30 / 81
第1章 成長
第30話 ユマの病気
しおりを挟む
「ふぁ~……。よく寝た……。みんなはまだ寝てるか」
買い物を楽しんで次の日。私はみんなよりも先に起きて支度を始める。
部屋割りは女の子と男の子で別れてる。ユマ君とラッドとドンタ君とドロップ君が一緒。
私とネーナちゃんとムムちゃんとナナちゃん、それと新たにレイブンが加わって同じ部屋。
まだみんな小さな体だからベッドを二つにするだけで済んでる。
だけど、これから大きくなるみんな、部屋をもう二つくらいはもらわないとだめかもしれないな~。私は成長しないけどね……。
「はぁ~」
「「おっきなため息~」」
「はは、起こしちゃった?」
自分の体を見つめて大きなため息をつく。双子が目をパッチリと開いて見つめてくる。
「ファムお姉ちゃんは大きくなりたいの?」
「え?」
「お胸見てた?」
双子はため息の原因を探ってくる。胸が小さいことにため息をついたと思われてるみたい。
5歳じゃこのくらいが普通だけど、それじゃないんだよね~。まあ、大きいにこしたことはないけどね。
「ん、ラッドも胸見てた」
「え~! やっぱり男の子って胸好きなんだ?」
レイブンがラッドの行動を告げ口する。するとネーナちゃんもいつの間にか起きて声をあげる。
みんないつの間にか起きて、ませてるな~。っていうかレイブンは胸ないのに……ってレナリスさんの胸か。そういえば、見てたな~。
「はいはい。起きたなら支度をして~。今日も一日働きましょ~」
「なんだかファムお姉ちゃんお母さんみた~い」
「おかあさ~ん」
ませた言葉で話し合うレイブンとネーナちゃんの頭を撫でながら支度を急かすと双子が抱き着いてくる。
二人の頭も撫でると押し倒そうとしてくる。でも、私は倒れません。
「「お母さん強~い」」
「はいはい。ユマお兄ちゃんと一緒に洗濯屋さんしないとダメでしょ」
「「は~い」」
双子ちゃんは驚いて支度を始める。彼女達が声出しするとお客さんの入りがいいらしい。
みんなが綺麗な服を着ているからそれも相まって客引きになってるんだよね。
魔法を使える人がどれだけ少ないのかがわかる。
「あ! ファム姉さんおはようございます」
「おはようユマ君」
みんなと一緒に食堂にやってくると男性陣で一番早く食堂に来ていたのはユマ君だった。
魔法を使い始めて元気になったユマ君は、礼儀作法もしっかりしてる。過去を詮索するつもりはないけど、この子も色々ありそう。魔法を使えたしね。
そういえば、魔法と何か関係した体調不良っぽかったんだっけ。ステータスを見て見れば何かわかるかも?
「ユマ君はステータスってみたことある?」
「え? ステータスですか? ありますけど」
「何か変な所とかあった?」
「……よくわからなくて数字は読めるんですけど、意味とかは教えてもらっていないので」
食堂のユマ君の向かいの席に座る。みんなも座るのを見ながらユマ君に質問する。
彼は見たことがあっても教えてもらっていないため、意味が分かってないみたい。
「見せてくれる?」
「見せることが出来るんですか?」
「あ~うん。声に出して『ステータスオープン』」
何も知らないユマ君に教える。イブリムおじさんに見せた事がある私が教えると素直に見せてくれる。
ーーーーー
ユマ 5歳 LV 1
職業 聖職者
HP 10
MP 3000
STR 10
DEF 10
DEX 8
AGI 9
MND 1000
INT 1000
ーーーーー
「え?」
ユマ君のステータスを見て思わず驚いてしまう。
溢れる魔法力というのだろうか。偏ったステータス。彼の体はこの魔力によって侵されてた?
魔力を外に出すことで体調が回復していったのかもしれない。
大きいステータスは体にいい。だけど、偏ったステータスは何かがおかしくなる。
栄養と一緒だ。同じものをずっと食べていると体に異常が発生し始める。偏った食事というのはいい食べ物でも同じ効果を発生させる。
「な、何かおかしいですか?」
「あ、うん。最近体調がよくなってるでしょ? 悪かった原因がわかった」
驚いた私にユマ君が不安そうに見つめてくる。私が答えると彼は更に不安になっていく。
「やっぱりおかしいんだ。こんなに数値が高いはずないもん。僕はやっぱりおかしい」
ユマ君は不安で声をもらす。折角元気になったのにそんなに自分を攻めたらおかしくなっちゃうよ。
私は小さなため息をついて席を立つ。彼の隣に座りなおすと彼の頭を撫でる。
「安心して。おかしいなんてことはないから。ただ、魔力、MPが多すぎるだけだよ。それを支える体がないうちにMPが溢れちゃって体がおかしくなったんだよ」
「あ、ん……」
頭を撫でて抱きしめてあげると、彼は安心しきって体を預けてくる。なぜか周りの声も消えて静かになる。
さっきまでみんなで騒いでいたのに。どうしたんだろう。そう思って周りを見渡すと私とユマ君を見つめて顔を赤くさせてる。
「ユマお兄ちゃんとファムお姉ちゃん、だいた~ん」
「ちがうよ! ファムお姉ちゃんが大胆なんだよ~! 私達も真似しないと!」
ムムちゃんとナナちゃんが嬉しそうに話して抱き着いてくる。私はハッとしてユマ君から離れる。
彼は真っ赤になって口を抑えた。
「ユマお兄? 気持ちよかった?」
「ネーナちゃん……。うん、安心した。お母さんに抱きしめられたみたいで。抱きしめてもらったことはないはずなんだけどね……」
顔が真っ赤なネーナちゃんの質問に素直に答えるユマ君。こっちまで恥ずかしくなるほどの素直な感想に、私も顔が熱くなるのを感じた。
でも、ここにいる子達は抱きしめてもらったことがないのかもしれない。
でも、違うんだよ。子供はみんなお腹の中で抱きしめてもらってる。どんな子でも愛してもらって生まれてくるの。……違うかもしれないけど、私はそう思いたい。
「ふぁ~……みんなおはよ~。ん? 何かあったのか? みんな顔真っ赤だぞ?」
ユマ君の感想を聞いてみんなで顔を赤くさせているとラッド達が起きてきて首を傾げる。私達はとりあえず食事を済ませて誤魔化した。
買い物を楽しんで次の日。私はみんなよりも先に起きて支度を始める。
部屋割りは女の子と男の子で別れてる。ユマ君とラッドとドンタ君とドロップ君が一緒。
私とネーナちゃんとムムちゃんとナナちゃん、それと新たにレイブンが加わって同じ部屋。
まだみんな小さな体だからベッドを二つにするだけで済んでる。
だけど、これから大きくなるみんな、部屋をもう二つくらいはもらわないとだめかもしれないな~。私は成長しないけどね……。
「はぁ~」
「「おっきなため息~」」
「はは、起こしちゃった?」
自分の体を見つめて大きなため息をつく。双子が目をパッチリと開いて見つめてくる。
「ファムお姉ちゃんは大きくなりたいの?」
「え?」
「お胸見てた?」
双子はため息の原因を探ってくる。胸が小さいことにため息をついたと思われてるみたい。
5歳じゃこのくらいが普通だけど、それじゃないんだよね~。まあ、大きいにこしたことはないけどね。
「ん、ラッドも胸見てた」
「え~! やっぱり男の子って胸好きなんだ?」
レイブンがラッドの行動を告げ口する。するとネーナちゃんもいつの間にか起きて声をあげる。
みんないつの間にか起きて、ませてるな~。っていうかレイブンは胸ないのに……ってレナリスさんの胸か。そういえば、見てたな~。
「はいはい。起きたなら支度をして~。今日も一日働きましょ~」
「なんだかファムお姉ちゃんお母さんみた~い」
「おかあさ~ん」
ませた言葉で話し合うレイブンとネーナちゃんの頭を撫でながら支度を急かすと双子が抱き着いてくる。
二人の頭も撫でると押し倒そうとしてくる。でも、私は倒れません。
「「お母さん強~い」」
「はいはい。ユマお兄ちゃんと一緒に洗濯屋さんしないとダメでしょ」
「「は~い」」
双子ちゃんは驚いて支度を始める。彼女達が声出しするとお客さんの入りがいいらしい。
みんなが綺麗な服を着ているからそれも相まって客引きになってるんだよね。
魔法を使える人がどれだけ少ないのかがわかる。
「あ! ファム姉さんおはようございます」
「おはようユマ君」
みんなと一緒に食堂にやってくると男性陣で一番早く食堂に来ていたのはユマ君だった。
魔法を使い始めて元気になったユマ君は、礼儀作法もしっかりしてる。過去を詮索するつもりはないけど、この子も色々ありそう。魔法を使えたしね。
そういえば、魔法と何か関係した体調不良っぽかったんだっけ。ステータスを見て見れば何かわかるかも?
「ユマ君はステータスってみたことある?」
「え? ステータスですか? ありますけど」
「何か変な所とかあった?」
「……よくわからなくて数字は読めるんですけど、意味とかは教えてもらっていないので」
食堂のユマ君の向かいの席に座る。みんなも座るのを見ながらユマ君に質問する。
彼は見たことがあっても教えてもらっていないため、意味が分かってないみたい。
「見せてくれる?」
「見せることが出来るんですか?」
「あ~うん。声に出して『ステータスオープン』」
何も知らないユマ君に教える。イブリムおじさんに見せた事がある私が教えると素直に見せてくれる。
ーーーーー
ユマ 5歳 LV 1
職業 聖職者
HP 10
MP 3000
STR 10
DEF 10
DEX 8
AGI 9
MND 1000
INT 1000
ーーーーー
「え?」
ユマ君のステータスを見て思わず驚いてしまう。
溢れる魔法力というのだろうか。偏ったステータス。彼の体はこの魔力によって侵されてた?
魔力を外に出すことで体調が回復していったのかもしれない。
大きいステータスは体にいい。だけど、偏ったステータスは何かがおかしくなる。
栄養と一緒だ。同じものをずっと食べていると体に異常が発生し始める。偏った食事というのはいい食べ物でも同じ効果を発生させる。
「な、何かおかしいですか?」
「あ、うん。最近体調がよくなってるでしょ? 悪かった原因がわかった」
驚いた私にユマ君が不安そうに見つめてくる。私が答えると彼は更に不安になっていく。
「やっぱりおかしいんだ。こんなに数値が高いはずないもん。僕はやっぱりおかしい」
ユマ君は不安で声をもらす。折角元気になったのにそんなに自分を攻めたらおかしくなっちゃうよ。
私は小さなため息をついて席を立つ。彼の隣に座りなおすと彼の頭を撫でる。
「安心して。おかしいなんてことはないから。ただ、魔力、MPが多すぎるだけだよ。それを支える体がないうちにMPが溢れちゃって体がおかしくなったんだよ」
「あ、ん……」
頭を撫でて抱きしめてあげると、彼は安心しきって体を預けてくる。なぜか周りの声も消えて静かになる。
さっきまでみんなで騒いでいたのに。どうしたんだろう。そう思って周りを見渡すと私とユマ君を見つめて顔を赤くさせてる。
「ユマお兄ちゃんとファムお姉ちゃん、だいた~ん」
「ちがうよ! ファムお姉ちゃんが大胆なんだよ~! 私達も真似しないと!」
ムムちゃんとナナちゃんが嬉しそうに話して抱き着いてくる。私はハッとしてユマ君から離れる。
彼は真っ赤になって口を抑えた。
「ユマお兄? 気持ちよかった?」
「ネーナちゃん……。うん、安心した。お母さんに抱きしめられたみたいで。抱きしめてもらったことはないはずなんだけどね……」
顔が真っ赤なネーナちゃんの質問に素直に答えるユマ君。こっちまで恥ずかしくなるほどの素直な感想に、私も顔が熱くなるのを感じた。
でも、ここにいる子達は抱きしめてもらったことがないのかもしれない。
でも、違うんだよ。子供はみんなお腹の中で抱きしめてもらってる。どんな子でも愛してもらって生まれてくるの。……違うかもしれないけど、私はそう思いたい。
「ふぁ~……みんなおはよ~。ん? 何かあったのか? みんな顔真っ赤だぞ?」
ユマ君の感想を聞いてみんなで顔を赤くさせているとラッド達が起きてきて首を傾げる。私達はとりあえず食事を済ませて誤魔化した。
446
あなたにおすすめの小説
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
追放された引きこもり聖女は女神様の加護で快適な旅を満喫中
四馬㋟
ファンタジー
幸福をもたらす聖女として民に崇められ、何不自由のない暮らしを送るアネーシャ。19歳になった年、本物の聖女が現れたという理由で神殿を追い出されてしまう。しかし月の女神の姿を見、声を聞くことができるアネーシャは、正真正銘本物の聖女で――孤児院育ちゆえに頼るあてもなく、途方に暮れるアネーシャに、女神は告げる。『大丈夫大丈夫、あたしがついてるから』「……軽っ」かくして、女二人のぶらり旅……もとい巡礼の旅が始まる。
【完結】無能と婚約破棄された令嬢、辺境で最強魔導士として覚醒しました
東野あさひ
ファンタジー
無能の烙印、婚約破棄、そして辺境追放――。でもそれ、全部“勘違い”でした。
王国随一の名門貴族令嬢ノクティア・エルヴァーンは、魔力がないと断定され、婚約を破棄されて辺境へと追放された。
だが、誰も知らなかった――彼女が「古代魔術」の適性を持つ唯一の魔導士であることを。
行き着いた先は魔物の脅威に晒されるグランツ砦。
冷徹な司令官カイラスとの出会いをきっかけに、彼女の眠っていた力が次第に目を覚まし始める。
無能令嬢と嘲笑された少女が、辺境で覚醒し、最強へと駆け上がる――!
王都の者たちよ、見ていなさい。今度は私が、あなたたちを見下ろす番です。
これは、“追放令嬢”が辺境から世界を変える、痛快ざまぁ×覚醒ファンタジー。
レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない
あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。
異世界人生を楽しみたい そのためにも赤ん坊から努力する
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前は朝霧 雷斗(アサギリ ライト)
前世の記憶を持ったまま僕は別の世界に転生した
生まれてからすぐに両親の持っていた本を読み魔法があることを学ぶ
魔力は筋力と同じ、訓練をすれば上達する
ということで努力していくことにしました
【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!
桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。
「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。
異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。
初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!
神の加護を受けて異世界に
モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。
その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。
そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる