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千姫ルート 上海要塞防衛戦3
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初日の攻防は明軍が勢い任せの突撃を敢行し、それを掘で防いだ日本軍が一方的に攻撃するという図式となった。
明軍は実に死傷者5000人という被害を与え、対して日本軍は銃の暴発によって怪我人が数人出た程度にとどまった。
兵力差がうまったとは言い難いが、戦果としてはまずまず。
いや、兵などより・・・・・・。
「これは、誠か?」
千姫や基次、井頼、お麟それに信繁と、この上海における首脳陣を集めた軍議で、驚きの声を上げたのは基次だった。
「はい。敵方の将軍と思われる者を1人、部隊長格が5人、小隊長格が44人。全てこのたびの狙撃兵による戦果にございます」
井頼によって知らされた事実は、戦歴の長い基次であっても信じられないものだった。
いや、戦歴が長いからこそ信じられないのだ。
「・・・・・・あれほどの軍の将を殺すのに、儂らが一体何千何万の将兵の命を犠牲にしてきたと思っているのじゃ? それがたった50人足らずの部隊が一切被害を受けずに打ち取ったと申すのか!?」
今まで犠牲にしてきた部下たちのことを思えば、本来は喜ぶべき戦果でも釈然としない。
基次のそんな感傷もこの場では共感しうるのは信繁のみ。
「後藤殿」
「・・・・・・うむ。分かっとる。分かっとるよ真田殿」
信繁の気遣いの声掛けも無用だと言う様に押し退ける。
認めたくなくても、これは喜ぶべき戦果なのだから。
「50人足らずではなく30人の部隊です。狙撃手一人に観測員一人、補助の者が一人の3人一組で行動し、銃は3丁ずつで30丁。今回は弾を外さなかったということですので、50発の弾丸を使用しました」
だが、お麟はそんな二人の心情などには気づかずに、新しい兵器の価値を正確に言い直す。
開発に携わっているからだろうか、小さな身体を自慢げに仰け反らせて。
「・・・・・・時代が、また変わるのじゃな」
基次や信繁にしてみれば、物心つく前から刀槍や弓馬を学ばされ、はっきり言えばそれが全てだった。
伝来自体はしていても、高額であることと、連射性の悪さからまだまだ弓が主力だったのだ。
だが、彼らが成人(この時代は15歳ころ)する前には最強武田騎馬隊が織田の鉄砲隊に敗北している。
その頃には鉄砲と言う新兵器の登場に胸を躍らせた。
だが、齢40半ばにして、その鉄砲の進化でまた戦場が変わるその場に居合わせるとは思わなかった。
「もはや武士の時代ではないのか・・・・・・」
敵の将がどれほど武の研鑽を積んだ相手かはしらない。
だが、積んでいようがいまいが鉄砲の弾を見切ることなど出来ない。
ただ、戦場で弾に当たるか当たらないかなどただの運でしかない。
運が良ければ、刀槍の出番となり武を競える。
しかし、百発百中の銃があるのであれば、武士はこそこそ隠れ後ろから斬りかかるしか刀槍の間合いに持ち込めない。
おまけにその銃は10町(約1km)以上離れた場所の人の頭を撃ち抜いたと言う。
「そんなもの、どう防げと言うのだ」
10町も離れたところから部下を指揮することなど出来ない。
そんなものは臆病者と今まで見下してきた。
もちろん、将たる者が先頭に立つのが良いとは思わないが・・・・・・。
「しかもこれなら女子でも扱えます!」
自信満々にお麟が止めを刺す。
当然本人にその気はないが、彼女にとっては重要なことなのだ。
「・・・・・・後藤様、今は心強い味方が出来たとお考えください。お麟、もう黙っていろ」
そんな中、基次を気遣う様に井頼が声を出す。
今は感傷に浸っている暇はないのだから。
「現状、初日の戦果としてはかなりのものでございました。恐らく、敵は部隊の再編を含め、落ちた士気の高揚や堀の対策などに時間を要するものと考えられます。ですので、今晩の夜襲はまず無いでしょう。よって、見張りは最小限とします」
軍議で本来決めるべき議題を簡単に説明し、了解を得る。
「次に敵に総攻撃を仕掛けさせるための策、ですが・・・・・・」
「む、確か以前に会敵してから方針を決めると言うとった奴じゃな」
「はい。なにぶん戦の無い明国ですので、将の性格が全く読めなかったのです。ですが、今日の勢い任せの攻撃で大分分かりました。後は明日、初日の敗退を受けてどう出るかで決定しますが、恐らくは城内に敵を入れる方法になると思われます」
敵に総攻撃をかけさせるために考えていた中では最も危険な策。
わざと敵を数回内部に誘い込み、ギリギリと言った態で撃退し、同じ方法で数をかければ一息に陥落できると思わせるというもの。
だが、敵を内部に入れると言うのは一歩間違えれば本当に陥落しかねない。
「何故じゃ? 今日の件では敵将が猪突猛進と分かったのみと思うのじゃが」
危険を理解しているからこそ、基次が異論をはさむ。
「はい。そう思っておりましたが、同時に自らは危険を冒さないと言うのも分かりました。敵本陣は20町も離れた地点から一歩も近づいて来なかったのですから。敵の李進安と言う大将。よほど自分の身が可愛いようにございます。・・・・・・それと」
継ぐ言葉を言うべきか迷う様にして井頼はチラリとお麟を見る。
「・・・・・・狙撃隊が戦果を上げ過ぎです。勘が良いものなら新兵器が持ち出されたことに気付きかねない。運悪く流れ弾に当たっただけ、と認識される程度が良いと50発に制限しましたのに、まさか全弾当てるとは考えておりませんでした」
「うむ。せいぜい2割といったところと思うとったからの」
同意するように基次もうなずく。
狙撃隊の戦果は戦術と言う意味では多大な功績を残したが、同時に敵を慎重にさせてしまえば、戦略の見直しを必要とする。
千姫に与えられた時間はもう4カ月を切っているのだから・・・・・・。
明軍は実に死傷者5000人という被害を与え、対して日本軍は銃の暴発によって怪我人が数人出た程度にとどまった。
兵力差がうまったとは言い難いが、戦果としてはまずまず。
いや、兵などより・・・・・・。
「これは、誠か?」
千姫や基次、井頼、お麟それに信繁と、この上海における首脳陣を集めた軍議で、驚きの声を上げたのは基次だった。
「はい。敵方の将軍と思われる者を1人、部隊長格が5人、小隊長格が44人。全てこのたびの狙撃兵による戦果にございます」
井頼によって知らされた事実は、戦歴の長い基次であっても信じられないものだった。
いや、戦歴が長いからこそ信じられないのだ。
「・・・・・・あれほどの軍の将を殺すのに、儂らが一体何千何万の将兵の命を犠牲にしてきたと思っているのじゃ? それがたった50人足らずの部隊が一切被害を受けずに打ち取ったと申すのか!?」
今まで犠牲にしてきた部下たちのことを思えば、本来は喜ぶべき戦果でも釈然としない。
基次のそんな感傷もこの場では共感しうるのは信繁のみ。
「後藤殿」
「・・・・・・うむ。分かっとる。分かっとるよ真田殿」
信繁の気遣いの声掛けも無用だと言う様に押し退ける。
認めたくなくても、これは喜ぶべき戦果なのだから。
「50人足らずではなく30人の部隊です。狙撃手一人に観測員一人、補助の者が一人の3人一組で行動し、銃は3丁ずつで30丁。今回は弾を外さなかったということですので、50発の弾丸を使用しました」
だが、お麟はそんな二人の心情などには気づかずに、新しい兵器の価値を正確に言い直す。
開発に携わっているからだろうか、小さな身体を自慢げに仰け反らせて。
「・・・・・・時代が、また変わるのじゃな」
基次や信繁にしてみれば、物心つく前から刀槍や弓馬を学ばされ、はっきり言えばそれが全てだった。
伝来自体はしていても、高額であることと、連射性の悪さからまだまだ弓が主力だったのだ。
だが、彼らが成人(この時代は15歳ころ)する前には最強武田騎馬隊が織田の鉄砲隊に敗北している。
その頃には鉄砲と言う新兵器の登場に胸を躍らせた。
だが、齢40半ばにして、その鉄砲の進化でまた戦場が変わるその場に居合わせるとは思わなかった。
「もはや武士の時代ではないのか・・・・・・」
敵の将がどれほど武の研鑽を積んだ相手かはしらない。
だが、積んでいようがいまいが鉄砲の弾を見切ることなど出来ない。
ただ、戦場で弾に当たるか当たらないかなどただの運でしかない。
運が良ければ、刀槍の出番となり武を競える。
しかし、百発百中の銃があるのであれば、武士はこそこそ隠れ後ろから斬りかかるしか刀槍の間合いに持ち込めない。
おまけにその銃は10町(約1km)以上離れた場所の人の頭を撃ち抜いたと言う。
「そんなもの、どう防げと言うのだ」
10町も離れたところから部下を指揮することなど出来ない。
そんなものは臆病者と今まで見下してきた。
もちろん、将たる者が先頭に立つのが良いとは思わないが・・・・・・。
「しかもこれなら女子でも扱えます!」
自信満々にお麟が止めを刺す。
当然本人にその気はないが、彼女にとっては重要なことなのだ。
「・・・・・・後藤様、今は心強い味方が出来たとお考えください。お麟、もう黙っていろ」
そんな中、基次を気遣う様に井頼が声を出す。
今は感傷に浸っている暇はないのだから。
「現状、初日の戦果としてはかなりのものでございました。恐らく、敵は部隊の再編を含め、落ちた士気の高揚や堀の対策などに時間を要するものと考えられます。ですので、今晩の夜襲はまず無いでしょう。よって、見張りは最小限とします」
軍議で本来決めるべき議題を簡単に説明し、了解を得る。
「次に敵に総攻撃を仕掛けさせるための策、ですが・・・・・・」
「む、確か以前に会敵してから方針を決めると言うとった奴じゃな」
「はい。なにぶん戦の無い明国ですので、将の性格が全く読めなかったのです。ですが、今日の勢い任せの攻撃で大分分かりました。後は明日、初日の敗退を受けてどう出るかで決定しますが、恐らくは城内に敵を入れる方法になると思われます」
敵に総攻撃をかけさせるために考えていた中では最も危険な策。
わざと敵を数回内部に誘い込み、ギリギリと言った態で撃退し、同じ方法で数をかければ一息に陥落できると思わせるというもの。
だが、敵を内部に入れると言うのは一歩間違えれば本当に陥落しかねない。
「何故じゃ? 今日の件では敵将が猪突猛進と分かったのみと思うのじゃが」
危険を理解しているからこそ、基次が異論をはさむ。
「はい。そう思っておりましたが、同時に自らは危険を冒さないと言うのも分かりました。敵本陣は20町も離れた地点から一歩も近づいて来なかったのですから。敵の李進安と言う大将。よほど自分の身が可愛いようにございます。・・・・・・それと」
継ぐ言葉を言うべきか迷う様にして井頼はチラリとお麟を見る。
「・・・・・・狙撃隊が戦果を上げ過ぎです。勘が良いものなら新兵器が持ち出されたことに気付きかねない。運悪く流れ弾に当たっただけ、と認識される程度が良いと50発に制限しましたのに、まさか全弾当てるとは考えておりませんでした」
「うむ。せいぜい2割といったところと思うとったからの」
同意するように基次もうなずく。
狙撃隊の戦果は戦術と言う意味では多大な功績を残したが、同時に敵を慎重にさせてしまえば、戦略の見直しを必要とする。
千姫に与えられた時間はもう4カ月を切っているのだから・・・・・・。
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