拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら

みおな

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王家の秘薬。

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「クロエ、改めておかえりなさい」

 お父様お母様お姉様お義兄様に優しく迎えられ、マキシミリオン王国でのことを詳しく話す。

 途中から、お父様とお義兄様は苦虫を噛み潰したようなお顔になっていたけど、笑顔のお母様とお姉様よりはマシよ。

 笑顔なのに、背筋がぞわぞわするわ。

「ほほほほほ。そうなのね。マキシミリオンの王太子はそんなに阿呆なの」

「お母様。一応、お義兄様のご兄弟なのですから」

「いや、そんな気遣いは不要だ。元々、男尊女卑の傾向はあったんだ。いくら諌めても聞いてもらえなくて。兄上は魔力が多くて魔法に関しても優れていたから・・・義姉上が付き従うタイプだったからこれまで大事にならなかったのだろう」

「でも、うちの可愛いクロエを蔑ろにしたのだもの。ただでは済まさないわ」

 気持ちはすごく嬉しいけど。

「お母様、お姉様。王妃殿下と王太子妃殿下、それからシリルには何もしないで」

「・・・クロエはシリルに怒っていないの?」

「たった一回のことです。私は立場上なかったことには出来なかったですけど、私の対応も悪かったのです。だから・・・」

 もっとちゃんと、色んなことを話し合えば良かった。

 国王陛下や王太子殿下があのような方だということも、もっとお互い歩み寄っていたなら、もっと早くに知ることができた。

 シリルは、私のことをちゃんと好きでいてくれた。

 その想いを、あの二人に利用されただけなのよ。

 皇女でなかったら、伯爵家の令嬢くらいだったなら、捕縛のための協力だってお願いされれば聞いたかもしれないけど。

「・・・仕方ないわね。ねぇ、ルーファス。王族以外に王位継承権を持ってる人はいるの?」

「父上には弟が二人いるけど、継承権はすでに放棄している。僕もオーロラと結婚した時に放棄したから、今継承権があるのは兄上とシリルだけだね」

「そう。じゃあ、今回の罰としてシリルに頑張ってもらいましょうか。あの二人には表舞台から消えてもらわなきゃですわね、お母様」

「そうね。王妃殿下たちと打ち合わせしましょう。ご病気で静養あたりが妥当かしらね」

 淡々とお姉様とお母様は話を進めているけど、ルーファスお義兄様はいいの?

 それにシリルに頑張ってもらうって、シリルが王太子になるってこと?

 確かにシリルは、王太子殿下と同じように魔力も多いと聞いたけど。

「でも、あのお二方が簡単に退いたりするでしょうか?」

「アルトナーにはね、があるのよ。王家に伝わっているものがね。お姉様が王位に就いたときに、お母様つまり前女王陛下から教えていただいたの。お姉様が道を踏み外したときに使うようにってね」
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