【死に役転生】悪役貴族の冤罪処刑エンドは嫌なので、ストーリーが始まる前に鍛えまくったら、やりすぎたようです。

いな@

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第二章 原作開始

第78話 できれば会いたくなかった

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 枢機卿を待たせる予定で、王様たち大人組は何やら作戦会議をするそうだ。

 俺たちはその間何をしようかと、中庭にやってきたんだけど……。

「なぜキサマが王城にいるのだ!」

 俺を指差すヒエン王子。完全に忘れていたけど王城だし、いて当然か。できれば会いたくなかったけど……。

 ……そういえばアーシュと一緒に帰ったはずなのにあの場にいなかったよな。なんでだ?

 まあ、あの現場にいたらいたで面倒なことになっていただろうけど……。

「おいヒエン。ドライたちは俺の友達だ。だから王城にいても良いのだ」

「アンジェラの友達だと? ……ふむ。ファラフェル王女とイルミンスール嬢が友達なのは認めよう」

 いや、王子に認めてもらうようなことじゃないだろ。

「それに、アンジェラの従者に、そちらはファラフェル王女の従者、ならば王城にいても納得はできるが……」

 いや、ちょっと前に王女と判明したから従者じゃなくなったんだけどね。カイラさんはその通りだけどさ。

 あ、そうか、あの場にいなかったからキャルが王女だと知らなくても当然か。

「ドライが友達? やめておけ、そのものは極悪人と呼ばれる大罪人。友にするなら勇者のアーシュにしておけ」

「ドライは極悪人でも大罪人でも無いですわ! 王子と言えどドライを侮辱するなら許しませんわよ!」

 リズが暴走しないようにしっかりと手をつないでおく。さすがに王子を攻撃したらマズイ。

 フーフーと鼻息まで荒くなってるし、なだめないとヤバい。

 つないだ手を引き寄せて胸に抱き込んでおく。なんだかんだでこれがリズを止めるのに二番目に効果があるよな。

 横を見ると、リズの凶行を知るファラとカイラさんが胸を撫で下ろしている。『ふぅ』と安堵の吐息も出してるし、ファラは『あら、そこはちゅーじゃないの?』と、一番効果のあるリズの暴走阻止方を耳元でささやく。

 いや、まあ確かにそうなんだけど、ここじゃ、ね。

「俺もリズの意見に同意だ。それにアーシュ? それこそ友にするべきではない筆頭だぞ? 大丈夫かヒエン。自身の名をおとしめたいのなら無理には止めないが」

「そうね。教会認定勇者のアーシュは罪を犯して捕まってるし。それからドライが極悪人? 貴方馬鹿でしょ」

「ば、馬鹿とはなんだ! わ、私は真実を言っただけだろう! それにアーシュが捕まっている? そんなはずはない!」

「いや、本当ですよ。街中で魔法を撃ちまくり、剣を振り回していたんだから当然ですよね?」

 リズが胸に顔を埋めて『ふぁ~』とか言ってるのは置いておいて、王子に街中で起こったことをおしえてあげた。

「そ、んな、馬鹿、な。アーシュが、勇者が、そのような暴挙を……」

「本当のことですよ。現にここの地下牢に捕まってますから」

「地下牢に? だ、だがアーシュは魔王を倒せる唯一の勇者。それを捕まえたなどと教会が知れば黙って無いぞ」

「でしょうね。でも、罪は罪。罰は受けなきゃ駄目ですよね? それも……危害を受けた者はローゼン伯爵令嬢をはじめ、ここにいるカイラさん以外全員です」

「そ、ん、な……高位の貴族令嬢と王女に危害を……」

「それと、俺を極悪人と言いますけど、王子殿下は入学式で王様の話を聞いたと思いますが、なぜそれが真実だと思わないのですか?」

「え? いや、噂が……」

「確かに勇者が言ってたような噂話はありますけど、王様の言葉と噂、どちらが正しいか少し考えたり、調べれば正解がわかると思いますよ」

 ここまで言ってわからなかったら、もう仕方ないよね。

「ヒエン。お前は人の話をちゃんと聞け。聞いてそれが本当のことか、嘘なのかを自分の好みで選ぶからおかしなことになるんだ」

 うん。アンジーの言ったことは俺も思ってた。自分の好みというより、自分に都合がいい方だけを選んでるんだと思う。

 そうじゃなきゃ、王様からも昔聞かされ、覚えていたことよりアーシュの言ったことを信じるはずがないもんな。

 おおかた好みの黒髪のファラと、イスで巨乳なリズと俺が一緒にいることが気に入らなかったから、アーシュが言った噂話を信じてしまったとしか考えられない。

「だ、だがアーシュを捕まえておくことは駄目だ。魔王の復活も近いと聞いた。ならば罪を犯したとしても、解放しなければ駄目なんだ」

「どうしても解放すると言うならミレニアム女王陛下の提案通り、奴隷の魔道具を付ければ良いんじゃないの?」

 ファラの言うとおり、それしかないだろうな。

「なっ! ど、奴隷の魔道具だと! そんなものをつければスキルすら使えないではないか!」

「仕方がないじゃない。それだけのことをしたんだから、処刑されるよりマシなんじゃないの?」

 うん。街中で攻撃魔法を人に向けて使っただけでもギロチンになるだろうからな。

 というか、奴隷の魔道具でスキルまで封じられるのか……。それは怖いな。ってか怖すぎる。

 普段から気にかけるか、解除できるものなのか調べておいた方がいいな。

 もし俺が奴隷の魔道具を嵌められたら超越者も役にたたなくなるはずだし。

 となると、スキルを封じられた勇者に魔王は倒せるのだろうか。

「いや、それは、そうなんだが、それでは魔王を倒せないではないか……そうだ父上に」

 ……そうだ、魔王を倒すときだけ解除とかできないかも調べておこう。

「なんだヒエン。オヤジに用事か? オヤジなら執務室だぞ」

「本当か、アンジェラ。父上は執務室いるんだな」

「ああ、ってもう行っちゃったよ」

 走り去るヒエン。今執務室には悪巧みしてる王様たちがいるんだよな。勇者に対して怒ってる。

「くくくっ。ヒエンのヤツ、絶対怒られるだろうな」

「いい気味ね。どうする? その場面を見に行っちゃう?」

「お、それいいな。みんな、ヒエンの怒られるところを見に行くぞ」

 ゆっくり歩いて執務室に戻ると、床に正座させられ怒られているヒエン王子を見ることができた。
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