年下幼馴染アルファの執着〜なかったことにはさせない〜

ひなた翠

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第五章:溺愛と執着と、時々ヤキモチ

甘い朝

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 目が覚めると、朝の光が部屋に差し込んでいた。

 カーテンの隙間から、白い光が入ってくる。目を細めて、ゆっくりと意識が覚醒していく。身体が重くて、動かすのが億劫だった。

(腰が、痛い――)

 鈍い痛みが、腰全体に広がっている。昨夜のことを思い出して、顔が熱くなる。

(玄関で……ヤってしまった)

 声は大丈夫だっただろうか。記憶が朧げで、全くもって自信がない――いや、絶対に大きな喘ぎ声を出しているような気がする。

 起き上がろうとして、腰に激痛が走った。

「痛っ……」

 腰を押さえて、ベッドに横たわったまま動けない。昨夜、どれだけ激しかったのか。身体が、正直に教えてくれている。

(オメガって怖い)
 一度スイッチが入ってしまう性に貪欲なのだろう。

「はーちゃん、大丈夫?」
 海斗の声が聞こえた。隣で寝ていた海斗も目が覚めたのだろう。心配そうな顔で、僕を見下ろしていた。

「海ちゃん、腰が……痛くて、起き上がれない」
 僕が言うと、海斗が失笑した。

「あんだけ腰を振ってれば――ねえ。声も掠れてるね」
「腰を振る?」
「記憶にない? ベッドで俺の上で振ってたよ」

 海斗が枕元にあるスマホに手を伸ばすと、録音していたベッドでの行為を再生してくれた。

「うわあああ、誰これ――」
「はーちゃん」

 自分とは思えないほど乱れように僕は全身が熱くなった。腰を振って軋むベッドの音に、大きな喘ぎ声がスマホから流れてくる。

(そりゃあ、声も枯れるし、腰も痛くなるよね)

「あとね。俺のお気に入りがあって――」
 海斗が再生バーを動かして、別の場所を再生した。

『海ちゃんのでいっぱいにして』

「ぃやああああぁぁ」
 僕は悲鳴をあげて耳を塞ぐと、布団の中へと潜って逃げ込んだ。

「――僕が言ったの?」
「だって、はーちゃんの声だったでしょう?」
「本当に僕?」

「覚えてない? 玄関で、足を広げて孔を見せつけながら強請ってたよ」
「……全く覚えてない。玄関でヤッて、さらにベッドでも――しかも僕が上で腰を振ったと」
「けっこう激しくね」

 海斗の言葉に、僕は目に涙が浮かんでいく。

(こんなの僕じゃない――と思いたい)
 けど、しっかりと録音データに残されているのは事実なわけで。

「ね? はーちゃん、エッチでしょう?」
「――返す言葉もありません」

「本当に、俺だけ? 誰かに開発された?」
「されてない! 海ちゃんが初めてで、海ちゃんとしかしてないから」
「じゃあ、天性のものってこと」

(知らないよ、そんなこと)

 記憶にないから。こんなに甘ったるい声で、海斗にお強請りしてさらには海斗の上で腰を振るなんて。

「でも……まあ、目覚めたあとにこうなるってわかってて、求めた俺も悪いけど」

申し訳なさそうな表情になって、視線を逸らす。海斗の手が、僕の腰に触れてきた。優しく撫でて、痛みを和らげようとしてくれる。

「ごめん……やりすぎたね」

 海斗が小さな声で言った。腰からお尻へと手を滑らせて、丁寧に撫でてくれる。マッサージをするように、優しく揉みほぐしてくれる。海斗の手の温もりが、痛みを和らげていく。

「はーちゃんの同僚がアルファだってわかったら、苛立ちが止められなかった」
 お尻を撫でながら、昨夜の言い訳をしている。海斗の手つきが、少しずつ甘くなっていく。

「はーちゃんが社会人で、俺はまだ大学生にもなってない」
 僕の太腿を撫でて、腰を撫でて、背中を撫でていく。

「歳の差を埋められない現実が歯痒かった」

 海斗の声が、沈んでいく。お尻を優しく揉みながら、想いを吐き出していく。海斗が、ずっと抱えていた苦しみを僕に教えてくれた。

「昨日の夜みたいに社会人同士の輪には俺は割って入れないから」
 腰に手を回して、僕を抱き寄せてくる。海斗の胸に顔が埋まって、海斗の匂いが鼻腔を満たしていく。

「だから余計に、ヤキモチをやいて、はーちゃんを激しく抱いちゃった」
 髪を撫でて、背中を撫でて、優しく抱き締めてくれる。海斗の温もりが、僕を包み込んでいく。

「僕もね、海ちゃんとの五歳差に悩んでた」
 僕が言うと、海斗の手が止まった。驚いたように、僕を見つめている。

「同級生だったらどんなにいいだろうって思ってた」
 海斗の胸に顔を埋めたまま、想いを吐き出していく。ずっと抱えていた苦しみだ。

「ヒートで辛いときに、同級生だったら『抱いて』と言えたかもしれない」
 海斗に助けを求めたかった――けど、年齢差が邪魔をした。五歳さは大きい。

「学校でも通学中でも同級生だったら、海ちゃんの隣を独占できたのに……って思うと苦しかった」
 僕が言うと、海斗が僕を強く抱き締めてくる。痛いくらい強く抱き締められて、海斗の想いが伝わってきた。

「五歳離れていると、甘えたくても意外と甘えられなかった」
 僕が囁くと、海斗が顔を近づけてきた。額を僕の額にくっつけて、優しく微笑む。

「これからはたくさん甘えてよ」
 唇が、重なる。甘く、蕩けるようなキス。海斗の舌が、優しく僕の唇をなぞっていく。

 口を開けると、海斗の舌が侵入してくる。

 優しく、丁寧に、僕の舌と絡み合っていく。海斗の手が、僕の頬を撫でて、髪を撫でて、愛おしそうに触れてきた。

 名残惜しそうに、糸を引きながら唇が離れていくと海斗の瞳が、僕を見つめていた。深い黒瞳が、愛情に満ちている。

「これからは海ちゃんに甘えるね」
 僕が微笑むと、海斗が嬉しそうに笑った。顔を輝かせて、子どものように喜んでいた。

「海ちゃん、好き」
 声が震えて、胸が熱くなる。

「俺もはーちゃんが好き」
 海斗の腕が、僕を包み込んで、僕を満たしていった。

 海斗が、また唇を重ねてくる。
 さっきより深く、さっきより甘く、キスをしてくる。海斗の舌が、僕の舌と激しく絡み合っていく。息が苦しくなるまで、キスが続いていく。

 海斗が、真剣な顔で僕を見つめてきた。

「これからは飲み会でも、はーちゃんはお酒は禁止ね」
 海斗が厳しい声で言った。

「え? なんで?」
 僕が尋ねると、海斗が顔を真っ赤にした。耳まで赤くなって、視線を逸らす。

「はーちゃんが……エロいから」
 海斗が小さな声で言う。

「それは海ちゃんだから……」
 僕が言うと、海斗が首を横に振った。

「いや、あのアルファだって家に送っていく振りをして、はーちゃんを抱く気だった」
 海斗が真剣な顔で言った。本気でそう思っている顔。海斗の瞳に、嫉妬の色が浮かんでいる。

「キスされそうになってただろ! 俺があそこで電気をつけてなかったら、確実に襲われただろうが」
「きょ……拒絶の意思は見せてたよ」

 僕が言うと、海斗がムッとした顔をした。

「全然、拒絶の意思が伝わってなかった。力で押し負けてたじゃん、はーちゃん。自分に色気があることを自覚してなさすぎ」

 海斗に叱られてしまった。海斗の手が、僕のお尻を叩いてくる。軽く、ペシッと叩かれて、恥ずかしさが込み上げてくる。

「色気なんてないけど……」

 確かに昨日は、まずかったと反省している。キスを嫌がった時点で、察してほしかった。職場の先輩で、同僚だから今後の仕事のやりやすさを考えれば、強くは出てこないだろうという甘えがどこかにあったのかもしれない。

「海ちゃんの言う通り、お酒は飲まないようにするね」
 僕が言うと、海斗の目が細くなった。

「ようにする?」
 海斗が尋ねてくる。プレッシャーをかけるように、じっと僕を見つめてくる。

「――飲みません」
 僕が訂正して言い換えると、海斗が満足そうに頷いた。

「誓いのキスをして? はーちゃん」
 海斗が甘い声で囁いた。僕から海斗に顔を近づけて、キスをする。

「はーちゃん、もっと。ほしい」

 キスを深めてきて、舌を絡めてくる。海斗の手が、僕の身体を撫で始めた。背中を撫でて、腰を撫でて、お尻を揉んでくる。

「海ちゃん、ちょっと……触り方がいやらしいんだけど」
 僕が言うと、海斗の手が太腿の内側を撫でてきた。敏感な場所を撫でられて、身体が震える。

「それに……大きいのがあたってるよ」
 僕が囁くと、海斗が苦笑した。海斗の下腹部に、硬く大きくなったものが僕の身体に押し当てられている。

「仕方ないじゃん。朝だし、はーちゃんが裸だし」
 海斗が言った。僕の太腿の間に手を滑らせて、秘所に触れてくる。濡れた指先が、入口を撫でていく。

「すぐ入りそうだよ、はーちゃんだって」

 海斗が囁いた。指先が、ゆっくりと中へと侵入してくる。身体が、海斗を受け入れようとしている。

「ああっ、んぅ。ちょっと、入れようとしない! 無理だからぁ」
 僕が言うと、海斗が指を抜いてくれた。悪戯っぽく笑って、僕の頬にキスを落としてくる。

「わかってる。入れないよ」
 海斗が囁いた。優しく微笑んで、僕の髪を撫でてくれる。

「でもキスはしたいな」

 海斗が言って、また唇を重ねてきた。濃厚で、甘すぎるキス。海斗の舌が、深く入り込んできて、口内を蹂躙していく。

(ああ、海ちゃんのキス……ふわふわしてくる)

 海斗の手が、僕の身体を優しく撫でている。
 背中を撫でて、腰を撫でて、愛おしそうに触れてくる。

 朝の光が、二人を優しく照らしていた。

「海ちゃん――抱いて」
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