106 / 165
第三章 王都リナージュ

第二話 モテ男?

しおりを挟む
 孤児院の人員募集をかけて三日、10人の人員確保が完了しました。この世界で生きていくには訓練も大事だと思って元冒険者の人も雇った。本当はアレイストさんも来てほしかったんだけど彼女は隣町に行ってしまいました。リザードマンの要件が終わったので次の魔物の群れに対応しに行ったみたい。本当はもっと先になると思ってたからユアンと王都に戻ることを了承していたんだけど、予定が早まってしまったみたい。心配だけどアレイストさんなら大丈夫だよね。

 孤児院の心配事がなくなったので僕らは予定通り王都に行くことになりました。すっごく気が重い。王都の貴族の人に会わなくちゃいけないわけだもんね。それにティリス様は王族で王族の人にも会わなくちゃいけないって事だよね。ああ、行きたくないな~。

「ルーク、顔に思っている事が出ているよ」
「・・・」

 モナーナが僕の顔をみて話した。

「寂しいけどニャムはここで待っているにゃ。行ってらっしゃいにゃ~」

 ニャムさんは孤児院の教育係で雇われてくれた。ギルド職員を育てるという任務を得たようです。本当はノーラさん達の帰ってこいコールを交わすための口実のようですけど理にかなっていると思うのでノーラさん達エリントスのギルドマスターが許した形のようです。育ったら先にエリントスに派遣するように要求してきたようです。

 見送るニャムさんに手を振る僕ら。

 メイさんは護衛はいらないでしょって事で孤児院に残ってくれるみたい。有能な子がいたらクルシュ様の所にも仕事を斡旋してくれるみたい。色々子供達には有利なように運んでいます。
 クコも子供達の教育係を受け持ってくれるのでとても助かります。今回、孤児院で働いてくれた人達の給金はポーション自販機のお金から払われるので痛くも痒くもない。一日の売り上げだけで一か月分は払えるといった状態です。ポーション自販機のお金の回収は領主の屋敷に集められます。一日金貨10枚といった感じ、これは一台の稼ぎ、三台設置しているので30枚稼ぎます。

 という事で今回は僕、モナーナ、ルナさん、ティリス様とゼッバスチャンの総勢5人です。

「ウニャ!」

 ミスリーを忘れていました。プラス一匹の5人と一匹でした。

 ワインプールにも帰る場所が出来てしまった。王都から帰る時はエリントスを経由してワインプールへ行く事にしよう。






「モナーナさんはルークさんの奥方様なのですか?」
「「えっ」」

 馬車で街道を走っている時、唐突にルナさんが僕達を見て話した。僕とモナーナはキョトンとして見合うと頬を赤く染めた。

「そ、そんなわけないじゃないですか。僕はレベル1なんですよそんな僕が結婚なんか」
「・・・」
「そうですか。人族の方々は1レベルというだけでルークさんの事を恋愛対象と見ない物なのですか?」

 僕の否定にモナーナが無言で見つめてきた。その様子をみてルナさんが話した。モナーナは気づかない僕を見てため息をつくと話し始めた

「ルナさん、そうじゃないんです。ルークは卑屈でそう思っているだけなの」
「ええ、そんな事ないよ。現に僕は告白された事もないし」
「ニャムが告白したっていってたよ。覚えていないの?」
「ええ!」

 ニャムさんが僕に告白?そんな事あったかな。そういえばエリントスで言われたような・・・揶揄われたと思っていたけど本当だったの?なら、ちゃんと返事していない僕って凄い嫌な男だよね・・・。

「それにワインプールで若い女性に籠に入った果物をもらっていたんです」
「それが何か?」

 モナーナはため息まじりに話した。ルナさんは人社会の常識を知らないので首を傾げている。僕も知らなかったのでキョトンとしています。するとモナーナは大きなため息をして話し出した。

「意中の男性にそう言ったものを渡すんです。籠を戻してもらうからまた会いたいですっていう意思表示なの」
「え~そんな意味があったの?そういえば籠を返した時、化粧が濃かったような」

 そんなルール知らないよ。まさか、そんな意味があったなんて気づきもしなかったです。

「では、ルークさんはモテているという事ですか?」
「そうですね」

 ルナさんの疑問にモナーナがハッキリと肯定した。
 僕ってモテていたの?気付かなかったです。孤児院を建てたりしたのが目立っていただけだと思っていたけど違うみたいです。

「ルークさんに妻候補がいなければ、私が立候補したいのですがいいでしょうか?」
「「ええ」」

 ルナさんが僕に顔を近づけてきて話した。メイさんのからかいに乗っていただけだとおもってたので僕はタジタジ。
    僕は後ずさりして戸惑っているとモナーナがプルプル震えながら間に入ってくれた。

「ダメ!ルークは...私の・・・」

 モナーナは顔を赤くして手を広げて僕を守っている。僕はモナーナの?

「ルーク様」

 御者席にいたゼッバスチャンから声があがった。

「どうしたんですか?」

 馬車の前を覗くと遠くの街道に馬車が止まっていて火の手が上がっていた。

「どうやら盗賊に襲われているようなのです」
「盗賊?」

 ワインプールの大きな盗賊がクコに倒されてしまった事で盗賊達の縄張り争いが活発になっているとか言うのは聞いた事はあったけどこんな平野で盗賊行為をするなんてこの盗賊達はダメな人達だな~。

「って呑気に考えている場合じゃなかった」
「ルーク私も」

 馬車から飛び出して火の手の上がっている馬車へと駆けていく。モナーナもすぐ後ろについて来ている。ミスリーは馬車を守ってもらおう、まだ盗賊がいるかもしれないからね。

「ロドフ!」
「アオ~ン!」

 久しぶりにロドフを召喚、偶に出してあげないと不貞腐れちゃうからね。

「何だこいつら!うわ!」
「こいつら強いぞ」

 馬車の周りを盗賊達が取り囲んでいて馬車を守るように騎士達が下馬して槍を構えていた。馬車の装飾を見るととても豪華なのでそれ相応の位の高い人が乗っているのが伺えた。
 僕とモナーナは片膝をついて今にも切られそうになっていた女騎士さんを助けるように盗賊の剣をコネて地面に落とした。剣を持っていても被害が増えるだけだろうから壊しておきました。この間もロドフが盗賊達を襲っていきます。

「あなた達は?」
「話はあとで、まずは掃除しないと」

 騎士達がどよめいて僕たちに質問してきたんだけど、盗賊達の熱気が上がったのを感じて手で制して、僕とモナーナは盗賊達に対峙する。

「ルーク私が![エアプレス]」

 馬車の左側を陣取っていた盗賊達が地べたに這う、ロドフはモナーナの行動を読んで回避していました、流石ロドフ。モナーナの上からの圧に勝てずに盗賊達は動きを止めた。残りの盗賊達は右側の騎士達と交戦を始めたが芳しくない事に焦りをみせて撤退を開始。でも、逃がすつもりはありません。

「何だコリャ!前に進めねえ。どうなってんだ」
「こんな魔法聞いた事ないぞ」

 盗賊達は光の壁に阻まれて撤退できないでいる。もちろん、僕の操る光が壁を作っています。魔法を唱えていないので僕が使ったとはわからないでしょう。そして、

「[エアプレス]」

 左側の盗賊が全員気絶したのを確認したモナーナが逃げそびれた盗賊達全員に魔法をかけて気絶させていく。極力僕は手を出さないスタンスが完成しました。
しおりを挟む
感想 296

あなたにおすすめの小説

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

幼馴染パーティーから追放された冒険者~所持していたユニークスキルは限界突破でした~レベル1から始まる成り上がりストーリー

すもも太郎
ファンタジー
 この世界は個人ごとにレベルの上限が決まっていて、それが本人の資質として死ぬまで変えられません。(伝説の勇者でレベル65)  主人公テイジンは能力を封印されて生まれた。それはレベルキャップ1という特大のハンデだったが、それ故に幼馴染パーティーとの冒険によって莫大な経験値を積み上げる事が出来ていた。(ギャップボーナス最大化状態)  しかし、レベルは1から一切上がらないまま、免許の更新期限が過ぎてギルドを首になり絶望する。  命を投げ出す決意で訪れた死と再生の洞窟でテイジンの封印が解け、ユニークスキル”限界突破”を手にする。その後、自分の力を知らず知らずに発揮していき、周囲を驚かせながらも一人旅をつづけようとするが‥‥ ※1話1500文字くらいで書いております

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……

karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。

病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。

もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
 ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。

処理中です...