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一皿目 採用試験と練り切り
その6 衝撃と九尾の狐
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テーブルに着いた蘭丸は、練り切りが載った銘々皿をじっと見つめた。
「このきれいな練り切りを、菜々美ちゃんがひとりで?」
「そうだ。餡はうちのだが、あとは菜々美がひとりで作った」
蘭丸は「美味そう」と目を輝かせ、黒文字を手に取った。小さく切って口に運び、目を閉じて咀嚼し、コクコクと頷く。
「うん。いける! これなら『夕さり』で出せるよ!」
蘭丸の賛辞を受けて、菜々美は「ありがとうございます」と頭を下げた。嬉しさと安堵で大きく息を吐く。
「菜々美ちゃんも食べた? ほら、味見しなよ。菜々美ちゃんが作ったんだから」
蘭丸が笑顔で勧めてくれる。咲人のほうを見ると頷いてくれたので、菜々美もひとついただくことにする。
黒文字を動かし、咀嚼しすると、さらりとした滑らかな食感が舌の上でとろけ、我ながら上出来だと思った。
咲人が独り言のようにつぶやく。
「大したものは作れないと思っていたが、集中すると手際もよかった」
「咲人くん、それじゃあ菜々美ちゃんは合格ってこと?」
蘭丸の問いに、菜々美の心臓がぎゅっと捩じられ、コクリと喉が鳴った。
咲人は真っ直ぐに菜々美を見つめ、切れ長の瞳をそっと緩めた。
「――ああ、合格だ。菜々美、『甘味堂夕さり』へ来てほしい」
「は、はい! ありがとうございます。どうぞよろしくお願いします」
じわりと熱いものが込み上げてきて、菜々美は心の中で叫ぶ。
(お母さん、美月、採用になったよ……!)
「よかったね、菜々美ちゃん」
蘭丸が笑顔で拍手している。
メールで母たちに知らせようと、菜々美がバッグを手にした時、咲人が冷やかに言った。
「蘭丸、少しの間、菜々美と俺を二人きりにしてくれるか」
「えっ?」
咲人の言葉に、菜々美と蘭丸の驚いた声が重なった。
「菜々美はまだ、あのことを知らない。翡翠のピアスだけ手渡している」
「それは……やばいかも。菜々美ちゃんは普通の子でしょ? 大丈夫かな」
蘭丸が困ったように、ちらちらと菜々美の方を見ている。
(あのことってなんのことだろう……勤務条件かな……?)
菜々美は小首を傾げる。
ガタンと音をさせて、蘭丸が立ち上がった。
「菜々美ちゃん、僕は二階で仕事をしてくるね。やはり店長の咲人くんから説明してもらうのがいいと思うんだ」
そそくさと蘭丸が店内の奥から出て行くのを見て、菜々美はさらに首をひねる。
「蘭丸さんは二階でお仕事を?」
「ああ。蘭丸の本業は、フリーランスのデザイナーで、二階の一部屋を貸している。店を手伝ってほしい時に呼べばすぐに降りてくるから……いや、そんなことより菜々美、よく聞いてくれ」
改まった口調の咲人に、菜々美は「はい」と居住まいを正し、テーブルをはさんで真剣な顔になった咲人と向き合う。
先ほどまで黒かった彼の瞳の色が明るくなっている気がした。それに店内の空気まで変化したように感じる。
「お前に翡翠のピアスを手渡した意味を――説明する」
「このピアスですね」
菜々美はそっと片方の耳朶のピアスに指先で触れた。微かに熱を帯びている。
「ここは人界と異界の狭間だ。人間が入って来られないよう、狭間には結界が張られている。そのため、妖力を持たない者が通る時は、翡翠のイヤリングが必要だ」
「え? あの……? 人界とか異界って……? それに妖力って、何のことでしょう……?)
さっぱり意味が分からず、きょとんと目をまたたかせる菜々美に、咲人は視線を揺らした。美麗な顔に影が落ちている。
「ここは特別な客が来店する甘味堂だ。お前は、あやかしを……妖怪を知っているか?」
ますます菜々美は混乱した。保育士をしている母の智子は、絵本をたくさん所有しており、中でも妖怪の絵本が好きで集めている。
「えっと、大蛇とか九尾の狐とか天狗とか。絵本や昔話で読んだことがあります」
「読んだだけか? 見たことはないのか? 一度も?」
咲人の鋭い眼光が菜々美を捕え、二人きりの店内の空気が絶対零度まで一気に下がっていく。
「あ、あの……?」
「答えろ。お前はさっき、『九尾の狐』という例えを出した。そうれはなぜだ? そういうものへの恐怖心や嫌悪感は?」
美形な男性が真摯な顔になると、激怒しているような表情になるらしい。『さっき』が『殺気』に聞こえる。
彼はじっと菜々美を睨んだまま、ゆっくりと立ち上がった。菜々美は思わず呼吸を忘れ、手のひらを握りしめる。
「わ、私の母が保育士をしているので、そういう絵本を読んだことがあるんです。もちろん見たことはありません。小さな頃は本当にいるのだと思ってました。そのためか、恐怖心はあまりなんですが……」
「恐怖心がないのは助かる」
咲人は安心したように深いため息をつき、菜々美から視線を外さず続ける。
「そのまま見ていろ。言葉で説明するより理解が早いだろう」
右手の中指と親指を合わせ、咲人がパチンと音を鳴らした。
途端に、ゆらりと咲人の周囲の空気が揺らぎ、透明で眩い光を放ちながら歪み出す。
ゆらゆらと陽炎のような白色の光に包まれ、菜々美には咲人の姿が変化していく様子がスローモーションのように見える。
それは一瞬の間だった。すぐに光りが弱まると、菜々美は目を剥いた。
彼の圧倒的な美麗さは少しも変わっていないが、長い黒髪は光輝く白銀色に代わっていた。
しかも頭部に、先ほどまでなかったはずの髪と同色のふさふさとした獣耳が現れている。
「み、耳が……な、んで……、それ……本物……ですか?」
唖然とつぶやいた菜々美に見せつけるように、咲人は後ろを向いた。
彼の長い白銀の髪と同じ色の尻尾が九本、装束の裾から出て、炎のように揺らめいている。
愕然となって唇を開いたまま固まった菜々美に、咲人がゆっくり振り返った。
「俺は、九尾の狐のあやかしだ」
菜々美は目を見開いたまま、目の前の美しい顔を見つめた。
「……ほ、本当に? そんな……まさか」
動揺して声が震えると、咲人はふっと口角を上げ、目を細めた。
「菜々美、よく聞いてくれ。古来より人間にとって、我々あやかしの存在は恐ろしいものだった。だが実際に人界に多くのあやかしが、人間に紛れて暮らしている。数の上では人間の方が圧倒的に多い。そして人間はあやかしの存在自体を恐れ、攻撃対象として退治しようとする。だからあやかしは正体を隠し、人界で人型を取って暮らしてきたんだ――」
凛とした咲人の声は不思議と耳を打ち、動揺している菜々美の胸の中へと浸みていく。
「このきれいな練り切りを、菜々美ちゃんがひとりで?」
「そうだ。餡はうちのだが、あとは菜々美がひとりで作った」
蘭丸は「美味そう」と目を輝かせ、黒文字を手に取った。小さく切って口に運び、目を閉じて咀嚼し、コクコクと頷く。
「うん。いける! これなら『夕さり』で出せるよ!」
蘭丸の賛辞を受けて、菜々美は「ありがとうございます」と頭を下げた。嬉しさと安堵で大きく息を吐く。
「菜々美ちゃんも食べた? ほら、味見しなよ。菜々美ちゃんが作ったんだから」
蘭丸が笑顔で勧めてくれる。咲人のほうを見ると頷いてくれたので、菜々美もひとついただくことにする。
黒文字を動かし、咀嚼しすると、さらりとした滑らかな食感が舌の上でとろけ、我ながら上出来だと思った。
咲人が独り言のようにつぶやく。
「大したものは作れないと思っていたが、集中すると手際もよかった」
「咲人くん、それじゃあ菜々美ちゃんは合格ってこと?」
蘭丸の問いに、菜々美の心臓がぎゅっと捩じられ、コクリと喉が鳴った。
咲人は真っ直ぐに菜々美を見つめ、切れ長の瞳をそっと緩めた。
「――ああ、合格だ。菜々美、『甘味堂夕さり』へ来てほしい」
「は、はい! ありがとうございます。どうぞよろしくお願いします」
じわりと熱いものが込み上げてきて、菜々美は心の中で叫ぶ。
(お母さん、美月、採用になったよ……!)
「よかったね、菜々美ちゃん」
蘭丸が笑顔で拍手している。
メールで母たちに知らせようと、菜々美がバッグを手にした時、咲人が冷やかに言った。
「蘭丸、少しの間、菜々美と俺を二人きりにしてくれるか」
「えっ?」
咲人の言葉に、菜々美と蘭丸の驚いた声が重なった。
「菜々美はまだ、あのことを知らない。翡翠のピアスだけ手渡している」
「それは……やばいかも。菜々美ちゃんは普通の子でしょ? 大丈夫かな」
蘭丸が困ったように、ちらちらと菜々美の方を見ている。
(あのことってなんのことだろう……勤務条件かな……?)
菜々美は小首を傾げる。
ガタンと音をさせて、蘭丸が立ち上がった。
「菜々美ちゃん、僕は二階で仕事をしてくるね。やはり店長の咲人くんから説明してもらうのがいいと思うんだ」
そそくさと蘭丸が店内の奥から出て行くのを見て、菜々美はさらに首をひねる。
「蘭丸さんは二階でお仕事を?」
「ああ。蘭丸の本業は、フリーランスのデザイナーで、二階の一部屋を貸している。店を手伝ってほしい時に呼べばすぐに降りてくるから……いや、そんなことより菜々美、よく聞いてくれ」
改まった口調の咲人に、菜々美は「はい」と居住まいを正し、テーブルをはさんで真剣な顔になった咲人と向き合う。
先ほどまで黒かった彼の瞳の色が明るくなっている気がした。それに店内の空気まで変化したように感じる。
「お前に翡翠のピアスを手渡した意味を――説明する」
「このピアスですね」
菜々美はそっと片方の耳朶のピアスに指先で触れた。微かに熱を帯びている。
「ここは人界と異界の狭間だ。人間が入って来られないよう、狭間には結界が張られている。そのため、妖力を持たない者が通る時は、翡翠のイヤリングが必要だ」
「え? あの……? 人界とか異界って……? それに妖力って、何のことでしょう……?)
さっぱり意味が分からず、きょとんと目をまたたかせる菜々美に、咲人は視線を揺らした。美麗な顔に影が落ちている。
「ここは特別な客が来店する甘味堂だ。お前は、あやかしを……妖怪を知っているか?」
ますます菜々美は混乱した。保育士をしている母の智子は、絵本をたくさん所有しており、中でも妖怪の絵本が好きで集めている。
「えっと、大蛇とか九尾の狐とか天狗とか。絵本や昔話で読んだことがあります」
「読んだだけか? 見たことはないのか? 一度も?」
咲人の鋭い眼光が菜々美を捕え、二人きりの店内の空気が絶対零度まで一気に下がっていく。
「あ、あの……?」
「答えろ。お前はさっき、『九尾の狐』という例えを出した。そうれはなぜだ? そういうものへの恐怖心や嫌悪感は?」
美形な男性が真摯な顔になると、激怒しているような表情になるらしい。『さっき』が『殺気』に聞こえる。
彼はじっと菜々美を睨んだまま、ゆっくりと立ち上がった。菜々美は思わず呼吸を忘れ、手のひらを握りしめる。
「わ、私の母が保育士をしているので、そういう絵本を読んだことがあるんです。もちろん見たことはありません。小さな頃は本当にいるのだと思ってました。そのためか、恐怖心はあまりなんですが……」
「恐怖心がないのは助かる」
咲人は安心したように深いため息をつき、菜々美から視線を外さず続ける。
「そのまま見ていろ。言葉で説明するより理解が早いだろう」
右手の中指と親指を合わせ、咲人がパチンと音を鳴らした。
途端に、ゆらりと咲人の周囲の空気が揺らぎ、透明で眩い光を放ちながら歪み出す。
ゆらゆらと陽炎のような白色の光に包まれ、菜々美には咲人の姿が変化していく様子がスローモーションのように見える。
それは一瞬の間だった。すぐに光りが弱まると、菜々美は目を剥いた。
彼の圧倒的な美麗さは少しも変わっていないが、長い黒髪は光輝く白銀色に代わっていた。
しかも頭部に、先ほどまでなかったはずの髪と同色のふさふさとした獣耳が現れている。
「み、耳が……な、んで……、それ……本物……ですか?」
唖然とつぶやいた菜々美に見せつけるように、咲人は後ろを向いた。
彼の長い白銀の髪と同じ色の尻尾が九本、装束の裾から出て、炎のように揺らめいている。
愕然となって唇を開いたまま固まった菜々美に、咲人がゆっくり振り返った。
「俺は、九尾の狐のあやかしだ」
菜々美は目を見開いたまま、目の前の美しい顔を見つめた。
「……ほ、本当に? そんな……まさか」
動揺して声が震えると、咲人はふっと口角を上げ、目を細めた。
「菜々美、よく聞いてくれ。古来より人間にとって、我々あやかしの存在は恐ろしいものだった。だが実際に人界に多くのあやかしが、人間に紛れて暮らしている。数の上では人間の方が圧倒的に多い。そして人間はあやかしの存在自体を恐れ、攻撃対象として退治しようとする。だからあやかしは正体を隠し、人界で人型を取って暮らしてきたんだ――」
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