【死に役転生】悪役貴族の冤罪処刑エンドは嫌なので、ストーリーが始まる前に鍛えまくったら、やりすぎたようです。

いな@

文字の大きさ
54 / 139
第一章 原作前

第50話 俺の味方は?

しおりを挟む
「ミラさん、この鍋の蓋はありますか?」

「……こちらに」

 一瞬目の前から消えたよね! ストレージから出した風に見せておいてどこから持ってきたよね!

 ……ま、まあ、いいか。これで試作品を作れるし。

「ありがとうございます。では、これから大量生産するための試作品をこの場で作ってみたいと思います」

「何? 大量生産ができるのか?」

「はい。王様、確かに俺とリズが休まず作れば相当な本数は作れると思います」

「そうだな。だがそんなことをすれば二人が持たんだろうことはわかっていることだな」

「はい。なのでこうします」

 まずは鍋にさっき見た錬金術の魔法陣を書いていく。

「なんと! ドライは魔法陣も使えるのか!」

 いつの間にかみんなが立ち上がり、台車のまわりで俺の手元を見てくる。

「はい。鍋はこれで完成かな。次は蓋に浄化の魔法陣を書いちゃいます」

「聖魔法の魔法陣だと!」

「はい。これで……完成ですね。実際にやってみましょう」

 鍋に新しく水を入れ、ミラさんがいつの間にか持っていた薬草を受け取り、鍋に入れた。

「これで鍋の魔法陣に魔力さえ通せれば低級ポーションが作れて、蓋をして浄化の魔法陣に魔力通せば……えっと、誰かやってみますか?」

「ならば私がやろう」

 鍋に手を伸ばしたのは王様だ。ちょんと鍋に書いた魔法陣に触れて魔力を通してくれる。

 すると、薬草が水に溶け始め、あっという間に低級ポーションになった。

「これは素晴らしい……この私が低級ポーションを錬金できるとは。ならばこの蓋をして、魔力を通せば浄化ポーションができると言うのだな?」

「はい」

「よし! 蓋をして――ふん!」

 なにやら気合いを入れて魔力を通す王様。そこまで気張らなくても大丈夫なんですけどね。

 鑑定すると、しっかり低級ポーションから浄化ポーションに変わっていた。

「おお! この色はまさに浄化ポーションだ! 素晴らしい! ドライよ、お主が我が国のものであるならすぐにでも叙爵できるほどの功績だぞ」

「ドライ、本当に素晴らしいわ。さすがわたくしの婚約者ね」

 王様とファラが褒めてくれる。父さんと兄さんたちはうんうんとうなずいている。

「だけど……これは今回の熱病が終わるまでの期間限定にしなきゃ駄目ですよね」

「なぜそんなことを言うのだ? このような素晴らしい発明は大々的に広めねばもったいないだろう」

「そう、なのかもしれないですけど、これが広まると、錬金術師の仕事を奪っちゃうことになります。だから、熱病の流行を止めたあとは使用できる人を錬金術師だけに限定とかしなきゃ駄目だと思います」

 あれ? なにか変なこと言ったかな? みんな止まっちゃったぞ?

「えっと、どうしたの、ですか?」

「ふむ。クリーク辺境伯よ、こちらにファラフェルを嫁に出すのは止めて、グリフィン王家へ婿入りにせぬか?」

「それは……もしや」

 え? 婿入り? どういうこと?

「うむ。仕事が無くなる錬金術師のことを考えられるのなら、さぞ民のことも考えられるだろう。ならば将来的に私の後を継がせても良いかもしれん」

「お父様、それはいい考えね。わたくしの回復魔法の習得を邪魔するようなものたちより数万倍いいわ。ドライ、どう? 王様になっちゃう?」

「いやいやいやいや! なんでそうなるの! 王様とか無理ですから!」

「ふむ。ドライが王であるか。これは私たちも負けてられませんな兄上」

「そうだねツヴァイ。ドライ王に恥をかかせられないから、もっとクリーク辺境伯領を良い領地にしなきゃだね」

「いやいやいやいや、兄さんたちまでなに言ってるの!」

「ならばアイン、引き継ぎの教育を早めなければならんな。これまでの遅れを取り戻さねばならんし、ツヴァイもしっかりと兄を支えるのだぞ」

「父さんまで乗り気! ねえ王様、ファラも冗談ですよね?」

「いや、かなり本気だぞ? なあファラフェル」

「ですねお父様。グリフィン王国の未来はドライに任せれば安泰ね」

「俺の味方はいなかった!」





 その後も、俺の話は誰も聞いてくれず、この場にいた全員が浄化ポーションを作り始めた。

 後をつけてた人も、扉の前で護衛していた騎士たちもだ。

「これなら大量生産もできるな。クリーク辺境伯よ、この生産には我が国も協力しよう」

「ええ。おそらく全ての国で、必要になると思われますので、助かります」

「うむ。それにファラフェルの母方の帝国にも、他の国にも協力は……無理があるか。熱病の後も利権を手放さない国も出て来るだろうからな。供給だけとしよう。あとは黒幕だろう教国は……どうするべきか」

「そうですな……教国の民のことを考えるなら、浄化ポーションの供給はした方が良いかと」

「だ、な。残りの問題は呪いの石像だが……困ったのう」

「そうですね……」

 そう言って父さんと王様が俺を見てくる。

「よし。ファラフェルよ、ドライと共に教会を巡るのだ。今日乗ってきた飛龍も使って良いぞ」

 飛龍? ドラゴンみたいなものかな? それを貸してくれるってことか。

 そういえば帰ったばかりのファラが王様をつれて来てるってことをなぜ不思議に思わなかったんだよ。

 今日の乗り合い馬車でもあんなに時間がかかるのに、気付けよ俺。

「よろしいのですか? あれがないとお父様の好きな公務サボりができませんよ?」

「それは……我慢する」

 サボり用なのかよ! それで我慢するのかよ!

 でも飛龍ってのに乗れるのは楽しそうだ。教会の石像浄化はしたいと思っていたし、って教会ってどれだけあるんだ?

 クリークの街だけでも五つあるんだぞ? 百や二百……いや、千はあるんじゃないだろうか。二人じゃ無理だよな……。

 というかさ……俺が王様って話は無し……だよね?
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~

華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』 たったこの一言から、すべてが始まった。 ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。 そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。 それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。 ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。 スキルとは祝福か、呪いか…… ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!! 主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。 ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。 ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。 しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。 一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。 途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。 その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。 そして、世界存亡の危機。 全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した…… ※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。

50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく

かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。 ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!? 俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。 第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。 「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」 信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。 賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。 様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する! 異世界ざわつき転生譚、ここに開幕! ※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。 ※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。

現代知識と木魔法で辺境貴族が成り上がる! ~もふもふ相棒と最強開拓スローライフ~

はぶさん
ファンタジー
木造建築の設計士だった主人公は、不慮の事故で異世界のド貧乏男爵家の次男アークに転生する。「自然と共生する持続可能な生活圏を自らの手で築きたい」という前世の夢を胸に、彼は規格外の「木魔法」と現代知識を駆使して、貧しい村の開拓を始める。 病に倒れた最愛の母を救うため、彼は建築・農業の知識で生活環境を改善し、やがて森で出会ったもふもふの相棒ウルと共に、村を、そして辺境を豊かにしていく。 これは、温かい家族と仲間に支えられ、無自覚なチート能力で無理解な世界を見返していく、一人の青年の最強開拓物語である。 別作品も掲載してます!よかったら応援してください。 おっさん転生、相棒はもふもふ白熊。100均キャンプでスローライフはじめました。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。

たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。 しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。 そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。 ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。 というか、甘やかされてません? これって、どういうことでしょう? ※後日談は激甘です。  激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。 ※小説家になろう様にも公開させて頂いております。  ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。  タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス

於田縫紀
ファンタジー
 雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。  場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

処理中です...