双葉病院小児病棟

moa

文字の大きさ
25 / 26

カテーテル治療2

しおりを挟む
佐倉side



黒崎先生から愛華ちゃんの事を聞いて正直驚いた。



だってあの子、弱音を吐くような子じゃないから。



いつも色々先生たちの愚痴とかは聞いてたけど、やりたくないなんて言葉は1回も聞いたことがなかった。



検査結果は決して良いとは言えない。



ゆっくり話を聞いてあげたいけど、治療を後回しには出来ればしたくない状態。



そこで黒崎先生と話し合ってカテーテル治療に付き添うことに。



想像以上に弱ってる愛華ちゃん。



治療が終わったらいっぱい話聞くからね。



黒「よし、じゃあ麻酔してくよ。」



愛「っ……やっ...まって……;;」



怖さが勝ってしまったのか、注射器を手にした黒崎先生を見て逃げてしまった愛華ちゃん。



いつもはこんなことないんだろうね。



黒崎先生もびっくりしたみたいで少し困り顔。



黒「大丈夫、いつもと一緒。
佐倉先生に手繋いでもらいな?」



「手繋いどこうね。
すぐ終わるから頑張ろう。」



私が愛華ちゃんの手を握ったことを確認して再度注射器を構えた黒崎先生。



黒「じゃあ頑張るよ。」



愛「やっ……やだっ……!!(泣)」



黒崎先生は私の方をチラッと見て、頷いた。



小さい子の治療の時によくするから分かる。



強行突破の合図。



これ以上時間かけても怖がらせるだけだからね……



愛「ビクッ)んんっ!!……グスッ......痛いぃ……(泣)」



必死に足を動かそうとしてるけど黒崎先生に反対の手でガッツリ抑えられてるから動けず涙を流す姿は見ていて心が痛い。



「痛いね……頑張れ頑張れ。」



黒「次深いところ麻酔してくよ。」



愛「っ…やだ!!...ビクッ)あっ!!痛い痛いっ……グスッ...痛いぃぃ……(泣)」



あらら...完全に子供がえりしちゃってるね;;



限界きちゃったかな。



黒「よし、麻酔おしまい。
ちょっとだけ休憩しようか。」



いつもは休憩なんか取ってくれない黒崎先生も愛華ちゃんの様子を見て取ってくれたみたい。



2人きりになった処置室。



「麻酔痛かったね。
よく頑張ったよ(撫)」



愛「グスッ……やだって言ったのに……(泣)」



まぁそう来るよね^^;



「ごめんね、でももう痛いところ終わったよ。
あとはベッドに寝てるだけで痛いことないからね。」



愛「ねぇ、佐倉先生……」



なんでそんな悲しそうな顔をして私の名前を呼ぶの...?



「どうしたの?」



愛「私......もう治らないんでしょ...?」



「……そんなことないよ。
どうしてそう思ったの?」



愛「走ったり泳いだり、色々禁止されてたことちゃんと守って治療も頑張ってきたのに。
治んないし酷くなってるじゃん……」



その言葉を聞いて思った。



もう気持ちが限界来ちゃってるんだね。



ちゃんと聞いて話してあげたいけどとりあえず今日の治療は頑張ってもらわないといけない。



黒崎先生戻ってくる前に落ち着かせてあげないと。
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

月弥総合病院

僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

こども病院の日常

moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。 18歳以下の子供が通う病院、 診療科はたくさんあります。 内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc… ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。 恋愛要素などは一切ありません。 密着病院24時!的な感じです。 人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。 ※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。 歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。

ふたなり治験棟

ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。 男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!

カテーテルの使い方

真城詩
BL
短編読みきりです。

【光陵学園大学附属病院】鏡野ゆう短編集

鏡野ゆう
ライト文芸
長編ではない【光陵学園大学附属病院】関連のお話をまとめました。 ※小説家になろう、自サイトでも公開中※

医者兄と病院脱出の妹(フリー台本)

ライト文芸
生まれて初めて大病を患い入院中の妹 退院が決まり、試しの外出と称して病院を抜け出し友達と脱走 行きたかったカフェへ それが、主治医の兄に見つかり、その後体調急変

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

処理中です...