5 / 16
妹は、分かってくれない
しおりを挟む
「デイジー、お願いよ。これ以上ドレスを仕立てるのは、止めて頂戴。それにデートなら、今ある外出着で十分ではないの?」
「引き籠りのお姉様に、何が分かると言うの?可愛い私を、アーノルド様に見て貰いたいの。貧祖な服装を好むお姉様には、理解出来ないでしょうけどね」
「私だってお洒落をしてみたいのよ、でも出来ないのですもの」
「センスが無いお姉様には、無理ですものね。それに、お父様そっくりの銀髪と血の色みたいな瞳では、何を着ても似合わないでしょうけど」
そう言ってデイジーは、行ってしまった。
「どうして、そんな酷い事が言えるの?」
デイジーは、可愛いと思うわ。
金色のフワフワした巻き毛に、エメラルドみたいな翠眼は、お母様とよく似ている。
違う所は、お母様の髪は真っ直ぐだって事位かしら?
パーティ会場でも、二人は人気者だと聞いている。
婚約者が出来たのだから、パーティへ行く回数が減ると思っていたのに、お母様もデイジーも相変わらず。
それどころか、デートの度に服を新調するのだもの。
お父様がお母様に注意出来ないのは、仕方の無い事かもしれないけれど、デイジーに迄何も言わないのはどうしてなのかしら?
アーノルド様が執務を手伝いに来てから、食事は家族揃って摂る様になった。
こんな光景は何時振りだろう?
私の記憶では、家族が揃う事等、数える位しかない。
目の前で幸せそうな顔をしているデイジーと、それを微笑ましそうに見つめている母親。
お父様は相変わらず無表情だけれど、アーノルド様は優しいお顔で、デイジーを見つめていた。
私の胸が、チクリと痛む。
誰からも、あんな表情を向けられた事なんて、一度も無かった。
やはり、冷たい印象を与えてしまう、容姿がいけないのかしら?
日に日に寂しさが募っていく。
休憩の度に、執務室を出てデイジーの元へ行くアーノルド様。
天気の良い日は、お庭で楽しそうにお茶を飲んでいる。
そんな二人の姿を、見つめていた。
そしてまた、胸がチクリと痛む。
アーノルド様が、ポケットからハンカチを取り出した。
デイジーの口元に付いた、クリームを拭いている様だけれど…
「あの刺繍…まさか…ね」
デイジーが、私が施した刺繍のハンカチを、渡す筈無いもの。
見間違えよね。
嫌だわ、妹が羨ましいからと言って、アーノルド様を見つめ過ぎね。
恥かしいわ…
いい加減諦めないと。
私はお父様に訪ねてみた。
「お父様、私の婚姻はどうなるのでしょうか?その…どなたかお考えになっている方が居るのでしたら、お伺いしたいのですが…」
お父様は、暫く無言でデイジー達の姿を見つめていた。
「一年と言っただろう。しっかりと、自分の勤めを果たしなさい」
「はい、お父様」
私は、それ以上何も聞けなくなってしまった。
「引き籠りのお姉様に、何が分かると言うの?可愛い私を、アーノルド様に見て貰いたいの。貧祖な服装を好むお姉様には、理解出来ないでしょうけどね」
「私だってお洒落をしてみたいのよ、でも出来ないのですもの」
「センスが無いお姉様には、無理ですものね。それに、お父様そっくりの銀髪と血の色みたいな瞳では、何を着ても似合わないでしょうけど」
そう言ってデイジーは、行ってしまった。
「どうして、そんな酷い事が言えるの?」
デイジーは、可愛いと思うわ。
金色のフワフワした巻き毛に、エメラルドみたいな翠眼は、お母様とよく似ている。
違う所は、お母様の髪は真っ直ぐだって事位かしら?
パーティ会場でも、二人は人気者だと聞いている。
婚約者が出来たのだから、パーティへ行く回数が減ると思っていたのに、お母様もデイジーも相変わらず。
それどころか、デートの度に服を新調するのだもの。
お父様がお母様に注意出来ないのは、仕方の無い事かもしれないけれど、デイジーに迄何も言わないのはどうしてなのかしら?
アーノルド様が執務を手伝いに来てから、食事は家族揃って摂る様になった。
こんな光景は何時振りだろう?
私の記憶では、家族が揃う事等、数える位しかない。
目の前で幸せそうな顔をしているデイジーと、それを微笑ましそうに見つめている母親。
お父様は相変わらず無表情だけれど、アーノルド様は優しいお顔で、デイジーを見つめていた。
私の胸が、チクリと痛む。
誰からも、あんな表情を向けられた事なんて、一度も無かった。
やはり、冷たい印象を与えてしまう、容姿がいけないのかしら?
日に日に寂しさが募っていく。
休憩の度に、執務室を出てデイジーの元へ行くアーノルド様。
天気の良い日は、お庭で楽しそうにお茶を飲んでいる。
そんな二人の姿を、見つめていた。
そしてまた、胸がチクリと痛む。
アーノルド様が、ポケットからハンカチを取り出した。
デイジーの口元に付いた、クリームを拭いている様だけれど…
「あの刺繍…まさか…ね」
デイジーが、私が施した刺繍のハンカチを、渡す筈無いもの。
見間違えよね。
嫌だわ、妹が羨ましいからと言って、アーノルド様を見つめ過ぎね。
恥かしいわ…
いい加減諦めないと。
私はお父様に訪ねてみた。
「お父様、私の婚姻はどうなるのでしょうか?その…どなたかお考えになっている方が居るのでしたら、お伺いしたいのですが…」
お父様は、暫く無言でデイジー達の姿を見つめていた。
「一年と言っただろう。しっかりと、自分の勤めを果たしなさい」
「はい、お父様」
私は、それ以上何も聞けなくなってしまった。
430
あなたにおすすめの小説
愛する義兄に憎まれています
ミカン♬
恋愛
自分と婚約予定の義兄が子爵令嬢の恋人を両親に紹介すると聞いたフィーナは、悲しくて辛くて、やがて心は闇に染まっていった。
義兄はフィーナと結婚して侯爵家を継ぐはずだった、なのにフィーナも両親も裏切って真実の愛を貫くと言う。
許せない!そんなフィーナがとった行動は愛する義兄に憎まれるものだった。
2023/12/27 ミモザと義兄の閑話を投稿しました。
ふわっと設定でサクっと終わります。
他サイトにも投稿。
もう何も信じられない
ミカン♬
恋愛
ウェンディは同じ学年の恋人がいる。彼は伯爵令息のエドアルト。1年生の時に学園の図書室で出会って二人は友達になり、仲を育んで恋人に発展し今は卒業後の婚約を待っていた。
ウェンディは平民なのでエドアルトの家からは反対されていたが、卒業して互いに気持ちが変わらなければ婚約を認めると約束されたのだ。
その彼が他の令嬢に恋をしてしまったようだ。彼女はソーニア様。ウェンディよりも遥かに可憐で天使のような男爵令嬢。
「すまないけど、今だけ自由にさせてくれないか」
あんなに愛を囁いてくれたのに、もう彼の全てが信じられなくなった。
「庶子」と私を馬鹿にする姉の婚約者はザマァされました~「え?!」
ミカン♬
恋愛
コレットは庶子である。12歳の時にやっと母娘で父の伯爵家に迎え入れられた。
姉のロザリンは戸惑いながらもコレットを受け入れて幸せになれると思えたのだが、姉の婚約者セオドアはコレットを「庶子」とバカにしてうざい。
ロザリンとセオドア18歳、コレット16歳の時に大事件が起こる。ロザリンが婚約破棄をセオドアに突き付けたのだ。対して姉を溺愛するセオドアは簡単に受け入れなかった。
姉妹の運命は?庶子のコレットはどうなる?
姉の婚約者はオレ様のキモくて嫌なヤツです。不快に思われたらブラウザーバックをお願いします。
世界観はフワッとしたありふれたお話ですが、ヒマつぶしに読んでいただけると嬉しいです。
他サイトにも掲載。
完結後に手直しした部分があります。内容に変化はありません。
【完結】婚約者は私を大切にしてくれるけれど、好きでは無かったみたい。
まりぃべる
恋愛
伯爵家の娘、クラーラ。彼女の婚約者は、いつも優しくエスコートしてくれる。そして蕩けるような甘い言葉をくれる。
少しだけ疑問に思う部分もあるけれど、彼が不器用なだけなのだと思っていた。
そんな甘い言葉に騙されて、きっと幸せな結婚生活が送れると思ったのに、それは偽りだった……。
そんな人と結婚生活を送りたくないと両親に相談すると、それに向けて動いてくれる。
人生を変える人にも出会い、学院生活を送りながら新しい一歩を踏み出していくお話。
☆※感想頂いたからからのご指摘により、この一文を追加します。
王道(?)の、世間にありふれたお話とは多分一味違います。
王道のお話がいい方は、引っ掛かるご様子ですので、申し訳ありませんが引き返して下さいませ。
☆現実にも似たような名前、言い回し、言葉、表現などがあると思いますが、作者の世界観の為、現実世界とは少し異なります。
作者の、緩い世界観だと思って頂けると幸いです。
☆以前投稿した作品の中に出てくる子がチラッと出てきます。分かる人は少ないと思いますが、万が一分かって下さった方がいましたら嬉しいです。(全く物語には響きませんので、読んでいなくても全く問題ありません。)
☆完結してますので、随時更新していきます。番外編も含めて全35話です。
★感想いただきまして、さすがにちょっと可哀想かなと最後の35話、文を少し付けたしました。私めの表現の力不足でした…それでも読んで下さいまして嬉しいです。
貴方でなくても良いのです。
豆狸
恋愛
彼が初めて淹れてくれたお茶を口に含むと、舌を刺すような刺激がありました。古い茶葉でもお使いになったのでしょうか。青い瞳に私を映すアントニオ様を傷つけないように、このことは秘密にしておきましょう。
【完結】消えた姉の婚約者と結婚しました。愛し愛されたかったけどどうやら無理みたいです
金峯蓮華
恋愛
侯爵令嬢のベアトリーチェは消えた姉の代わりに、姉の婚約者だった公爵家の子息ランスロットと結婚した。
夫とは愛し愛されたいと夢みていたベアトリーチェだったが、夫を見ていてやっぱり無理かもと思いはじめている。
ベアトリーチェはランスロットと愛し愛される夫婦になることを諦め、楽しい次期公爵夫人生活を過ごそうと決めた。
一方夫のランスロットは……。
作者の頭の中の異世界が舞台の緩い設定のお話です。
ご都合主義です。
以前公開していた『政略結婚して次期侯爵夫人になりました。愛し愛されたかったのにどうやら無理みたいです』の改訂版です。少し内容を変更して書き直しています。前のを読んだ方にも楽しんでいただけると嬉しいです。
貴方の運命になれなくて
豆狸
恋愛
運命の相手を見つめ続ける王太子ヨアニスの姿に、彼の婚約者であるスクリヴァ公爵令嬢リディアは身を引くことを決めた。
ところが婚約を解消した後で、ヨアニスの運命の相手プセマが毒に倒れ──
「……君がそんなに私を愛していたとは知らなかったよ」
「え?」
「プセマは毒で死んだよ。ああ、驚いたような顔をしなくてもいい。君は知っていたんだろう? プセマに毒を飲ませたのは君なんだから!」
殿下、幼馴染の令嬢を大事にしたい貴方の恋愛ごっこにはもう愛想が尽きました。
和泉鷹央
恋愛
雪国の祖国を冬の猛威から守るために、聖女カトリーナは病床にふせっていた。
女神様の結界を張り、国を温暖な気候にするためには何か犠牲がいる。
聖女の健康が、その犠牲となっていた。
そんな生活をして十年近く。
カトリーナの許嫁にして幼馴染の王太子ルディは婚約破棄をしたいと言い出した。
その理由はカトリーナを救うためだという。
だが本当はもう一人の幼馴染、フレンヌを王妃に迎えるために、彼らが仕組んだ計略だった――。
他の投稿サイトでも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる