8 / 165
第一章 始まり

第七話 チート発動中

しおりを挟む
 僕は真っ暗の中、制作を続けていた。装飾品、武器、防具、その全てが僕を驚かす。骨を使った物はまるで月の化身のような輝きを纏い。皮を使った装備は今にも生き返りそうな毛皮が僕を包んでくれる。

 僕は初めて作ったこの子達に名前を付けた、[月下の剣]と[大地の毛皮]。僕は二つを抱きしめるとポアッと光の球が舞って僕へと入っていった。

 その光はスキルカードに入っていったようだ。

ルーク 

 職業 洗濯板

 レベル 1

 HP 30
 MP 50
 
 STR13
 VIT11 
 DEX12 
 AGI11 
 INT10 
 MND10 

取得しているスキル 


武術系スキル

 剣術7

 

制作系スキル

 家事7

 裁縫7

 武器製造7

 防具製造7

 魔道具製造7

 農業7

 エキストラスキル 

 [洗濯][付喪神(ツクモガミ)]





 割り振りスキルポイント 230


「ツクモガミ?知らない言葉だけど何だろう」

 僕は首を傾げる。でも、洗濯のエキストラスキルだけしかなかった欄が埋まってよかったと軽く考える。これだけ色々作ったけど職業が洗濯板になっているのはどういう事なんだ!職業とは生き様ではなくて成るものだと思うのだが、僕はいつ、洗濯板になりますと言ったんだろうか。僕はうなだれて自問自答するが解決しないので諦める。

 このまま、街道を行けばエリントスの街に着くはずなのでそこで職業を変える。そして、あわよくば...

「楽して暮らすぞ~~~」

 カテジナ叔母さんへと恩を返すと言っておきながらそんな事を考え始めたルークは作った武器防具を身に着けて街道をウキウキと歩いて行く。

 真っ暗な街道に薄っすらと白く光る亡霊が歩いて行く。まるで死人が何かを求めるように輝く姿は人を怯えさせるに至るだろう。

 だが、そんな光を纏っている本人はあっけらかんとしている。

「あれ以来襲われないな~。真っ暗な夜はその姿通りに静か、さっきの狼の魔物は偶々だったのかな?」

 ルークは何か勘違いしている。これを見ていただきたい。

 ルークを囲うように円を描いている狼達だ。ルークは尻もちをついている。

 そう、枝を振るう前のルークだ。3匹しかいなかったのではない。3匹ではなく30匹だったのだ。あのひと振りが無かったらルークは間違いなく死んでいた。ここはそういう世界だ。一人で真夜中に街道を歩いて生きていられるはずはないのだ。

 それを踏まえてこれを見ていただこう。

 現在のルークは薄い膜のような光に覆われて守られている。これは月下の剣が発している光なのだがこれによって魔物を遠ざけているのだ。[月下の剣]これはSランクの剣である。
 Eランクの骨でSランクの武器が出来てしまう。武器制作スキルだけでこれは不可能だ。他の器用さに作用するスキルも上げていた為この結果になったのだろう。くしくも叔母の用意した洗濯という行為がルークの力になっていたのだ。

 そして、更に[大地の毛皮]である。これは地面と同化する事で足音を無くし更に匂いを消す。体温調節能力も高く毛皮でも南国で着る事ができる。何とも便利な防具である。

 これにより魔物はルークに気付かないし、気付いてもこの剣と服の気配で遠ざかっていく。これは親を思う子が悪意から親を守ろうとする行為なのだ。

 [付喪神]我々日本人なら誰でも知っているであろう神の一種だ。物には神が宿ると言われている。愛されたルークの制作物達はルークに対して心を許した。エキストラスキルとして形をなしたのだ。ルークはまた一つ大事な物を手に入れた。

「そろそろ、城壁が見えてきてもいいんだけど...」

 真っ暗だった街道が日の出で照らされてきた。村から二日ほど歩いていたのだが一回しか魔物に会わなかった。それが称して五日の道が二日と脅威の速度である。

 これもまた、ルークのチートが爆発している。装飾品でスタミナや速力が上がっているのだ。ルークはまだ気づいていない。

「街ってこんなに近かったんだな~。僕はリバーハブ村しか知らなかったからな~」

 こんなに近いんだったら家出すればよかったと思ったがユアンがいる間にそんな悲しませることはできなかったなと思い返すルークであった。

しおりを挟む
感想 296

あなたにおすすめの小説

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。

お小遣い月3万
ファンタジー
 異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。  夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。  妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。  勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。  ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。  夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。  夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。  その子を大切に育てる。  女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。  2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。  だけど子どもはどんどんと強くなって行く。    大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。

赤ん坊なのに【試練】がいっぱい! 僕は【試練】で大きくなれました

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はジーニアス 優しい両親のもとで生まれた僕は小さな村で暮らすこととなりました お父さんは村の村長みたいな立場みたい お母さんは病弱で家から出れないほど 二人を助けるとともに僕は異世界を楽しんでいきます ーーーーー この作品は大変楽しく書けていましたが 49話で終わりとすることにいたしました 完結はさせようと思いましたが次をすぐに書きたい そんな欲求に屈してしまいましたすみません

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

処理中です...