いつも役立たずで迷惑だと言われてきた僕、ちょっとヤンデレな魔法使いに執着された。嫉妬? 独占? そんなことより二人で気ままに過ごしたいです!

迷路を跳ぶ狐

文字の大きさ
2 / 15

2.毎日来てますが、そんなに大事な用があるんですか?

しおりを挟む
 次にヴァソレリューズ様が城に来た時には、城にある魔法の道具の説明を言いつけられた。それは精霊族の魔力と技術で動くものだったから、僕が呼ばれたんだろうと思った。

 この城には、結構そう言うものがある。精霊族の作った魔法の道具は珍しくて、動かすには特定の魔力が必要だったり、あまり知られていない技術が必要だったりする。
 だから、領主様は僕を召し抱えたんだ。馬鹿だけど一応精霊族の僕を。

 だけど、僕はもともと魔力なんてあんまりないし、失敗ばかりだ。

 領主様はそんな僕に腹を立てていたし、僕の失敗はどうも人をイラつかせるらしい。わざとやってるのか! と、怒鳴られることも多かった。

 それでも、だんだん城に来る頻度が増えるヴァソレリューズ様と、魔法の道具の話をすることは楽しかった。

 だけど、何度か彼が城に来ているうちに、城には新しい精霊族の魔法使いが召し抱えられることになった。

 僕は用済みらしい。ここで問題になったのが、僕をどうやって処分するかだ。

 精霊の魔力があるし、どこかに売れるんじゃないか、と最初は言われていたが、無能と噂の僕を引き取る貴族はいない。
 そうしているうちに、「そもそもあいつのせいでどれだけ迷惑がかかったと思ってるんだ、わざとだろ!」と言う話になり、反逆の意思があるなら処刑しようという案まで出ていたらしい。

 なんだよそれ!!

 無能だけど処刑は嫌だーーーー!!

 だけど、そう言っても誰も聞いてくれないし……

 僕……もう死ぬしかないのか…………

 用済みだからって、酷すぎる……

 せめて死なない処分方法にしてくれ……

 怯えながら日々を過ごしていた僕は、ある日、朝から叩き起こされて、城の掃除をするように言いつけられた。

 僕にそれを言いつけた奴らは、ヴァソレリューズ様が来るたびに僕が魔法の道具の説明で呼ばれることが気に入らないらしい。両手に魔法で作った手枷をつけられて、城の奥の部屋の掃除を一人ですることになった。

 だけど……両手を長い鎖で繋ぐような枷が邪魔で、なかなか掃除も進まない。

 それでも、やらなかったら後で罰を受ける。それが怖くて、広い部屋の窓を拭いていたら、その部屋のドアが、いきなり開いた。

 びっくりして振り向けば、そこに立っていたのはヴァソレリューズ様だ。

 え…………

 なんでいるんだ?

 また来ていたのか……?

 最近、毎日来てるな……

 そんなに領主様に用事があるのか?

 ここも魔法の研究はしているし、魔法使いもたくさんいるから、魔法に関する会議でもあるのかな。

 だけど……

 だったらなんでこんな城の奥の部屋に来てるんだ?? ここ、お客様が来るような部屋じゃないのに。

 それでも、会えたのは嬉しいな……

 ヴァソレリューズ様は毎日くるから、彼と過ごす時間はどんどん増えていたし、ずっとこうして二人でいたいと思うことも増えていた。

 だけど……会えただけで、こんなに高揚するくらい嬉しいなんて……

 なんなんだよ、これ…………

 僕、この人に気があるんじゃないのか?

 ……そんなまさか。そんなはずない。

 それより、ちゃんと挨拶をしなきゃ……


 けれど、ヴァソレリューズ様は、僕を見つけて僕より先に言う。

「君のことは、俺が連れて行って監禁するから」
「……………………はい?」

 ……何を言われたんだ?

 しばらく僕は、首を傾げたまま動きを止めて、何を言われたのか考えた。


 え?

 なんなの??

 今、何て言ったんだ?

 か、監禁?? 監禁って??

 それにこの部屋、中には重要な魔法の道具や書物も保管されているから、鍵をかけていたはずだ。

 ドアの方に振り向いたけど、すでにドアはない。
 代わりに、ドアのあったあたりに、バラバラに砕けたドアの破片が落ちている。

 魔法で音もなく破壊して入って来たんだ……

 この人、何してるの!!??

 それに、監禁って聞こえた気がするんだが……気のせいか? 連れて行く? 僕を? なんで??
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

天使、養育中!

ユーリ
BL
紬はひょんなことから天使の子供を養育することとなった。しかもなぜか、付き合ってもいない同僚と天使の子を夫婦として育てることになり…? 「紬、家族になろう」優しいパパ×不器用なママ「僕はキミの奥さんになった覚えはないよ…」ーー「ボクはパパとママのむすこなのです!」無邪気な天使に振り回される!

BLゲームの展開を無視した結果、悪役令息は主人公に溺愛される。

佐倉海斗
BL
この世界が前世の世界で存在したBLゲームに酷似していることをレイド・アクロイドだけが知っている。レイドは主人公の恋を邪魔する敵役であり、通称悪役令息と呼ばれていた。そして破滅する運命にある。……運命のとおりに生きるつもりはなく、主人公や主人公の恋人候補を避けて学園生活を生き抜き、無事に卒業を迎えた。これで、自由な日々が手に入ると思っていたのに。突然、主人公に告白をされてしまう。

記憶喪失になったら弟の恋人になった

天霧 ロウ
BL
ギウリは種違いの弟であるトラドのことが性的に好きだ。そして酔ったフリの勢いでトラドにキスをしてしまった。とっさにごまかしたものの気まずい雰囲気になり、それ以来、ギウリはトラドを避けるような生活をしていた。 そんなある日、酒を飲んだ帰りに路地裏で老婆から「忘れたい記憶を消せる薬を売るよ」と言われる。半信半疑で買ったギウリは家に帰るとその薬を飲み干し意識を失った。 そして目覚めたときには自分の名前以外なにも覚えていなかった。 見覚えのない場所に戸惑っていれば、トラドが訪れた末に「俺たちは兄弟だけど、恋人なの忘れたのか?」と寂しそうに告げてきたのだった。 トラド×ギウリ (ファンタジー/弟×兄/魔物×半魔/ブラコン×鈍感/両片思い/溺愛/人外/記憶喪失/カントボーイ/ハッピーエンド/お人好し受/甘々/腹黒攻/美形×地味)

婚活アプリのテスト版に登録させられたら何故か自社の社長としかマッチング出来ないのですが?

こたま
BL
オメガ男子の小島史(ふみ)は、ネットを中心に展開している中小広告代理店の経理部に勤めている。会社が国の補助金が入る婚活アプリ開発に関わる事になった。テスト版には、自社の未婚で番のいないアルファとオメガはもちろん未婚のベータも必ず登録して動作確認をするようにと業務命令が下された。史が仕方なく登録すると社長の辰巳皇成(こうせい)からマッチング希望が…

【完結】婚約破棄したのに幼馴染の執着がちょっと尋常じゃなかった。

天城
BL
子供の頃、天使のように可愛かった第三王子のハロルド。しかし今は令嬢達に熱い視線を向けられる美青年に成長していた。 成績優秀、眉目秀麗、騎士団の演習では負けなしの完璧な王子の姿が今のハロルドの現実だった。 まだ少女のように可愛かったころに求婚され、婚約した幼馴染のギルバートに申し訳なくなったハロルドは、婚約破棄を決意する。 黒髪黒目の無口な幼馴染(攻め)×金髪青瞳美形第三王子(受け)。前後編の2話完結。番外編を不定期更新中。

男同士で番だなんてあってたまるかよ

だいたい石田
BL
石堂徹は、大学の授業中に居眠りをしていた。目覚めたら見知らぬ場所で、隣に寝ていた男にキスをされる。茫然とする徹に男は告げる。「お前は俺の番だ。」と。 ――男同士で番だなんてあってたまるかよ!!! ※R描写がメインのお話となります。 この作品は、ムーンライト、ピクシブにて別HNにて投稿しています。 毎日21時に更新されます。8話で完結します。 2019年12月18日追記 カテゴリを「恋愛」から「BL」に変更いたしました。 カテゴリを間違えてすみませんでした。 ご指摘ありがとうございました。

待て、妊活より婚活が先だ!

檸なっつ
BL
俺の自慢のバディのシオンは実は伯爵家嫡男だったらしい。 両親を亡くしている孤独なシオンに日頃から婚活を勧めていた俺だが、いよいよシオンは伯爵家を継ぐために結婚しないといけなくなった。よし、お前のためなら俺はなんだって協力するよ! ……って、え?? どこでどうなったのかシオンは婚活をすっ飛ばして妊活をし始める。……なんで相手が俺なんだよ! **ムーンライトノベルにも掲載しております**

やけ酒して友人のイケメンに食われたら、付き合うことになった

ふき
BL
やけ酒の勢いで友人に抱かれた榛名は、友人の隠された想いに気付いてしまう。 「お前、いつから俺のこと好きなの?」 一夜をなかったことにしようとする瑞生と、気付いたからには逃げない榛名。 二人の関係が、少しずつ変わっていく。 瑞生(ミズキ)×榛名(ハルナ)

処理中です...