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第十一話 嫌味な生徒会長
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「ゲオルク様……どうしてここに?」
さすがに目があってしまった以上、無視するわけにはいかない。変なことをして、試験に影響が出たら洒落にならないからね。
「おいおい、もう忘れたのか? 俺様は、ここの学園の生徒なのだと。それも、生徒会長だぞ! 全生徒から選ばれた、生徒の長! それが俺様だ!」
その話は、屋敷にいた頃に何度も聞かされた話だ。
全く興味がないから、適当に凄いですね~って言って誤魔化してたんだよね。
「それにしても、本当にアイリーンが試験に参加するとはな。受験者リストに名前があったのを見た時は、目を疑った。一体何が目的だ?」
「受験以外に、何があるのでしょうか?」
「貴様のような女狐が、本気で受かると思っているのか?」
「本気で受かるつもりです」
嘘偽りの無い気持ちで、まっすぐゲオルク様を見つめて答えると、数秒ほど目を丸くして固まったと思ったら、お腹をかかえながら笑い始めた。
「くっ……あーっはははははっ!! こいつはお笑いだ!! まさか、天下のセレクディエ学園の特待生の編入試験に、貴様のような貧乏人が本気で受かると!? いやぁ、貴様は俺様を笑わせる天才だな!!」
「ゲオルク様、私をどのように評価するのは勝手ですが、受付の時間が迫ってますから。それとも、私の妨害をしたいのですか?」
「俺様が、そのような卑怯な真似をすると思うのか?」
「はい」
間髪入れずに答えると、ゲオルク様はわざとらしく肩をすくめた。
「ふん、言うようになったじゃないか。それが貴様の本性か? まったく、見た目だけはそれなりに良いからって、もっと大人しい女だと思っていたが……すっかり騙されていたというわけか」
「勝手に勘違いされたのは、あなたの方でしょう? あと、さっきから楽しそうにしているのは結構ですが、周りを少し見た方が良いのでは?」
チラッと向けた視線の先には、試験を受けに来た人たちの一部から、冷ややかな視線がゲオルク様に向けられていた。
そのおかげで、自分の置かれている立場をようやく理解したようで、気まずさと私に対する怒りで顔を赤くしながら、咳払いをした。
「くそっ、貴様などに関わったせいで、恥をかいたではないか!」
「勝手に話しかけておいて、なにを言っているんですか? 巻き込まれた私の方が、よほど恥ずかしいですよ」
「黙れ! くそっ、今日のところはこの辺で勘弁してやる」
あまりにも程度の低い負け惜しみを言いながら、そそくさとその場を後にした。
まったく、大切な試験の日だというのに、ゲオルク様に絡まれるだなんてついてない。でも、おかげで緊張がまた少しだけほぐれたような気がする。
「受験者の方々は、受験票を準備してこちらにお越しくださいー」
「あの、本日受験させていただくアイリーンと申します」
「では受験票をお見せください……はい、確かに。そこの階段から上がって、三階にある教室が会場になりますので、速やかに移動してください。途中に看板が置いてありますので、それを頼りに向かってください」
受付をしていた女性の言われた通りに階段を上がり、看板に従って歩いて行くと、とある教室へと到着した。
中には、既に先に来ている受験生達が、静かに試験の開始を待っていた。
ここにいる人達だけでなく、まだこれから来る人達も、全員がライバルなのよね……ううん、弱気になってても仕方がない。夢のために、応援してくれる人達に報いるために、絶対に合格するんだから。
「私の席は……ここね」
廊下側の前から二番目の席に座り、落ち着くためにふう……と深呼吸をしていると、近くの人達の姿が目に入ってきた。
元々お金持ちの子供が多い学園ということもあって、身なりがとても上品な人が多い中、私のような普通っぽい人も混ざっている。
きっと、私のように学園に通うお金は無いから、学費が免除される特待生を狙って受験をしに来ているのだろう。
って、周りの人を気にしている暇があったら、少しでも復習をしなきゃ。自分の中で問題を考えながら、回答する感じで復習しよう。
「お待たせしました。これより問題用紙と答案用紙を配ります」
「っ……!」
集中して復習をしていたら、いつの間にか試験の時間になっていたようだ。若くて綺麗な女性の試験官が、静かに用紙を配って回っている。
「全員に行き渡りましたね。問題用紙はまだ開かないように。試験時間は、一教科九十分です。筆記用具を落としたり、問題用紙や解答用紙に不備があったなど、なにか問題が起こった際には、静かに挙手をしてください。万が一体調不良になった際も、速やかに手を上げること。なにか質問がある方はいらっしゃいますか?」
私も含め、誰も手を上げることは無かった。それを見た試験官は、懐から懐中時計を取り出した。
「もう間もなく試験が始まります。それまではそのまま静かにお待ちください」
それ以上の説明はなく、教室は静寂に包まれた。時計がチクタクと動く音が、独特な緊張感を生んでいる。
そして……ついに、その時を知らせる鐘の音が、教室に鳴り響いた。
さすがに目があってしまった以上、無視するわけにはいかない。変なことをして、試験に影響が出たら洒落にならないからね。
「おいおい、もう忘れたのか? 俺様は、ここの学園の生徒なのだと。それも、生徒会長だぞ! 全生徒から選ばれた、生徒の長! それが俺様だ!」
その話は、屋敷にいた頃に何度も聞かされた話だ。
全く興味がないから、適当に凄いですね~って言って誤魔化してたんだよね。
「それにしても、本当にアイリーンが試験に参加するとはな。受験者リストに名前があったのを見た時は、目を疑った。一体何が目的だ?」
「受験以外に、何があるのでしょうか?」
「貴様のような女狐が、本気で受かると思っているのか?」
「本気で受かるつもりです」
嘘偽りの無い気持ちで、まっすぐゲオルク様を見つめて答えると、数秒ほど目を丸くして固まったと思ったら、お腹をかかえながら笑い始めた。
「くっ……あーっはははははっ!! こいつはお笑いだ!! まさか、天下のセレクディエ学園の特待生の編入試験に、貴様のような貧乏人が本気で受かると!? いやぁ、貴様は俺様を笑わせる天才だな!!」
「ゲオルク様、私をどのように評価するのは勝手ですが、受付の時間が迫ってますから。それとも、私の妨害をしたいのですか?」
「俺様が、そのような卑怯な真似をすると思うのか?」
「はい」
間髪入れずに答えると、ゲオルク様はわざとらしく肩をすくめた。
「ふん、言うようになったじゃないか。それが貴様の本性か? まったく、見た目だけはそれなりに良いからって、もっと大人しい女だと思っていたが……すっかり騙されていたというわけか」
「勝手に勘違いされたのは、あなたの方でしょう? あと、さっきから楽しそうにしているのは結構ですが、周りを少し見た方が良いのでは?」
チラッと向けた視線の先には、試験を受けに来た人たちの一部から、冷ややかな視線がゲオルク様に向けられていた。
そのおかげで、自分の置かれている立場をようやく理解したようで、気まずさと私に対する怒りで顔を赤くしながら、咳払いをした。
「くそっ、貴様などに関わったせいで、恥をかいたではないか!」
「勝手に話しかけておいて、なにを言っているんですか? 巻き込まれた私の方が、よほど恥ずかしいですよ」
「黙れ! くそっ、今日のところはこの辺で勘弁してやる」
あまりにも程度の低い負け惜しみを言いながら、そそくさとその場を後にした。
まったく、大切な試験の日だというのに、ゲオルク様に絡まれるだなんてついてない。でも、おかげで緊張がまた少しだけほぐれたような気がする。
「受験者の方々は、受験票を準備してこちらにお越しくださいー」
「あの、本日受験させていただくアイリーンと申します」
「では受験票をお見せください……はい、確かに。そこの階段から上がって、三階にある教室が会場になりますので、速やかに移動してください。途中に看板が置いてありますので、それを頼りに向かってください」
受付をしていた女性の言われた通りに階段を上がり、看板に従って歩いて行くと、とある教室へと到着した。
中には、既に先に来ている受験生達が、静かに試験の開始を待っていた。
ここにいる人達だけでなく、まだこれから来る人達も、全員がライバルなのよね……ううん、弱気になってても仕方がない。夢のために、応援してくれる人達に報いるために、絶対に合格するんだから。
「私の席は……ここね」
廊下側の前から二番目の席に座り、落ち着くためにふう……と深呼吸をしていると、近くの人達の姿が目に入ってきた。
元々お金持ちの子供が多い学園ということもあって、身なりがとても上品な人が多い中、私のような普通っぽい人も混ざっている。
きっと、私のように学園に通うお金は無いから、学費が免除される特待生を狙って受験をしに来ているのだろう。
って、周りの人を気にしている暇があったら、少しでも復習をしなきゃ。自分の中で問題を考えながら、回答する感じで復習しよう。
「お待たせしました。これより問題用紙と答案用紙を配ります」
「っ……!」
集中して復習をしていたら、いつの間にか試験の時間になっていたようだ。若くて綺麗な女性の試験官が、静かに用紙を配って回っている。
「全員に行き渡りましたね。問題用紙はまだ開かないように。試験時間は、一教科九十分です。筆記用具を落としたり、問題用紙や解答用紙に不備があったなど、なにか問題が起こった際には、静かに挙手をしてください。万が一体調不良になった際も、速やかに手を上げること。なにか質問がある方はいらっしゃいますか?」
私も含め、誰も手を上げることは無かった。それを見た試験官は、懐から懐中時計を取り出した。
「もう間もなく試験が始まります。それまではそのまま静かにお待ちください」
それ以上の説明はなく、教室は静寂に包まれた。時計がチクタクと動く音が、独特な緊張感を生んでいる。
そして……ついに、その時を知らせる鐘の音が、教室に鳴り響いた。
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