【完結】ダンスパーティーで騎士様と。〜インテリ俺様騎士団長α×ポンコツ元ヤン転生Ω〜

亜沙美多郎

文字の大きさ
15 / 78
本編

15

 パーティー当日。

 重い足取りで会場へと向かう。場所は前と同じだ。

 さすがリアム様が参加されるとあって、毎回一番広い会場が当てがわれるらしい。

 客にはリアム様の気になる相手が従業員であることはバレないように、細心の注意が払われているそうだ。

 もしそれが分かってしまえば、客足の遠ざかる原因になりかねない。

 それを防ぐためにも、『あの日、気なる女性がいたらしい』という噂を流しているそうだ。

 そのお蔭か、リアム様の出席する日が増えたと同時に、客足もよくなりホテルの売上も右肩上がりだ。とまで周りの従業員たちが噂してた。

 確かに、ここ最近は特に忙しい日が多かった。

 あれもリアム様が原因だったのか。

 従業員たちの噂話のおかげで、事情が割とよく把握できた。

「マヒロ!!」

 背後から呼び止められて振り返ると、ジェイクがこっちに手を振っている。

「ジェイク!!」

 一ヶ月ぶりに見るジェイクは、相変わらず爽やかな好青年だ。

 勢いで歩み寄ったものの、お互いあの時の気まずさを捨て切れてはいなかった。

「あっ、あの……元気、だった?」

「うん……ジェイクも?」

「ああ。元気だった……」

 もどかしい時間が体感で数分は流れた。

「「あっ! あのさ!! あの時は! ごめん」ありがとう」

「「えっ?」」

「なんでジェイクがごめんなんて言うんだ?」

「いや、だって俺はマヒロにトラウマを与えてしまったんじゃないかって、思って……」

「なんでだよ! ジェイクには感謝しかねえよ!! ジェイクのお陰で大事にならずに済んだんだ」

「そう思ってくれてると救われるよ」

「……俺こそ、ごめん。このホテルで働いてるのに抑制剤を飲んだことがなくて。あの日も、発情したこともないから大丈夫だろうって……根拠のない自信だけで……結局迷惑かけちゃった」

 ジェイクは少し悲しそうな表情をした。

「俺には、発情しないのにな」

「え? 別にジェイクにだけ発情しないんじゃないよ。誰にもしないんだ。だから、あの時パニックになっちゃって」

「……そうじゃなくて」

 ジェイクが顔を寄せる。

 壁際で並んでいた俺たちだから、周りの従業員たちは気にもかけていない。

 それをちゃんと確認しつつ、ジェイクが俺の首元に顔を埋める。

「前の時も、こうして耳元で何度か話をした。こんなに近づいても、マヒロは発情なんてしなかった」

 それなのに……。と、今度は俺の顔を見て髪に手を添える。

「リアム様の姿を見た途端、マヒロは発情した」

「いや、俺だって……したくてしたんじゃない……」

「分かってる。その気持ちも分かってる。でも、それならば俺に発情して欲しかったなって。ふふ……嫉妬しただけだ」

「ジェイク……」

 そんな風に思ってくれていたなんて……。

 ジェイクはどこまでもいい奴だ。

「……お、俺さ……」

 つい、誰にも話していなかった事実を言う気持ちになった。

 と言うよりも、ジェイクだから聞いて欲しくなったのだ。

「いたんだ。前に……番が……」

「そうなの?」

「ん……。まあ、あんまいい奴じゃなかったんだけどさ……」

 転生する前……。俺がまだ高校生だった時。

 親しくしていた先輩がαだった。それを知ってて連んでいた。

 先輩は派手な見た目と性格で、常にオメガの彼女を何人か囲ってたし、俺のことは普通に可愛がってる後輩……という扱いをしてくれてた。

 それが……。
感想 19

あなたにおすすめの小説

魔力ゼロの無能オメガのはずが嫁ぎ先の氷狼騎士団長に執着溺愛されて逃げられません!

松原硝子
BL
これは魔法とバース性のある異世界でのおはなし――。 15歳の魔力&バース判定で、神官から「魔力のほとんどないオメガ」と言い渡されたエリス・ラムズデール。 その途端、それまで可愛がってくれた両親や兄弟から「無能」「家の恥」と罵られて使用人のように扱われ、虐げられる生活を送ることに。 そんな中、エリスが21歳を迎える年に隣国の軍事大国ベリンガム帝国のヴァンダービルト公爵家の令息とアイルズベリー王国のラムズデール家の婚姻の話が持ち上がる。 だがヴァンダービルト公爵家の令息レヴィはベリンガム帝国の軍事のトップにしてその冷酷さと恐ろしいほどの頭脳から常勝の氷の狼と恐れられる騎士団長。しかもレヴィは戦場や公的な場でも常に顔をマスクで覆っているため、「傷で顔が崩れている」「二目と見ることができないほど醜い」という恐ろしい噂の持ち主だった。 そんな恐ろしい相手に子どもを嫁がせるわけにはいかない。ラムズデール公爵夫妻は無能のオメガであるエリスを差し出すことに決める。 「自分の使い道があるなら嬉しい」と考え、婚姻を大人しく受け入れたエリスだが、ベリンガム帝国へ嫁ぐ1週間前に階段から転げ落ち、前世――23年前に大陸の大戦で命を落とした帝国の第五王子、アラン・ベリンガムとしての記憶――を取り戻す。 前世では戦いに明け暮れ、今世では虐げられて生きてきたエリスは前世の祖国で平和でのんびりした幸せな人生を手に入れることを目標にする。 だが結婚相手のレヴィには驚きの秘密があった――!? 「きみとの結婚は数年で解消する。俺には心に決めた人がいるから」 初めて顔を合わせた日にレヴィにそう言い渡されたエリスは彼の「心に決めた人」を知り、自分の正体を知られてはいけないと誓うのだが……!? 銀髪×碧眼(33歳)の超絶美形の執着騎士団長に気が強いけど鈍感なピンク髪×蜂蜜色の目(20歳)が執着されて溺愛されるお話です。

不憫王子に転生したら、獣人王太子の番になりました

織緒こん
BL
日本の大学生だった前世の記憶を持つクラフトクリフは異世界の王子に転生したものの、母親の身分が低く、同母の姉と共に継母である王妃に虐げられていた。そんなある日、父王が獣人族の国へ戦争を仕掛け、あっという間に負けてしまう。戦勝国の代表として乗り込んできたのは、なんと獅子獣人の王太子のリカルデロ! 彼は臣下にクラフトクリフを戦利品として側妃にしたらどうかとすすめられるが、王子があまりに痩せて見すぼらしいせいか、きっぱり「いらない」と断る。それでもクラフトクリフの処遇を決めかねた臣下たちは、彼をリカルデロの後宮に入れた。そこで、しばらく世話をされたクラフトクリフはやがて健康を取り戻し、再び、リカルデロと会う。すると、何故か、リカルデロは突然、クラフトクリフを溺愛し始めた。リカルデロの態度に心当たりのないクラフトクリフは情熱的な彼に戸惑うばかりで――!?

魔王様は俺のクラスメートでした

棚から現ナマ
BL
前世を憶えている主人公ミルは、チートもなくラノベのような世界で、ごく平凡に庭師見習いとして働いて暮らしていた。 ある日、なぜか魔王様に踏まれてしまったミルは、魔王様が前世のクラスメートだったことに気が付き、おもわず名前を呼んでしまう。 呼ばれた魔王様はミルを自分の王宮に連れ込んで……。 逃げたいミルと、どうしても手放せない魔王様の話し。もちろんハッピーエンド。

悪辣と花煙り――悪役令嬢の従者が大嫌いな騎士様に喰われる話――

BL
「ずっと前から、おまえが好きなんだ」 と、俺を容赦なく犯している男は、互いに互いを嫌い合っている(筈の)騎士様で――――。 「悪役令嬢」に仕えている性悪で悪辣な従者が、「没落エンド」とやらを回避しようと、裏で暗躍していたら、大嫌いな騎士様に見つかってしまった。双方の利益のために手を組んだものの、嫌いなことに変わりはないので、うっかり煽ってやったら、何故かがっつり喰われてしまった話。 ※ムーンライトノベルズでも公開しています(https://novel18.syosetu.com/n4448gl/)

性技Lv.99、努力Lv.10000、執着Lv.10000の勇者が攻めてきた!

モト
BL
異世界転生したら弱い悪魔になっていました。でも、異世界転生あるあるのスキル表を見る事が出来た俺は、自分にはとんでもない天性資質が備わっている事を知る。 その天性資質を使って、エルフちゃんと結婚したい。その為に旅に出て、強い魔物を退治していくうちに何故か魔王になってしまった。 魔王城で仕方なく引きこもり生活を送っていると、ある日勇者が攻めてきた。 その勇者のスキルは……え!? 性技Lv.99、努力Lv.10000、執着Lv.10000、愛情Max~~!?!?!?!?!?! ムーンライトノベルズにも投稿しておりすがアルファ版のほうが長編になります。

氷の支配者と偽りのベータ。過労で倒れたら冷徹上司(銀狼)に拾われ、極上の溺愛生活が始まりました。

水凪しおん
BL
※この作品には、性的描写の表現が含まれています。18歳未満の方の閲覧はご遠慮ください。 オメガであることを隠し、メガバンクで身を粉にして働く、水瀬湊。 過労と理不尽な扱いで、心身ともに限界を迎えた夜、彼を救ったのは、冷徹で知られる超エリートα、橘蓮だった。 「君はもう、頑張らなくていい」 ――それは、運命の番との出会い。 圧倒的な庇護と、独占欲に戸惑いながらも、湊の凍てついた心は、次第に溶かされていく。 理不尽な会社への華麗なる逆転劇と、極上に甘いオメガバース・オフィスラブ!

救世の神子として異世界に召喚されたと思ったら呪い解除の回復アイテムだった上にイケメン竜騎士のツガイにされてしまいました。

篠崎笙
BL
剣崎勝利の家は古武道で名を馳せていた。ある日突然異世界に召喚される。勇者としてではなく、竜騎士たちの呪いを解く道具として。竜騎士ゲオルギオスは、勝利をツガイにして、その体液で呪いを解いた。勝利と竜騎士たちは悪神討伐の旅へ向かったが……。 

りんご成金のご令息

けい
BL
 ノアには前世の記憶はあったがあまり役には立っていなかった。そもそもあまりにもあいまい過ぎた。魔力も身体能力も平凡で何か才能があるわけでもない。幸いにも裕福な商家の末っ子に生まれた彼は、真面目に学んで身を立てようとコツコツと勉強する。おかげで王都の学園で教育を受けられるようになったが、在学中に両親と兄が死に、店も乗っ取られ、残された姉と彼女の息子を育てるために学園を出て冒険者として生きていくことになる。  それから二年がたち、冒険者としていろいろあった後、ノアは学園の寮で同室だった同級生、ロイと再会する。彼が手を貸してくれたおかげで、生活に余裕が出て、目標に向けて頑張る時間もとれて、このまま姉と甥っ子と静かに暮らしていければいいと思っていたところ、姉が再婚して家を出て、ノアは一人になってしまう。新しい住処を探そうとするノアに、ロイは同居を持ち掛ける。ロイ×ノア。ふんわりした異世界転生もの。 他サイトにも投稿しています。