った。
話しかけてきたのは、金髪の男。
両耳にたくさんのピアス。唇にもして、特効服のようなものを着ている。
(今でもこういう人いるだ……)
怖いながらも、密かに前世紀の遺物を見るような気持ちになってしまう。
樹が僕を背に隠した。
(あれ、この人)
樹の背中の後ろからそっと覗いたその顔に、見覚えがあった。
それからこのシチュエーションにも。
あれはまだ、樹と余り話せなかった時だ。二人で校門まで歩いている途中で、樹の悪い『仲間』に声をかけられた。
今みたいに数人に囲まれて。
『お前のことは俺が守る』そう言ってくれたあの時。
「ああ。あんたが卒業して以来だな。あ、卒業してなかったんだっけ。留年確定してガッコ辞めたんだったな」
樹が毒を吐く。
「おいっ樹っ。タキ先輩に何言ってんだ」
T校の制服を着崩して、学年カラーのネクタイもしていない。でもあの時いた生徒のような気がする。確か上級生だ。
樹の言った言葉くらいで掴みかかろうとする男を金髪男が手で遮った。
「俺たちこれから流しに行くんだけど、久しぶりにお前もどうだ? リュウセイさんもお前に会いたがってるぜ」
「俺はもうそんなことはしない」
身体に触れれば切れそうなくらいピリピリしている。
こんな怖い顔の樹を見るのは久しぶりだ。
「おいっお前っ、タキさんの誘いをっっ」
また別の男が前に出てくる。金髪男と同じような服を着ている。学生ではないようだ。
「まあまあ」
とまた金髪男が宥めに入る。この中でこの男が一番立場が強いらしい。顔はどちらかと言うと柔和なイケメンだ。
「俺のことはいいさ──だけど」
その柔和な顔が途端に険しくなる。
「リュウセイさんは別だぜ。お前のこと可愛がってたのに突然来なくなって、ラインもブロック、着拒もしてりゃあ、はっ? ってなるよな」
樹は何も答えない。
鋭い視線を絡めせ合う二人。バチバチと火花が散るような緊迫感だ。
「それでも、リュウセイさんはお前を待ってたんだ。だけど──お前最近、リュウセイさんのオンナ寝取ったろ」
(え……っ。寝とった……?)
以前聞いた時と同じくらい衝撃的な言葉が耳に入ってきた。
(いっくん、そういうのもうやめたんじゃ……。
それとも、それってあの……)
「誰のオンナだって? 笑わせる。ただのストーカーだろ」
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