薬師の名門ブレルスクに入学した私は、退学するまで暴れます。〜少年アレクの倫理で殴る学園ファンタジー〜

鮒捌ケコラ

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2章-2節.ヘルデス家の争続に巻き込まれた私は…

31.今日1番の動揺をしました。

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「……ふぅ。それにしても長い1日だったな。」
「あぁ、何というか……ここに帰って来るのも久しぶりに感じるな。体感的には一年くらい帰ってなかった気分だ。」
「奇遇ですね。僕も迷宮ダンジョンの第二階層に入った瞬間に何ヶ月か時間を止められた様な気がします。」
「2人とも、この話はやめにしよう。これ以上触れちゃいけない気がする。」

 ヘルデス家の遺産相続争いに巻き込まれた私達は、暗号の解読やら迷宮ダンジョンの攻略やらを強いられたが、オルブの協力もあって何とかヘルデス邸を脱出することが出来た。

 そして今、ようやく我が家に着いた所だ。

「(くぅぅぅ)……アレク。」
「そうだな。早速メタルリザードを…」
「………」
「オルブ?どうした?」
「あの、もしかしてアレクさんって、地方の貴族……いや、商家の生まれとかですか?」
「いいや、ただの平民だよ。故郷では森番をしてた。」
「ただの森番が、どうやったらこんな屋敷に住めるんですか?」

 最もな質問だ。

「ちょっとしたツテがあるんだよ。故郷で商人をやっている友人から借りている屋敷だ。好きに使っても良いって貸してくれたんだよ。」
「森番で、商人の友人ですか。」
「もう少し詳しく話しても良いが、立ち話もなんだ。(ガチャッ)続きは座って話そう。茶でも呑みながら……」

 そう言いつつ中へと案内しようと扉を開く……と、

「(ガバッ)」
「っ………?…!?(ドキッ)」

 いきなり抱きつかれた。

「っ……!!(ギュゥッ)」
「ちょ…カンナさん?(ドッドッドッ……)」
「よかっ…た……(フルフル)」

 何故か彼女は、酷く怯えた様子だった。

「アレクさんっ、ご無事ですか?」
「(スゥッ……)え、えぇ…ご覧の通り、何処も問題はありません。」
「本当ですか?帰りがとても遅かったようですが…」
「えっと…多少面倒事に巻き込まれまして。解決に時間が掛かってしまいました。ご心配をおかけしました。」
「…いえ、ご無事で何よりです。」

 取り敢えず、腑に落ちて貰えた様だ。あとは…
 
「……あの、テルマさん?僕はお暇した方が良いように思えるのですが……」
「ん?何でだ?」
「いや、その……取り込み中の様ですし。」
「取り込み中?そうなのか?」
「そうなのかって……どう見ても、痴情の縺れに見えるのですが?」

 あらぬ誤解が悪化する前に、客人を屋敷に入れるとしよう。

「……カンナさん。つもる話は、屋敷に入ってからにしませんか?客人も居ますし。」
「………へ?お客…人……??」
「(ビクッ)……あ、どうも。」
「よっ、カンナ!そろそろ入っても良いか?」
「………」

 気付いてなかったのか。

 どうやら、私しか見えなくなるくらい心配していた様だな。

「(……スン)大変、失礼致しました。(スクッ)初めまして。当館で働かせて頂いております、カンナと申します。本日は、ようこそお越しくださいました。」

 凄いな。一瞬で切り替えてるのもそうだけど、すごい動揺してるのに一切態度に示してない。私は相手の脈拍数諸々バイタルサインがわかるから動揺してるのバレバレだけど、見た目だけだとわからないな。

「本日は、私の出来得る最大限のおもてなしをさせていただきます。どうぞ、中へお入りください。」
「あ……はい、お邪魔します。」

 そういった意味では、メイドとしてのスペックは相当高いな。この子。

「カンナ、早速だが夕飯の支度から始めて貰えるか?今日は大物が手に入ったんだ。」
「かしこまりました。早速料理の支度を始めますね。」

 …………バレてないよな?ちゃんと直ぐに隠せたよな??

「………(バックン…バックン…バックン…バックン……)」

 違うから。これは不意打ちに対して臨戦態勢を取ろうとした条件反射であって………………鎮まれ。彼女は敵じゃない。でなきゃ、いっそ停まれ。

「どうしたアレク?早く入れよ。」
「………(バクッバクッバクッ) 」
「アレク?」
「………ごめん、もうちょいだけ待って(バクッバクッバクッ) 。」
「あ……あぁ、わかった。」

 テルマに促されてキッチンへと向かったのは、それから10分後のことだった。


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