転生してもオタクはなおりません。

しゃもん

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83.王宮からの招待状

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「お帰りなさいませ、花子はなこ様」

 花子はなこ異母兄ブラウンと別れ、  
 “白の宮殿”に戻ると――

 そこには、お茶を飲みながらも  
 冴え冴えとした笑みを浮かべる“鬼”がいた。

「お帰りなさい、花子はなこさん」

 なぜか、空気が凍りつくような冷気が漂っている。

「た……た、ただいま戻りました。おばあ様?」

 思わずどもり、語尾が上がる。

(な、なんか……ヤバい気配がする……)

「……あのー、何かありましたか? おばあ様」

「ええ、とても“喜ばしい”ことがありましたわ」

 そう言いながら、  
 おばあ様の眉間には青筋が浮かんでいた。

(……喜ばしいって言ってるけど、顔が怖いんですけど!?)

「こちらを、花子はなこ様」

 見かねたセバスが、  
 一通の封筒を差し出してきた。

(封筒? なんだろう……)

 訝しみながら開けてみると、  
 中には日時と場所、そして自分の名前と――

 **青紫色の王家の紋章。**

(な、なにこれ!?)

 疑問符を盛大に飛ばしていると、  
 いつの間にか背後にいたムツキが説明してくれた。

「その透かしは、“白の宮殿”の襲名を王家が正式に承認し、  
 それを祝うための招待状です」

(なるほど……って、え? 襲名!?)

「こちらもどうぞ」

 さらにセバスが、  
 前世でいうA4サイズの封筒を差し出してきた。

 中には――

 **フレッドの写真。**

(……は?)

「本当に嘆かわしいわ。  
 なんで花子はなこさんの候補が一人しかいないの?  
 信じられないわ。この私の孫なのに、何を考えているのかしら」

 ガチャン、とカップを置くおばあ様。

 その視線の先には、  
 珍しく俯いて壁を背に立つツヴァイと、  
 呆れ顔のフィーアが並んでいた。

(……なにこの並び。なにこの空気)

 セバスがそっと新しいお茶を二人の前に置きながら、  
 静かに呟いた。

大海おおみ様の魅力に捕らわれた者が多うございますので……  
 致し方ないかと」

(セバスさん、今回はさすがにフォローが苦しそう……)

「くっ……」

 おばあ様はお茶を一気に飲み干すと、  
 今度は心配そうな表情で花子に尋ねた。

花子はなこさん。  
 その写真の方……お嫌いかしら?」

(えっ、今なんて……?)

(嫌いかどうかって……)

 何度も一緒に戦った仲間だし、  
 別に嫌いではない。

「いえ、嫌いではありません」

 その一言で、  
 張りつめていた空気が一瞬にして霧散した。

「そう。ならよかったわ」

 おばあ様はほっとした表情を浮かべ、  
 セバスが継ぎ足したお茶を、今度は美味しそうに飲んだ。

 そして、機嫌を取り戻したおばあ様は、  
 ご褒美のようにこう言った。

「夕食まで、図書室の本を自由に読んでいいわよ」

「本当ですか!? おばあ様!」

「もちろんよ。これは私からのお祝い。  
 もうこの“白の宮殿”は、あなたのものなんですからね」

「わあ……ありがとうございます!」

 花子は目を輝かせて喜んだ――

 が。

 **その後に続いた“言葉の重み”を、  
 このとき聞き流してしまったことを、  
 彼女は後で死ぬほど後悔することになる。**
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