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婚約破棄の噂は、一夜にして社交界中に広まった。午前中には、ヴァンフリート公爵家の門前に複数の新聞記者が詰めかけ、午後には貴族たちの社交サロンでこの話題で持ちきりとなった。
「完璧なアリシア様が捨てられたなんて」
「やはり完璧すぎると、男性は退屈に感じるのかしら」
「マリアンヌ嬢のような天真爛漫な娘の方が、若い男性には魅力的なのでしょうね」
人々の反応はさまざまだった。同情する声もあれば、密かに喜ぶ声もあった。完璧なアリシアに嫉妬していた令嬢たちも少なくなかったのだ。
しかし当の本人は、そんな噂などまるで気にしていなかった。アリシアは母の日記を読み耽っていた。
『私も若い頃は、アリシアのように活発で好奇心旺盛な娘でした。しかし結婚後、公爵夫人として求められる姿を演じるうちに、本当の自分を見失っていきました』
母の言葉が、ページを追うごとに胸に突き刺さる。
『でも、私には密かな楽しみがありました。商業への投資です。夫には内緒で、信頼できる商人たちと取引をし、利益を慈善事業に使っていました。それが、私が私であり続けるための、唯一の方法だったのです』
日記には、母が取引していた商人たちの名前や、投資先の詳細が記されていた。その中に、港町の貿易商「トーマス商会」の名前を見つけたアリシアは、心を決めた。
「行こう。母が信頼していた人に会いに」
翌日、アリシアは護衛のガルドを連れて港町へと向かった。公爵は心配したが、娘の決意の固さを見て、最終的には許可した。
「無理はするな。お前は私の大切な娘だ」
「ありがとう、お父様。必ず無事に帰ります」
港町は王都とはまったく違う世界だった。商人たちの威勢のいい声、荷物を運ぶ労働者たちの活気、異国の香辛料の香り。アリシアは目を輝かせながら、その光景を見つめた。
「ガルド、活気があって素敵な場所ね」
「お嬢様、あまりはしゃぎすぎませんように。ここは王都ほど治安が良くありませんので」
トーマス商会は港の近くにあった。古びた建物だが、しっかりとした造りで、中からは活気ある声が聞こえてくる。
アリシアが扉を開けると、中にいた初老の男性が驚いて立ち上がった。
「これは…まさか、アリシア様?」
「トーマスさんですか?」
男性の目に涙が浮かんだ。
「奥様にそっくりだ…本当に、そっくりだ」
トーマスは奥の応接室にアリシアを案内した。そこで彼は、母との思い出を語り始めた。
「奥様は素晴らしい方でした。商才があり、人を見る目があり、そして何より、誠実でした。私が破産寸前だった時、奥様が投資してくださったおかげで、今の商会があるのです」
アリシアは母の日記を見せた。トーマスは懐かしそうにページをめくる。
「奥様は、いつも『いつかアリシアも商売に興味を持つかもしれない』とおっしゃっていました。その日が来たのですね」
「ええ。遅すぎたかもしれないけれど、今なら母の気持ちが分かる気がします」
トーマスはアリシアに商会の帳簿を見せてくれた。最初は遠慮していたアリシアだったが、数字を追ううちに、彼女の目が鋭くなっていく。
「トーマスさん、この項目ですが、仕入れ値が高すぎませんか?」
「ほう、お気づきになりましたか」
「ええ。もし直接東方の商人と取引できれば、中間業者を通さずに済むので、コストを三割は削減できるはずです」
トーマスは驚いて目を見開いた。
「アリシア様…まさか、商業の勉強を?」
「ヴィクター様の家計を管理するために、密かに経済学を学んでいたのです。まさかこんな形で役立つとは思いませんでしたが」
アリシアは続ける。
「それに、この交易ルートですが、もし南回りではなく、北回りにすれば、時間は少しかかりますが、海賊のリスクを減らせます。保険料も安くなるはずです」
トーマスは感動で声を震わせた。
「奥様の娘であることを、今、確信しました。アリシア様、もしよろしければ、我が商会の顧問になっていただけませんか?」
「顧問?」
「ええ。あなたの知恵と、奥様から受け継いだ資金を使えば、商会をさらに大きくできます。そして利益は、奥様のように慈善事業に使うこともできる」
アリシアは少し考えてから答えた。
「条件があります」
「なんなりと」
「私は、ただの出資者ではなく、実際に経営に関わりたい。現場を見て、商人たちと話し、自分の手で商売をしたいのです」
トーマスは驚いたが、すぐに笑顔になった。
「奥様もきっと、そう望まれるでしょう。では、まずは港を案内させてください。商売の基本は、現場を知ることですから」
その日、アリシアは港で様々な商人たちと出会った。東方の絹を扱う商人、香辛料を運ぶ船乗り、宝石を売る行商人。みな個性的で、話を聞くだけで刺激的だった。
夕方、トーマスはアリシアを港の酒場に連れて行った。ガルドは不安そうだったが、アリシアは気にしなかった。
「お嬢様、こんな場所は…」
「大丈夫よ、ガルド。本当の商人の世界を知るには、こういう場所も大切なの」
酒場では商人たちが食事をしながら、商談をしていた。アリシアはその雰囲気に圧倒されながらも、興味津々で周りを見回した。
「トーマスの旦那、そちらの綺麗なお嬢さんは?」
一人の商人が声をかけてきた。トーマスが答える前に、アリシアが自ら答えた。
「アリシアと申します。トーマスさんの商会で、商売を学ばせていただいています」
「ほう、お嬢さんが商売を?珍しいな」
「ええ、でも本気です。もしよろしければ、あなたの商売についても教えていただけませんか?」
商人たちは最初は戸惑ったが、アリシアの真剣な眼差しを見て、徐々に心を開いていった。彼らは自分たちの商売の苦労や喜びを語り、アリシアは一つ一つに耳を傾けた。
その中で、ある商人が東方の新しい飲み物について話した。
「紅茶っていうんだ。東の国では、貴族も庶民も飲んでいる。香りがよくて、味も独特でね」
「紅茶…」
アリシアは興味を持った。
「どんな味なのですか?」
「ちょうど持っている。飲んでみるかい?」
商人は小さな袋から茶葉を取り出し、お湯を注いだ。数分後、美しい琥珀色の液体ができあがった。
アリシアは恐る恐る一口飲んだ。そして、目を見開いた。
「これは…素晴らしい」
繊細で複雑な味わい。上品な香り。これなら、社交界の貴族たちも喜ぶはずだ。
「トーマスさん、この紅茶を輸入できませんか?」
「紅茶ですか?まだこの国ではあまり知られていませんが…」
「だからこそ、チャンスなのです。新しい文化を持ち込めば、必ず流行します」
アリシアの目は輝いていた。彼女の頭の中には、すでに具体的なビジネスプランが描かれていた。
その夜、屋敷に戻ったアリシアは、父に今日の出来事を報告した。
「お父様、私、商売を始めたいのです」
「商売を?」
「ええ。母が築いた基盤を活かして、新しい事業を。これは私が本当にやりたいことなんです」
公爵は娘の顔を見つめた。そこには、かつて見たことのない決意と情熱があった。
「お前が本当にそう望むなら、私は反対しない。ただし、無理はするな。そして、困ったときはいつでも頼りなさい」
「ありがとうございます、お父様」
その夜、アリシアは自室で新しいノートを開いた。そこに『ビジネスプラン:紅茶サロン』と書き、具体的なアイデアを書き出していく。
社交界の知識と、商人の世界の知識。この二つを組み合わせれば、今までにない新しいビジネスができるはずだ。
窓の外では月が輝いていた。七年間の眠りから覚めたアリシアにとって、すべてが新鮮で、すべてが可能性に満ちていた。
翌朝、社交界では新しい噂が広まり始めていた。
「アリシア様が港町に行ったらしいわよ」
「まあ、本当に?一体何のために?」
「商人と会っていたという話よ。もしかして、婚約破棄のショックで…」
人々は様々な憶測を口にしたが、誰も真実を知らなかった。アリシア・ヴァンフリートは、もう「完璧な淑女」ではない。彼女は今、新しい道を歩み始めた、一人の商人なのだ。
一方、ヴィクター・エドワード侯爵は、新しい婚約者マリアンヌとティーパーティーに出席していた。マリアンヌは楽しそうに笑い、周りの人々を和ませていた。しかし、社交の場での気配りや、複雑な会話についていくことができず、ヴィクターはフォローに追われていた。
「マリアンヌ、それは違う。伯爵夫人に対しては、もっと敬意を示さないと」
「ごめんなさい、ヴィクター様。私、そういうの苦手で…」
ヴィクターは内心ため息をついた。アリシアなら、こんなことで悩むことはなかった。彼女は常に完璧に立ち回り、社交界での評判を上げてくれていた。
しかし、それは退屈だったのだ。刺激がなかったのだ。そう自分に言い聞かせながら、ヴィクターはマリアンヌの手を取った。
だが、心の奥底で、小さな疑問が芽生え始めていた。自分は本当に正しい選択をしたのだろうか、と。
「完璧なアリシア様が捨てられたなんて」
「やはり完璧すぎると、男性は退屈に感じるのかしら」
「マリアンヌ嬢のような天真爛漫な娘の方が、若い男性には魅力的なのでしょうね」
人々の反応はさまざまだった。同情する声もあれば、密かに喜ぶ声もあった。完璧なアリシアに嫉妬していた令嬢たちも少なくなかったのだ。
しかし当の本人は、そんな噂などまるで気にしていなかった。アリシアは母の日記を読み耽っていた。
『私も若い頃は、アリシアのように活発で好奇心旺盛な娘でした。しかし結婚後、公爵夫人として求められる姿を演じるうちに、本当の自分を見失っていきました』
母の言葉が、ページを追うごとに胸に突き刺さる。
『でも、私には密かな楽しみがありました。商業への投資です。夫には内緒で、信頼できる商人たちと取引をし、利益を慈善事業に使っていました。それが、私が私であり続けるための、唯一の方法だったのです』
日記には、母が取引していた商人たちの名前や、投資先の詳細が記されていた。その中に、港町の貿易商「トーマス商会」の名前を見つけたアリシアは、心を決めた。
「行こう。母が信頼していた人に会いに」
翌日、アリシアは護衛のガルドを連れて港町へと向かった。公爵は心配したが、娘の決意の固さを見て、最終的には許可した。
「無理はするな。お前は私の大切な娘だ」
「ありがとう、お父様。必ず無事に帰ります」
港町は王都とはまったく違う世界だった。商人たちの威勢のいい声、荷物を運ぶ労働者たちの活気、異国の香辛料の香り。アリシアは目を輝かせながら、その光景を見つめた。
「ガルド、活気があって素敵な場所ね」
「お嬢様、あまりはしゃぎすぎませんように。ここは王都ほど治安が良くありませんので」
トーマス商会は港の近くにあった。古びた建物だが、しっかりとした造りで、中からは活気ある声が聞こえてくる。
アリシアが扉を開けると、中にいた初老の男性が驚いて立ち上がった。
「これは…まさか、アリシア様?」
「トーマスさんですか?」
男性の目に涙が浮かんだ。
「奥様にそっくりだ…本当に、そっくりだ」
トーマスは奥の応接室にアリシアを案内した。そこで彼は、母との思い出を語り始めた。
「奥様は素晴らしい方でした。商才があり、人を見る目があり、そして何より、誠実でした。私が破産寸前だった時、奥様が投資してくださったおかげで、今の商会があるのです」
アリシアは母の日記を見せた。トーマスは懐かしそうにページをめくる。
「奥様は、いつも『いつかアリシアも商売に興味を持つかもしれない』とおっしゃっていました。その日が来たのですね」
「ええ。遅すぎたかもしれないけれど、今なら母の気持ちが分かる気がします」
トーマスはアリシアに商会の帳簿を見せてくれた。最初は遠慮していたアリシアだったが、数字を追ううちに、彼女の目が鋭くなっていく。
「トーマスさん、この項目ですが、仕入れ値が高すぎませんか?」
「ほう、お気づきになりましたか」
「ええ。もし直接東方の商人と取引できれば、中間業者を通さずに済むので、コストを三割は削減できるはずです」
トーマスは驚いて目を見開いた。
「アリシア様…まさか、商業の勉強を?」
「ヴィクター様の家計を管理するために、密かに経済学を学んでいたのです。まさかこんな形で役立つとは思いませんでしたが」
アリシアは続ける。
「それに、この交易ルートですが、もし南回りではなく、北回りにすれば、時間は少しかかりますが、海賊のリスクを減らせます。保険料も安くなるはずです」
トーマスは感動で声を震わせた。
「奥様の娘であることを、今、確信しました。アリシア様、もしよろしければ、我が商会の顧問になっていただけませんか?」
「顧問?」
「ええ。あなたの知恵と、奥様から受け継いだ資金を使えば、商会をさらに大きくできます。そして利益は、奥様のように慈善事業に使うこともできる」
アリシアは少し考えてから答えた。
「条件があります」
「なんなりと」
「私は、ただの出資者ではなく、実際に経営に関わりたい。現場を見て、商人たちと話し、自分の手で商売をしたいのです」
トーマスは驚いたが、すぐに笑顔になった。
「奥様もきっと、そう望まれるでしょう。では、まずは港を案内させてください。商売の基本は、現場を知ることですから」
その日、アリシアは港で様々な商人たちと出会った。東方の絹を扱う商人、香辛料を運ぶ船乗り、宝石を売る行商人。みな個性的で、話を聞くだけで刺激的だった。
夕方、トーマスはアリシアを港の酒場に連れて行った。ガルドは不安そうだったが、アリシアは気にしなかった。
「お嬢様、こんな場所は…」
「大丈夫よ、ガルド。本当の商人の世界を知るには、こういう場所も大切なの」
酒場では商人たちが食事をしながら、商談をしていた。アリシアはその雰囲気に圧倒されながらも、興味津々で周りを見回した。
「トーマスの旦那、そちらの綺麗なお嬢さんは?」
一人の商人が声をかけてきた。トーマスが答える前に、アリシアが自ら答えた。
「アリシアと申します。トーマスさんの商会で、商売を学ばせていただいています」
「ほう、お嬢さんが商売を?珍しいな」
「ええ、でも本気です。もしよろしければ、あなたの商売についても教えていただけませんか?」
商人たちは最初は戸惑ったが、アリシアの真剣な眼差しを見て、徐々に心を開いていった。彼らは自分たちの商売の苦労や喜びを語り、アリシアは一つ一つに耳を傾けた。
その中で、ある商人が東方の新しい飲み物について話した。
「紅茶っていうんだ。東の国では、貴族も庶民も飲んでいる。香りがよくて、味も独特でね」
「紅茶…」
アリシアは興味を持った。
「どんな味なのですか?」
「ちょうど持っている。飲んでみるかい?」
商人は小さな袋から茶葉を取り出し、お湯を注いだ。数分後、美しい琥珀色の液体ができあがった。
アリシアは恐る恐る一口飲んだ。そして、目を見開いた。
「これは…素晴らしい」
繊細で複雑な味わい。上品な香り。これなら、社交界の貴族たちも喜ぶはずだ。
「トーマスさん、この紅茶を輸入できませんか?」
「紅茶ですか?まだこの国ではあまり知られていませんが…」
「だからこそ、チャンスなのです。新しい文化を持ち込めば、必ず流行します」
アリシアの目は輝いていた。彼女の頭の中には、すでに具体的なビジネスプランが描かれていた。
その夜、屋敷に戻ったアリシアは、父に今日の出来事を報告した。
「お父様、私、商売を始めたいのです」
「商売を?」
「ええ。母が築いた基盤を活かして、新しい事業を。これは私が本当にやりたいことなんです」
公爵は娘の顔を見つめた。そこには、かつて見たことのない決意と情熱があった。
「お前が本当にそう望むなら、私は反対しない。ただし、無理はするな。そして、困ったときはいつでも頼りなさい」
「ありがとうございます、お父様」
その夜、アリシアは自室で新しいノートを開いた。そこに『ビジネスプラン:紅茶サロン』と書き、具体的なアイデアを書き出していく。
社交界の知識と、商人の世界の知識。この二つを組み合わせれば、今までにない新しいビジネスができるはずだ。
窓の外では月が輝いていた。七年間の眠りから覚めたアリシアにとって、すべてが新鮮で、すべてが可能性に満ちていた。
翌朝、社交界では新しい噂が広まり始めていた。
「アリシア様が港町に行ったらしいわよ」
「まあ、本当に?一体何のために?」
「商人と会っていたという話よ。もしかして、婚約破棄のショックで…」
人々は様々な憶測を口にしたが、誰も真実を知らなかった。アリシア・ヴァンフリートは、もう「完璧な淑女」ではない。彼女は今、新しい道を歩み始めた、一人の商人なのだ。
一方、ヴィクター・エドワード侯爵は、新しい婚約者マリアンヌとティーパーティーに出席していた。マリアンヌは楽しそうに笑い、周りの人々を和ませていた。しかし、社交の場での気配りや、複雑な会話についていくことができず、ヴィクターはフォローに追われていた。
「マリアンヌ、それは違う。伯爵夫人に対しては、もっと敬意を示さないと」
「ごめんなさい、ヴィクター様。私、そういうの苦手で…」
ヴィクターは内心ため息をついた。アリシアなら、こんなことで悩むことはなかった。彼女は常に完璧に立ち回り、社交界での評判を上げてくれていた。
しかし、それは退屈だったのだ。刺激がなかったのだ。そう自分に言い聞かせながら、ヴィクターはマリアンヌの手を取った。
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