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70. 異世界782日目 試練の遺跡からの脱出
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70. 異世界782日目 試練の遺跡からの脱出
ランドリアさん達が起きてきたところで朝食をとり、改めて扉を調べてみる。扉自体はもともとあったもののようだけど、扉に大きなかんぬきのような鍵がはまっている。これってこっち側から鍵をかけているわけじゃないよね?
一応開かないか力を入れてみるが扉は全く動かない。やはりかんぬきのような鍵でロックされているようだ。鍵を鑑定してみると、なんとオリハルコンとミスリルをあわせた合金のようなものなのでとてもではないが壊すことはできそうにない。
鍵を調べていると、鍵の一部が開いて何かをはめ込む感じの穴と小さなプレートのような版があった。
「ここに何かをはめ込んで魔力認証かな?」
一緒に調べていたジェンとクリスさんと話をしていると、穴の形を見たクリスさんが何かを取り出してきた。
「ここにはめるのはこれかな?今回の試練の時に持たされた王家の印なんだけど。祭壇にあったものと同じような感じだな。」
確かにちょうどはまりそうな感じだ。今回の儀式は王家の男性だけがすると言っていたよな。王家の印をここにはめるということはこの門を開けるための操作を儀式として伝えていたんじゃないのか?いや、逆か?王家の儀式の内容をこの門の封印に利用したのか?王家の血の下に封印すると言うことは血?遺伝子か?
「クリスさん、王家の儀式って王家の印をはめる以外に血をプレートにつけるとか言うようなことをしませんでした?」
「ちょうど今話そうかと思っていたのだが、そのとおりだ。王家の儀式について話を聞いていたのか?」
「いえ、単なる推測です。」
「たしかにここにあるようなプレートに血を垂らすことになっている。後で見届け人がなにかを確認することになっているのだが、今回はそれをする前に転移してきた。」
「過去にこの儀式のあと、王家から出た王族はいませんでした?」
「ああ、儀式を受けた後、しばらくしてから王家を出たものが過去に何度かあったと聞いている。私のように事前に決まっていた話ではなく、かなり突然のことだったらしいが、理由はよくわからない。
もともとこの儀式は成人を迎えた時に行っていたらしいが今は婚姻の際にやることになっているのだ。そのあたりの詳細については私はよくわからない。」
どこまで王家の中でこの儀式の内容を理解しているのかわからないけど、王家に連なる男系であればなにかしらの反応をすると言うことなんだろう。それで反応しない人は不義の子と言うことか?それができるのならもっと小さいうちに確認すればいいのに何か理由でもあるのかね?
「王家の儀式がここの鍵を開ける方法になったのか、鍵を開ける儀式が王家の儀式になったのかわかりませんが、やり方は同じではないかと思います。」
「確かにそうかもな。それではやってみるか?」
「待ってください!」
いきなりクリスさんがやろうとしたので呼び止める。
「扉の向こうに何があるかわからないので注意しておくべきだと思います。いきなり扉が開いて、もし魔獣がいたら大変です。索敵ができないので戦闘態勢だけは整えておきましょう。」
ランドリアさんの指示で、門の前に王家の剣のメンバーが、後ろからの攻撃に備えてスレインさん達が、自分とジェンはクリスさんと一緒に鍵のところで待機して両面のサポートを行うことになった。
「それではお願いします。」
クリスさんは王家の印をはめた後、指を少し切って血をプレートに押し当てる。するとプレートが光り、鍵が外れたような音がした。
「よかった。鍵は開いたみたいだね。」
扉は自動で開くわけではないようなのでアルドさんとランドリアさんの二人で扉を開けてもらうことにする。
「それじゃあ開けるぞ。少し開けたところで索敵をしてすぐに対応出来るようにしてくれ。」
扉を開けると中の索敵が出来るようになった。
「中には強い魔獣の気配はありませんが、大狼が数匹いるようです。」
とりあえず感知できるのは上階位までなので大丈夫だろう。扉の開放と共に飛び出してきた大狼はあっさりと討伐された。
扉の向こうには魔獣石が結構転がっている。おそらくここで生まれては死んでいった魔獣のものなのかもしれない。魔獣石を回収すると結構な金額になっていた。
通路は暗いので光魔法で光源を作る。わずかだけど空気の流れがあるので空気孔でもあるのかな?一応安全君も稼働してみると特に問題はないみたいだったので大丈夫だろう。
「空気の流れもありますし、特に問題は無いようです。魔獣の気配も感じません。」
扉の反対側にも同じような構造で鍵がついているのでどちらからでも開けられるようになっているみたいだ。中の魔獣が出てきても困るので、扉を閉めておく。こっち側も空気がたまっていた感じではないので閉めても問題ないだろう。
「とりあえず先に進むか。
先頭は私達が行くので、そのあとにジュンイチ達、しんがりは殿下達にお願いする。ジュンイチ達の索敵能力が高いので警戒を頼む。」
通路の広さは車2台が通れそうなくらいでかなり広い。あたりの壁を調べてみるけど特に何があるわけではない。とりあえずこの通路が外につながっていると信じて進むしかないだろうな。
1時間ほど歩くと行き止まりになってしまった。
「行き止まりになっているんだが、壁ではなくて土砂で埋まっている感じだな。天井が崩れて埋まってしまったのだろうか?」
「古代遺跡で現在も稼働しているようなので簡単に壁が崩れるとは思えないんですよね。」
少し土を掘ってみるとかなりぼろぼろになっているけど、もともとは土嚢のような袋を積んでいったような跡があった。
「ここの土は袋か何かで運ばれたような形跡があるので、遺跡を封印するときに出入り口が分からないように通路をふさいだと考えた方が良さそうですね。」
「ということは掘り進んでも落盤の危険性はあまり考えなくていいと言うことか?」
「ええ、その心配はかなり低いと思いますよ。」
ここからは収納バッグを使って土砂を取り除いていくことになった。ただある程度土を切り離さないと収納できないので少しずつしか取り除けないのが面倒だけど、収納バッグを持っている人は多いので人海戦術でなんとかなる感じだ。
しばらく掘り進むと再び扉が見えてきた。周りの土を除いて見ると、同じように封印されているみたいだったのでこちらも鍵を開けて扉を開く。扉を開けるとそちらの方にはスペースがなく、土砂が流れ込んできた。
「もう少しで外に出られそうですね。」
「ああ、扉を隠すために土砂を詰めた感じみたいだから、もう少しだろう。まさか扉を二重にして封鎖までしているとは思わなかったがな。」
そこからさらに少し掘り進むと、土が崩れて空洞になったんだけど、明かりが差し込むわけではない。索敵してみるが、特に魔獣の気配はなかった。人がギリギリ通れるくらいの洞窟のようになっていたので慎重に進んでいくと、光が見えてきた。
「やっと外に出られるのかな?」
「良かった。とりあえずは脱出成功って事かしら。」
外に出ると青空が広がって太陽も見えていた。ほんとに外だよな?先頭を歩いていたランドリアさんが声を上げる。
「とりあえず現在地がはっきりとは分からないが、無事に脱出できたと考えていいだろう。遠くに塀が見えるので、遺跡の外には出ていないと思う。遺跡の南側に出てきているようなので、ここから東側にある遺跡の入口に向かおうと思うが、他に意見はないか?」
「先ほどの遺跡の扉が開けっ放しなので扉を閉じてから少し土を戻しておいたほうがいいと思うんですが・・・。」
「確かにそうだな。殿下を含めて数名で行ってこよう。ジュンイチも来てくれるか。」
「分かりました。」
先ほどの扉のところまで戻ってから扉を閉めて土を少し戻しておいた。このあと遺跡の入口に向かい、無事に待機していた兵士達と合流を果たす。
他のところから現れた兵士達はかなり驚いていたけど、クリスさんたちの姿を見てほっとしていた。すぐに王宮への連絡に行ったようだ。自分たちもすぐに王宮に戻ることにしたので車を取り出してから出発する。車でジェンと二人になったところで気になっていたことを話す。
「なあ、遺跡のことはどこまで話をする?」
「やっぱりそれが気になっていた?私は国王陛下に素直に話すべきだと思うわ。」
「やっぱりそうだよなあ・・・。詳細は伝わっていないと言っていたけど、今回の事があったら調査に入る可能性もあるし、そうなったらある程度の人にばれてしまうよなあ。」
「話しても話さなくても結局は同じ結果になるのなら分かっている内容を素直に伝えるべきだと思うわ。遺跡を封印したヤーマン王家のことを信じましょう。」
サクラに戻ってきてから専用門を抜けてまっすぐに王宮へと向かう。先に連絡が行っていたせいか、国王陛下が待ってくれているみたいで、すぐに部屋に通される。一緒に第二王妃殿下もいたんだけど、思ったよりも元気なクリスさんたちの姿を見てほっとしているようだ。
詳細はまたクリスさんたちから説明してもらえるということだったので、今回の事について自分の見解を含めて一通りの説明を行う。地下にあった遺跡に転移したこと、転移先で魔獣に襲われていたこと、出口が王家の血統で封印されていたこと、出口を発見して脱出できたことなどを簡単に報告する。
説明の後、国王陛下にお願いして他の人には退出してもらう。通常では考えられないことだけど、国王陛下も事前の遺跡の封印の話をしていたので何かを感じて個別に話をすることに納得してくれたようだ。
「今回見つかった遺跡の中で古代ライハン語で記載がされているものがありました。この内容はおそらく王家に口伝で伝わっていたという話ではないかと思います。」
「遺跡の封印の話か?」
「はい、全部の解読ができたわけではありませんが、古代文明を滅ぼしたと思われる兵器が眠っていると思われます。」
「!!ま、まことか!?」
さすがにかなり驚いているようだ。
「その建物の中は見ていないのでどんなものなのか、今も動くのかについては分かりませんが、入口には古代ライハン語で説明が書かれているようでした。
その文章を解読したのか、実物を見てそう判断したのかは分かりませんが、古代ホクサイ語で『古代の遺物をヤーマンの王家の名の下に封印する。この封印を解くものはその対価を考えるべきである。』と書かれていました。」
「そうか・・・。」
「この内容は同行した人達にも話していません。また扉は王家の人達にしか開けられないようになっていましたが、鍵自体は古代の遺物ではないようなので、今の技術でもどうにかして壊して入ることができるのではないかと思います。
出入口は再度簡単に埋め戻していますが、今度またあそこに行って封印しておかなければならないと思います。その際には王家の方の協力が必要ですのでクリスさんにも同行してもらわないといけないと思います。」
「手間をかける。他のものに行かせるわけにもいかないので頼むぞ。同行メンバーには今回のことは口外しないように言っておこう。おそらくあのメンバーなら大丈夫だと思うがな。」
「このことは公にはしないと考えていいのですね?」
「もちろんだ。”過ぎたる力は己を滅ぼす”というのは我が王家で常に言われていることだ。それを考えないものは王家を継ぐことはできん。」
「ありがとうございます。」
ジェンも国王陛下の言葉にほっとしたようだった。
「あと、今回の依頼を受けた際に経費として先にお借りしたお金ですが、思ったほど使わなくて済みました。500万ドールお借りしましたが、おそらく使ったのは20万ドールくらいだと思います。先に話しましたように必要経費と言うことでお願いします。」
そう言って100万ドールの硬貨4枚と10万ドールの硬貨を1枚だす。
「あくまで個人資産から出したものなので、そのまま受け取ってもらっていてもよかったんだがな。」
「いえ、そういうわけにはいきません。報酬は特別依頼の分で十分です。」
「わかった。依頼の完了証明は後で手配しよう。そこでお金も返金してくれ。」
「ありがとうございます。」
一通りの話を終えると、国王陛下は護衛を呼んで部屋を出て行った。
案内の人にこのあとの手続きを簡単に説明してもらった後、部屋を出るとクリスさんたちがまだ待っていた。
「無事に話は終わったのか?私からは詳細は聞かない方がよさそうだな。」
「ええ、申し訳ありませんが・・・。もし必要と思われた場合は国王陛下から話があると思います。」
「さて、それじゃあこっちの話をしようか。遅くなってしまったが、結婚式の招待状だ。誰かに預けてもよかったんだが、せっかくだから直接渡したくてな。」
二枚の招待状を渡される。なんかかなり豪華な招待状だな。
「ありがとうございます。」
「もちろん来てくれるんだよな?」
「そのためにサクラまでやってきたんですから、これで呼んでくれなかったら悲しいですよ。」
「それもそうか。」
お互いに笑って話しているけど、こんなに笑って話せるようになってほんとによかったよな。
自分たちは窓口に行ってお金の返却と依頼の完了証明証の発行をしてもらう。一通りの手続きを終えてから王宮を出て宿屋へと向かった。
宿屋にはしばらく留守にすることは連絡していたので問題は無い。受付で少し話をしていると、何やらお偉いさんのような人がやってきた。「少しだけお時間を下さいませんか?」と言われて応接室のようなところに案内される。
遺跡でクリスさんと雑談しているときに宿が空いていないことを話していたんだけど、そのことをクリスさんが連絡してくれたみたい。それで特別室を用意できるので使ってくれと言うことだった。
さすがに値段が気になったんだけど、”結婚式に招待したのだから宿泊費は気にしないでくれ”というような伝言があったようだ。そういえば、こういうホテルはVIP用に特別室をある程度空けているとか聞いたことがあるな。まあせっかくなので言葉に甘えることにしよう。
ありがたく使わせてもらうと話すと、さすがにクリスさんから直接連絡があったこと、結婚式に招待されていることからかなりのVIPと思われたみたいで、クリストフ殿下にもよろしくと言われてしまった。そう言われてもねえ・・・。
今日から部屋を移動できると言われたけど、さすがにそれは辞退させてもらった。5日分だけで十分です。
部屋に行くと、なんか部屋が今までよりもちょっと豪華になっていた。家具とかはそのままなんだけど、置いているタオルとかシーツとかの質がよくなっている感じだ。しかもフルーツとかまでおいてあり、”ご自由にどうぞ”とメッセージが添えられていた。なんかすでにVIPになった気分だな。
ほんとはゆっくりお風呂に入りたかったけど、さすがに今日はゆっくり休みたかったので浄化魔法で済ませることにする。ベッドに入ると速攻で眠りに落ちていった。
~ヤーマン国王Side~
クリスが王家の婚姻の儀式に向かった。妻がそんなことをしていないと信じているが、やはり心配になってしまう。過去にこの儀式で反応せず、妻を含めて追放になったものもいるのだ。そんなことは考えたくはない。
帰還の報告を待っていたのだが、思っていたものと違う報告内容に頭を抱えてしまった。クリス達5人の姿が消えてしまったとは・・・。
あまり大々的に動くわけにも行かず、同行した兵士に調査させてみたが芳しい報告は上がってこなかった。どこかで生きているにしても時間がかかればそれだけ生存の可能性が低くなっていくだろう。
しばらくしてアルフィナから以前クリスから紹介された二人の冒険者にも依頼してみてはどうかという話がでた。クリスから色々と聞いていたのか、遺跡関係にかなり詳しいということだった。大急ぎで資料を取り寄せてもらうとたしかにいろいろと結果を出していた。それにあの二人であれば情報を漏らすこともないだろう。
緊急依頼として二人に来てもらい状況を説明したところ、すぐに調査を開始したようだ。遺跡にまで調査に行ったと聞いていたが、しばらくすると戻ってきて調査結果の報告をしてきた。
この短期間でかなり具体的な予想を立てており、王家に伝わる禁忌にまで言及してきたのには驚いた。詳細については分かっている内容について話をした。それらの話しを聞いて考察した話はかなり的を射ているように思われた。
長い間封印されている場所であることから高階位の魔獣がいる可能性もあり、高レベルの志願兵の同行を依頼してきたが、それでも友人と言ってくれたクリスのためにがんばるという言葉には心が熱くなった。一緒にいたジェニファー殿もジュンイチ殿のことを信頼しているのだろう。
まずはクリスと一緒に行動していた王家の剣のメンバーに声をかけたところ危険にもかかわらず引き受けてくれたので助かった。その他の人選については一任し、すぐに準備に取りかかってもらい、翌朝早々に出発していくことになった。
さすがに立場的にも見送りに行くことは出来なかったのため、あとで話しを聞いたところ、二人の実力は良階位は十分にあるほどだったらしい。遺跡に移動した後、祭壇にて王家の剣の4人と姿が消えてしまったようだ。
気にはなってしまうが、待つしか無いというのはつらいところだ。3日目の夕方近くになったところで、クリス達が無事に戻ってきたとの報告があってほっとする。すぐに報告に来るというので時間を調整して待っていることにした。アルフィナも一緒に話しを聞きたいと言うので許可を出した。
戻ってきたクリスは思った以上に元気で驚いたくらいだ。そのあと簡単にジュンイチ殿が説明してくれたのだが詳細についてはクリス達に聞くということで、要点を押さえた報告だった。
このあと言いにくそうにしていたが、私にだけ話をしたいと言ってきた。おそらく王家の禁忌に係わることだろうと思い、護衛も下がらせて話しを聞くことにした。もしものために防音の魔道具も発動させ、話し始めた。
もともと聞いていたこととあわせても、報告内容はおそらく間違いないだろう。かなり言いにくそうにしていたのは古代兵器を使うのではないかという不安からと思われる。もし話さなくても調査を行ってしまえば、さらに多くの人間にこの話しが広まってしまうことを恐れたのかもしれない。
公にしないことを誓うとかなりほっとしたようだった。ヤーマン王家がここまで続いてきたのは、武力ではなく、できるだけ平和的な解決を推し進めてきたからだ。アルモニアの建国の際も武力制圧を進言していた勢力を押さえて平和的な解決をしたことは今でも英断だと思っている。
最後に二人は事前に渡していたお金を返すと言ってきた。どれだけ使ったのかは本人達しか分からないのでそのままもらっておいてもかまわないのに律儀なことだ。
クリスの試練については扉を開けることが出来たと言うことで問題ないだろう。すぐに結婚式の準備に取りかかっているようだが、正直ほっとしている。
しかしクリスも良い友人を持ったものだ。おそらく転移先には優階位の魔獣までいることは予想していたのだろうが、いくら護衛に高レベルのものがいるといってもなかなかそこまでやろうと思う人間はいないはずだ。
話しを聞く限りでは時間をかければ今回見つかった出入り口についても見つけられていたようだ。ただそれだとおそらくクリス達は亡くなっていただろう。あとでクリスから聞いた話しだと、本当にぎりぎりのタイミングだったらしい。もう半日、いや数時間でも遅かったらだめだったかもしれない。
今回の事は無謀な挑戦だという者もいるかもしれないが、クリス達の命を考えた場合の最適な選択だったのだろうな。
本人達はいらないというかもしれないが、何かしらの褒賞をあたえてあげたいところだな。他の件と併せて少し進言をしておくか。
ランドリアさん達が起きてきたところで朝食をとり、改めて扉を調べてみる。扉自体はもともとあったもののようだけど、扉に大きなかんぬきのような鍵がはまっている。これってこっち側から鍵をかけているわけじゃないよね?
一応開かないか力を入れてみるが扉は全く動かない。やはりかんぬきのような鍵でロックされているようだ。鍵を鑑定してみると、なんとオリハルコンとミスリルをあわせた合金のようなものなのでとてもではないが壊すことはできそうにない。
鍵を調べていると、鍵の一部が開いて何かをはめ込む感じの穴と小さなプレートのような版があった。
「ここに何かをはめ込んで魔力認証かな?」
一緒に調べていたジェンとクリスさんと話をしていると、穴の形を見たクリスさんが何かを取り出してきた。
「ここにはめるのはこれかな?今回の試練の時に持たされた王家の印なんだけど。祭壇にあったものと同じような感じだな。」
確かにちょうどはまりそうな感じだ。今回の儀式は王家の男性だけがすると言っていたよな。王家の印をここにはめるということはこの門を開けるための操作を儀式として伝えていたんじゃないのか?いや、逆か?王家の儀式の内容をこの門の封印に利用したのか?王家の血の下に封印すると言うことは血?遺伝子か?
「クリスさん、王家の儀式って王家の印をはめる以外に血をプレートにつけるとか言うようなことをしませんでした?」
「ちょうど今話そうかと思っていたのだが、そのとおりだ。王家の儀式について話を聞いていたのか?」
「いえ、単なる推測です。」
「たしかにここにあるようなプレートに血を垂らすことになっている。後で見届け人がなにかを確認することになっているのだが、今回はそれをする前に転移してきた。」
「過去にこの儀式のあと、王家から出た王族はいませんでした?」
「ああ、儀式を受けた後、しばらくしてから王家を出たものが過去に何度かあったと聞いている。私のように事前に決まっていた話ではなく、かなり突然のことだったらしいが、理由はよくわからない。
もともとこの儀式は成人を迎えた時に行っていたらしいが今は婚姻の際にやることになっているのだ。そのあたりの詳細については私はよくわからない。」
どこまで王家の中でこの儀式の内容を理解しているのかわからないけど、王家に連なる男系であればなにかしらの反応をすると言うことなんだろう。それで反応しない人は不義の子と言うことか?それができるのならもっと小さいうちに確認すればいいのに何か理由でもあるのかね?
「王家の儀式がここの鍵を開ける方法になったのか、鍵を開ける儀式が王家の儀式になったのかわかりませんが、やり方は同じではないかと思います。」
「確かにそうかもな。それではやってみるか?」
「待ってください!」
いきなりクリスさんがやろうとしたので呼び止める。
「扉の向こうに何があるかわからないので注意しておくべきだと思います。いきなり扉が開いて、もし魔獣がいたら大変です。索敵ができないので戦闘態勢だけは整えておきましょう。」
ランドリアさんの指示で、門の前に王家の剣のメンバーが、後ろからの攻撃に備えてスレインさん達が、自分とジェンはクリスさんと一緒に鍵のところで待機して両面のサポートを行うことになった。
「それではお願いします。」
クリスさんは王家の印をはめた後、指を少し切って血をプレートに押し当てる。するとプレートが光り、鍵が外れたような音がした。
「よかった。鍵は開いたみたいだね。」
扉は自動で開くわけではないようなのでアルドさんとランドリアさんの二人で扉を開けてもらうことにする。
「それじゃあ開けるぞ。少し開けたところで索敵をしてすぐに対応出来るようにしてくれ。」
扉を開けると中の索敵が出来るようになった。
「中には強い魔獣の気配はありませんが、大狼が数匹いるようです。」
とりあえず感知できるのは上階位までなので大丈夫だろう。扉の開放と共に飛び出してきた大狼はあっさりと討伐された。
扉の向こうには魔獣石が結構転がっている。おそらくここで生まれては死んでいった魔獣のものなのかもしれない。魔獣石を回収すると結構な金額になっていた。
通路は暗いので光魔法で光源を作る。わずかだけど空気の流れがあるので空気孔でもあるのかな?一応安全君も稼働してみると特に問題はないみたいだったので大丈夫だろう。
「空気の流れもありますし、特に問題は無いようです。魔獣の気配も感じません。」
扉の反対側にも同じような構造で鍵がついているのでどちらからでも開けられるようになっているみたいだ。中の魔獣が出てきても困るので、扉を閉めておく。こっち側も空気がたまっていた感じではないので閉めても問題ないだろう。
「とりあえず先に進むか。
先頭は私達が行くので、そのあとにジュンイチ達、しんがりは殿下達にお願いする。ジュンイチ達の索敵能力が高いので警戒を頼む。」
通路の広さは車2台が通れそうなくらいでかなり広い。あたりの壁を調べてみるけど特に何があるわけではない。とりあえずこの通路が外につながっていると信じて進むしかないだろうな。
1時間ほど歩くと行き止まりになってしまった。
「行き止まりになっているんだが、壁ではなくて土砂で埋まっている感じだな。天井が崩れて埋まってしまったのだろうか?」
「古代遺跡で現在も稼働しているようなので簡単に壁が崩れるとは思えないんですよね。」
少し土を掘ってみるとかなりぼろぼろになっているけど、もともとは土嚢のような袋を積んでいったような跡があった。
「ここの土は袋か何かで運ばれたような形跡があるので、遺跡を封印するときに出入り口が分からないように通路をふさいだと考えた方が良さそうですね。」
「ということは掘り進んでも落盤の危険性はあまり考えなくていいと言うことか?」
「ええ、その心配はかなり低いと思いますよ。」
ここからは収納バッグを使って土砂を取り除いていくことになった。ただある程度土を切り離さないと収納できないので少しずつしか取り除けないのが面倒だけど、収納バッグを持っている人は多いので人海戦術でなんとかなる感じだ。
しばらく掘り進むと再び扉が見えてきた。周りの土を除いて見ると、同じように封印されているみたいだったのでこちらも鍵を開けて扉を開く。扉を開けるとそちらの方にはスペースがなく、土砂が流れ込んできた。
「もう少しで外に出られそうですね。」
「ああ、扉を隠すために土砂を詰めた感じみたいだから、もう少しだろう。まさか扉を二重にして封鎖までしているとは思わなかったがな。」
そこからさらに少し掘り進むと、土が崩れて空洞になったんだけど、明かりが差し込むわけではない。索敵してみるが、特に魔獣の気配はなかった。人がギリギリ通れるくらいの洞窟のようになっていたので慎重に進んでいくと、光が見えてきた。
「やっと外に出られるのかな?」
「良かった。とりあえずは脱出成功って事かしら。」
外に出ると青空が広がって太陽も見えていた。ほんとに外だよな?先頭を歩いていたランドリアさんが声を上げる。
「とりあえず現在地がはっきりとは分からないが、無事に脱出できたと考えていいだろう。遠くに塀が見えるので、遺跡の外には出ていないと思う。遺跡の南側に出てきているようなので、ここから東側にある遺跡の入口に向かおうと思うが、他に意見はないか?」
「先ほどの遺跡の扉が開けっ放しなので扉を閉じてから少し土を戻しておいたほうがいいと思うんですが・・・。」
「確かにそうだな。殿下を含めて数名で行ってこよう。ジュンイチも来てくれるか。」
「分かりました。」
先ほどの扉のところまで戻ってから扉を閉めて土を少し戻しておいた。このあと遺跡の入口に向かい、無事に待機していた兵士達と合流を果たす。
他のところから現れた兵士達はかなり驚いていたけど、クリスさんたちの姿を見てほっとしていた。すぐに王宮への連絡に行ったようだ。自分たちもすぐに王宮に戻ることにしたので車を取り出してから出発する。車でジェンと二人になったところで気になっていたことを話す。
「なあ、遺跡のことはどこまで話をする?」
「やっぱりそれが気になっていた?私は国王陛下に素直に話すべきだと思うわ。」
「やっぱりそうだよなあ・・・。詳細は伝わっていないと言っていたけど、今回の事があったら調査に入る可能性もあるし、そうなったらある程度の人にばれてしまうよなあ。」
「話しても話さなくても結局は同じ結果になるのなら分かっている内容を素直に伝えるべきだと思うわ。遺跡を封印したヤーマン王家のことを信じましょう。」
サクラに戻ってきてから専用門を抜けてまっすぐに王宮へと向かう。先に連絡が行っていたせいか、国王陛下が待ってくれているみたいで、すぐに部屋に通される。一緒に第二王妃殿下もいたんだけど、思ったよりも元気なクリスさんたちの姿を見てほっとしているようだ。
詳細はまたクリスさんたちから説明してもらえるということだったので、今回の事について自分の見解を含めて一通りの説明を行う。地下にあった遺跡に転移したこと、転移先で魔獣に襲われていたこと、出口が王家の血統で封印されていたこと、出口を発見して脱出できたことなどを簡単に報告する。
説明の後、国王陛下にお願いして他の人には退出してもらう。通常では考えられないことだけど、国王陛下も事前の遺跡の封印の話をしていたので何かを感じて個別に話をすることに納得してくれたようだ。
「今回見つかった遺跡の中で古代ライハン語で記載がされているものがありました。この内容はおそらく王家に口伝で伝わっていたという話ではないかと思います。」
「遺跡の封印の話か?」
「はい、全部の解読ができたわけではありませんが、古代文明を滅ぼしたと思われる兵器が眠っていると思われます。」
「!!ま、まことか!?」
さすがにかなり驚いているようだ。
「その建物の中は見ていないのでどんなものなのか、今も動くのかについては分かりませんが、入口には古代ライハン語で説明が書かれているようでした。
その文章を解読したのか、実物を見てそう判断したのかは分かりませんが、古代ホクサイ語で『古代の遺物をヤーマンの王家の名の下に封印する。この封印を解くものはその対価を考えるべきである。』と書かれていました。」
「そうか・・・。」
「この内容は同行した人達にも話していません。また扉は王家の人達にしか開けられないようになっていましたが、鍵自体は古代の遺物ではないようなので、今の技術でもどうにかして壊して入ることができるのではないかと思います。
出入口は再度簡単に埋め戻していますが、今度またあそこに行って封印しておかなければならないと思います。その際には王家の方の協力が必要ですのでクリスさんにも同行してもらわないといけないと思います。」
「手間をかける。他のものに行かせるわけにもいかないので頼むぞ。同行メンバーには今回のことは口外しないように言っておこう。おそらくあのメンバーなら大丈夫だと思うがな。」
「このことは公にはしないと考えていいのですね?」
「もちろんだ。”過ぎたる力は己を滅ぼす”というのは我が王家で常に言われていることだ。それを考えないものは王家を継ぐことはできん。」
「ありがとうございます。」
ジェンも国王陛下の言葉にほっとしたようだった。
「あと、今回の依頼を受けた際に経費として先にお借りしたお金ですが、思ったほど使わなくて済みました。500万ドールお借りしましたが、おそらく使ったのは20万ドールくらいだと思います。先に話しましたように必要経費と言うことでお願いします。」
そう言って100万ドールの硬貨4枚と10万ドールの硬貨を1枚だす。
「あくまで個人資産から出したものなので、そのまま受け取ってもらっていてもよかったんだがな。」
「いえ、そういうわけにはいきません。報酬は特別依頼の分で十分です。」
「わかった。依頼の完了証明は後で手配しよう。そこでお金も返金してくれ。」
「ありがとうございます。」
一通りの話を終えると、国王陛下は護衛を呼んで部屋を出て行った。
案内の人にこのあとの手続きを簡単に説明してもらった後、部屋を出るとクリスさんたちがまだ待っていた。
「無事に話は終わったのか?私からは詳細は聞かない方がよさそうだな。」
「ええ、申し訳ありませんが・・・。もし必要と思われた場合は国王陛下から話があると思います。」
「さて、それじゃあこっちの話をしようか。遅くなってしまったが、結婚式の招待状だ。誰かに預けてもよかったんだが、せっかくだから直接渡したくてな。」
二枚の招待状を渡される。なんかかなり豪華な招待状だな。
「ありがとうございます。」
「もちろん来てくれるんだよな?」
「そのためにサクラまでやってきたんですから、これで呼んでくれなかったら悲しいですよ。」
「それもそうか。」
お互いに笑って話しているけど、こんなに笑って話せるようになってほんとによかったよな。
自分たちは窓口に行ってお金の返却と依頼の完了証明証の発行をしてもらう。一通りの手続きを終えてから王宮を出て宿屋へと向かった。
宿屋にはしばらく留守にすることは連絡していたので問題は無い。受付で少し話をしていると、何やらお偉いさんのような人がやってきた。「少しだけお時間を下さいませんか?」と言われて応接室のようなところに案内される。
遺跡でクリスさんと雑談しているときに宿が空いていないことを話していたんだけど、そのことをクリスさんが連絡してくれたみたい。それで特別室を用意できるので使ってくれと言うことだった。
さすがに値段が気になったんだけど、”結婚式に招待したのだから宿泊費は気にしないでくれ”というような伝言があったようだ。そういえば、こういうホテルはVIP用に特別室をある程度空けているとか聞いたことがあるな。まあせっかくなので言葉に甘えることにしよう。
ありがたく使わせてもらうと話すと、さすがにクリスさんから直接連絡があったこと、結婚式に招待されていることからかなりのVIPと思われたみたいで、クリストフ殿下にもよろしくと言われてしまった。そう言われてもねえ・・・。
今日から部屋を移動できると言われたけど、さすがにそれは辞退させてもらった。5日分だけで十分です。
部屋に行くと、なんか部屋が今までよりもちょっと豪華になっていた。家具とかはそのままなんだけど、置いているタオルとかシーツとかの質がよくなっている感じだ。しかもフルーツとかまでおいてあり、”ご自由にどうぞ”とメッセージが添えられていた。なんかすでにVIPになった気分だな。
ほんとはゆっくりお風呂に入りたかったけど、さすがに今日はゆっくり休みたかったので浄化魔法で済ませることにする。ベッドに入ると速攻で眠りに落ちていった。
~ヤーマン国王Side~
クリスが王家の婚姻の儀式に向かった。妻がそんなことをしていないと信じているが、やはり心配になってしまう。過去にこの儀式で反応せず、妻を含めて追放になったものもいるのだ。そんなことは考えたくはない。
帰還の報告を待っていたのだが、思っていたものと違う報告内容に頭を抱えてしまった。クリス達5人の姿が消えてしまったとは・・・。
あまり大々的に動くわけにも行かず、同行した兵士に調査させてみたが芳しい報告は上がってこなかった。どこかで生きているにしても時間がかかればそれだけ生存の可能性が低くなっていくだろう。
しばらくしてアルフィナから以前クリスから紹介された二人の冒険者にも依頼してみてはどうかという話がでた。クリスから色々と聞いていたのか、遺跡関係にかなり詳しいということだった。大急ぎで資料を取り寄せてもらうとたしかにいろいろと結果を出していた。それにあの二人であれば情報を漏らすこともないだろう。
緊急依頼として二人に来てもらい状況を説明したところ、すぐに調査を開始したようだ。遺跡にまで調査に行ったと聞いていたが、しばらくすると戻ってきて調査結果の報告をしてきた。
この短期間でかなり具体的な予想を立てており、王家に伝わる禁忌にまで言及してきたのには驚いた。詳細については分かっている内容について話をした。それらの話しを聞いて考察した話はかなり的を射ているように思われた。
長い間封印されている場所であることから高階位の魔獣がいる可能性もあり、高レベルの志願兵の同行を依頼してきたが、それでも友人と言ってくれたクリスのためにがんばるという言葉には心が熱くなった。一緒にいたジェニファー殿もジュンイチ殿のことを信頼しているのだろう。
まずはクリスと一緒に行動していた王家の剣のメンバーに声をかけたところ危険にもかかわらず引き受けてくれたので助かった。その他の人選については一任し、すぐに準備に取りかかってもらい、翌朝早々に出発していくことになった。
さすがに立場的にも見送りに行くことは出来なかったのため、あとで話しを聞いたところ、二人の実力は良階位は十分にあるほどだったらしい。遺跡に移動した後、祭壇にて王家の剣の4人と姿が消えてしまったようだ。
気にはなってしまうが、待つしか無いというのはつらいところだ。3日目の夕方近くになったところで、クリス達が無事に戻ってきたとの報告があってほっとする。すぐに報告に来るというので時間を調整して待っていることにした。アルフィナも一緒に話しを聞きたいと言うので許可を出した。
戻ってきたクリスは思った以上に元気で驚いたくらいだ。そのあと簡単にジュンイチ殿が説明してくれたのだが詳細についてはクリス達に聞くということで、要点を押さえた報告だった。
このあと言いにくそうにしていたが、私にだけ話をしたいと言ってきた。おそらく王家の禁忌に係わることだろうと思い、護衛も下がらせて話しを聞くことにした。もしものために防音の魔道具も発動させ、話し始めた。
もともと聞いていたこととあわせても、報告内容はおそらく間違いないだろう。かなり言いにくそうにしていたのは古代兵器を使うのではないかという不安からと思われる。もし話さなくても調査を行ってしまえば、さらに多くの人間にこの話しが広まってしまうことを恐れたのかもしれない。
公にしないことを誓うとかなりほっとしたようだった。ヤーマン王家がここまで続いてきたのは、武力ではなく、できるだけ平和的な解決を推し進めてきたからだ。アルモニアの建国の際も武力制圧を進言していた勢力を押さえて平和的な解決をしたことは今でも英断だと思っている。
最後に二人は事前に渡していたお金を返すと言ってきた。どれだけ使ったのかは本人達しか分からないのでそのままもらっておいてもかまわないのに律儀なことだ。
クリスの試練については扉を開けることが出来たと言うことで問題ないだろう。すぐに結婚式の準備に取りかかっているようだが、正直ほっとしている。
しかしクリスも良い友人を持ったものだ。おそらく転移先には優階位の魔獣までいることは予想していたのだろうが、いくら護衛に高レベルのものがいるといってもなかなかそこまでやろうと思う人間はいないはずだ。
話しを聞く限りでは時間をかければ今回見つかった出入り口についても見つけられていたようだ。ただそれだとおそらくクリス達は亡くなっていただろう。あとでクリスから聞いた話しだと、本当にぎりぎりのタイミングだったらしい。もう半日、いや数時間でも遅かったらだめだったかもしれない。
今回の事は無謀な挑戦だという者もいるかもしれないが、クリス達の命を考えた場合の最適な選択だったのだろうな。
本人達はいらないというかもしれないが、何かしらの褒賞をあたえてあげたいところだな。他の件と併せて少し進言をしておくか。
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