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6 観劇デート
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「今度の週末、暇?」
学園の休み時間、珍しくミゲルが私に会いに来た。
「特に予定は無いけど?」
「じゃあ、一緒に舞台を見に行こう。
君が好きそうな演目だよ」
「いいわよ」
「良かった。昼前に迎えに行くから」
ミゲルが「好きそうだ」と言うならば、ハズレは無いだろう。
彼は私の好みを熟知している。
週末、楽しみだ。
当日は朝早くから磨き上げられ、着々と身支度が整えられる。
ハーフアップに纏められた髪に、ミゲルから貰ったサファイアの髪飾りが着けられた。
ドレスは、少し大人っぽく見える様にヒラヒラした飾りが少なく、その代わり細かい宝石が縫い付けられ、華やかに彩られたデザインの物にした。
久し振りのデートだからと、侍女達も気合が入りまくっている。
そんなに張り切らなくても・・・
只の政略の婚約者なのに。
迎えに来たミゲルは、小さな花束を私にプレゼントした。
沢山の種類の花が使われているが、色は淡い紫とクリーム色に統一されていて、とても素敵だ。
「ありがとう。可愛らしい花束ね」
「ナディアの愛らしさには敵わないけどね」
「寝言は寝てから言って」
「・・・・・・」
そんな冗談を言って、私が本気にしたらどうするつもりなのか?
私は照れを隠すように、軽口を叩いた。
ミゲルと馬車に乗って移動する。
着いたのは、劇場の近くにある人気のカフェレストランだった。
「ここで、軽く昼食を取ってから、午後の公演を見に行こう」
「よく予約が取れたわね」
一度来てみたかった店だが、人気店でなかなか予約が取れない。
「たまたまキャンセルが出たみたいで、ラッキーだったよ」
広々とした店内は、白をベースにアクセントに金色の飾りを随所に散りばめた、高級感が有りつつも落ち着いた内装。
人気が有るのも頷ける。
実際今日だって、満席の様だ。
たまたま空きが出たなんて、凄い幸運。
私達はお店自慢のビーフシチューのセットを食べながら、今日の舞台についての話をした。
「最近始まったばかりの新作の舞台なんでしょ?
どんな演目なの?」
「護衛騎士と王女様の身分違いの恋物語だって」
「それは素敵ね!面白そう」
「うん。絶対ナディアの好みだと思ったんだ」
ミゲルは予想が当たって、ちょっと誇らしそう。
そんな表情は、子供みたいで可愛い。
「ナディア、デザートは?注文しないの?」
「ふぅー。もうお腹いっぱい。
これ以上食べたら太っちゃうわ」
「この店、チーズケーキも評判みたいだよ」
ミゲルがニヤリと笑う。
「・・・・・・頂きます」
本当に、ちょっと困るくらい、私の好みをよく知っている。
食後に紅茶と美味しいチーズケーキまでご馳走になり、満腹の私。
公演中に眠くなったらどうしようと思っていたけど、そんな心配無用だった。
騎士様役の役者さんは、すっっごく格好良かったし、王女とのすれ違いが切なくて涙が溢れた。
ミゲルが差し出したハンカチを、遠慮なく使わせて貰う。
「はあぁぁ~。素晴らしかった」
公演後、物語の余韻に浸りながら、大きく息を吐く。
まだ少し涙が滲む瞳で、隣を見上げると、ミゲルは若干ムスッとした表情に見えた。
「男性にはあまり興味の無いストーリーだっただでしょう?
いつも私の好みに合わせてくれて、ありがとうね」
「いや、楽しんでくれたなら、良かったよ」
答えたミゲルはいつもの微笑みだった。
不機嫌そうに見えたのは、気のせいだったかしら?
学園の休み時間、珍しくミゲルが私に会いに来た。
「特に予定は無いけど?」
「じゃあ、一緒に舞台を見に行こう。
君が好きそうな演目だよ」
「いいわよ」
「良かった。昼前に迎えに行くから」
ミゲルが「好きそうだ」と言うならば、ハズレは無いだろう。
彼は私の好みを熟知している。
週末、楽しみだ。
当日は朝早くから磨き上げられ、着々と身支度が整えられる。
ハーフアップに纏められた髪に、ミゲルから貰ったサファイアの髪飾りが着けられた。
ドレスは、少し大人っぽく見える様にヒラヒラした飾りが少なく、その代わり細かい宝石が縫い付けられ、華やかに彩られたデザインの物にした。
久し振りのデートだからと、侍女達も気合が入りまくっている。
そんなに張り切らなくても・・・
只の政略の婚約者なのに。
迎えに来たミゲルは、小さな花束を私にプレゼントした。
沢山の種類の花が使われているが、色は淡い紫とクリーム色に統一されていて、とても素敵だ。
「ありがとう。可愛らしい花束ね」
「ナディアの愛らしさには敵わないけどね」
「寝言は寝てから言って」
「・・・・・・」
そんな冗談を言って、私が本気にしたらどうするつもりなのか?
私は照れを隠すように、軽口を叩いた。
ミゲルと馬車に乗って移動する。
着いたのは、劇場の近くにある人気のカフェレストランだった。
「ここで、軽く昼食を取ってから、午後の公演を見に行こう」
「よく予約が取れたわね」
一度来てみたかった店だが、人気店でなかなか予約が取れない。
「たまたまキャンセルが出たみたいで、ラッキーだったよ」
広々とした店内は、白をベースにアクセントに金色の飾りを随所に散りばめた、高級感が有りつつも落ち着いた内装。
人気が有るのも頷ける。
実際今日だって、満席の様だ。
たまたま空きが出たなんて、凄い幸運。
私達はお店自慢のビーフシチューのセットを食べながら、今日の舞台についての話をした。
「最近始まったばかりの新作の舞台なんでしょ?
どんな演目なの?」
「護衛騎士と王女様の身分違いの恋物語だって」
「それは素敵ね!面白そう」
「うん。絶対ナディアの好みだと思ったんだ」
ミゲルは予想が当たって、ちょっと誇らしそう。
そんな表情は、子供みたいで可愛い。
「ナディア、デザートは?注文しないの?」
「ふぅー。もうお腹いっぱい。
これ以上食べたら太っちゃうわ」
「この店、チーズケーキも評判みたいだよ」
ミゲルがニヤリと笑う。
「・・・・・・頂きます」
本当に、ちょっと困るくらい、私の好みをよく知っている。
食後に紅茶と美味しいチーズケーキまでご馳走になり、満腹の私。
公演中に眠くなったらどうしようと思っていたけど、そんな心配無用だった。
騎士様役の役者さんは、すっっごく格好良かったし、王女とのすれ違いが切なくて涙が溢れた。
ミゲルが差し出したハンカチを、遠慮なく使わせて貰う。
「はあぁぁ~。素晴らしかった」
公演後、物語の余韻に浸りながら、大きく息を吐く。
まだ少し涙が滲む瞳で、隣を見上げると、ミゲルは若干ムスッとした表情に見えた。
「男性にはあまり興味の無いストーリーだっただでしょう?
いつも私の好みに合わせてくれて、ありがとうね」
「いや、楽しんでくれたなら、良かったよ」
答えたミゲルはいつもの微笑みだった。
不機嫌そうに見えたのは、気のせいだったかしら?
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