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第6章:救世主
第8話:預言者
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「1vs4で勝てると思っているところが間違いでッチュウ!」
「ぐべぇぇぇぇ!!」
アリス=アンジェラに注視し続けた預言者の背中を踏んづけるように前足で抑え込んだのがコッシロー=ネヅであった。彼は前足に全体重を乗せて、預言者を大聖堂の床へと押し付ける。さらにはアンドレイ=ラプソティが預言者が左手に持つ金色の聖書を右足で蹴っ飛ばす。預言者は抑え込まれた状態で、左手を伸ばし、金色の聖書を掴もうとする。
だが、アンドレイ=ラプソティは右足で預言者の左腕を踏みつける。さらには預言者に何か言い残すことは無いか? と紅き竜の槍の切っ先を預言者の首に当てながら問うのであった。
「『天界の十三司徒』ともあろう御方が、何故に救世主の邪魔をするのじゃ!?」
「答えは簡単です。あの救世主の存在は地上界に禍をもたらすからです」
「地上界から異端者を一掃することこそが、救世主の使命よっ! それが何故わからぬのじゃっ! 『天界の十三司徒』ならば、異端に席巻されつつあるこの地上界を憂いてこそじゃろうてっ!」
救世主と預言者は合わせ鏡である。師匠と弟子。親と子。妻と夫。番である彼らは思想が似ている。そして、『原理主義者』であるがゆえに、互いで『異端』に対しての憎しみの感情を倍々に膨らませたのであろうと予想するアンドレイ=ラプソティであった。この2人をセットにしておくことは非常に危険であると感じたアンドレイ=ラプソティは預言者の首級を紅き竜の槍で刎ねてしまう。
大聖堂の床の上をゴロンゴロンと転がる預言者の首級を眼で追うコッシロー=ネヅであったが、その首級を拾い上げる人物を見ることで、さらに警戒心をおおいに膨らませることになる。
「ああ……、サラーヌ=ワテリオン。先に天に召されたか。しかし、貴方から教示されたことをこの地上界で成してみせよう」
救世主であるシュージュ=ボウラーは首級だけになってしまった預言者に頬ずりする。そうした後、床に転がる金色の聖書に預言者の首級から流れ落ちる血をかける。そうされたことにより、金色の聖書からはますます神力が溢れ出し、その神力は救世主の神力を数百倍に引き上げる。
「いざ……、参るっ!」
救世主が金色の聖書から神力を受け取るや否や、救世主が見せる残像はその数を100に増やす。そして、大聖堂の中を暴風が吹き荒れたと思った次の瞬間にはアンドレイ=ラプソティ、ベリアル、コッシロー=ネヅの身体の表面に無数の切り傷が浮かびあがることになる。
身体のあちこちから血を噴き出したアンドレイ=ラプソティたちは、崩れるようにその場で倒れ伏せてしまう。今、2本の足で立っているのはアリス=アンジェラのみである。そのアリス=アンジェラの眼の前に救世主が立ちふさがることになる。アリス=アンジェラは倒れたアンドレイ=ラプソティの下へと駆け寄ろうとしたのだが、塞ぐ恰好となったのが救世主であった。
「貴様は二度も自分の顔をぶった。師であるサラーヌ=ワテリオンですら、手をあげなかったというのになっ!」
「そんなことだから、『狂信者』になってしまうのデス!」
アリス=アンジェラは立ちふさがる救世主に対して、説教する。だが、聞く耳もたずといった感じで、顔をぶたれた分をアリス=アンジェラにお返しする。アリス=アンジェラは意識が寸断されそうになる。救世主の左手による裏拳を左頬にぶち込まれ、アリス=アンジェラは宙を舞い上がることになる。
アリス=アンジェラは一瞬、何が起きたのかわからなかった。救世主の動きをまったくもって、眼で追えないどころか、左頬をぶん殴られた痛みが遅れてやってきたのである。アリス=アンジェラは大聖堂の床の上で数度、バウンドし、大聖堂の柱に背中をぶつけた。しかしながら、そうなった後で左頬がジンジンと痛みだしたのである。
アリス=アンジェラの両足はガクガクと震える。そのため、アリス=アンジェラは両腕を用いて、大聖堂の柱にしがみつきながら、身体を起こす。だが、救世主はそんな状態のアリス=アンジェラに肉薄し、アリス=アンジェラの意識を完全に遮断しようとする。都合、2発目となる一撃をアリス=アンジェラの右頬に叩きこんだのである。
アリス=アンジェラが支えとしていた大聖堂の柱は砕け散り、アリス=アンジェラの身を支えることは出来なくなってしまう。アリス=アンジェラはまたしても大聖堂の床をバウンドすることになる。彼女が大聖堂の中を転げまわる間に、大聖堂の中にある調度品、椅子、机なども粉砕されていく。
「さすがは……創造主:Y.O.N.N様に選らば……れた救世主なの……デス」
アリス=アンジェラはぐわんぐわんと揺れる視界の中、救世主の方へと視線を向ける。救世主がゆっくりとアリス=アンジェラへと一歩一歩近づいてくる。アリス=アンジェラはハアハア……ゼエゼエ……と身体全体で呼吸をしていた。立ち上がらなければ。救世主に一方的に殺されるだけだとわかっていた。
だが、身体が言うことを聞かない。いくら身体の奥底から神力を溢れ出そうとしても、肉と骨が軋んで、痛みだけを発するのみであった。アリス=アンジェラは左手を握り込んで、大聖堂の床を叩く。右手で握りこぶしを作って、大聖堂の床を叩く。だが、両手に痛みを与えても、身体全体が再起動を行ってくれない。
そんなアリス=アンジェラに向かって、光り輝く長剣を下手に持ち直す救世主であった。そして、彼女の背中側から左胸を突き貫こうとする。
「チッ! 邪魔をするなっ!」
「チュッチュッチュ! 自分はアリスちゃんの守護天使でッチュウ! 守護対象を先に殺らせることはないのでッチュウ!」
天界の騎乗獣姿を保てなくなったコッシロー=ネヅはネズミの姿で救世主の顔に纏わりつく。だが、コッシロー=ネヅの抵抗力はわずかであり、左手で鷲掴みにされたコッシロー=ネヅは宙に放り投げられる。そのコッシロー=ネヅに向かって、救世主は真っ直ぐに赦しの光を突き立てようとする。
その時であった。アリス=アンジェラの中で何かが弾けたのは。花の種が割れるような音がしたと同時に、アリス=アンジェラのオッドアイは黄金色に輝き、彼女が身に纏っていた天使装束は紅と黄色の戦乙女・天使装束へと生まれ変わる……。
「ぐべぇぇぇぇ!!」
アリス=アンジェラに注視し続けた預言者の背中を踏んづけるように前足で抑え込んだのがコッシロー=ネヅであった。彼は前足に全体重を乗せて、預言者を大聖堂の床へと押し付ける。さらにはアンドレイ=ラプソティが預言者が左手に持つ金色の聖書を右足で蹴っ飛ばす。預言者は抑え込まれた状態で、左手を伸ばし、金色の聖書を掴もうとする。
だが、アンドレイ=ラプソティは右足で預言者の左腕を踏みつける。さらには預言者に何か言い残すことは無いか? と紅き竜の槍の切っ先を預言者の首に当てながら問うのであった。
「『天界の十三司徒』ともあろう御方が、何故に救世主の邪魔をするのじゃ!?」
「答えは簡単です。あの救世主の存在は地上界に禍をもたらすからです」
「地上界から異端者を一掃することこそが、救世主の使命よっ! それが何故わからぬのじゃっ! 『天界の十三司徒』ならば、異端に席巻されつつあるこの地上界を憂いてこそじゃろうてっ!」
救世主と預言者は合わせ鏡である。師匠と弟子。親と子。妻と夫。番である彼らは思想が似ている。そして、『原理主義者』であるがゆえに、互いで『異端』に対しての憎しみの感情を倍々に膨らませたのであろうと予想するアンドレイ=ラプソティであった。この2人をセットにしておくことは非常に危険であると感じたアンドレイ=ラプソティは預言者の首級を紅き竜の槍で刎ねてしまう。
大聖堂の床の上をゴロンゴロンと転がる預言者の首級を眼で追うコッシロー=ネヅであったが、その首級を拾い上げる人物を見ることで、さらに警戒心をおおいに膨らませることになる。
「ああ……、サラーヌ=ワテリオン。先に天に召されたか。しかし、貴方から教示されたことをこの地上界で成してみせよう」
救世主であるシュージュ=ボウラーは首級だけになってしまった預言者に頬ずりする。そうした後、床に転がる金色の聖書に預言者の首級から流れ落ちる血をかける。そうされたことにより、金色の聖書からはますます神力が溢れ出し、その神力は救世主の神力を数百倍に引き上げる。
「いざ……、参るっ!」
救世主が金色の聖書から神力を受け取るや否や、救世主が見せる残像はその数を100に増やす。そして、大聖堂の中を暴風が吹き荒れたと思った次の瞬間にはアンドレイ=ラプソティ、ベリアル、コッシロー=ネヅの身体の表面に無数の切り傷が浮かびあがることになる。
身体のあちこちから血を噴き出したアンドレイ=ラプソティたちは、崩れるようにその場で倒れ伏せてしまう。今、2本の足で立っているのはアリス=アンジェラのみである。そのアリス=アンジェラの眼の前に救世主が立ちふさがることになる。アリス=アンジェラは倒れたアンドレイ=ラプソティの下へと駆け寄ろうとしたのだが、塞ぐ恰好となったのが救世主であった。
「貴様は二度も自分の顔をぶった。師であるサラーヌ=ワテリオンですら、手をあげなかったというのになっ!」
「そんなことだから、『狂信者』になってしまうのデス!」
アリス=アンジェラは立ちふさがる救世主に対して、説教する。だが、聞く耳もたずといった感じで、顔をぶたれた分をアリス=アンジェラにお返しする。アリス=アンジェラは意識が寸断されそうになる。救世主の左手による裏拳を左頬にぶち込まれ、アリス=アンジェラは宙を舞い上がることになる。
アリス=アンジェラは一瞬、何が起きたのかわからなかった。救世主の動きをまったくもって、眼で追えないどころか、左頬をぶん殴られた痛みが遅れてやってきたのである。アリス=アンジェラは大聖堂の床の上で数度、バウンドし、大聖堂の柱に背中をぶつけた。しかしながら、そうなった後で左頬がジンジンと痛みだしたのである。
アリス=アンジェラの両足はガクガクと震える。そのため、アリス=アンジェラは両腕を用いて、大聖堂の柱にしがみつきながら、身体を起こす。だが、救世主はそんな状態のアリス=アンジェラに肉薄し、アリス=アンジェラの意識を完全に遮断しようとする。都合、2発目となる一撃をアリス=アンジェラの右頬に叩きこんだのである。
アリス=アンジェラが支えとしていた大聖堂の柱は砕け散り、アリス=アンジェラの身を支えることは出来なくなってしまう。アリス=アンジェラはまたしても大聖堂の床をバウンドすることになる。彼女が大聖堂の中を転げまわる間に、大聖堂の中にある調度品、椅子、机なども粉砕されていく。
「さすがは……創造主:Y.O.N.N様に選らば……れた救世主なの……デス」
アリス=アンジェラはぐわんぐわんと揺れる視界の中、救世主の方へと視線を向ける。救世主がゆっくりとアリス=アンジェラへと一歩一歩近づいてくる。アリス=アンジェラはハアハア……ゼエゼエ……と身体全体で呼吸をしていた。立ち上がらなければ。救世主に一方的に殺されるだけだとわかっていた。
だが、身体が言うことを聞かない。いくら身体の奥底から神力を溢れ出そうとしても、肉と骨が軋んで、痛みだけを発するのみであった。アリス=アンジェラは左手を握り込んで、大聖堂の床を叩く。右手で握りこぶしを作って、大聖堂の床を叩く。だが、両手に痛みを与えても、身体全体が再起動を行ってくれない。
そんなアリス=アンジェラに向かって、光り輝く長剣を下手に持ち直す救世主であった。そして、彼女の背中側から左胸を突き貫こうとする。
「チッ! 邪魔をするなっ!」
「チュッチュッチュ! 自分はアリスちゃんの守護天使でッチュウ! 守護対象を先に殺らせることはないのでッチュウ!」
天界の騎乗獣姿を保てなくなったコッシロー=ネヅはネズミの姿で救世主の顔に纏わりつく。だが、コッシロー=ネヅの抵抗力はわずかであり、左手で鷲掴みにされたコッシロー=ネヅは宙に放り投げられる。そのコッシロー=ネヅに向かって、救世主は真っ直ぐに赦しの光を突き立てようとする。
その時であった。アリス=アンジェラの中で何かが弾けたのは。花の種が割れるような音がしたと同時に、アリス=アンジェラのオッドアイは黄金色に輝き、彼女が身に纏っていた天使装束は紅と黄色の戦乙女・天使装束へと生まれ変わる……。
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