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二人の仕事
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「それではこれからおはなし会を始めます。みんな、カーペットエリアに集まってくださいね」
菜乃花が声をかけると、親子連れが次々と集まって来た。
皆きちんと靴を脱ぎ、カーペットの真ん中にいる菜乃花の近くに座る。
「みなさん、こんにちは!」
「こんにちはー!」
元気良く手を挙げて応えてくれる子や、ママの膝に座ってパチパチと手を叩く小さな子、既に慣れた様子で菜乃花の目の前にちょこんと座る子など、色々な子どもがいる。
「もうすぐみんなの楽しみにしている日がやってくるね。プレゼントが届く日だよ。何の日かな?」
「クリスマスー!」
「そうです、クリスマスです。今日はそんなクリスマスのお話です。それでは、はじまりはじまり…」
菜乃花は正座した膝の上に絵本を載せて、ゆっくりとめくりながら読み聞かせを始めた。
ここは市内で一番大きな中央図書館。
図書館司書として働く菜乃花は、主に子ども向けのコーナーやイベントを任されていた。
毎週水曜日の午前10時から未就園児向けのおはなし会を開催したり、土日は小学生向けにオススメの本を紹介したりと、子ども達が図書館に通ってくれるよう、色々な企画を考える。
壁には、可愛いイラスト入りで本のあらすじやポイントを添えた紹介ポスターも貼っていた。
親子で楽しくたくさんの本に触れて欲しい。
その想いで菜乃花は日々図書館の魅力を伝えようと、アイデアを練っていた。
「…プレゼントを手にした子ども達はみんな笑顔。サンタさんが届けたのは、みんなが笑顔になる魔法のプレゼント。それはきっと、君のところにも届くはず。ほら、耳をすませてみて。トナカイの鈴の音が聞こえてきたよ。シャンシャンシャンシャン…。おしまい。どう?今日の絵本は楽しかったかな?」
「うん!たのしかったー」
「おうちに帰ってからも、ママとたくさんお話してね。じゃあ次はお待ちかね、シールの時間だよ」
やったー!と子ども達が手に小さなカードを持って、菜乃花に駆け寄る。
「ゆっくり歩いて来てね。順番ね」
菜乃花は子ども達に声をかけながら、たくさんのシールをカーペットに並べた。
子ども達は思い思いに好きなシールを選んで、手に持っていたカードに一枚貼る。
そのカードは『おはなし会カード』と書かれた、菜乃花が作って配ったものだった。
おはなし会に参加する度にシールを一枚貼ってもらう。
子ども達のちょっとしたお楽しみだった。
「じゃあみんな、来週も待ってるね」
「はーい!なのかおねえさん、さようなら」
「さようなら。気をつけて帰ってね」
◇
「菜乃花ちゃん、お疲れ様」
おはなし会を終えて子ども達を見送り、カウンターに戻ると、主婦のパートスタッフに声をかけられた。
「お疲れ様です。谷川さん、私、裏で目録の作成してますね。カウンターの人手が足りなくなったら声かけてください」
「はーい、ありがとう」
菜乃花は笑顔で頷くと、バックヤードに入ってパソコンの前に座る。
新しく入ってきた本を片手に、カタカタと本の情報を打ち込んでいると、先程の谷川がひょっこり顔を覗かせた。
「菜乃花ちゃん、ちょっといい?本のお問い合わせなんだけど、私、思い当たらなくて」
「はい、今行きます」
作業を中断してカウンターに行くと、顔馴染みのおじいさんが谷川と話していた。
「加納さん、こんにちは」
「おお、菜乃花ちゃん。悪いね、本が見つからなくて」
「いいえ。どんな本をお探しですか?」
「それがね、もうすぐ冬休みで遊びに来る孫が読みたがってる本なんだけど、名前が難しくて…。なんとかのかばんの国、とかなんとか」
ん?と菜乃花は首をひねる。
「かばんの国、ですか?」
「うん。確かそんな感じだった」
隣にいる谷川も、困ったように眉根を寄せている。
「検索かけたけどヒットしなくて。菜乃花ちゃん、子ども向けの絵本に思い当たるものある?」
「うーん、そうですね…。加納さん、お孫さんは今おいくつですか?」
「小学5年生なんだ」
「5年生…」
それなら、絵本ではないのかもしれない。
「お孫さんが、その本が読みたいってお話してくれたんですよね?」
「そうなんだ。なんでも人気の本らしくてね。友達の間でも話題になってるから、読んでみたいって」
「なるほど…」
菜乃花は視線を外してしばし考え込む。
(小学生に人気の本なら、間違いなくここにもあるはず)
いくつかの本のタイトルを思い浮かべているうちに、ハッと閃いた。
「加納さん。ひょっとして『ピーターとオズカバンヌの王国』じゃないかしら?」
「あ!それだ、それ!」
前のめりに頷くおじいさんの横で、谷川が、ええー?!と仰け反る。
「ぜ、全然違うじゃない…」
呆然と呟く谷川に苦笑いしてから、菜乃花はカウンターを出ておじいさんを本のある場所まで案内する。
「加納さん、これがその本です」
手渡すと、おじいさんはうんうんと頷く。
「間違いなくこれだよ。表紙の絵に男の子と時計塔が描かれてるって言ってたから」
「良かったです!ちなみにこの本、シリーズになっていて、これは3作目なの。1作目から5作目まで揃ってるから、お好きなだけ借りてくださいね」
「ありがとう、菜乃花ちゃん。じゃあちょっと選んでみるよ」
「はい、ごゆっくり」
菜乃花は微笑むと、カウンターへと戻る。
「菜乃花ちゃん、よく分かったわねー。かばんの国よ?どうやったらあの本と結びつくのよ」
谷川に詰め寄られ、ははは、と笑ってやり過ごした時だった。
後ろでドサッと物音がして、菜乃花は振り返る。
本棚が左右に並ぶ通路に、今しがた案内したばかりのおじいさんが倒れているのが見えた。
「加納さん!」
菜乃花は慌てて駆け寄る。
「加納さん、加納さん?聞こえますか?」
床に横たわるおじいさんを仰向けにして、肩を叩きながら耳元で声をかけたが、反応はない。
「鈴原さん、どうした?!」
館長が谷川と一緒にバタバタとやって来た。
「館長、救急車を呼んでください。谷川さんはAEDとハサミを持ってきてもらえますか?」
「あ、ああ。分かった」
「今持ってくるわね」
二人は、またバタバタと立ち去って行く。
菜乃花は左手の腕時計に目を落としてから、注意深くおじいさんの胸とお腹の動きを見る。
(…10秒。全く動きはない)
菜乃花は意を決すると、おじいさんの胸の真ん中にある胸骨の下半分に、組んだ両手の付け根を重ねた。
両肘を真っ直ぐ伸ばし、真上から垂直に胸を5cm程沈み込ませるように一定の速さで圧迫する。
(1,2,3,4…)
無我夢中で胸骨圧迫を繰り返していると、谷川がAEDとハサミを持って戻って来た。
「菜乃花ちゃん、これ」
「ありがとうございます。谷川さん、加納さんのシャツをハサミで切って前を開いてください」
菜乃花は胸骨圧迫の手を休めずに指示を出す。
谷川は、菜乃花の手の動きを邪魔しないようにハサミを入れ、シャツの前を開いた。
「鈴原さん、救急車こっちに向かってるから」
「ありがとうございます。館長、代わってもらえますか?」
「え、あ、ああ」
戻って来た館長に、菜乃花は有無を言わさず交代してもらう。
館長も応急手当講習会は受講しており、やり方は分かっているはずだった。
素早く交代して館長が胸骨圧迫を始めると、菜乃花はAEDのふたを開けた。
音声案内に従って電極パッドの袋を開封し、おじいさんの素肌の右胸と左わき腹にしっかりと貼る。
「身体から離れてください」の音声メッセージが流れ、館長も菜乃花もおじいさんから一旦離れた。
心電図の解析をしたAEDから「ショックが必要です」と音声メッセージが流れ、「ショックボタンを押してください」という指示を聞いた菜乃花はボタンを押した。
そしてまた胸骨圧迫を再開する。
「鈴原さん、大丈夫?代わろうか?」
「では、次の電気ショックの後は館長にお願いします」
「分かった」
館長と言葉を交わしていると、再びAEDが心電図の解析に入るメッセージが流れた。
菜乃花はおじいさんから離れ、案内に従って再びショックボタンを押す。
「館長、お願いします」
「ああ」
館長が胸骨圧迫を始めると、うっ…とかすかにおじいさんがうめいた。
そして館長の圧迫を嫌がるように身じろぎする。
「館長」
菜乃花は声をかけて館長の動きを止める。
おじいさんの手首に触れながら、胸に耳を押し当てて心臓の音を聞く。
「脈、戻ってます」
「そ、そうか!」
その時、谷川に案内されて救急隊員が担架を持って駆け寄って来た。
菜乃花の説明を聞くと、救急隊員はすぐさまおじいさんを担架に乗せて運んで行く。
「館長、私がつき添います」
「ああ、頼んだ」
菜乃花は頷くと、カウンターの裏に置いておいたスマートフォンと財布が入った小さなバッグを持って救急隊員のあとを追いかけた。
「この方のかかりつけの病院は?」
「分かりません」
「では、こちらで搬送先を探してもよろしいですか?」
「はい、お願いします」
救急車に乗り込むと、救急隊員は菜乃花とやり取りしてから電話をかけ始めた。
「受け入れをお願いします。80代の男性で…」
だが、病状を詳しく説明し始めると、救急隊員は顔をしかめた。
「そうですか、分かりました」
そしてまた別の病院にかけ直す。
そこでも同じようにすぐにやり取りを終えた。
(救急車が病院から受け入れを拒否されて立ち往生するって話、本当だったんだ)
菜乃花は、酸素マスクをつけられてぐったりしているおじいさんを見ながら、思わず両手を組んで祈る。
(お願い、誰か助けて!)
すると「あ、よろしいですか?はい!すぐに向かいます!」と救急隊員の覇気のある声がした。
「受け入れ先が見つかりました。これからみなと医療センターに向かいます」
「はい、ありがとうございます!」
菜乃花は思わず涙ぐみながら礼を言う。
「シートベルトをしっかり締めてください。揺れますので」
「分かりました」
救急車は、サイレンを響かせながら走り出した。
「もしもし、館長?鈴原です」
動き出した救急車の中で、救急隊員に断ってから菜乃花は館長に電話をかけた。
「これからみなと医療センターに向かいます。館長、加納さんの登録データを呼び出してもらえますか?フルネームは加納 明夫さん。確か漢字は、明るいに夫だったかと」
「分かった。ちょっと待って」
カタカタとパソコンのキーボードを打つ音を聞きながら、菜乃花はスマートフォンを肩と耳で挟んでエプロンのポケットからメモ帳を取り出す。
(えっと、倒れたのが11時23分で…)
記憶をたぐりながらサラサラとメモにペンを走らせていると、館長の声が聞こえてきた。
「あったよ!加納 明夫さんのデータ」
「電話番号は自宅の固定電話ですか?」
「ああ、そうだ」
「でしたら、奥さんが出られると思います。みなと医療センターに来てくださいと伝えてください」
「分かった。すぐかけるよ」
「それから館長、加納さんの生年月日は?」
「えっと、1941年6月3日だ」
菜乃花がメモに書き留めた時、救急車が止まった。
「館長、ありがとうございました。またかけます」
そう言って電話を切る。
サイレンの音も止み、後ろのドアが外から開けられた。
「つき添いの方、先に降りてください」
「はい」
菜乃花は急いでシートベルトを外して降りる。
そこには、スクラブ姿のドクターやナースが6人程待ち構えていた。
邪魔にならないよう、菜乃花はさっと脇に避ける。
おじいさんを乗せたストレッチャーは、すぐさま救急車から降ろされた。
「つき添いの方はこちらへ。お話を聞かせてください」
「はい」
ナースに呼ばれて近づいた菜乃花は、ひと際背の高いドクターがいるのに気づいて思わず顔を見上げた。
と、次の瞬間。
「…え?」
互いに顔を見合わせたまま動きを止める。
(この人、まさか…)
その時、おじいさんのストレッチャーを運び込んでいたドクターが振り返って声をかけた。
「宮瀬、行くぞ」
「あ、はい」
菜乃花は、やっぱり!と目を見開く。
踵を返してドクター達のもとへと駆け寄る颯真を、菜乃花は、あの!と呼び止めた。
振り返った颯真に、菜乃花は破いたメモを手渡す。
「これを。よろしくお願いします」
頭を下げると、すぐにナースの方へと小走りで去った。
◇
「いちに、さん」
皆で声を揃えておじいさんをベッドに移すと、心電図や心臓超音波検査など、様々な準備が進められる。
「えーっと、状況は?」
せわしなく手を動かしながら颯真の指導医の塚本が聞くと、ナースが「今、外で聞いてます」と答えた。
「加納 明夫さん、82歳。図書館で倒れました。11時23分 CPA。11時24分 CPR開始。11時26分 AED装着。11時33分 救急隊員到着。以上です」
菜乃花から渡されたメモを読み上げてから皆に見せた颯真は、驚いたような視線を向けられる。
「おやおや、ナースの前で倒れたのかい?おじいさん。命拾いしたな」
緊迫した雰囲気の中、塚本の言葉に皆も頷いた。
◇
「菜乃花ちゃん!」
「加納さん」
病院の廊下で待っていた菜乃花に、おばあさんが取り乱した様子で近づき、すがりつく。
「菜乃花ちゃん、おじいさんは?大丈夫なの?」
「今、お医者様に診てもらってます。おばあさん、一人で来たの?」
「そう。タクシーに飛び乗って。でも娘に電話したら、これから向かうって言ってたから、もうじき着くと思うわ」
「そうなのね。それなら良かった」
おばあさんをベンチに座らせると、菜乃花は自動販売機で温かいお茶を買っておばあさんに渡す。
「少しでもいいから、これを飲んで。ね?」
優しく微笑むと、おばあさんは頷いて口をつけた。
「はあ、あったかい」
菜乃花はおばあさんに寄り添って、背中をさする。
おばあさんの様子がようやく落ち着いてきたと思った時、「ご家族の方、中へどうぞ。先生から説明があります」とナースが現れた。
途端におばあさんは緊張で身体をこわばらせる。
「おばあさん、私も一緒に入りましょうか?」
「うん、お願い、菜乃花ちゃん」
おばあさんの身体を支えながら部屋に入ると、パソコンに向き合っていたドクターが振り返った。
「医師の塚本です。加納さんは図書館で倒れたということでしたが、応急手当がとても適切だったから大事には至りませんでしたよ。これから少し治療と入院が必要になりますが、充分回復が見込めます。恐らく後遺症などもあまり残らないでしょう」
「そ、そうですか。ありがとうございます。ありがとう…」
おばあさんは涙で言葉を詰まらせる。
更に詳しく話を聞き、ナースから入院の説明を受けて部屋を出ると、お母さん!と声がして40代半ばくらいの女性が駆け寄って来た。
「ああ、恵美!おじいさんが、おじいさんが倒れたの」
おばあさんは娘に抱きつく。
「落ち着いて、お母さん。先生はなんて?」
「えっとね、心筋梗塞だって。でも応急手当が良かったから、助かったって」
「そうなのね。良かった」
「うん、本当に良かった」
おばあさんは、自分に言い聞かせるように何度も頷く。
「あの、初めまして。中央図書館で図書館司書をしている鈴原と申します」
二人の様子を見ながら菜乃花は女性に声をかけた。
「あ!加納の娘の井田 恵美と言います。この度は父が大変お世話になりました」
「いえ。大したことは何も出来ず…。加納さんの回復を心よりお祈りいたします」
「ありがとうございます」
「それと、事務手続きの為にご家族の方に入院窓口にいらして欲しいと言われていまして…」
「そうですか、分かりました。ここからは母と私がやりますので、鈴原さんはどうぞお戻りください。本当にありがとうございました」
「菜乃花ちゃん、ありがとね」
二人に頭を下げられ、菜乃花は首を振る。
「いいえ。あの、加納さん、今日お孫さんの為に本を借りにいらしたんです。5年生のお孫さんが読みたがっていた本を」
「え?うちの息子の?」
「はい。一生懸命探していらっしゃいました。また借りに来られるのをお待ちしております」
そう言って菜乃花は深々とお辞儀をしてから病院をあとにした。
菜乃花が声をかけると、親子連れが次々と集まって来た。
皆きちんと靴を脱ぎ、カーペットの真ん中にいる菜乃花の近くに座る。
「みなさん、こんにちは!」
「こんにちはー!」
元気良く手を挙げて応えてくれる子や、ママの膝に座ってパチパチと手を叩く小さな子、既に慣れた様子で菜乃花の目の前にちょこんと座る子など、色々な子どもがいる。
「もうすぐみんなの楽しみにしている日がやってくるね。プレゼントが届く日だよ。何の日かな?」
「クリスマスー!」
「そうです、クリスマスです。今日はそんなクリスマスのお話です。それでは、はじまりはじまり…」
菜乃花は正座した膝の上に絵本を載せて、ゆっくりとめくりながら読み聞かせを始めた。
ここは市内で一番大きな中央図書館。
図書館司書として働く菜乃花は、主に子ども向けのコーナーやイベントを任されていた。
毎週水曜日の午前10時から未就園児向けのおはなし会を開催したり、土日は小学生向けにオススメの本を紹介したりと、子ども達が図書館に通ってくれるよう、色々な企画を考える。
壁には、可愛いイラスト入りで本のあらすじやポイントを添えた紹介ポスターも貼っていた。
親子で楽しくたくさんの本に触れて欲しい。
その想いで菜乃花は日々図書館の魅力を伝えようと、アイデアを練っていた。
「…プレゼントを手にした子ども達はみんな笑顔。サンタさんが届けたのは、みんなが笑顔になる魔法のプレゼント。それはきっと、君のところにも届くはず。ほら、耳をすませてみて。トナカイの鈴の音が聞こえてきたよ。シャンシャンシャンシャン…。おしまい。どう?今日の絵本は楽しかったかな?」
「うん!たのしかったー」
「おうちに帰ってからも、ママとたくさんお話してね。じゃあ次はお待ちかね、シールの時間だよ」
やったー!と子ども達が手に小さなカードを持って、菜乃花に駆け寄る。
「ゆっくり歩いて来てね。順番ね」
菜乃花は子ども達に声をかけながら、たくさんのシールをカーペットに並べた。
子ども達は思い思いに好きなシールを選んで、手に持っていたカードに一枚貼る。
そのカードは『おはなし会カード』と書かれた、菜乃花が作って配ったものだった。
おはなし会に参加する度にシールを一枚貼ってもらう。
子ども達のちょっとしたお楽しみだった。
「じゃあみんな、来週も待ってるね」
「はーい!なのかおねえさん、さようなら」
「さようなら。気をつけて帰ってね」
◇
「菜乃花ちゃん、お疲れ様」
おはなし会を終えて子ども達を見送り、カウンターに戻ると、主婦のパートスタッフに声をかけられた。
「お疲れ様です。谷川さん、私、裏で目録の作成してますね。カウンターの人手が足りなくなったら声かけてください」
「はーい、ありがとう」
菜乃花は笑顔で頷くと、バックヤードに入ってパソコンの前に座る。
新しく入ってきた本を片手に、カタカタと本の情報を打ち込んでいると、先程の谷川がひょっこり顔を覗かせた。
「菜乃花ちゃん、ちょっといい?本のお問い合わせなんだけど、私、思い当たらなくて」
「はい、今行きます」
作業を中断してカウンターに行くと、顔馴染みのおじいさんが谷川と話していた。
「加納さん、こんにちは」
「おお、菜乃花ちゃん。悪いね、本が見つからなくて」
「いいえ。どんな本をお探しですか?」
「それがね、もうすぐ冬休みで遊びに来る孫が読みたがってる本なんだけど、名前が難しくて…。なんとかのかばんの国、とかなんとか」
ん?と菜乃花は首をひねる。
「かばんの国、ですか?」
「うん。確かそんな感じだった」
隣にいる谷川も、困ったように眉根を寄せている。
「検索かけたけどヒットしなくて。菜乃花ちゃん、子ども向けの絵本に思い当たるものある?」
「うーん、そうですね…。加納さん、お孫さんは今おいくつですか?」
「小学5年生なんだ」
「5年生…」
それなら、絵本ではないのかもしれない。
「お孫さんが、その本が読みたいってお話してくれたんですよね?」
「そうなんだ。なんでも人気の本らしくてね。友達の間でも話題になってるから、読んでみたいって」
「なるほど…」
菜乃花は視線を外してしばし考え込む。
(小学生に人気の本なら、間違いなくここにもあるはず)
いくつかの本のタイトルを思い浮かべているうちに、ハッと閃いた。
「加納さん。ひょっとして『ピーターとオズカバンヌの王国』じゃないかしら?」
「あ!それだ、それ!」
前のめりに頷くおじいさんの横で、谷川が、ええー?!と仰け反る。
「ぜ、全然違うじゃない…」
呆然と呟く谷川に苦笑いしてから、菜乃花はカウンターを出ておじいさんを本のある場所まで案内する。
「加納さん、これがその本です」
手渡すと、おじいさんはうんうんと頷く。
「間違いなくこれだよ。表紙の絵に男の子と時計塔が描かれてるって言ってたから」
「良かったです!ちなみにこの本、シリーズになっていて、これは3作目なの。1作目から5作目まで揃ってるから、お好きなだけ借りてくださいね」
「ありがとう、菜乃花ちゃん。じゃあちょっと選んでみるよ」
「はい、ごゆっくり」
菜乃花は微笑むと、カウンターへと戻る。
「菜乃花ちゃん、よく分かったわねー。かばんの国よ?どうやったらあの本と結びつくのよ」
谷川に詰め寄られ、ははは、と笑ってやり過ごした時だった。
後ろでドサッと物音がして、菜乃花は振り返る。
本棚が左右に並ぶ通路に、今しがた案内したばかりのおじいさんが倒れているのが見えた。
「加納さん!」
菜乃花は慌てて駆け寄る。
「加納さん、加納さん?聞こえますか?」
床に横たわるおじいさんを仰向けにして、肩を叩きながら耳元で声をかけたが、反応はない。
「鈴原さん、どうした?!」
館長が谷川と一緒にバタバタとやって来た。
「館長、救急車を呼んでください。谷川さんはAEDとハサミを持ってきてもらえますか?」
「あ、ああ。分かった」
「今持ってくるわね」
二人は、またバタバタと立ち去って行く。
菜乃花は左手の腕時計に目を落としてから、注意深くおじいさんの胸とお腹の動きを見る。
(…10秒。全く動きはない)
菜乃花は意を決すると、おじいさんの胸の真ん中にある胸骨の下半分に、組んだ両手の付け根を重ねた。
両肘を真っ直ぐ伸ばし、真上から垂直に胸を5cm程沈み込ませるように一定の速さで圧迫する。
(1,2,3,4…)
無我夢中で胸骨圧迫を繰り返していると、谷川がAEDとハサミを持って戻って来た。
「菜乃花ちゃん、これ」
「ありがとうございます。谷川さん、加納さんのシャツをハサミで切って前を開いてください」
菜乃花は胸骨圧迫の手を休めずに指示を出す。
谷川は、菜乃花の手の動きを邪魔しないようにハサミを入れ、シャツの前を開いた。
「鈴原さん、救急車こっちに向かってるから」
「ありがとうございます。館長、代わってもらえますか?」
「え、あ、ああ」
戻って来た館長に、菜乃花は有無を言わさず交代してもらう。
館長も応急手当講習会は受講しており、やり方は分かっているはずだった。
素早く交代して館長が胸骨圧迫を始めると、菜乃花はAEDのふたを開けた。
音声案内に従って電極パッドの袋を開封し、おじいさんの素肌の右胸と左わき腹にしっかりと貼る。
「身体から離れてください」の音声メッセージが流れ、館長も菜乃花もおじいさんから一旦離れた。
心電図の解析をしたAEDから「ショックが必要です」と音声メッセージが流れ、「ショックボタンを押してください」という指示を聞いた菜乃花はボタンを押した。
そしてまた胸骨圧迫を再開する。
「鈴原さん、大丈夫?代わろうか?」
「では、次の電気ショックの後は館長にお願いします」
「分かった」
館長と言葉を交わしていると、再びAEDが心電図の解析に入るメッセージが流れた。
菜乃花はおじいさんから離れ、案内に従って再びショックボタンを押す。
「館長、お願いします」
「ああ」
館長が胸骨圧迫を始めると、うっ…とかすかにおじいさんがうめいた。
そして館長の圧迫を嫌がるように身じろぎする。
「館長」
菜乃花は声をかけて館長の動きを止める。
おじいさんの手首に触れながら、胸に耳を押し当てて心臓の音を聞く。
「脈、戻ってます」
「そ、そうか!」
その時、谷川に案内されて救急隊員が担架を持って駆け寄って来た。
菜乃花の説明を聞くと、救急隊員はすぐさまおじいさんを担架に乗せて運んで行く。
「館長、私がつき添います」
「ああ、頼んだ」
菜乃花は頷くと、カウンターの裏に置いておいたスマートフォンと財布が入った小さなバッグを持って救急隊員のあとを追いかけた。
「この方のかかりつけの病院は?」
「分かりません」
「では、こちらで搬送先を探してもよろしいですか?」
「はい、お願いします」
救急車に乗り込むと、救急隊員は菜乃花とやり取りしてから電話をかけ始めた。
「受け入れをお願いします。80代の男性で…」
だが、病状を詳しく説明し始めると、救急隊員は顔をしかめた。
「そうですか、分かりました」
そしてまた別の病院にかけ直す。
そこでも同じようにすぐにやり取りを終えた。
(救急車が病院から受け入れを拒否されて立ち往生するって話、本当だったんだ)
菜乃花は、酸素マスクをつけられてぐったりしているおじいさんを見ながら、思わず両手を組んで祈る。
(お願い、誰か助けて!)
すると「あ、よろしいですか?はい!すぐに向かいます!」と救急隊員の覇気のある声がした。
「受け入れ先が見つかりました。これからみなと医療センターに向かいます」
「はい、ありがとうございます!」
菜乃花は思わず涙ぐみながら礼を言う。
「シートベルトをしっかり締めてください。揺れますので」
「分かりました」
救急車は、サイレンを響かせながら走り出した。
「もしもし、館長?鈴原です」
動き出した救急車の中で、救急隊員に断ってから菜乃花は館長に電話をかけた。
「これからみなと医療センターに向かいます。館長、加納さんの登録データを呼び出してもらえますか?フルネームは加納 明夫さん。確か漢字は、明るいに夫だったかと」
「分かった。ちょっと待って」
カタカタとパソコンのキーボードを打つ音を聞きながら、菜乃花はスマートフォンを肩と耳で挟んでエプロンのポケットからメモ帳を取り出す。
(えっと、倒れたのが11時23分で…)
記憶をたぐりながらサラサラとメモにペンを走らせていると、館長の声が聞こえてきた。
「あったよ!加納 明夫さんのデータ」
「電話番号は自宅の固定電話ですか?」
「ああ、そうだ」
「でしたら、奥さんが出られると思います。みなと医療センターに来てくださいと伝えてください」
「分かった。すぐかけるよ」
「それから館長、加納さんの生年月日は?」
「えっと、1941年6月3日だ」
菜乃花がメモに書き留めた時、救急車が止まった。
「館長、ありがとうございました。またかけます」
そう言って電話を切る。
サイレンの音も止み、後ろのドアが外から開けられた。
「つき添いの方、先に降りてください」
「はい」
菜乃花は急いでシートベルトを外して降りる。
そこには、スクラブ姿のドクターやナースが6人程待ち構えていた。
邪魔にならないよう、菜乃花はさっと脇に避ける。
おじいさんを乗せたストレッチャーは、すぐさま救急車から降ろされた。
「つき添いの方はこちらへ。お話を聞かせてください」
「はい」
ナースに呼ばれて近づいた菜乃花は、ひと際背の高いドクターがいるのに気づいて思わず顔を見上げた。
と、次の瞬間。
「…え?」
互いに顔を見合わせたまま動きを止める。
(この人、まさか…)
その時、おじいさんのストレッチャーを運び込んでいたドクターが振り返って声をかけた。
「宮瀬、行くぞ」
「あ、はい」
菜乃花は、やっぱり!と目を見開く。
踵を返してドクター達のもとへと駆け寄る颯真を、菜乃花は、あの!と呼び止めた。
振り返った颯真に、菜乃花は破いたメモを手渡す。
「これを。よろしくお願いします」
頭を下げると、すぐにナースの方へと小走りで去った。
◇
「いちに、さん」
皆で声を揃えておじいさんをベッドに移すと、心電図や心臓超音波検査など、様々な準備が進められる。
「えーっと、状況は?」
せわしなく手を動かしながら颯真の指導医の塚本が聞くと、ナースが「今、外で聞いてます」と答えた。
「加納 明夫さん、82歳。図書館で倒れました。11時23分 CPA。11時24分 CPR開始。11時26分 AED装着。11時33分 救急隊員到着。以上です」
菜乃花から渡されたメモを読み上げてから皆に見せた颯真は、驚いたような視線を向けられる。
「おやおや、ナースの前で倒れたのかい?おじいさん。命拾いしたな」
緊迫した雰囲気の中、塚本の言葉に皆も頷いた。
◇
「菜乃花ちゃん!」
「加納さん」
病院の廊下で待っていた菜乃花に、おばあさんが取り乱した様子で近づき、すがりつく。
「菜乃花ちゃん、おじいさんは?大丈夫なの?」
「今、お医者様に診てもらってます。おばあさん、一人で来たの?」
「そう。タクシーに飛び乗って。でも娘に電話したら、これから向かうって言ってたから、もうじき着くと思うわ」
「そうなのね。それなら良かった」
おばあさんをベンチに座らせると、菜乃花は自動販売機で温かいお茶を買っておばあさんに渡す。
「少しでもいいから、これを飲んで。ね?」
優しく微笑むと、おばあさんは頷いて口をつけた。
「はあ、あったかい」
菜乃花はおばあさんに寄り添って、背中をさする。
おばあさんの様子がようやく落ち着いてきたと思った時、「ご家族の方、中へどうぞ。先生から説明があります」とナースが現れた。
途端におばあさんは緊張で身体をこわばらせる。
「おばあさん、私も一緒に入りましょうか?」
「うん、お願い、菜乃花ちゃん」
おばあさんの身体を支えながら部屋に入ると、パソコンに向き合っていたドクターが振り返った。
「医師の塚本です。加納さんは図書館で倒れたということでしたが、応急手当がとても適切だったから大事には至りませんでしたよ。これから少し治療と入院が必要になりますが、充分回復が見込めます。恐らく後遺症などもあまり残らないでしょう」
「そ、そうですか。ありがとうございます。ありがとう…」
おばあさんは涙で言葉を詰まらせる。
更に詳しく話を聞き、ナースから入院の説明を受けて部屋を出ると、お母さん!と声がして40代半ばくらいの女性が駆け寄って来た。
「ああ、恵美!おじいさんが、おじいさんが倒れたの」
おばあさんは娘に抱きつく。
「落ち着いて、お母さん。先生はなんて?」
「えっとね、心筋梗塞だって。でも応急手当が良かったから、助かったって」
「そうなのね。良かった」
「うん、本当に良かった」
おばあさんは、自分に言い聞かせるように何度も頷く。
「あの、初めまして。中央図書館で図書館司書をしている鈴原と申します」
二人の様子を見ながら菜乃花は女性に声をかけた。
「あ!加納の娘の井田 恵美と言います。この度は父が大変お世話になりました」
「いえ。大したことは何も出来ず…。加納さんの回復を心よりお祈りいたします」
「ありがとうございます」
「それと、事務手続きの為にご家族の方に入院窓口にいらして欲しいと言われていまして…」
「そうですか、分かりました。ここからは母と私がやりますので、鈴原さんはどうぞお戻りください。本当にありがとうございました」
「菜乃花ちゃん、ありがとね」
二人に頭を下げられ、菜乃花は首を振る。
「いいえ。あの、加納さん、今日お孫さんの為に本を借りにいらしたんです。5年生のお孫さんが読みたがっていた本を」
「え?うちの息子の?」
「はい。一生懸命探していらっしゃいました。また借りに来られるのをお待ちしております」
そう言って菜乃花は深々とお辞儀をしてから病院をあとにした。
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