婚約者から婚約破棄されたら、王弟殿下に捕まった件

みおな

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馬鹿に正論は通じない件

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「ランスロット、其方はそこまで愚かだったのだな」

 国王陛下の低く、失望したような声が王妃殿下の執務室に響いた。

「ち、父上?」

「ランスロット、聞かせてくれ。何故、クォーツ公爵令嬢との婚約を解消してから、セットウ男爵令嬢と交際しなかった?何故、セットウ男爵令嬢が真面目にマナーや勉強をして貴族らしく振る舞ったことを、クォーツ公爵令嬢のいじめだと思った?そして、キッドの婚約者であるクォーツ公爵令嬢のことを何故いつまでも名前で呼ぶ?教えてくれ、ランスロット」

「父上・・・」

 ランスロット殿下。
国王陛下のお気持ちを理解して!

 陛下は本当に、ランスロット殿下のことを大切に思われていたのよ。

 その信頼を裏切ったのは、殿下なのよ?

 謝って。そして、ちゃんと王族としての矜持を持つって誓って。

 今ならギリギリ、引き返せる。

 私は心の中でそう願いながら、両手をキツく握りしめた。

 ランスロット殿下に対して恋愛感情はないけど、私は国王陛下と王妃殿下のことは好きなの。

 だから、お二人が悲しむようなことは出来るなら避けたい。

 きっと、キッド様も私と同じお気持ちなんだわ。

 だけど、私の祈りは届かなかった。

「父上。ルチルは、僕のことが好きなのです。だから、僕の真実の愛の相手であるチェリーの良いところを潰して僕の愛を得ようとしたのです。チェリーを王太子妃にして、ルチルのことは側妃にするつもりです。ルチルなら、チェリーの代わりに公務も出来ますしね」

「・・・そうか」

「はい!叔父上には悪いですけど、ルチルは僕が好きなので婚約は解消してもらってください」

「ランスロット、お前の考えはよく分かった。王妃、かまわないな?」

「はい、陛下」

 頷く王妃殿下の声が固い。

「ランスロット。明日、全貴族家当主を集めて、発表する。お前も参加しなさい」

「全貴族家当主・・・はい!わかりました!」

 ランスロット殿下の声が、とても嬉しそうに弾んでいる。

 ああ。
チェリー様を王太子妃にすることを、認めてもらえたと思ったのね。

 そして、私を公務をするためだけの側妃にすると。

 この方には・・・

 結局、私の言ったことも、王妃殿下の言ったことも、何も響いていなかったのね。

 国王陛下も王妃殿下も、為政者としてランスロット殿下の王太子の座を剥奪する決意をされた。

 ならば、私も臣下として陛下と王妃殿下のお心に従うわ。

 王太子となるキッド様をお支えし、王太子妃として立派に役目を果たしてみせる。

 ランスロット殿下とは・・・
もう一度ちゃんと話さないといけないわね。

 改心してもらわなきゃ、陛下たちと殿下を心から慕っているチェリー様がかわいそうだわ。
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