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3.もう聞いちゃったぞ?
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なんで急に……ヴァソレリューズ様、こんなこと言い出したんだ?
僕を引き取ってもなんの意味もないどころか、ろくなことがないと思うのだが。
それどころか、今……か、監禁って言った??
僕がポカンとしていると、ヴァソレリューズ様は、慌てた様子で口元に手をやる。
「あ……ごめん。今の間違いだ。連れて行って監禁、じゃなくて、引き取ることになったから」
「…………」
……遅すぎるぞ……訂正するのが。
もう、監禁って聞いちゃったぞ?
か、監禁って……なんだ??
あ……もしかして「監禁」じゃなくて「換金」か。僕を引き取って、どこかで金に変える気なのかもしれない。
……あんまり高く売れないと思うぞ。僕。
本当に、一体どう言うつもりなんだ……
見上げると、彼と目があう。
いつか金と引き換えに追い出されるのかもしれないけど……この人の屋敷に行けるのは嬉しいかも……
って、何考えてるんだ。そんなことあるわけない!!
「あ、あの…………引き取るって、僕を……ですか?」
「うん」
即答された。
本当に、僕を連れて行くつもりなんだ。
なんでそんなことするんだ……?
呆然としているばかりの僕の手に、ヴァソレリューズ様が手を伸ばしてきて、僕にかけられた手枷の鎖を握る。するとそれは簡単に消えていった。
「あ…………」
嘘だろ……どんな魔力してるんだよ。あの手枷、魔法の手枷だぞ。かなり魔力も使っていて、ちょっととやそっとじゃ消えないはずなのに。それなのに、音もなくあの一瞬で枷を消すなんて。
もちろん、ヴァソレリューズ様の魔法の腕なら、僕も知っている。だって、よくこの城に来ている時に、話してくれた。
彼の一族の城には多くの魔法使いがいて、そこで新しい魔法の道具を作り出したり、魔法の研究を続けていたらしい。今は城から少し離れた屋敷で、魔法の道具の管理をしているとか。
あ……もしかして、それで僕を引き取ったのか? 屋敷にある魔法の道具を管理して欲しいのかもしれない。
だったら、そこに新しい魔法使いが来たら、僕はお払い箱? それは嫌だけど……
これからこの人の屋敷に行けるのは、やっぱり嬉しい。
「あ、あの…………ありがとうございます……」
「怪我はない?」
「はい……」
見上げたら、目があって、急に恥ずかしくなる。枷に触れるためだろうけど、彼はすぐ僕のそばにいる。
そっと目をそらそうとしたら、手を取られて、さっきまで枷をされていた手首に、唇で触れられた。
「ひっ…………っっ!!」
ほんの一瞬だけど、そこを舐められた気がする。だって、くすぐったかった。
な、なんでまた舐めるの!??
いつか「美味しそう」って言われたことを思い出す。
あれから同じことを言われたことはないけど……
…………き、気のせいだっ……舐められてなんかいない! 絶対そうだ!
もしかして、さっきの枷の魔力が残ってたのか? だ、だから舐めたんだよな!?? 絶対にそうだ! 魔力がほしくてそうしただけ……
さっきの「監禁」って言葉だって僕の勘違いだったし、全く僕は勘違いが多いな!!
ヴァソレリューズ様は満足したのか、舌なめずりをして、顔を上げる。美味しそうに舌を出す様に、ゾクっとした。
怖いと思ったのに…………心臓が高鳴るって…………何考えてるんだよ、僕。大貴族の魔法使い相手に。
そんな僕の内心になんて、全く気付言えないんだろう。彼は、いつもと全く変わらない様子で、にっこり微笑んだ。
「フェイヴェレルは、俺のところで魔法の道具の管理をしてくれれば良いから」
「あ………………」
やっぱりそうだ。
単に、精霊の魔力持ってる奴が欲しいだけ……
分かっていた。僕だって、そんなに馬鹿じゃない。僕がほしくて引き取ってくれた、なんて、全然思ってない。期待もしてない。
「……あ、あー…………で、でも…………知ってますよね? 僕、いつも失敗してばかりだし、お役に立てるとは思えません。あっ……と……やめておいた方がいいですよ」
と、心にもないことが口をついて出る。
期待して、それがすぐに砕けてなくなるのが辛いんだ。
だけど、そんな僕の思惑なんてあっさり破って彼は続ける。
「やめない。絶対に連れて行く」
「でも……」
「魔法の道具の管理なら、俺が教えてあげる。部屋も用意するよ。他にも必要なものは俺が用意するし、もちろん、ベッドも。添い寝もするよ」
「…………添い寝?」
「俺が」
「俺が??」
「あ、もちろん嫌なら断っていい。無理矢理はしないから」
「……」
何をだ。
こんなに訳のわからないことを言う人だったかな……
たまにびっくりするようなことをする人だったけど…………添い寝??
僕を引き取ってもなんの意味もないどころか、ろくなことがないと思うのだが。
それどころか、今……か、監禁って言った??
僕がポカンとしていると、ヴァソレリューズ様は、慌てた様子で口元に手をやる。
「あ……ごめん。今の間違いだ。連れて行って監禁、じゃなくて、引き取ることになったから」
「…………」
……遅すぎるぞ……訂正するのが。
もう、監禁って聞いちゃったぞ?
か、監禁って……なんだ??
あ……もしかして「監禁」じゃなくて「換金」か。僕を引き取って、どこかで金に変える気なのかもしれない。
……あんまり高く売れないと思うぞ。僕。
本当に、一体どう言うつもりなんだ……
見上げると、彼と目があう。
いつか金と引き換えに追い出されるのかもしれないけど……この人の屋敷に行けるのは嬉しいかも……
って、何考えてるんだ。そんなことあるわけない!!
「あ、あの…………引き取るって、僕を……ですか?」
「うん」
即答された。
本当に、僕を連れて行くつもりなんだ。
なんでそんなことするんだ……?
呆然としているばかりの僕の手に、ヴァソレリューズ様が手を伸ばしてきて、僕にかけられた手枷の鎖を握る。するとそれは簡単に消えていった。
「あ…………」
嘘だろ……どんな魔力してるんだよ。あの手枷、魔法の手枷だぞ。かなり魔力も使っていて、ちょっととやそっとじゃ消えないはずなのに。それなのに、音もなくあの一瞬で枷を消すなんて。
もちろん、ヴァソレリューズ様の魔法の腕なら、僕も知っている。だって、よくこの城に来ている時に、話してくれた。
彼の一族の城には多くの魔法使いがいて、そこで新しい魔法の道具を作り出したり、魔法の研究を続けていたらしい。今は城から少し離れた屋敷で、魔法の道具の管理をしているとか。
あ……もしかして、それで僕を引き取ったのか? 屋敷にある魔法の道具を管理して欲しいのかもしれない。
だったら、そこに新しい魔法使いが来たら、僕はお払い箱? それは嫌だけど……
これからこの人の屋敷に行けるのは、やっぱり嬉しい。
「あ、あの…………ありがとうございます……」
「怪我はない?」
「はい……」
見上げたら、目があって、急に恥ずかしくなる。枷に触れるためだろうけど、彼はすぐ僕のそばにいる。
そっと目をそらそうとしたら、手を取られて、さっきまで枷をされていた手首に、唇で触れられた。
「ひっ…………っっ!!」
ほんの一瞬だけど、そこを舐められた気がする。だって、くすぐったかった。
な、なんでまた舐めるの!??
いつか「美味しそう」って言われたことを思い出す。
あれから同じことを言われたことはないけど……
…………き、気のせいだっ……舐められてなんかいない! 絶対そうだ!
もしかして、さっきの枷の魔力が残ってたのか? だ、だから舐めたんだよな!?? 絶対にそうだ! 魔力がほしくてそうしただけ……
さっきの「監禁」って言葉だって僕の勘違いだったし、全く僕は勘違いが多いな!!
ヴァソレリューズ様は満足したのか、舌なめずりをして、顔を上げる。美味しそうに舌を出す様に、ゾクっとした。
怖いと思ったのに…………心臓が高鳴るって…………何考えてるんだよ、僕。大貴族の魔法使い相手に。
そんな僕の内心になんて、全く気付言えないんだろう。彼は、いつもと全く変わらない様子で、にっこり微笑んだ。
「フェイヴェレルは、俺のところで魔法の道具の管理をしてくれれば良いから」
「あ………………」
やっぱりそうだ。
単に、精霊の魔力持ってる奴が欲しいだけ……
分かっていた。僕だって、そんなに馬鹿じゃない。僕がほしくて引き取ってくれた、なんて、全然思ってない。期待もしてない。
「……あ、あー…………で、でも…………知ってますよね? 僕、いつも失敗してばかりだし、お役に立てるとは思えません。あっ……と……やめておいた方がいいですよ」
と、心にもないことが口をついて出る。
期待して、それがすぐに砕けてなくなるのが辛いんだ。
だけど、そんな僕の思惑なんてあっさり破って彼は続ける。
「やめない。絶対に連れて行く」
「でも……」
「魔法の道具の管理なら、俺が教えてあげる。部屋も用意するよ。他にも必要なものは俺が用意するし、もちろん、ベッドも。添い寝もするよ」
「…………添い寝?」
「俺が」
「俺が??」
「あ、もちろん嫌なら断っていい。無理矢理はしないから」
「……」
何をだ。
こんなに訳のわからないことを言う人だったかな……
たまにびっくりするようなことをする人だったけど…………添い寝??
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