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ことあるごとに私の近くにいるようになった姉はオリバーと過度なスキンシップをとっていたのだが、その様子を姉の婚約者レオが見てしまった。しかも、ちょうど私がいないタイミングで、姉はオリバーと二人だった。
レオは国王の三男で、いわゆる第三王子だ。姉は美貌と教養を見込まれて王家へ嫁ぐことになっていた。エバンズ家からすると、王家とのこれ以上ない縁談だった。
「ソフィア! ソフィアじゃないか! なんでその男とくっついて歩いている?」
「レオ様!? なぜこのようなところにいらっしゃるのですか!?」
「城へ帰る途中だ。その男は誰だ? なぜ荷物を運んでいる?」
「この人は妹の婚約者です。妹の引っ越しを手伝っていただけなのです。誤解なさらないでください!」
「妹の婚約者と、どうしてそんなに親しげに歩いているんだ! 心のきれいな女性だと思っていたのに、軽い女だったとはな! 結婚の話は無しにする。今日父上に申し上げておく」
「お待ちください。勘違いなさっています。私にはレオ様しかおりません。信じてください……」
「浮気女が口を開くな! 汚らわしい!」
レオはお付きの者に何かを耳打ちして、立ち去った。
という事件だったそうだ。私も姉に付き添っていた使用人に聞いただけだから詳細はわからない。姉とオリバーが家に帰ったとき、私は自分の部屋の片付けをしていた。
道中での事件を聞いて両親も姉もお通夜のような状態になった。貞操を重んじる王家だから、破談もしかたないだろう。
正直、私は心のなかでは可笑しくてたまらなかった。姉は自分で調子に乗って自爆した。姉の本性がレオにわかってもらえて最高の気分。なんでも思いどおりになる人生だったからオリバーにも手を出したかったのかもしれないけど、ざまぁみろという感じ。
後日、王家からの使者で正式な婚約破棄の手続きが行われた。裁判を起こすこともできるが、王家の息のかかった裁判所ではどうしようもできない。それに裁判などしてしまっては伯爵の立場そのものが危うくなってしまう。むしろエバンズ家が恐れていたのは、裁判を起こされてしまうことだった。父は急いで嘆願書と慰謝料を王家に送った。
両親は相変わらずソフィアを慰めていて「きっとなにかの間違いよ。レオ様もお許しくださるはず」などと言っていたが、王家の印がついた文書が来たとなると、望みはほとんどない。両親にとっても姉にとっても気の毒な話ではあるが、私の心はすっきりしていて、幼少の頃からのつっかえがとれたような気がしている。こんなに清々しい気持ちになったのは初めてかもしれない。
私は自分の部屋の片付けを止めていた。
オリバーが来る日になって、私はオリバーと話をしようと思った。姉は婚約破棄されたのだし、それには少なからずオリバーの責任もある。オリバーがはっきり断っていれば、今回の騒動にはならなかったかもしれない。私にとっては嬉しい騒動なのだが。
「オリバー、話があるの」
「……わかったよ……」
オリバーは顔面蒼白で、呼吸をしているのがやっとのような様子だった。
レオは国王の三男で、いわゆる第三王子だ。姉は美貌と教養を見込まれて王家へ嫁ぐことになっていた。エバンズ家からすると、王家とのこれ以上ない縁談だった。
「ソフィア! ソフィアじゃないか! なんでその男とくっついて歩いている?」
「レオ様!? なぜこのようなところにいらっしゃるのですか!?」
「城へ帰る途中だ。その男は誰だ? なぜ荷物を運んでいる?」
「この人は妹の婚約者です。妹の引っ越しを手伝っていただけなのです。誤解なさらないでください!」
「妹の婚約者と、どうしてそんなに親しげに歩いているんだ! 心のきれいな女性だと思っていたのに、軽い女だったとはな! 結婚の話は無しにする。今日父上に申し上げておく」
「お待ちください。勘違いなさっています。私にはレオ様しかおりません。信じてください……」
「浮気女が口を開くな! 汚らわしい!」
レオはお付きの者に何かを耳打ちして、立ち去った。
という事件だったそうだ。私も姉に付き添っていた使用人に聞いただけだから詳細はわからない。姉とオリバーが家に帰ったとき、私は自分の部屋の片付けをしていた。
道中での事件を聞いて両親も姉もお通夜のような状態になった。貞操を重んじる王家だから、破談もしかたないだろう。
正直、私は心のなかでは可笑しくてたまらなかった。姉は自分で調子に乗って自爆した。姉の本性がレオにわかってもらえて最高の気分。なんでも思いどおりになる人生だったからオリバーにも手を出したかったのかもしれないけど、ざまぁみろという感じ。
後日、王家からの使者で正式な婚約破棄の手続きが行われた。裁判を起こすこともできるが、王家の息のかかった裁判所ではどうしようもできない。それに裁判などしてしまっては伯爵の立場そのものが危うくなってしまう。むしろエバンズ家が恐れていたのは、裁判を起こされてしまうことだった。父は急いで嘆願書と慰謝料を王家に送った。
両親は相変わらずソフィアを慰めていて「きっとなにかの間違いよ。レオ様もお許しくださるはず」などと言っていたが、王家の印がついた文書が来たとなると、望みはほとんどない。両親にとっても姉にとっても気の毒な話ではあるが、私の心はすっきりしていて、幼少の頃からのつっかえがとれたような気がしている。こんなに清々しい気持ちになったのは初めてかもしれない。
私は自分の部屋の片付けを止めていた。
オリバーが来る日になって、私はオリバーと話をしようと思った。姉は婚約破棄されたのだし、それには少なからずオリバーの責任もある。オリバーがはっきり断っていれば、今回の騒動にはならなかったかもしれない。私にとっては嬉しい騒動なのだが。
「オリバー、話があるの」
「……わかったよ……」
オリバーは顔面蒼白で、呼吸をしているのがやっとのような様子だった。
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