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8 ローレンス視点
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妻の使用人といえど、そんなに気軽に話す仲ではないから、申し訳無い。
「リリアン。突然すまないね。相談があるのだが……」
リリアンは作業の手を止めて、僕と向き合った。
「なんでしょう……?」
不安そうな声だった。
僕は視線を花壇に咲くゲラニウムへ向けた。
「綺麗に咲いているね。小さくて、可愛い。見ていて癒やされるよ。いつもお世話してくれてありがとう」
リリアンは少し顔をほころばせてくれた。
「はい――ジュリエッタ様もお好きです。ローレンス様とジュリエッタ様は、本当に好みがよく似てらっしゃいますね」
「僕も……そう思っている……」
「どうかなさいましたか?」
「いや、その……リリアン。君を信頼しているからこそききたいことがあるんだが……ジュリエッタにはもしかして他に好きな男がいるのか?」
「ええ!!??」
リリアンは驚きの表情を見せていた。
そしてすぐに否定した。
「そんなわけありません。ジュリエッタ様はローレンス様の妻として、役割を全うしております。浮気する暇なんてございませんし、ローレンス様を大切に思ってらっしゃいます」
「そうか……であればいいのだがな……。ずっと気になっているんだ。ジュリエッタはぼうっとしていることがあるというか、屋敷の仕事をしていても心ここにあらずのようになっていることがあると思う」
「申し訳ございません……わたしが近くに仕えていながら……差し支えが生じておりますでしょうか?」
「いや、まったく問題はない。むしろよくやってくれていて、感謝している」
「それなら……よかったですが……」
「ただね……表現が難しいんだよ。僕はジュリエッタを愛している。おそらくジュリエッタも、僕のことを愛してくれているんだろうとは思う。そうでなければ、こんなに妻としての役割を果たしてくれていない」
「……ご不安なのですか?」
「そうだ。浮気はしていないにしても、ジュリエッタには過去に忘れられない男がいるんじゃないのか? そうだとしたら僕は……ジュリエッタを想い人から突き放した張本人になってしまう。もしジュリエッタを不幸にしているなら……夫として耐えられないんだ」
リリアンはしばらく無言だった。何かを言いかけては胸の奥に引っ込めているかのようで、僕に言いづらいことがあるのかもしれなかった。
僕は待った。
ジュリエッタの心の答えを知っているのは……リリアンしかいないだろうから。
夕日が照らしていた花壇には陰が多くなり、使用人たちは忙しく夜の支度をしている。屋敷の壁面を眺めると、窓際からはロウソクの火の光が弱々しくこぼれている。
「やはり……ローレンス様には申し上げておこうと思います」
リリアンは重苦しくこの言葉を口にした。
「うん……僕も知りたいんだ。ジュリエッタを愛し続けるために……」
「リリアン。突然すまないね。相談があるのだが……」
リリアンは作業の手を止めて、僕と向き合った。
「なんでしょう……?」
不安そうな声だった。
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「綺麗に咲いているね。小さくて、可愛い。見ていて癒やされるよ。いつもお世話してくれてありがとう」
リリアンは少し顔をほころばせてくれた。
「はい――ジュリエッタ様もお好きです。ローレンス様とジュリエッタ様は、本当に好みがよく似てらっしゃいますね」
「僕も……そう思っている……」
「どうかなさいましたか?」
「いや、その……リリアン。君を信頼しているからこそききたいことがあるんだが……ジュリエッタにはもしかして他に好きな男がいるのか?」
「ええ!!??」
リリアンは驚きの表情を見せていた。
そしてすぐに否定した。
「そんなわけありません。ジュリエッタ様はローレンス様の妻として、役割を全うしております。浮気する暇なんてございませんし、ローレンス様を大切に思ってらっしゃいます」
「そうか……であればいいのだがな……。ずっと気になっているんだ。ジュリエッタはぼうっとしていることがあるというか、屋敷の仕事をしていても心ここにあらずのようになっていることがあると思う」
「申し訳ございません……わたしが近くに仕えていながら……差し支えが生じておりますでしょうか?」
「いや、まったく問題はない。むしろよくやってくれていて、感謝している」
「それなら……よかったですが……」
「ただね……表現が難しいんだよ。僕はジュリエッタを愛している。おそらくジュリエッタも、僕のことを愛してくれているんだろうとは思う。そうでなければ、こんなに妻としての役割を果たしてくれていない」
「……ご不安なのですか?」
「そうだ。浮気はしていないにしても、ジュリエッタには過去に忘れられない男がいるんじゃないのか? そうだとしたら僕は……ジュリエッタを想い人から突き放した張本人になってしまう。もしジュリエッタを不幸にしているなら……夫として耐えられないんだ」
リリアンはしばらく無言だった。何かを言いかけては胸の奥に引っ込めているかのようで、僕に言いづらいことがあるのかもしれなかった。
僕は待った。
ジュリエッタの心の答えを知っているのは……リリアンしかいないだろうから。
夕日が照らしていた花壇には陰が多くなり、使用人たちは忙しく夜の支度をしている。屋敷の壁面を眺めると、窓際からはロウソクの火の光が弱々しくこぼれている。
「やはり……ローレンス様には申し上げておこうと思います」
リリアンは重苦しくこの言葉を口にした。
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