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馬鹿につける薬はない件
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「私は席を外しておきます。絶対に、私が嫉妬のあまりにチェリー様を愛妾にしようとしてるとか、わけのわからない持論を展開されますから」
もう、あの意味不明な持論はお腹いっぱいだわ。
これ以上言われたら、殴ってしまいそうだもの。
王妃殿下は、私の言葉にため息を吐かれた。
「本当にごめんなさいね?ルチルちゃん。奥のお部屋で待っていてくれるかしら。陛下も呼んで話してみるわ」
「お願いします」
「ルチル、もし王太子の座を返上しなければならない時は、貴女が王弟殿下を説得なさい。国として相応しくない者を王太子にしてはおけないわ」
「お母様。分かりましたわ」
お母様の言うことは間違ってない。
少なくとも、現在のランスロット殿下では、未来の国王陛下には相応しくないもの。
チェリー様のためにも、王太子ではなく王子になってもらいたいけど、そうなるとキッド様が王太子となることになる。
あくまでも期間限定の王太子で、ランスロット殿下のお子が立太子できるまで、国王陛下には頑張ってもらうことになるけど。
でも、相応しくない者に権力を与えれば国が荒れるわ。
王族であるキッド様は、オブシディアン王国の民を守る責任があるのだもの。
きっと理解してくださるはず。
私は、王妃殿下の執務室の奥にある控えの間へ下がらせてもらうことにした。
しばらくすると国王陛下が入室され、王妃殿下から説明がされているのが聞こえた。
結構、話し声が聞こえるのね。
それもそうか。ここは、王妃殿下付きの侍女が控えているお部屋だから、呼んだのが聞こえないと困るものね。
そうして一通りの説明が終わった頃、ランスロット殿下の来訪が告げられた。
「母上、お呼びと伺・・・え?父上とクォーツ公爵夫人?」
「いらっしゃい、ランスロット。そこにおかけなさい」
「・・・はい」
普通に驚くわよね。
王妃殿下に呼ばれて王妃殿下の執務室に来たら、国王陛下と私のお母様までいたら。
多分、嫌な話をされることも察しているはずよ。
「それで、何故呼ばれたか分かるかしら?」
「・・・いえ」
「貴方、セットウ男爵令嬢が貴族令嬢らしく振る舞ったことで、クォーツ公爵令嬢に文句を言ったわよね?その件を反省するように伝えたけど、反省できたのかしら?」
「で、ですが、ルチルがチェリーに何か言ったに違いないんです!チェリーのいいところは明るく屈託なく感情豊かなところで・・・」
あら、まぁ。
まだそんなことを言っているのかしら?
確かに平民ならそれでいいのでしょうけど、彼女はもう貴族令嬢なのよ。
もう、あの意味不明な持論はお腹いっぱいだわ。
これ以上言われたら、殴ってしまいそうだもの。
王妃殿下は、私の言葉にため息を吐かれた。
「本当にごめんなさいね?ルチルちゃん。奥のお部屋で待っていてくれるかしら。陛下も呼んで話してみるわ」
「お願いします」
「ルチル、もし王太子の座を返上しなければならない時は、貴女が王弟殿下を説得なさい。国として相応しくない者を王太子にしてはおけないわ」
「お母様。分かりましたわ」
お母様の言うことは間違ってない。
少なくとも、現在のランスロット殿下では、未来の国王陛下には相応しくないもの。
チェリー様のためにも、王太子ではなく王子になってもらいたいけど、そうなるとキッド様が王太子となることになる。
あくまでも期間限定の王太子で、ランスロット殿下のお子が立太子できるまで、国王陛下には頑張ってもらうことになるけど。
でも、相応しくない者に権力を与えれば国が荒れるわ。
王族であるキッド様は、オブシディアン王国の民を守る責任があるのだもの。
きっと理解してくださるはず。
私は、王妃殿下の執務室の奥にある控えの間へ下がらせてもらうことにした。
しばらくすると国王陛下が入室され、王妃殿下から説明がされているのが聞こえた。
結構、話し声が聞こえるのね。
それもそうか。ここは、王妃殿下付きの侍女が控えているお部屋だから、呼んだのが聞こえないと困るものね。
そうして一通りの説明が終わった頃、ランスロット殿下の来訪が告げられた。
「母上、お呼びと伺・・・え?父上とクォーツ公爵夫人?」
「いらっしゃい、ランスロット。そこにおかけなさい」
「・・・はい」
普通に驚くわよね。
王妃殿下に呼ばれて王妃殿下の執務室に来たら、国王陛下と私のお母様までいたら。
多分、嫌な話をされることも察しているはずよ。
「それで、何故呼ばれたか分かるかしら?」
「・・・いえ」
「貴方、セットウ男爵令嬢が貴族令嬢らしく振る舞ったことで、クォーツ公爵令嬢に文句を言ったわよね?その件を反省するように伝えたけど、反省できたのかしら?」
「で、ですが、ルチルがチェリーに何か言ったに違いないんです!チェリーのいいところは明るく屈託なく感情豊かなところで・・・」
あら、まぁ。
まだそんなことを言っているのかしら?
確かに平民ならそれでいいのでしょうけど、彼女はもう貴族令嬢なのよ。
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