7 / 63
7.
しおりを挟む
「や…」
「ないの?」
「……はぁ、……ない、です…」
だから。俺はこないだまで普通の小学生だったんだってば。
「えー。ほんと?いっくんってすっごく大人っぽいから…、もういろいろ経験済みかと思った」
いろいろって何だろう。
「…そうですか?」
「うん。敬語やめて」
「……。……うん」
「……してみる?」
「……。……あ?え?」
半分ボーッとしていた俺は、ワンテンポ遅れて先輩の言葉を理解し、驚いて顔を見る。先輩は俺の真横で上目遣いで俺を見ながらもう一度言った。
「キス。……してみる?私と」
「……。……、……や、……いい、です」
「…はぁ?」
「え?」
「いいですって、何?」
「……えっ、と……」
だって別にそんなことしたくない。この人のこと好きでもないし…。なんでちょっと怒ってるんだろ。怖いんだけど。
キスと言われて、こんな状況なのに俺は全く別のことを思い出していた。引っ越して行く前に、小学校の教室の中で、颯太が俺の頬にキスをしてくれたことを。…あの時、なんかすげぇ嬉しかったんだよな。めちゃくちゃ恥ずかしかったのに、すげぇ嬉しくて、ずっとこのままでいられたらいいのに…って思ってた。颯太、今頃何してんのかな…。
「……ねぇってば!」
「えっ?!は、はいっ。すんません」
我に返るとめちゃくちゃ怖い顔をした先輩が俺の腕を力いっぱい引っ張っていた。
「なんでそんなにボーッとしてるわけ?!」
「や、…すみません、…ぶ、部活で、ちょっと疲れてて…」
「敬語やめてってば!」
「はっ、はいっ。いや、う、うん…」
だからなんでそんな怒ってるんだ。めっちゃ怖ぇ。
「……女の子の方からさ、キスする?って聞いてるのに……。…いいですって、何よ。何でそんなこと言うの?!」
先輩の目が突然うるうるとしてきた。
「え、えっ?!や、……あ、あの」
年上の女の子を泣かせてしまったことで俺はパニックになった。やべぇ。何でか分からないけど急に泣き出した。しまった。どうしよ。怖ぇ。
「……わ、私のこと……、好きじゃないの?…私…、可愛くない?イヤ?」
「い、いや、全然そんなこ…っ、……か、可愛いし、……、す、……好き、だよ」
敬語使わない、敬語使わない……。俺はこれ以上先輩を刺激しないように必死で指示を守りつつ先輩の言葉を否定する。頼むから泣かないでくれ。どうかお願いします。俺の願いとはうらはらに、先輩の目からついにポロリと涙が零れた。恨めしげな顔で口元をギュッと引き結び、俺をじっと見つめてくる。
…よし、言いたいことは分かった。すればいいんだろ、すれば。
俺は溜息をつきたいのをぐっとこらえて、おずおずと先輩に近づく。先輩はすぐさま目を閉じる。
「……。」
俺は渋々、触れるだけのキスをした。……柔らかいな。柔らかくて、温かい。それだけ。なんか変な感じだった。
「……。…もっとして」
「…………。」
すぐに離れると、先輩がそうねだる。俺は黙って従った。
もう一度唇を軽く触れさせると、先輩が俺の両肩に腕を回してぎゅうっとくっついてくる。俺のキスが物足りなかったのか、積極的に唇を何度も押し当てながら、時折俺の唇を軽く甘噛みするような仕草をする。されるがままになっていた俺は、さっきまでとは違う、ゾクゾクするような妙な感覚を味わっていた。
そのまま先輩が俺の上に跨がって向かい合うように座ってきた。体が密着する。するとふいに、先輩の舌が俺の口の中に入ってきた。
「……っ?!」
俺はビックリして思わず目を開ける。目を閉じた先輩の綺麗な顔がどアップで目の前にあって、その先輩は夢中で俺に舌を絡めている。
「………………っ、……ふ」
何度も角度を変えながら、俺の舌を誘うように引き出し、自分の舌をくちゅっ、と音を立てながら絡める。初めてのその感覚に翻弄されているうちに、しだいに頭に霞がかかったようにボーッとしてきた。
……なんだ、これ……。めちゃくちゃ気持ちいい……。
俺は先輩から与えられる初めての快感に夢中になっていった。されるがままだった俺は無意識のうちに先輩の背中に手を回し、強く抱き寄せる。互いに息を荒げて貪り合うように舌を絡めるキスを繰り返しながら、俺の頭の片隅にほんの少しだけ残った冷静な部分が叫んでいた。
何でこの人こんなに上手いんだ?!中3だぞ?おかしくね?どんだけ経験豊富なんだよ。
「……はぁっ、……ね、…固くなってる、いっくん」
「……はっ、……はぁ、……はぁ……。……え?」
先輩はそう言うと俺の股間に手を伸ばして、ズボンの上からそっと手で俺のモノを撫でた。
「……っ!」
ふいに電流がビリリッと流れたような変な感覚がその部分から背中を駆け上がり、俺の体がビクンと反応する。な、何だこれ…っ。何、今の…。なんか、す、すごく……
「……触ってあげようか?」
先輩が上気した色っぽい顔で俺にそう言った。
「…………っ」
俺はごくりと生唾を飲み、先輩にされるがままになった。何も言わない俺をどう思ったのか、先輩はおもむろに俺のズボンのファスナーを下ろし、中に手を突っ込んできた。
「うっ!!」
な、何してるんだよこの人……っ!何だこれ…っ。
先輩は下着の上から俺の固くなったモノを何度も擦る。手を動かすたびに 脳みそが溶けそうなくらいの快感が体を駆け抜けて、俺の理性を奪っていく。
き、…気持ちいい…っ!
「は……、はぁっ、はぁっ、はぁっ……!」
俺はいつの間にか無意識に腰をガクガクと動かしていた。たまらない快感に我を忘れた。ふと気付くと、先輩は下着の中から俺のモノを取り出し、優しく握って直接扱きだした。
「うあっ!……あ、……あぁっ!」
頭の中がグラグラになり、視界さえも定まらない。喉を逸らしてはぁはぁと喘ぎながら与えられる快楽に溺れていると、先輩が耳元でまるでいたずらでも思いついたかのように囁いた。
「ねぇ……、このまま、しちゃう?」
「ないの?」
「……はぁ、……ない、です…」
だから。俺はこないだまで普通の小学生だったんだってば。
「えー。ほんと?いっくんってすっごく大人っぽいから…、もういろいろ経験済みかと思った」
いろいろって何だろう。
「…そうですか?」
「うん。敬語やめて」
「……。……うん」
「……してみる?」
「……。……あ?え?」
半分ボーッとしていた俺は、ワンテンポ遅れて先輩の言葉を理解し、驚いて顔を見る。先輩は俺の真横で上目遣いで俺を見ながらもう一度言った。
「キス。……してみる?私と」
「……。……、……や、……いい、です」
「…はぁ?」
「え?」
「いいですって、何?」
「……えっ、と……」
だって別にそんなことしたくない。この人のこと好きでもないし…。なんでちょっと怒ってるんだろ。怖いんだけど。
キスと言われて、こんな状況なのに俺は全く別のことを思い出していた。引っ越して行く前に、小学校の教室の中で、颯太が俺の頬にキスをしてくれたことを。…あの時、なんかすげぇ嬉しかったんだよな。めちゃくちゃ恥ずかしかったのに、すげぇ嬉しくて、ずっとこのままでいられたらいいのに…って思ってた。颯太、今頃何してんのかな…。
「……ねぇってば!」
「えっ?!は、はいっ。すんません」
我に返るとめちゃくちゃ怖い顔をした先輩が俺の腕を力いっぱい引っ張っていた。
「なんでそんなにボーッとしてるわけ?!」
「や、…すみません、…ぶ、部活で、ちょっと疲れてて…」
「敬語やめてってば!」
「はっ、はいっ。いや、う、うん…」
だからなんでそんな怒ってるんだ。めっちゃ怖ぇ。
「……女の子の方からさ、キスする?って聞いてるのに……。…いいですって、何よ。何でそんなこと言うの?!」
先輩の目が突然うるうるとしてきた。
「え、えっ?!や、……あ、あの」
年上の女の子を泣かせてしまったことで俺はパニックになった。やべぇ。何でか分からないけど急に泣き出した。しまった。どうしよ。怖ぇ。
「……わ、私のこと……、好きじゃないの?…私…、可愛くない?イヤ?」
「い、いや、全然そんなこ…っ、……か、可愛いし、……、す、……好き、だよ」
敬語使わない、敬語使わない……。俺はこれ以上先輩を刺激しないように必死で指示を守りつつ先輩の言葉を否定する。頼むから泣かないでくれ。どうかお願いします。俺の願いとはうらはらに、先輩の目からついにポロリと涙が零れた。恨めしげな顔で口元をギュッと引き結び、俺をじっと見つめてくる。
…よし、言いたいことは分かった。すればいいんだろ、すれば。
俺は溜息をつきたいのをぐっとこらえて、おずおずと先輩に近づく。先輩はすぐさま目を閉じる。
「……。」
俺は渋々、触れるだけのキスをした。……柔らかいな。柔らかくて、温かい。それだけ。なんか変な感じだった。
「……。…もっとして」
「…………。」
すぐに離れると、先輩がそうねだる。俺は黙って従った。
もう一度唇を軽く触れさせると、先輩が俺の両肩に腕を回してぎゅうっとくっついてくる。俺のキスが物足りなかったのか、積極的に唇を何度も押し当てながら、時折俺の唇を軽く甘噛みするような仕草をする。されるがままになっていた俺は、さっきまでとは違う、ゾクゾクするような妙な感覚を味わっていた。
そのまま先輩が俺の上に跨がって向かい合うように座ってきた。体が密着する。するとふいに、先輩の舌が俺の口の中に入ってきた。
「……っ?!」
俺はビックリして思わず目を開ける。目を閉じた先輩の綺麗な顔がどアップで目の前にあって、その先輩は夢中で俺に舌を絡めている。
「………………っ、……ふ」
何度も角度を変えながら、俺の舌を誘うように引き出し、自分の舌をくちゅっ、と音を立てながら絡める。初めてのその感覚に翻弄されているうちに、しだいに頭に霞がかかったようにボーッとしてきた。
……なんだ、これ……。めちゃくちゃ気持ちいい……。
俺は先輩から与えられる初めての快感に夢中になっていった。されるがままだった俺は無意識のうちに先輩の背中に手を回し、強く抱き寄せる。互いに息を荒げて貪り合うように舌を絡めるキスを繰り返しながら、俺の頭の片隅にほんの少しだけ残った冷静な部分が叫んでいた。
何でこの人こんなに上手いんだ?!中3だぞ?おかしくね?どんだけ経験豊富なんだよ。
「……はぁっ、……ね、…固くなってる、いっくん」
「……はっ、……はぁ、……はぁ……。……え?」
先輩はそう言うと俺の股間に手を伸ばして、ズボンの上からそっと手で俺のモノを撫でた。
「……っ!」
ふいに電流がビリリッと流れたような変な感覚がその部分から背中を駆け上がり、俺の体がビクンと反応する。な、何だこれ…っ。何、今の…。なんか、す、すごく……
「……触ってあげようか?」
先輩が上気した色っぽい顔で俺にそう言った。
「…………っ」
俺はごくりと生唾を飲み、先輩にされるがままになった。何も言わない俺をどう思ったのか、先輩はおもむろに俺のズボンのファスナーを下ろし、中に手を突っ込んできた。
「うっ!!」
な、何してるんだよこの人……っ!何だこれ…っ。
先輩は下着の上から俺の固くなったモノを何度も擦る。手を動かすたびに 脳みそが溶けそうなくらいの快感が体を駆け抜けて、俺の理性を奪っていく。
き、…気持ちいい…っ!
「は……、はぁっ、はぁっ、はぁっ……!」
俺はいつの間にか無意識に腰をガクガクと動かしていた。たまらない快感に我を忘れた。ふと気付くと、先輩は下着の中から俺のモノを取り出し、優しく握って直接扱きだした。
「うあっ!……あ、……あぁっ!」
頭の中がグラグラになり、視界さえも定まらない。喉を逸らしてはぁはぁと喘ぎながら与えられる快楽に溺れていると、先輩が耳元でまるでいたずらでも思いついたかのように囁いた。
「ねぇ……、このまま、しちゃう?」
10
あなたにおすすめの小説
イケメン俳優は万年モブ役者の鬼門です
はねビト
BL
演技力には自信があるけれど、地味な役者の羽月眞也は、2年前に共演して以来、大人気イケメン俳優になった東城湊斗に懐かれていた。
自分にはない『華』のある東城に対するコンプレックスを抱えるものの、どうにも東城からのお願いには弱くて……。
ワンコ系年下イケメン俳優×地味顔モブ俳優の芸能人BL。
外伝完結、続編連載中です。
わがまま放題の悪役令息はイケメンの王に溺愛される
水ノ瀬 あおい
BL
若くして王となった幼馴染のリューラと公爵令息として生まれた頃からチヤホヤされ、神童とも言われて調子に乗っていたサライド。
昔は泣き虫で気弱だったリューラだが、いつの間にか顔も性格も身体つきも政治手腕も剣の腕も……何もかも完璧で、手の届かない眩しい存在になっていた。
年下でもあるリューラに何一つ敵わず、不貞腐れていたサライド。
リューラが国民から愛され、称賛される度にサライドは少し憎らしく思っていた。
【BL】正統派イケメンな幼馴染が僕だけに見せる顔が可愛いすぎる!
ひつじのめい
BL
αとΩの同性の両親を持つ相模 楓(さがみ かえで)は母似の容姿の為にΩと思われる事が多々あるが、説明するのが面倒くさいと放置した事でクラスメイトにはΩと認識されていたが楓のバース性はαである。
そんな楓が初恋を拗らせている相手はαの両親を持つ2つ年上の小野寺 翠(おのでら すい)だった。
翠に恋人が出来た時に気持ちも告げずに、接触を一切絶ちながらも、好みのタイプを観察しながら自分磨きに勤しんでいたが、実際は好みのタイプとは正反対の風貌へと自ら進んでいた。
実は翠も幼い頃の女の子の様な可愛い楓に心を惹かれていたのだった。
楓がΩだと信じていた翠は、自分の本当のバース性がβだと気づかれるのを恐れ、楓とは正反対の相手と付き合っていたのだった。
楓がその事を知った時に、翠に対して粘着系の溺愛が始まるとは、この頃の翠は微塵も考えてはいなかった。
※作者の個人的な解釈が含まれています。
※Rシーンがある回はタイトルに☆が付きます。
染まらない花
煙々茸
BL
――六年前、突然兄弟が増えた。
その中で、四歳年上のあなたに恋をした。
戸籍上では兄だったとしても、
俺の中では赤の他人で、
好きになった人。
かわいくて、綺麗で、優しくて、
その辺にいる女より魅力的に映る。
どんなにライバルがいても、
あなたが他の色に染まることはない。
【完結】君を上手に振る方法
社菘
BL
「んー、じゃあ俺と付き合う?」
「………はいっ?」
ひょんなことから、入学して早々距離感バグな見知らぬ先輩にそう言われた。
スクールカーストの上位というより、もはや王座にいるような学園のアイドルは『告白を断る理由が面倒だから、付き合っている人がほしい』のだそう。
お互いに利害が一致していたので、付き合ってみたのだが――
「……だめだ。僕、先輩のことを本気で……」
偽物の恋人から始まった不思議な関係。
デートはしたことないのに、キスだけが上手くなる。
この関係って、一体なに?
「……宇佐美くん。俺のこと、上手に振ってね」
年下うさぎ顔純粋男子(高1)×精神的優位美人男子(高3)の甘酸っぱくじれったい、少しだけ切ない恋の話。
✧毎日2回更新中!ボーナスタイムに更新予定✧
✧お気に入り登録・各話♡・エール📣作者大歓喜します✧
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
【完結】後悔は再会の果てへ
関鷹親
BL
日々仕事で疲労困憊の松沢月人は、通勤中に倒れてしまう。
その時に助けてくれたのは、自らが縁を切ったはずの青柳晃成だった。
数年ぶりの再会に戸惑いながらも、変わらず接してくれる晃成に強く惹かれてしまう。
小さい頃から育ててきた独占欲は、縁を切ったくらいではなくなりはしない。
そうして再び始まった交流の中で、二人は一つの答えに辿り着く。
末っ子気質の甘ん坊大型犬×しっかり者の男前
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる