嫌われた暴虐な僕と喧嘩をしに来たはずの王子は、僕を甘くみているようだ。手を握って迫ってくるし、聞いてることもやってることもおかしいだろ!

迷路を跳ぶ狐

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22.聞いてた?

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 からかう僕の言葉に、簡単にあからさまに怒り出したコレリイジャイン様。けれど、さすがにいきなり飛びかかってきたりはしない。代わりにその男は、僕を睨みつけた。

「そんなことを言いに、わざわざこんな盗人のような真似をしたのか? 悪いが、全く身に覚えがないな。王族の城に許可なく侵入したのは、そちらの方だろう」
「許可? そんなもの、必要ですか?」

 話しながら、背後にいる手駒を確認。

 僕だって、わざわざこいつと正面切って話すつもりなんて、まるでない。相手だってそうだろう。会話は全部、本心と行動を隠すカモフラージュに過ぎない。

 コレリイジャイン様の後ろには、いつもいた従者があまりいない。

 深夜だし……急だったから、集まらなかったのかな……?

 あのくらいなら、一斉に眠らせることができそうだ。

 反撃されたら面倒だし、もう少し会話を引き伸ばして気を引いて、それから魔法にかけるか。

「僕は最初から、許可が必要だなんて、思っていませんよ。そもそも、僕のお陰で守られている城ではありませんか」
「なんだと……貴様…………相変わらず、図々しいにも程があるわ!」
「そんなことより、僕の屋敷から持っていったものを返してくれませんか?」

 これに関しては、本当に腹を立てている。だからその男を睨みつけて言ってやるけれど、そいつは全く意に介さない。

「なんのことだか分からないな。そもそも、城に忍び込んでおきながら、ただで済むと思うの…………」

 言いかけたそいつらが倒れていく。

 眠りの魔法、効いたみたいだ。

 ……思っていたより、早く終わったな…………なんだか意外だ。

 後は、殿下を追うだけだ。この先の部屋にあるはずの魔法の道具も回収しておくか。

 そんな風に殿下のことを考えたら、彼のことが、ひどく心配に思えてきた。

 ここまできても、僕を口説くことばかり考えていたし……大丈夫か?

 そんなことばかり考えていたら、背後から、微かに魔力が膨らむ気配を感じた。

 飛んできた魔法の光を、すんでのところで避ける。

 その光は、僕が開こうとしていた扉にぶつかって、割れるように弾けた。

 くそ……思っていたより、僕の眠りの魔法は効かなかったらしい。

 さすがは有力貴族……!! ご自身も従えている奴らも、魔法が上手で嫌気がさす!

 僕は、相手の攻撃を避けて、彼らと対峙しようと構えたけど、遠慮を知らない奴らの魔法は、次から次へと飛んでくる。

 向かって来る攻撃の魔法の光を、全部防御の魔法で防ぐ。光が飛び散り、目を開けていられないくらいだ。

 大した威力じゃないな……

 この程度なら、さっさと反撃して一度に吹っ飛ばすか?

 ……いや、周りの従者を吹っ飛ばしただけでも、後でうるさいだろう。僕らの目的は、魔法の道具の回収で、今、あいつらに勝つことじゃない。今は、あまり騒ぎを起こしたくない。

 頃合いを見て、こちらも威力は大きいけど静かな魔法で抵抗して、それからここを離れよう。

 殿下もそろそろ、魔法の道具を見つけた頃か。道具を見つけたら、殿下は脱出して、僕に合図をくれるはず。

 それから脱出して合流して…………

 計画は完璧。そのはずだった。それなのに。

「あったよ」

 そんな、のんきすぎる声と一緒に、部屋の扉を開けて、殿下が出てきた。

 おい……

 何をしているんだっっ!!

 計画と違うじゃないか!!

 もう、呆れ返ってしまいそうな僕の方に、殿下が歩いて来る。

「ごめん……待たせたかな?」
「…………」

 待たせたことなんかより、今はこの現実を謝れ。

 こいつは一体、何をしているんだ!! 僕が一生懸命に敵の足止めをしたと言うのに、これではまるで意味がないではないか!!

 なんで出てきてるんだよ!! 作戦を聞いてなかったのか!? この馬鹿!!
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