赤ん坊なのに【試練】がいっぱい! 僕は【試練】で大きくなれました

カムイイムカ(神威異夢華)

文字の大きさ
21 / 49
第一章 ジーニアスベル

第21話 三人娘

しおりを挟む
「ジーニ様」

「バブ?」

 エリカちゃんと遊んだ次の日。シリカちゃんが我が家に遊びに来た。
 彼女は僕を抱き上げて席に座る。

「今日はお休みをいただきました。ジーニ様と遊ぼうと思って来たのですが、遊んでいただけますか?」

「アイ!」

 赤ん坊の僕に了承を得るシリカちゃん。優しいというかなんというか。

「ふふ、昨日はエリカちゃんと一緒に屋根に飛んでいましたね。見ていましたよジーニ様」

「アイ!」

「いいなエリカちゃんは。私じゃ抱えられないですもんね」

 寂しそうに机を指でなぞりながら呟くシリカちゃん。僕もやってあげたいけど、身長差で流石に担げないな~。

「私は逆に抱き上げられるからいいですけどね」

 抱き上げて頬を合わせるシリカちゃん。柔らかな頬がこすり付けられる。

「ふふ、ジーニは本当に人気者ね。そうだわ、シリカ、散歩に行ってくれば? 天気もいいし」

「いいんですか?」

 お母さんの提案に瞳をキラキラさせるシリカちゃん。僕を見つめてきたから頷いて承諾するとすぐに外へと出る。

「本当にいい天気ですね~」

「ア~イ!」

 お日様を見上げて声をあげるシリカちゃん。村も活気づいてきたから結構にぎやかだ。こっちが元気になっちゃうな。

「お嬢さん。どうだい?」

「そうね~」

 行商人の開く出店にグッツさんの奥さんのグレースさんがいる。緑に光る宝石の首飾りをお勧めしてるみたいだ。後ろにいるグッツさんがてにもつと彼女につけてあげてる。

「グッツさん達も仲いいですね」

「アイ!」

 羨ましそうに呟くシリカちゃん。ほんと、僕らの村の夫婦はみんな仲がいい。いいことだけど、なんだかな~。

「ん? シリカ~、ジーニ様~」

 村を散歩してるとララちゃんが僕らに気が付いて声をかけてきた。

「冒険者の仕事はお休みですか?」

「ん、あの洞窟は深いから休憩が大事。お休みはたっぷりとらないと」

 シリカちゃんの疑問に答えながら僕の頬をつついてくるララちゃん。こう見えても凄腕の冒険者な彼女。シリカちゃんよりも幼く見えるのに凄いな~。

「あっ! そうだ」

 声をあげるとララちゃんは短剣をバッグから取り出す。

「シリカにあげる!」

「えっ! そ、そんな高価そうなもの無理です」

 鋭く光る短剣を見てシリカちゃんが断る。

「高価じゃないよ。それに守ってもらうばかりじゃダメ。自分の身は守れるようにならないと。シリカならなれるよ」

 ララちゃんはそういって短剣を差し出してくる。シリカちゃんは僕の顔と短剣を何度も見て頷く。

「分かった。訓練してみるね」

「ん、今見てあげるよ」

「えっ!? 今ですか?」

 ということでララちゃんの指導が始まる。逆手に持たせたり、突きを練習したり。しばらくはシリカちゃんを取られちゃったな~。

「ん、思っていた通り、すじがいい。練習すればいい斥候になる。魔法も今度教えるね」

「ハァハァ。ありがとうございます」

 仰向けに倒れて息を切らせるシリカちゃんを褒めるララちゃん。魔法も使えるなんて本当に優秀だな~。

「ん……じゃあ、次はジーニ様。どのくらい強いのか知りたい」

「バブ?」

 ララちゃんが僕を見て呟く。一瞬で僕の背後に回って鋭い手刀を繰り出してくる。でも、僕はそこにはいない。

「ざ、残像!?」

 一瞬の姿が残り彼女の手刀が素通りする。ララちゃんはあたりを見回してるけど、僕を見つけることは出来ない。

「ど、どこ?」

「バブ!」

「下!?」

 キョロキョロしてるララちゃんの股下から声をあげる。驚き戸惑って後ろに飛んでいく。その跳躍からも普通の人じゃないのが分かる。

「ん、分かった。私よりもかなり上。ローズ様よりも上かも。違うか、ジーク様よりもかな?」

「バ~ブ~」

 ララちゃんはそういって僕のおでこをつついてきた。僕は首を横に振って答える。本当のところは知らないしね~。

「ジーニ様~」

 そうこうしているとデシウスさんが駆け寄ってくる。見事にメイドの姿になってる。行商人さんが来て、丁度メイド服が売ってたんだよな。デシウスさんはそれなりにお金を持っていたからすぐに買ったらしい。

「バブ?」

「聞いてくださいよ~。城壁の工事を手伝うことになったんですけど~。私はああいった土を扱うような仕事よりも鉄を叩く方が得意って言ったんです。そうしたらグッツさんに『そんなひらひらしたもの着てるやつが?』って言って来たんです。なのでぶっ叩いて出てきました」

 ん? デシウスさんの話を直訳すると服を侮辱されたので仕事放棄してきました、だよね。うん、お仕置きだ。

「痛い! な、何をするのですか~」

「バブ!」

「ん、お仕置きだって」

「そ、そんな~」

 デシウスさんのお尻を引っぱたく。僕の声を翻訳してくれるララちゃんの声に情けない声をあげるデシウス。
 鎧を着ていただけあって痛みに耐性がついていないみたいだ。大げさにいたがってくれる。
 でも、彼女は鍛冶の心得があるのかな? それなら鉄鉱石をインゴットにして売れば鉱石を売るよりも儲かるんじゃないかな?

「デシウスさん。鍛冶の心得があるなら鍛冶場を作ることも可能ですか?」

「え? はい。故郷ではミスリルを加工したりしていたので作れますけど。でも、魔石がないと難しいですね」

「魔石なら大丈夫です。ね? ジーニ様」

「アイ!」

 シリカちゃんの問いにデシウスさんは首を傾げて答えた。可愛らしく僕へと声をかけるシリカちゃんに元気に答えて魔石をマジックバッグから取り出す。

「これだけあれば十分です。まさか、城壁用で底をつかないとは……ジーニ様には恐れ入ります」

 デシウスさんは僕に感服したみたいで頭を下げてくる。
 毎晩、みんなが寝静まったころに洞窟に入って試練をやってるんだよね。そのおかげで魔石はもちろんのこと、秘薬もそこそこたまってきた。偶にララちゃんに見つかっていたけど、彼女は快くいかせてくれてたんだよな~。
 懐が深いララちゃんでよかった。お胸は控えめだけどね。

「ん? ジーニちゃん何か言った?」

「バ~ブ~?」

「……」

 ララちゃんのことを考えていると勘のいい彼女に怪しまれてしまった。視線でお胸のことだと悟ったみたいで自分の胸を見てる。
 シリカちゃんやデシウスさんの胸を見てため息をついているな。大丈夫、需要はすべてに平等にあるものだから。
しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

没落貴族と拾われ娘の成り上がり生活

アイアイ式パイルドライバー
ファンタジー
 名家の生まれなうえに将来を有望視され、若くして領主となったカイエン・ガリエンド。彼は飢饉の際に王侯貴族よりも民衆を優先したために田舎の開拓村へ左遷されてしまう。  妻は彼の元を去り、一族からは勘当も同然の扱いを受け、王からは見捨てられ、生きる希望を失ったカイエンはある日、浅黒い肌の赤ん坊を拾った。  貴族の彼は赤子など育てた事などなく、しかも左遷された彼に乳母を雇う余裕もない。  しかし、心優しい村人たちの協力で何とか子育てと領主仕事をこなす事にカイエンは成功し、おまけにカイエンは開拓村にて子育てを手伝ってくれた村娘のリーリルと結婚までしてしまう。  小さな開拓村で幸せな生活を手に入れたカイエンであるが、この幸せはカイエンに迫る困難と成り上がりの始まりに過ぎなかった。

追放されたので田舎でスローライフするはずが、いつの間にか最強領主になっていた件

言諮 アイ
ファンタジー
「お前のような無能はいらない!」 ──そう言われ、レオンは王都から盛大に追放された。 だが彼は思った。 「やった!最高のスローライフの始まりだ!!」 そして辺境の村に移住し、畑を耕し、温泉を掘り当て、牧場を開き、ついでに商売を始めたら…… 気づけば村が巨大都市になっていた。 農業改革を進めたら周囲の貴族が土下座し、交易を始めたら王国経済をぶっ壊し、温泉を作ったら各国の王族が観光に押し寄せる。 「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだが……?」 一方、レオンを追放した王国は、バカ王のせいで経済崩壊&敵国に占領寸前! 慌てて「レオン様、助けてください!!」と泣きついてくるが…… 「ん? ちょっと待て。俺に無能って言ったの、どこのどいつだっけ?」 もはや世界最強の領主となったレオンは、 「好き勝手やった報い? しらんな」と華麗にスルーし、 今日ものんびり温泉につかるのだった。 ついでに「真の愛」まで手に入れて、レオンの楽園ライフは続く──!

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

処理中です...