【完結】ダンスパーティーで騎士様と。〜インテリ俺様騎士団長α×ポンコツ元ヤン転生Ω〜

亜沙美多郎

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本編

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 ある時、彼女の一人が別に男を作ったのが気に入らなかったらしい。

 その怒りの矛先に、俺がいた。

 急に部屋に呼ばれた俺は、何も知らずにのこのこと入った。

 運悪く発情期に入りかけていた俺は、うっすらとフェロモンを出していた。

 先輩は部屋に入るなり俺を襲い、頸を噛んだ。

 抵抗すらできなかった。

 怖かった。

 ただひたすら、この行為が終わるのを唇を噛んで我慢するしかなかったのだ。

 その時から発情期に入った俺は、一週間その先輩に抱かれ続けた。

 もちろん避妊具などもつけてもらえず、ずっと中出しされていた。

『お前がΩなのが悪い』

 そう言われれば、そうなのだと思うしかない。ごめんなさいとひたすら謝るしかできなかった……。



「それで、その人とは……」

 ジェイクの表情はなくなっていた。

「俺が発情するたびに部屋に監禁するような人だったんだけど、ある時俺が妊娠してるって分かった途端、捨てられた」

「そんな、無責任すぎるだろう!!」

「でも、それで良かったんだ。俺も、解放してもらえた喜びの方が大きかった」

「その……子供は?」

「堕ろしたから」

 ジェイクは優しく抱きしめてくれた。もう気にしてないって言ったけど、それでも抱きしめてくれた。

「そんな過去を、笑って言うな」

 涙を流したのは、俺ではなく、ジェイクだった。

 肩を寄せ、頭を撫でてくれる。

「もう、吹っ切れてるから大丈夫だ。でもさ、それ以来発情したことがなかったから、だから俺自身がビックリしすぎて……。あの時ジェイクが助けてくれたの、本当に感謝してる!」

 俺からもジェイクに保たれかかる。

 これは友情のハグだ。

 ジェイクは何も言わずに、隣に座っててくれた。

 そのうち、集合がかかると二人で列に並ぶ。

「いい? 今日もリアム様が来るから、俺から離れないで。もしもの時は、俺が絶対一番に気づくから」

「ありがとう、ジェイク。お前がいてくれるから、きっと大丈夫だ」

 聞けばリアム様は騎士団長の中でもカナリ位の高い人らしく、本来なら滅多にお目にかかれないらしい。

 その上、あの見た目にスタイル。そりゃ女なら誰でもが狙いたくなるはずだ。

(大丈夫。俺はリアム様の気になる人なんかじゃない。あの時は、あの下品な女が騒いでいたから様子を伺いに来ただけだ)

 どうせ、俺の存在にも気づかないだろう。

 それに今日はジェイクが必ず側にいてくれるという確約がある。

 (おっし、仕事頑張るぞ!)

 気合いを入れ、持ち場についた。

「あのさ、リアム様の探してる人」

 フッとジェイクが囁いた。

「ああ……誰なんだろな? 早く見つかればいいな」

「うん……そうだね……」

「なに? 神妙な顔して」

「あのさ、あとはマヒロだけなんだ。あの日いた従業員で、その後リアム様に会ってないの」

「……そう……なんだ……」

「俺は隠し通そうと思ってたんだけど……。マヒロ、最近たまに街に出てるんだろ? それを見かけた従業員がいてさ。もしかしてってなって……。それで、こんなことに……」

 よくあの人ごみで俺だと気づいたな。って単純に感心してしまう。

「でも、別に悪いことしてるんじゃないしな!」

「うん……。よし! 今日も頑張ろう」

 ジェイクは無理に明るく振る舞っているように見えた。

「マヒロがずっとホール担当ならいいのに」なんて言っていたが、それは俺が嫌だと返しておいた。

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