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2章-4節. 停学期間を折り返した私は…
14.鬼火に話しかけます。
しおりを挟む迷宮に迷い込んだ私たちは、転移陣を目前にして絶体絶命の危機に陥っている。逃げ場はない。だから、一か八かの手に出る事にした。だが、今回は拳も体術も使わない。
「アレク!一体何を……」
「何って、話し合いだよ。」
「………話し合い?」
何も、力を振るうだけが戦いではない。交渉も立派な戦いだ。
「待ち伏せしたり、連携を組むだけの知性があるなら、話し合いで解決出来るかもしれない。一か八かダメ元で交渉を持ちかけてみる。」
「正気かお前!?」
「アレクさん……本気で言ってるんですか?」
「あぁ、非常に残念な事にな。さらに言えば、理性が飛ぶ程とち狂ってもいない。至って冷静だ。」
「もし…交渉が出来なかったら?」
「そん時は、私が真っ先に火だるまになるだけのこと。けど、どっちみちこのままだと全員火だるまだ。まぁ、最後の茶番とでも思って見過ごしてくれ。」
「「………」」
さて……
「という訳で、話し合いがしたいんだが……誰か代表者は居ないか?」
“「「「「(ボボボッ…ボッ……ボボッ……)」」」」“
話し合ってるみたいな動きだ。さて……どうなることか……
“「(ボボボッ……フヨォ~……)」“
そのうちの一つが、近付いて来た。
《ソレガシがお相手を仕ろう。》
念話で話しかけられた。思ったより思念がはっきりしてるし、対話が出来るなら交渉の見込みもあるな。
《先に言っておこう。生憎だが、我々は交渉をするつもりはない。》
「………え?」
《我々は、ここへ来た者を狩る事で、存在の維持と増殖を行っている。しかし、ここ最近は久しく獲物が来ない。普段は休眠状態となる事で耐え忍んできたが……もはや限界だ。このままでは、我々は途絶えてしまう。そんな時に現れたキミ達は我々がずっと待ち望んでいた獲物だ。ここでみすみす逃す訳にはいかないな。》
思ったより切実な理由だった。そりゃあそうだよな。転移陣が使えない彼らにとって、ここは閉鎖空間でしかない。そんなところだと、次の獲物どころか明日すらもわからない。けど、そういう事なら可燃性のある魔物の素材を渡す事で解決しそうだ。話が出来る相手で良かったな。
「言い分はもっともだ。だが、そういう事なら私から……」
《故に、諦めて我らの糧となって欲しい。希望など、持っても虚しいだけだろう?》
「いや、だから…」
《安心されよ。頭から一気に燃やすので苦しみは殆どない。》
「あの、話を……」
《しかし、暴れられれば苦しみは増すばかりだ。キミ達のためにも、大人しくして頂きたい。》
話は通じるけど話を聞かないな、こいつ。
「………すげぇ。本当に鬼火と話してるよ。」
「本当に、いつも驚かされますね。色々と。」
いや、全然話が噛み合ってないからね?寧ろやばい状況だからね?
《では、始めるとしよう。》
“「(ボボボッ…ボボボボッ……)」“
みるみるうちに炎の色が橙色から青色に変わっていく。温度が上がっているのだろう。
本気で燃やす気だ。せめてテルマ達に避難する様に呼びかけ……
「お…おいおい、流石に不味くないか?」
「えぇ……でも僕は、アレクさんに命運を委ねますよ。」
「へっ?……あ…あぁ、もちろん俺もそうだ!恨みっこ無しだ!!」
「………」
ダメだな。こいつらも話を聞きそうにない。
《遺言があるなら、早めに済ませてくれ。もう待ちきれない。》
“「(ボボボッ…スィ~……)」“
そう言いつつ、迫って来る。
《さらばだ。客人よ。》
「だから…(パンッ)話を聞けって。」
「「……へ?」」
《な………?》
私は、柏手を打つ様にして鬼火を掌で包んだ。
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