55 / 139
第一章 原作前
第51話 良い派閥と悪い派閥
しおりを挟む
翌朝、向かえに来たリズと共に帰っていく王様たちを見送った。
結局俺が王様にって話は誰に聞いても誤魔化すように別の話が始まって聞けてない。大丈夫だよね?
そんなに簡単な話じゃないし、今は忘れておこう。
見送りのあと、南と西の教会を巡り、ついでに孤児院も見てまわってきた。少し時間がかかったけど、お昼前に城に帰ってこれた。帰ってはきたんだけど……。
「……南は呪い無かったな」
「ありませんでしたわね。教会が運営していた二つの孤児院もありませんでしたわ」
「石像がアザゼルじゃなったもんな」
「ラファエル様とおっしゃってましたわね」
ラファエルも知ってる。完全に天使の名前だ。どういうことか聞いてみると――
『それはそれは、よく気づかれましたね。教国という一つの国ですが、大きくはアザゼル派とラファエル派に別れているのですよ。教えはそう変わらないのですがね』
――と、言うことだ。アザゼル派の方が教会の数も信者も多く一位の派閥。ラファエル派は第二位の派閥で、後は細かな派閥がいくつもあるとのこと。
それでよく教国をまとめられるもんだと不思議に思ったが、日本の政党みたいなもんだと納得しておくことにした。
「うん。ということはさ、アザゼル派の教会と、その運営する孤児院に行けばおそらく大丈夫かな?」
「そう、ですわね。一応何ヵ所かはラファエル派と他の派閥の教会も見てまわり、問題なければもうアザゼル派だけでいいと思いますわ」
『ところでドライにリズ、私はその教会巡りについていった方がいいの? それとも待っていた方がいい?』
「あっ、切り株! イス様をつれまわしていましたけど……切り株を食べていたいですわよね」
「そう、だな。イスがいると色々と助かる気がするんだけど……」
『別に切り株は逃げ隠れしないからいいわよ。あなたたちと行動すると飽きないし』
「いいの? なら一緒に行こうよ。リズもそう思うだろ?」
「ええ。これまで通りご一緒したいですわ」
『そう? なら従魔登録はしておいた方がいいかもしれないわね。今の冒険者ギルドでその登録が必要かどうかは知らないけどね』
「リズ、従魔登録とかあるのかな?」
「わかりませんわ。聞いてみるしかありませんわね」
「お帰りなさいませドライ様。ようこそおいでくださいましたエリザベス様。従魔登録はございますよ」
門番さんが話を聞いていたのか、従魔登録があると教えてくれた。それなら早めにしておいた方がいいよな。
「ありがとう。なら、帰ってきたところだけど、冒険者ギルドに行こうか」
「ですわね。そうすればずっと一緒にいられますもの」
ぎゅっとイスを抱きしめる。知ってるもの以外には、リズが自分を抱きしめてるようにしか見えないんだろうけどね。
「お役に立てて何よりです。ですがお客様がお待ちだと連絡が来ておりますので今からまたお出掛けになるのは……」
「あっ、そっか、戻ってくるんだったよ」
「待たせてはいけませんわね。どうせなら三人で行きましょう」
「だな。門番さんありがとう」
「いえいえ。城に入れば案内が待っているはずですので」
リズに手を引かれ門を離れ、ふと思う。王女が来て待ってるとは言わないんだな。所在を知られるとなにが起こるかわからないし。
ファラの兄弟姉が不穏な動きをしている感じだったから、気を付けるに越したことはない。
言われた通り城に入るとメイドさんが出迎えてくれて、そのまま案内されて来賓用の部屋に入ると、冒険者の格好をしたファラとカイラさんが待っていた。
「お帰り。クリークの街の浄化は順調に終わったみたいね」
「ただいま。まあ……順調かな。少し確認しなきゃ駄目なことはできたけど」
「ただいま戻りましたわ。クリークの街には教会が二種類ありましたの」
「二種類? ああ、アザゼル派とラファエル派のことね」
「うん。アザゼル派の教会と孤児院には呪いの石像があって、ラファエル派にはただの石像しか無かったんだよ」
「ならアザゼル派の教会だけこのリストから抜き出して回ればいいわね。カイラ、お願いできる?」
「かしこまりました。少しお時間をいただきますが、孤児院の方はありませんので、そちらも作ってきましょう」
そういって出ていくカイラさん。普通に歩いて出ていった。ミラさんみたいに消えてすぐに現れることはない、普通のメイドのようだ。
「それじゃあさ、待ち時間で冒険者ギルドに行かない?」
「わたくしもカイラも登録だけはしてあるよ?」
「ちょっと従魔登録しようと思ってね。紹介するけど驚かないでね。イス」
リズの首もとからにゅるんと出てきてなぜか俺の頭の上に乗るイス。
「まあ! スライム! ドライ、あなたテイマーのスキルも持っているの!?」
「ううん、テイマーは持ってないけど、ちょっとしたことで仲良くなってね」
「イス様はかの勇者様の従魔でもあったインフィニティスライムのイス様ですの」
「え? あの勇者物語の?」
『そうよ。ユートの従魔だったわ』
「……わたくし、とんでもない方の婚約者になったのね。ふふ、イス様、ドライの第二婦人予定で婚約者のファラフェル・フォン・グリフィンと申します。ファラとお呼びください」
『知ってるわよファラ。あの切り株広場に私もいたんだから。これからよろしくね』
「……あれ? これって念話?」
「うん。念話だね。ファラのステータスにも念話がついたから今覚えたみたいだな」
「…………はぁ。こんな貴重なスキルが私に」
超越者の仕業だけどね。
「これで内緒話もできるし、凄く便利だよな」
「ですわね。それではイス様の従魔登録に行きましょう」
「それはカイラが帰ってきてからにしない? 今回の教会巡りはカイラが私付きのメイドと護衛になるから四人じゃないと、ね」
それもそうか。よく考えたら王女が護衛も無しでふらふらと出歩くのっておかしいもんな。
というか俺たちも一応貴族の子供だから護衛がついてもおかしくない身分……。
この教会の騒動が終わったら、修行の再開しなきゃな。街を歩くくらいなら護衛が必要ないくらいに。
早めの昼食を食べ、帰ってきたカイラさんと冒険者ギルドについたのは、ギルドの食堂が冒険者たちでいっぱいになる時間だった。
「従魔の登録をしたいのですが」
「はい。見当たりませんが……魔物はつれてきていますか?」
「はい。イス」
みにょ~んとリズの胸元からまた俺の頭の上に移動してきたイス。
「あら、スライムですね。では登録する方のギルドカードを――」
「ギャハハハ! コイツ、スライムなんか従魔にしてっぞ!」
あ……テンプ――
結局俺が王様にって話は誰に聞いても誤魔化すように別の話が始まって聞けてない。大丈夫だよね?
そんなに簡単な話じゃないし、今は忘れておこう。
見送りのあと、南と西の教会を巡り、ついでに孤児院も見てまわってきた。少し時間がかかったけど、お昼前に城に帰ってこれた。帰ってはきたんだけど……。
「……南は呪い無かったな」
「ありませんでしたわね。教会が運営していた二つの孤児院もありませんでしたわ」
「石像がアザゼルじゃなったもんな」
「ラファエル様とおっしゃってましたわね」
ラファエルも知ってる。完全に天使の名前だ。どういうことか聞いてみると――
『それはそれは、よく気づかれましたね。教国という一つの国ですが、大きくはアザゼル派とラファエル派に別れているのですよ。教えはそう変わらないのですがね』
――と、言うことだ。アザゼル派の方が教会の数も信者も多く一位の派閥。ラファエル派は第二位の派閥で、後は細かな派閥がいくつもあるとのこと。
それでよく教国をまとめられるもんだと不思議に思ったが、日本の政党みたいなもんだと納得しておくことにした。
「うん。ということはさ、アザゼル派の教会と、その運営する孤児院に行けばおそらく大丈夫かな?」
「そう、ですわね。一応何ヵ所かはラファエル派と他の派閥の教会も見てまわり、問題なければもうアザゼル派だけでいいと思いますわ」
『ところでドライにリズ、私はその教会巡りについていった方がいいの? それとも待っていた方がいい?』
「あっ、切り株! イス様をつれまわしていましたけど……切り株を食べていたいですわよね」
「そう、だな。イスがいると色々と助かる気がするんだけど……」
『別に切り株は逃げ隠れしないからいいわよ。あなたたちと行動すると飽きないし』
「いいの? なら一緒に行こうよ。リズもそう思うだろ?」
「ええ。これまで通りご一緒したいですわ」
『そう? なら従魔登録はしておいた方がいいかもしれないわね。今の冒険者ギルドでその登録が必要かどうかは知らないけどね』
「リズ、従魔登録とかあるのかな?」
「わかりませんわ。聞いてみるしかありませんわね」
「お帰りなさいませドライ様。ようこそおいでくださいましたエリザベス様。従魔登録はございますよ」
門番さんが話を聞いていたのか、従魔登録があると教えてくれた。それなら早めにしておいた方がいいよな。
「ありがとう。なら、帰ってきたところだけど、冒険者ギルドに行こうか」
「ですわね。そうすればずっと一緒にいられますもの」
ぎゅっとイスを抱きしめる。知ってるもの以外には、リズが自分を抱きしめてるようにしか見えないんだろうけどね。
「お役に立てて何よりです。ですがお客様がお待ちだと連絡が来ておりますので今からまたお出掛けになるのは……」
「あっ、そっか、戻ってくるんだったよ」
「待たせてはいけませんわね。どうせなら三人で行きましょう」
「だな。門番さんありがとう」
「いえいえ。城に入れば案内が待っているはずですので」
リズに手を引かれ門を離れ、ふと思う。王女が来て待ってるとは言わないんだな。所在を知られるとなにが起こるかわからないし。
ファラの兄弟姉が不穏な動きをしている感じだったから、気を付けるに越したことはない。
言われた通り城に入るとメイドさんが出迎えてくれて、そのまま案内されて来賓用の部屋に入ると、冒険者の格好をしたファラとカイラさんが待っていた。
「お帰り。クリークの街の浄化は順調に終わったみたいね」
「ただいま。まあ……順調かな。少し確認しなきゃ駄目なことはできたけど」
「ただいま戻りましたわ。クリークの街には教会が二種類ありましたの」
「二種類? ああ、アザゼル派とラファエル派のことね」
「うん。アザゼル派の教会と孤児院には呪いの石像があって、ラファエル派にはただの石像しか無かったんだよ」
「ならアザゼル派の教会だけこのリストから抜き出して回ればいいわね。カイラ、お願いできる?」
「かしこまりました。少しお時間をいただきますが、孤児院の方はありませんので、そちらも作ってきましょう」
そういって出ていくカイラさん。普通に歩いて出ていった。ミラさんみたいに消えてすぐに現れることはない、普通のメイドのようだ。
「それじゃあさ、待ち時間で冒険者ギルドに行かない?」
「わたくしもカイラも登録だけはしてあるよ?」
「ちょっと従魔登録しようと思ってね。紹介するけど驚かないでね。イス」
リズの首もとからにゅるんと出てきてなぜか俺の頭の上に乗るイス。
「まあ! スライム! ドライ、あなたテイマーのスキルも持っているの!?」
「ううん、テイマーは持ってないけど、ちょっとしたことで仲良くなってね」
「イス様はかの勇者様の従魔でもあったインフィニティスライムのイス様ですの」
「え? あの勇者物語の?」
『そうよ。ユートの従魔だったわ』
「……わたくし、とんでもない方の婚約者になったのね。ふふ、イス様、ドライの第二婦人予定で婚約者のファラフェル・フォン・グリフィンと申します。ファラとお呼びください」
『知ってるわよファラ。あの切り株広場に私もいたんだから。これからよろしくね』
「……あれ? これって念話?」
「うん。念話だね。ファラのステータスにも念話がついたから今覚えたみたいだな」
「…………はぁ。こんな貴重なスキルが私に」
超越者の仕業だけどね。
「これで内緒話もできるし、凄く便利だよな」
「ですわね。それではイス様の従魔登録に行きましょう」
「それはカイラが帰ってきてからにしない? 今回の教会巡りはカイラが私付きのメイドと護衛になるから四人じゃないと、ね」
それもそうか。よく考えたら王女が護衛も無しでふらふらと出歩くのっておかしいもんな。
というか俺たちも一応貴族の子供だから護衛がついてもおかしくない身分……。
この教会の騒動が終わったら、修行の再開しなきゃな。街を歩くくらいなら護衛が必要ないくらいに。
早めの昼食を食べ、帰ってきたカイラさんと冒険者ギルドについたのは、ギルドの食堂が冒険者たちでいっぱいになる時間だった。
「従魔の登録をしたいのですが」
「はい。見当たりませんが……魔物はつれてきていますか?」
「はい。イス」
みにょ~んとリズの胸元からまた俺の頭の上に移動してきたイス。
「あら、スライムですね。では登録する方のギルドカードを――」
「ギャハハハ! コイツ、スライムなんか従魔にしてっぞ!」
あ……テンプ――
129
あなたにおすすめの小説
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
追放されたけど実は世界最強でした ~元下僕の俺、気ままに旅していたら神々に愛されてた件~
fuwamofu
ファンタジー
「お前なんか要らない」と勇者パーティから追放された青年リオ。
しかし彼は知らなかった。自分が古代最強の血筋であり、封印級スキル「創世の権能」を無意識に使いこなしていたことを。
気ままな旅の途中で救ったのは、王女、竜族、聖女、そして神。彼女たちは次々とリオに惹かれていく。
裏切った勇者たちは没落し、リオの存在はやがて全大陸を巻き込む伝説となる――。
無自覚にチートでハーレムな最強冒険譚、ここに開幕!
【村スキル】で始まる異世界ファンタジー 目指せスローライフ!
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前は村田 歩(ムラタアユム)
目を覚ますとそこは石畳の町だった
異世界の中世ヨーロッパの街並み
僕はすぐにステータスを確認できるか声を上げた
案の定この世界はステータスのある世界
村スキルというもの以外は平凡なステータス
終わったと思ったら村スキルがスタートする
明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。
彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。
最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。
一種の童話感覚で物語は語られます。
童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです
【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら
七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中!
※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります!
気付いたら異世界に転生していた主人公。
赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。
「ポーションが不味すぎる」
必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」
と考え、試行錯誤をしていく…
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる