ダンジョンに捨てられた私 奇跡的に不老不死になれたので村を捨てます

カムイイムカ(神威異夢華)

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第1章 成長

第31話 次から次へと

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「オーク今日もいるかな~。今日こそ一人で倒してやるぞ!」

「だ~め。一人では行動させないわ。危険よ」

 食事を済ませて早速冒険者ギルドにやってきた私達。ラッドが危険なことを口にしているので諭す。彼は頬を膨らませて無言で見つめてくる。

「強くならねえと、ファムのことを守れねえからよ」

「はぁ? 何よそれ」

「ふっ。ふふふ。その冗談面白い」

 ラッドが頬を膨らませながら言うものだからレイブンが笑い転げる。他の冒険者さんの邪魔になっちゃうよ。

「ちぃ、ここはいつからガキの遊び場になったんだ?」

 案の定、他の冒険者から苦情の声。
 私は無言でお辞儀をして謝ると冒険者の男は唾を吐き捨てて受付に歩いていく。

「ファムは強いんだから謝らなくていいのに」

「ダメよ。邪魔をしたのは私達なんだから」

 ラッドが不貞腐れて両手を頭の後ろで組む。私が諭すと『けっ』と言って更に不貞腐れる。情操教育は大事にしたい。

「ん、ごめんなさい。ラッドに笑わされた私のせい。一生の不覚」

「そこまで言うか?」 

 レイブンが深くお辞儀をして謝ってくる。ラッドがショックを感じていると、視線を感じた。

「うるせぇぞ!」

 視線の先を見るのと同時にさっきの冒険者の一団が声を上げてくる。
 一度下に出たから調子に乗ってしまったのかもしれない。でも、今回もうるさくしていた私達のせい。穏便にすましておくのが吉よね。

「ふむ、子供がしゃべっているのがそんなにうるさいのかな?」

『ギルドマスター!?』

 私が再度謝ろうとお辞儀をするとギルドマスターのランスさんが帽子を私にかぶらせて声を上げた。
 まさかの人物が私を庇うと、声を上げた冒険者の一団が驚愕に声を上げる。

「君たちが日ごろ併設されている酒場で騒いでいる時よりは小さな声だったと思う。そう思わないかな?」

 ランスさんがツカツカと冒険者たちに近づいて声をかける。
 彼らは顔を青くさせていく。
 ランスさんの鋭い眼光が冒険者を照らしているように見える。

「すまなかったねファム君。この子らは私がしつけておくよ。このくらいなら”三日”と言ったところかな」

「三日ですか?」

「ふふふ、紳士としてふるまう様に躾けるだけさ」

 ランスさんは冒険者達を雑に縛り付けると奥の部屋に入っていった。
 解体部屋以外にも部屋はあったけど、特別なお仕置き部屋でもあるのかな? 三日って何をするんだろう?

「な、なんか怖いなギルドマスターって」

「ん、人じゃない」

 ラッドとレイブンが体をさすって恐怖を口にする。ギルドマスターは凄い優しい人なんだけどな。紳士だし。

「ファムちゃん。今日は何の依頼にする?」

 二人の頭を撫でているとジュディーさんが声をかけてくる。
 オークの依頼が出ていたのでとりあえず受けて町の外へ歩き出す。

「お? 今日も森か?」

 城門に着くとガストンさんが声をかけてくる。毎日会うので日常になりつつあるな~。

「はい。今日もオークがいるかもしれないので」

「ははは、ほんと助かるよ。しかし、改めてみても信じられないね~」

「え? 何がですか?」

 素直に答えるとガストンさんが首をかしげて私達を見回す。

「俺の娘くらいの少女がオークを倒すチームのリーダー。それもパーティーメンバーも同じくらいの子供だ。話だけじゃ誰も信じちゃくれねえよ。おかげで酒場で【ほら吹きガストン】なんて言われちまってるぜ。まあ、しんじねえならそれでいいんだけどな」

 ガストンさんはそう言って楽しそうに笑う。まるで英雄の話をする近所のおじさんと言った様相。なんだか恥ずかしいな~。

「でも油断するなよ。最近はほんとおかしなことが増えてるからな。ダンジョンがなくなるなんて初めてだぜ」

 ガストンさんはそう言って私の村の方角を見据える。みんなその話題で持ちきりだな~。
 まあ、ダンジョン制覇者は私が初めてみたいだから仕方ない。ダンジョンが制覇されたら消えるなんて誰も知らないことだからね。

『ハァハァハァ……助けてくれ~!』

「ん!?」

 ガストンさんと話をして森に入ろうと思ったら森の方から消え入りそうな声が聞こえてくる。
 ガストンさんと一緒に声の主へと走ると、森が騒がしく音を立てる。

「助けてくれ! ゴーレムだ!」

「な!?」

 騎士の青年が兜を捨てて走ってくる。足から血を流しながらも、仲間を背負って走ってくる。
 もう一人も遅れて駆けてくる。その人は手が片方ない。血を流しながらも必死で走ってきてる。

『戦闘準備! 警戒しろ!』

 彼らに駆け寄りながら声を上げるガストンさん。その声で城壁上が騒がしくなる。
 それよりも騒がしくなっているのは森だった。遠くの木が倒れて道が出来上がっていく。トロールの時よりも大きな道、木の頭を越える石の頭が見えてくる。

『敵を確認! ゴーレムだ! 多いぞ!』

 城壁上から声が聞こえてくる。よく見ると4つの道が町まで伸びてくる。

「ファム! 早くこっちに!」

「騎士達を助けないと!」

 ラッドの声で我に返る。見ている場合じゃない。騎士達を助けないと。私は瞬時に彼らに駆け寄る。
 遅れてる騎士のお尻を掴んで持ち上げる。彼らが驚いている隙に城門へと送り届けるとすぐに残った騎士達も同じようにお尻を持ち上げる。

「……ぶ!? ははははは。すげえすげえ。俺達も入るぞ!」

「あ、うん……」

「流石ファム様」

 ガストンさんが豪快に笑うとみんなも動き出す。ラッドが完全に呆気にとられてる。
 少しやり過ぎちゃったかな? レイブンが自慢げでなんだか恥ずかしい。
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