ずっと二人で。ー俺と大好きな幼なじみとの20年間の恋の物語ー

紗々

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「……っ、はぁっ、はぁっ…、……え、……え?」

 俺は朦朧としていて何を言われたのかよく分からない。ただひたすらに気持ちがよくて、止めてほしくなかった。

「う……、うん、……うんっ」

 とりあえずコクコクと頷く。あぁ……すげぇ気持ちいい……っ。お願い、もっとして……。

「大丈夫だよ。……ゴム、持ってるから」

 不慣れな俺のことは置き去りに、先輩は制服のスカートの下からさっさと自分の下着を脱ぐと、俺のズボンとパンツも中途半端にずり降ろし、俺のガチガチに固くなったモノに手際よく避妊具を着け始めた。…なんでこの人、こんなに慣れてるんだろう…。本当に中学生…?中3って、こんなもんなのか?次々に疑問が頭をよぎったが、そんなことよりもこれから与えられるであろう快楽の方が俺にはよっぽど重要だった。先輩のあばずれっぷりはこの際もうどうでもよかった。
 再び俺の上に跨がると、先輩は俺のを右手で掴んで迷いもなく自分の中にするりと導いた。

「うっ!……う、あ……っ」

 温かく締め付けてくる先輩の中に包まれて、頭が真っ白になるほどの快感が全身を貫き、俺は仰け反り呻いた。なんだこれ。すごい……っ!
 先輩は俺の上で前後に腰をくねらせ喘ぐ。俺はもう無我夢中で先輩の動きに合わせて腰を振り、何度も何度も射精した。

 自慰さえもまだしたことのなかった俺は、その日初めてのセックスをした。



「……………………。」

 夜、俺はマンションの自分の部屋でベッドに寝転んでボーッと天井を見つめていた。今日自分の身に起こったことが夢だったんじゃないかと思うほどに、今となっては現実味がなかった。マジで夢でも見てたんじゃないか…?俺。したことはないが、多少の知識は持っていた。男だけで集まってヒソヒソと面白おかしく話した、大人の秘め事のような未知の行為。自分がそれを経験するのは、まだまだずっと先のことだと思っていた。こんな簡単なことだったのか、セックスって。

 ふと、颯太のことを思った。颯太は自分でしたりすることあるんだろうか。まさか、颯太ももう誰かと…。
 …いや、絶対にない。あるわけない、そんなこと。颯太に限って。
 俺は何故だかその可能性を全力で否定したかった。自分のことは完全に棚に上げて。
 これ以上、このことと颯太のことを一緒に考えてはいけない気がして、俺は無理矢理そこから意識を逸らした。



 次の日、いつもの通り遅刻ギリギリに学校に着き教室に入るやいなや数人の男友達に囲まれた。

「おいっ!樹!お前マジでヤったのか?!」
「あ?何を?」
「とぼけんなよおい!3年の先輩たちがすげー話してたぞ!お前が彩音先輩とヤったって!」
「………………。は?」
「お前マジで羨ましすぎるだろ!」
「で?!どうだったんだよ?どんな感じだった?」
「………………。や、いや…、ち、ちょっと待った……」

 周りにぎゅうぎゅう詰めにたかってきた友達らに押し潰されそうになりながら、俺は混乱する頭で必死で考えた。あり得ない。なんでこんなすぐに知れ渡る?俺は誰にも喋っていない。当たり前だけど。
 ともかく先輩と話さねば。俺は午前の授業の間ほとんど上の空だった。こんなことが噂になったら先輩がどんなに傷つくか……。
 まだまだピュアだった俺は、そんな風に考えて思い悩んだ。

 昼休みになるやいなや、俺は弁当も食べずに彩音先輩を探しに行った。3年の教室を覗きに行くと周りの人たちにヒソヒソされたり睨まれたり。すげぇ怖かったけど、見渡しても彩音先輩はいない。俺のことを思いっきり睨みつけてくる男の先輩たちに話しかけて聞く勇気はなく、俺は教室を離れて廊下をウロウロしながら探し回った。
 別棟との間の渡り廊下をキョロキョロしながら歩いている時に、やたらと大声ではしゃいでいる女たちの声が聞こえてきた。

「えー!マジでー!すごーい彩音」
「んー、もーホント全然慣れてないかんじでさ、すっごい可愛いの。もうさっさとパンツ脱いで私から上に跨がってヤってやったよ」
「きゃー!!きゃはははは」
「あんた盛り過ぎでしょそれ」

「……………………。」

 いや、まさか。マジかよ。俺は血の気が引いた。騒がしい声は渡り廊下の外側、中庭の片隅から聞こえてくる。校舎の影になるところに4、5人の女が固まって座ってギャーギャー騒ぎながら、俺と彩音先輩との昨日の行為を面白おかしく話している。

「いいなー彩音。ホント羨ましい!次々イケメン落とすんだもーん」
「今年の新1年の中じゃあの子が断トツだったよね」
「ふふん。まぁ見た目イケてないとヤる気にならないしねー」

 昨日俺の上に乗っかった人が、まんざらでもなさそうにそんなことを言っている。

「で?で?何回ぐらいヤったの?」
「めちゃくちゃヤりまくったよ。もー腰痛いもん今日。いっくんすっごい興奮しててさ、何回もイってた」
「きゃーっ!ヤダー!」
「マジマジ。ゴムのストックなくなったもん」
「すごすぎ!!きゃはははは」

 目の前が真っ暗になり、俺はガクリと崩れ落ちた。し……、信じられねぇ……。ショックなんてもんじゃなかった。目まいがする。こういうことは二人だけの秘め事だと勝手に思い込んでいたが、不慣れな童貞の初めてのセックスの話はあばずれ先輩によって面白おかしく拡散されていた。
 おい!やめろよ!!なんて3年生を怒鳴りつける度胸もなくて、俺はヨロヨロと教室に戻った。どうしよう。あんなに言いふらしまくって、こんなことがもしうちの親の耳にでも入れば、……中学に上がったばかりでもう上級生の女とヤったなんて知られたら、俺は殺されるかもしれない。コミュ力の高い母親にママ友や知り合いが多いことが俺をより一層怯えさせていた。
 午後の授業もまったく頭に入ってこなかった。ショックで、悔しくて、恥ずかしくて……、己の浅はかさがほとほと嫌になった。あんなバカ女に乗っかられて簡単に理性を手放して…。もうこれで学校中の笑いものだ。俺は頭を抱えた。



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