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12話
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「始め」
先に動いたのはアレンの方だ。
剣に雷を纏わせながらラーフエルの後方に雷を撃つ。
後方の雷は牽制だとわかっていたのかラーフエルは防ぐ様子も見せず向かってくるアレンの足場をデコボコにした。
直後、右側の地面が盛り上がりアレンを襲う。
それを体勢を崩すことなくひらりとかわし、雷を纏った剣を横に払うと雷の斬撃が飛んだ。
それを土の盾で防ぐ。
その一瞬の隙にアレンが距離を詰めた。
少しの間攻防が続いたがアレンの雷を纏わせた右足の蹴りを左腕で受け止めてしまいバチッという音とともにネックレスが壊れた。
一撃!?
「やめ」
ラーフエルは座り込んで悔しそうにしている。
アレンは座り込んでいるラーフエルに手を伸ばしてにっこり微笑んだ。
絵になるなぁ。
さすが主人公である。
なんか花が舞っていてもおかしくない気さえしてくる。
そういえばアレンは誰狙いなのだろう。
ベルトレッド様でないことは確かだけど、この感じはラーフエルだろうか。
「いやー、すごかったな」
「ね。なんか慣れてる感じしたし」
次は俺とルカの番だ。
「よろしくな!」
「お手柔らかに....」
兄さんとの戦いを見てるから勝てる気が全くしないんだけど。
唯一勝てるのはスピードくらいだろうか。
「調子に乗るなよ」
先生の方へ向かう途中、誰かにそう言われた。
ん?俺のこと?なんか調子に乗ったっけ?
「ふんっ、風なんてたかが知れてるだろ」
声のした方を見てみるとベルトレッド様のライバルの人だ。
えっと、名前はまだ覚えてなくてごめんなさい。
これはただ悪口を言ってるだけなのか返事をしてほしいのかどっちだろう?
「図星でなにも言えないか?」
ああ、後者だったのか。
っていうか間接的にベルトレッド様に対しての悪口にもなってることわかってるのかな?
聞こえてないといいけど。
「価値観は人それぞれですので」
なるべく角が立たないように優しい口調で言って微笑んでから先生の方へ向かった。
「ちょっと、ルカ?なんで笑ってるの?」
先程のやりとりを聞いていたのかルカはぷるぷると肩を震わせている。
「くくっ、いやー、やっぱり面白いなと思って。あれ、喧嘩売ったわけじゃないんだよな?」
「当たり前じゃん。え、もしかして喧嘩売ってるように聞こえた!?」
「あー、聞く人によっては」
嘘でしょ....。
どうか悪い方に捉えていませんように....。
先生からネックレスを受け取り首にかけた。
目を閉じて深呼吸をしてからルカを見る。
楽しそうにニヤっと笑うのを見てつられて笑った。
「始め」
ほとんど同時に動いた。
俺は空気の弾を立て続けに3つ撃ったが、それがわかっていたのか氷の壁を作るとルカの姿が見えなくなる。
ガガガッと同じような場所に当たり、氷がその部分だけ崩れた。
ルカはすぐに左右に同じような氷の壁を作り左側の壁から氷の槍が飛んできた。
左側に隠れたかと思ったが、魔力を含んだ風は右側に揺らいだ。
右足で床を蹴り、氷の槍を避けながら右側の氷へ一気に距離を詰めた。
ジャンプの時と同じ要領で風魔法を使えばかなり速く走れる。
ジャンプして軽々氷の壁を越えルカの頭上から空気の弾を撃つ。
「なっ!」
氷の壁は間に合わず剣ではじくが掠めたのも含めると数発当たった。
だが距離が近くてスピードが出なかったせいで威力は半減してしまったようだ。
ネックレスは壊れなかった。
まずい。
着地してすぐに後ろへ跳ぶがその分ルカが詰めてくる。
キィンッ
なんとか受け止めたが一撃が重い。
踏ん張ったその一瞬の隙に肩まで凍らされてしまった。
「っく...!」
これで終わってたまるか、とルカの背後に空気の弾を放った。
ガガッ
だが、残念ながら氷の壁で阻まれてしまう。
見抜かれていたようだ。
その直後、自分のネックレスがパキンと壊れた。
「やめ」
勝てないかなとは思ってたけど!
やっぱり悔しい!!
「悔しそうなとこ悪いけど俺も勝った気してないからな」
氷を消し、ムスッとしながら手を差し伸べてくれた。
「え、なんでよ。負けたの俺なんだけど」
ありがたく手は取らせて貰ったがそれは納得いかない。
「最初に食らった攻撃、コレのお陰でなんともなかったけど本来なら怪我してるから最後あんなふうに動けなかっただろうし」
真面目かっ。
これはそういう試合なんだから素直に喜びなさいよっ。
「にしても風魔法って空飛べるのか?」
「飛べないよ。あれはジャンプ補助しただけ」
「意外とできること多いんだな」
「そうなんだよ!楽しいよね!魔法って」
「ははっ、お前らしいな」
その後もいろんな戦いが見れて楽しかったのだが、興奮しすぎたのかなんだか眠くなってきた。
「おいっ、フィル!起きろって!」
ルカの声が耳元で聞こえる。
あれ、俺寝てた....?
「さっきからめっちゃ睨まれてんだよ!」
ルカの肩を借りて寝てしまっていたようだ。
睨まれるって誰に....。
周りを見てみるとネックレスを首にかけているベルトレッド様と目が合った。
あ、もしかして次ベルトレッド様の番?
「そういえば誰が睨んでるって?」
「ベルトレッド様だよっ」
「え?今普通だったけど...」
「馬鹿っ、さっきまでほんと凄かったんだぞ!」
「でもなんでベルトレッド様が睨むんだよ」
「知るかよっ」
えっと、なんかごめん。
めちゃくちゃ慌ててるけどそんなに怖かったんだろうか。
あ、でも怒った声は怖かったな....。
あの時顔は見えなかったけど。
ベルトレッド様の相手は殿下だ。
「始め」
先に動いたのはアレンの方だ。
剣に雷を纏わせながらラーフエルの後方に雷を撃つ。
後方の雷は牽制だとわかっていたのかラーフエルは防ぐ様子も見せず向かってくるアレンの足場をデコボコにした。
直後、右側の地面が盛り上がりアレンを襲う。
それを体勢を崩すことなくひらりとかわし、雷を纏った剣を横に払うと雷の斬撃が飛んだ。
それを土の盾で防ぐ。
その一瞬の隙にアレンが距離を詰めた。
少しの間攻防が続いたがアレンの雷を纏わせた右足の蹴りを左腕で受け止めてしまいバチッという音とともにネックレスが壊れた。
一撃!?
「やめ」
ラーフエルは座り込んで悔しそうにしている。
アレンは座り込んでいるラーフエルに手を伸ばしてにっこり微笑んだ。
絵になるなぁ。
さすが主人公である。
なんか花が舞っていてもおかしくない気さえしてくる。
そういえばアレンは誰狙いなのだろう。
ベルトレッド様でないことは確かだけど、この感じはラーフエルだろうか。
「いやー、すごかったな」
「ね。なんか慣れてる感じしたし」
次は俺とルカの番だ。
「よろしくな!」
「お手柔らかに....」
兄さんとの戦いを見てるから勝てる気が全くしないんだけど。
唯一勝てるのはスピードくらいだろうか。
「調子に乗るなよ」
先生の方へ向かう途中、誰かにそう言われた。
ん?俺のこと?なんか調子に乗ったっけ?
「ふんっ、風なんてたかが知れてるだろ」
声のした方を見てみるとベルトレッド様のライバルの人だ。
えっと、名前はまだ覚えてなくてごめんなさい。
これはただ悪口を言ってるだけなのか返事をしてほしいのかどっちだろう?
「図星でなにも言えないか?」
ああ、後者だったのか。
っていうか間接的にベルトレッド様に対しての悪口にもなってることわかってるのかな?
聞こえてないといいけど。
「価値観は人それぞれですので」
なるべく角が立たないように優しい口調で言って微笑んでから先生の方へ向かった。
「ちょっと、ルカ?なんで笑ってるの?」
先程のやりとりを聞いていたのかルカはぷるぷると肩を震わせている。
「くくっ、いやー、やっぱり面白いなと思って。あれ、喧嘩売ったわけじゃないんだよな?」
「当たり前じゃん。え、もしかして喧嘩売ってるように聞こえた!?」
「あー、聞く人によっては」
嘘でしょ....。
どうか悪い方に捉えていませんように....。
先生からネックレスを受け取り首にかけた。
目を閉じて深呼吸をしてからルカを見る。
楽しそうにニヤっと笑うのを見てつられて笑った。
「始め」
ほとんど同時に動いた。
俺は空気の弾を立て続けに3つ撃ったが、それがわかっていたのか氷の壁を作るとルカの姿が見えなくなる。
ガガガッと同じような場所に当たり、氷がその部分だけ崩れた。
ルカはすぐに左右に同じような氷の壁を作り左側の壁から氷の槍が飛んできた。
左側に隠れたかと思ったが、魔力を含んだ風は右側に揺らいだ。
右足で床を蹴り、氷の槍を避けながら右側の氷へ一気に距離を詰めた。
ジャンプの時と同じ要領で風魔法を使えばかなり速く走れる。
ジャンプして軽々氷の壁を越えルカの頭上から空気の弾を撃つ。
「なっ!」
氷の壁は間に合わず剣ではじくが掠めたのも含めると数発当たった。
だが距離が近くてスピードが出なかったせいで威力は半減してしまったようだ。
ネックレスは壊れなかった。
まずい。
着地してすぐに後ろへ跳ぶがその分ルカが詰めてくる。
キィンッ
なんとか受け止めたが一撃が重い。
踏ん張ったその一瞬の隙に肩まで凍らされてしまった。
「っく...!」
これで終わってたまるか、とルカの背後に空気の弾を放った。
ガガッ
だが、残念ながら氷の壁で阻まれてしまう。
見抜かれていたようだ。
その直後、自分のネックレスがパキンと壊れた。
「やめ」
勝てないかなとは思ってたけど!
やっぱり悔しい!!
「悔しそうなとこ悪いけど俺も勝った気してないからな」
氷を消し、ムスッとしながら手を差し伸べてくれた。
「え、なんでよ。負けたの俺なんだけど」
ありがたく手は取らせて貰ったがそれは納得いかない。
「最初に食らった攻撃、コレのお陰でなんともなかったけど本来なら怪我してるから最後あんなふうに動けなかっただろうし」
真面目かっ。
これはそういう試合なんだから素直に喜びなさいよっ。
「にしても風魔法って空飛べるのか?」
「飛べないよ。あれはジャンプ補助しただけ」
「意外とできること多いんだな」
「そうなんだよ!楽しいよね!魔法って」
「ははっ、お前らしいな」
その後もいろんな戦いが見れて楽しかったのだが、興奮しすぎたのかなんだか眠くなってきた。
「おいっ、フィル!起きろって!」
ルカの声が耳元で聞こえる。
あれ、俺寝てた....?
「さっきからめっちゃ睨まれてんだよ!」
ルカの肩を借りて寝てしまっていたようだ。
睨まれるって誰に....。
周りを見てみるとネックレスを首にかけているベルトレッド様と目が合った。
あ、もしかして次ベルトレッド様の番?
「そういえば誰が睨んでるって?」
「ベルトレッド様だよっ」
「え?今普通だったけど...」
「馬鹿っ、さっきまでほんと凄かったんだぞ!」
「でもなんでベルトレッド様が睨むんだよ」
「知るかよっ」
えっと、なんかごめん。
めちゃくちゃ慌ててるけどそんなに怖かったんだろうか。
あ、でも怒った声は怖かったな....。
あの時顔は見えなかったけど。
ベルトレッド様の相手は殿下だ。
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