いろはにほへと ちりになれ!

藤丸セブン

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四十一限目 トレカ大好き石森さん

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 ねぇ知ってる?人と人が出会う確率は、0.0003%何だって。
「秒速五セン⚪︎メートルに見せかけた豆⚪︎ばじゃねえかこれ!!」
「む!まーいーにーちーひとーつー。まーめ知識らんらんらん!」
 
 <四十一限目 トレカ大好き石森さん>
 
「と!言う訳で!諸君には必ず勝利を掴んできて欲しい!」
「まっかせてー!」
「む、当然勝ちに行く」
 本日はカードショップにて行われる公式大会の開催日だ。この大会に参加する為いろは、波留、日華は時間の前にカードショップに集合していた。
「本当はろっちゃんとかちっちゃんもデッキ貸して参加させようと思ったんだけどな。アプリで使用デッキ登録してねえとダメらしくてさ」
「む、まあ私達が優勝すればいいだけ。優勝品は頂き」
 大会に出るからには当然勝ちを狙いに行くが今回三人が張り切っている理由は優勝賞品にあった。今回の大会で優勝するととても高額なカードのイラスト違いのカードが貰えるのだ。これはとてもレアなカードと呼べるものとなる。
「今日の為に私はデッキを改造してきたぞ!見ろ!このデッキを!」
「む!?これは一枚三千円はするパーフェクトフリードラゴン!?」
「それが三枚!?優勝する為に気合入れすぎでしょ!!」
 二人に驚かれた為か妙に誇らしげに鼻を鳴らすいろは。中学生のなけなしのお小遣いを全部投入した甲斐があるというものだ。
「ねえねえそこのおじょうちゃん~」
「あん?私か?」
「お~。そうだよ~」
 そんな事をしていると見知らぬ人に声をかけられた。いろは達より身長の低い少女だった。身長は百三十ちょっとくらい。長い髪をツインテールに纏めて何やら興味深そうにいろはの持つカードを見ていた。
「おっ。気になるのか。私のパーフェクトフリードラゴンが」
「お~。やっぱりパフェドラか~。残念な話だけどさ~。パフェドラ制限になったよ~」
「・・・は?」
 少女から言われた言葉にいろはが言葉を失う。制限、とは制限カードの略称で簡単に言うとデッキに一枚しかそのカードを入れてはいけないというルールだ。
「いつから!?」
「お~。今日から~」
 焦ってスマホで情報を調べてみると、確かに公式サイトで正式に制限カードを公開しており、その中にいろはが三枚手にしているカードがあった。
「終わった!!!昨日ちょっと安かったから三枚買ったのに!!」
「お~。制限カードになったからちょっと値下がったんじゃない~?詳しい事は知らないけど~」
 いろはが暫くカードショップで蹲っていたがこれ以上蹲っていると人の迷惑になるし何より目立つ。その為いろはは立ち上がった。
「くそ!落ち込んでてもしゃーねえ!今すぐデッキを改造する!ガキンチョ!教えてくれてあんがとな!」
「お~。ぬらが力になれたなら嬉しみの極み~。お互いがんばろーね~」
 ゆったりした口調でのんびりと歩いて少女は三人から離れていった。
「親切な子だったね。小学生くらいかな?」
「む、あの子。ちょっとキャラ被ってない?」
「被ってねえだろ」
 珍しく鋭いツッコミを入れながらいろはデッキケースから改造前に入れていたカードを取り出して制限になったカードを丁寧にしまう。
「残り二枚のこいつどうしよう」
「む、ここに友人が二人いるよ」
「よこせってか!?幾ら何でも図々しすぎるだろ!!?」
「私何も言ってないけど!?」
 そんなこんなで大会が開催された。
「よっしゃあ!まずは初戦!勝たせてもらうぜ!」
「お~?まさか初戦で当たるとはね~」
 店員の指示に従って席に座ると対戦相手はゆったりした口調で話しかけてきた。いろはの初戦の相手は先程親切に話しかけてくれた少女だった。
「おお!凄え偶然だな!お前には恩があるが、わざと負ける訳にはいかねえからな。全力でやらせてもらうぜ?」
「お~とうぜ~ん。いざ尋常に~」
「「「「デュエル開始ぃぃぃ!」」」」
 大会参加者全員が声を揃えて決闘の開始を宣言する。いろはの挑戦はこうして幕を開けた。
「よっしゃ!初手は悪くねえ!」
 先行はいろは。序盤に動けるカードが手札には中々あったのでやれる事をやりながら切り札を召喚する為の準備をしていく。
「エンドだ!」
「お~。ぬらのターン、ドロ~~」
 いろはのターンが終わりぬらのターンに移る。
「お~。これで山札二枚破棄で~」
「デッキアウト狙いかよぉぉぉ!?」
 いろはがやっているカードゲームは自身のデッキが無くなった場合敗北となる。どうやら対戦相手のデッキは相手のデッキを無くす事を目的としたデッキの様だ。
「お~。エンド~」
「くっそ!速攻だ速攻!」
 いろはのデッキは攻め重視のデッキではあるが防御力も低い訳ではない。それ故にいろははこのデッキこそが現状使える最適解であると考えて今日に挑んだが、その防御カードを破棄されてしまっては防御のしようがない。というかこちらにダメージを与えるつもりがないのなら防御カードの意味がない。
「行ってこい!フリードラゴンアタック!」
「お~。呪文はつど~う。その子をはか~い」
「ぐっぬぬぬぬぬぅ!エンド!」
「お~。ドロ~。からのーテンタクルヌヌを二体しょうか~ん。山札四枚は~き」
 いろはが攻めきれない間に少女にどんどん山札を破棄されていく。状況は完全にいろはの劣勢だ。
「ターン終わり~」
「くっそー!!頼む!!!」
 次のドローで山札から一枚しか入っていないパーフェクトフリードラゴンを引ければまだ勝機はある。しかし、そうでないならこのターンに相手を削り切る事は不可能。恐らく次のターンはやってこないだろう。
「引いてやるぜ。うおおおおおおおおおおおおおお!ディスティニードロォォォォォォォ!!!」
 そうして、いろはは引き抜いた。
「来たぜ!俺の切り札ぁぁぁぁ!!かっっっっったぁぁぁぁ!!!」
「お~。私達のせいしゅ~ん」
 とあるアニメの主人公の決め台詞を叫んでいろはは高らかに勝利宣言をかます。引いたカードは勿論。
「スゲエドローで二枚ドロー!」
「お~。引いてないんか~~い」
 ぬらが実にゆったりといろはにツッコミを入れる。そう、実は先程引いたカードはドローカードだった。パーフェクトフリードラゴンではない。
「でもさっきのドローで来たぜ!!パーフェクトフリードラゴンを臨海!!そんでそのままアタックだぁぁぁ!!」
「お~」
 パーフェクトフリードラゴンの攻撃が通ればいろはは対戦相手のライフを削り切りこのバトルに勝利する事が出来る。これが通れば!
「じゅも~ん。混沌の触手はつど~う」
「・・・は?」
「こちらがダメージを受ける時そのモンスターのコスト分の枚数を山札からトラ~ッシュ。つまり~」
 パーフェクトフリードラゴンのコストはなんと脅威の十四。残りのデッキ枚数は十三枚。
「・・・デッキアウト?」
「お~。そうだね~」
「勝負あり!!勝者!温水ぬら!!!」
 いろはのデッキが無くなった事を確認した審判が対戦相手、温水ぬらの勝利が叫ばれた。
「お~。コロンビア~~」
「燃え尽きたぜ。真っ白にな」
 ぬらが両手を握り両手を上に上げた。それに比べて、いろはは真っ白になった。
  ◇
「まさかデッキアウト狙いとは思わなかったんだよー」
「む、まあ仕方ない。結局あの子が優勝もぎ取ってたし」
 翌日。学校にて授業が始まる前にいろはは言い訳を垂れ流していた。大会の結果いろはは一回戦敗北。日華は二回戦敗北。波留は実に惜しい所まで進んだが、準決勝でぬらに当たりデッキを無くされて敗北した。
「残念でしたね。それで、その高額なカードはどうしたのですか?」
「売った」
「む、ケチャップ」
「ケチャップ?」
「む。ケチって言おうとしたけど予測変換で出てきたケチャップが出てきちゃった」
 じゃあ直せよ。何そのまま誤字で突き進んでんだよ。
「はい静かに。朝礼始めるぞー」
 話していたメンバーが席に座り朝礼を聞く。
「そんで今日から教育実習生が来るからみんな仲良くねー」
「教育実習生ぃ?」
 そして教室の扉が開けられ、教育実習生が教室内に入ってきた。
「お~。教育実習生の温水ぬらで~す。気軽にぬらちゃんって呼んでね~。担当教科は現代文で~す」
「あの時の奴じゃねぇぇか!!」
 いろはは恋愛漫画の転校生が朝偶然あったあの子だった!みたいなノリで席を立ちぬらを指差した。
「お~。ここの生徒だったんだ~。よろしく~ぅ」
 いろはとしては負けた事が気に食わなかったが、まあ勝負事をしているのだから勝ちがあれば負けもある。そんなに怒るようなことでもないだろう。
「まあいいかぁ!よろしくなぁ!!」
 こうして教育実習生、温水ぬらが仲間になった!!
「仲間になったはなんか違くありません?」
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