【改訂版アップ】10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~

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103. 異世界2275日目 親友たちの結婚式へ

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103. 異世界2275日目 親友たちの結婚式へ
 調査や転移魔法の実験などで島を出るときにはすでに20日ほど経っていた。まあ生活環境も良かったし、いろいろとやることも多かったからなあ。
 一応確認できることはすべて終わったので、次にここに戻ってくるのはいつになるか分からないよな。もし転移がかなり気軽に使えるものなら拠点として使うことが出来るけど、手軽に使えないものだったらそうそう戻ってこれないからきっちりと封印しておいた方がいいだろう。換気はしているようなのでドアは閉めていた方が風化が進まないだろう。

 港の出入口から外に出て、ここから飛翔魔法で沖へと向かう。海底の深さを確認したところで船を出してから乗り込んで出発。

「ねえ、折角だから少しくらい寄り道していきましょうよ。」

 ジェンが折角いろいろと設備の付いている船が手に入ったんだからどっかによっていこうと言ってきた。

「まあ、折角の船旅だし、この辺りだったら危ない魔獣もいないようだからそうするか。」

 特に観光地となっているような島はないけど、一つだけ船の拠点となっている島があったので、そこの港を拠点に2泊ほどゆっくりすることにした。停泊にはもちろんお金はかかるけど、魔獣の監視も付いているので他に泊まるよりは安全だ。
 夜はこの港に泊まり、昼間は船で近くの島巡りをした。もちろん魔獣がいる島もあったけど、砂浜が綺麗なところもあってゆっくりするにはいいところだった。でも人がいないからと言って裸になるのはどうかと思う・・・。

 船の設備はさすがにお金をかけているだけあってかなり快適だった。どのような原理か分からないけど、船内は船の揺れにあまり連動しないようになっていたからね。しかも置いてある家具もかなり豪華なものだし。

 十分にリフレッシュしてからルイサレムに戻る。船を収納した後、ショウバンさんに挨拶をしてから出発する。



 一気に走ってサクラまで戻って来たんだけど、町に入るのにも時間がかかるし、特に寄らなければならない用事も無いので今回は素通りでいいだろう。ただこのあたりに転移ポイントを作っていくことにした。

 さすがに町中に作るわけにはいかないので、サクラから少し離れたところにある岩山の上の方に転移ポイントを設置することにした。ここだったら木が生えてしまう可能性も低いだろうし、開発されるにしてもすぐというわけでもないだろう。この付近は魔獣もほとんどいないし、いても事前に備えていれば十分対応できるはずだ。

 転移ポイントを設定し、今回は山を越えてアーマトに向かうが、さすがに山越えの時は交代で見張りをした。いくら治安が良くなってきているとは言え、前に襲われたこともあるところだからね。今回は特に何事もなく山を超えて、ルイサレムを出発してから25日ほどかかってアーマトに到着できた。

 いつも泊まっている宿屋カイランに行くと、受付には知らない男性が立っていた。新しい人を雇ったのかな?

「いらっしゃいませ!あ、ジュンイチさんとジェニファーさんじゃないですか。お久しぶりです。」

「え・・・まさか、カイン・・・なのか?」

 確かに少し面影はあるけど、背は自分より高くなっているし、声も変わっているぞ。

「そうですよ~~。いやだなあ。忘れたんですか?」

「いや、最後に会ったときから変わりすぎだろ。分からなかったよ。」

「そうですか?たしかにここ最近一気に背が伸びたかもしれないかも。僕も来年にはもう成人しますからね。」

 初めて会ったときはまだまだ子供だったのに、もう15歳になるのか。まああれから6年も経つからおかしくはないよなあ。

「ジュンイチさんとジェニファーさんはほとんど変わりませんね。」

「家系的にそうみたいなんだよね。このままだといずれ見た目が逆転してしまうかもなあ・・・って事はないと思うけどね。」

 しばらくカインと話をした後、カイドルンとランミル夫妻にも挨拶をしてから外に出る。

「まさかカインがあんなに大きくなっているとは思わなかったなあ。ちょっとびっくり。」

「確かにそうね。でもそろそろ年をとらないことに違和感をもたれるようになってきたわね。まあ年をとりにくい種族の血が入っていると言うことでまだなんとかごまかせるけど、気をつけないといけないわね。」

 続いて役場に行くと、カイルさんが受付をしていた。

「あら~~、久しぶりね。元気にしてたのかしら~~?」

 カイルさんは相変わらずという感じだ。少し話した後、ここで待ち合わせをしていた風の翼やクラーエルのメンバーと合流する。

「みなさんお久しぶりです。」

「久しぶりだな。いろいろな国を回っていたと聞いたが、あとで聞かせてくれよな。今日はおまえ達のことを聞いて参加したいという二人がいるんだがいいか?」

 そう言われて陰から出てきたのはユータとカナだった。

「ユータとカナじゃないか。久しぶり。こっちに戻ってきていたのか?」

「久しぶり。ずっとトルイサでやっていたんだけどね。ちょっと気分を変えようと言うことでいろいろと回っているところなんだ。途中でここに寄ったら二人のことを聞いたのでちょっと滞在期間を延ばしていたんだよ。あのときは本当にありがとう。譲ってもらった重量軽減バッグはほんとに助かったよ。」

「役に立ったのなら良かった。二人とも元気そうでなにより。」

 結局かなりの人数となったので食堂の個室をとってもらうことにした。店にはすでに奥さん達もやって来ていた。


 風の翼の3人はすでに結婚しており、奥さん達は冒険者ではないため今も3人で活動しているみたい。今も護衛の仕事などがあるので長期の遠征となったりすることもあるようだけど、事前にそのことについては話していたので奥さん達も不満はないようだ。
 「時々離れていた方が新鮮さが無くならなくていいもんだぞ。」と言っているけど、本当はいつも一緒にいたいとこっそり漏らしていたらしいけどね。
 前は宿屋暮らしだったけど、今はそれぞれ別々にアパートを借りて生活しているようだ。同じ建物らしいので、3人がいないときは奥さんだけで集まったりしているようだ。

 クラーエルの2人は冒険者は引退して奥さんのやっていた仕事を手伝っているようだけど、まだ近くの上階位までの魔獣の狩りには行っているらしい。ちょっとした小遣い稼ぎにもなるからね。ただもう無茶はしないと決めているらしく、休みの日の気分転換というレベルのようだ。

 ユータとカナは上階位になったらしく、今は良階位に向けて実績ポイントをためているようだ。まだ護衛依頼は受けたことがなく、実績ポイントが入らないので結構大変らしい。自分たちはいろいろと運が良かったからなあ・・・。
 二人からは結婚祝いとしてタオルをもらった。こっちの風習でタオルを送ることは聞いていたのでありがたく受け取った。自分たちをイメージして刺繍を選んだらしく、鷹のような鳥のつがいが刺繍されていた。



 翌日は折角だからと役場の訓練場で手合わせしてみたけど、自分たちの実力にかなり驚いていた。

「おいおい、もう優階位のレベルがあるんじゃないのか?実力は一気に追い抜かれてしまったなあ。」

「初めて会ったときは自分たちとほとんど変わらない実力だったのになあ。」

「これで魔法とかも使えるんだから正直かなわんな。」

 思ったよりも実力は上がっていたようだ。周りが強いと自分たちがどのくらい強くなったのかわかりにくいからねえ。

 結局いろいろな人と会ったせいでアーマトでは4泊もしていくことになってしまった。まあ自分が最初に住んだ町なので知り合いも多いからね。


~ユータSide~
 トルイサの町で活動をしてからすでに5年以上経っていた。今では上階位の魔獣を狩ることも出来るようになって収入も増えたし、自分とカナの治癒魔法のレベルも上がってきたおかげで支出も抑えられて生活は大分楽になってきた。
 上階位に上がり、良階位を目指して実績を貯めているところだが、魔獣狩りだけだとなかなか実績がたまらなくてなかなか難しそうだ。ただ無茶をして高階位の魔獣を狙って怪我をしては意味が無いので慎重にやっていくしかない。

 無理をしないと言うことは両親からも強く言われたし、ジュンイチとジェニファーからも言われたことだ。
 冒険者仲間には強い魔獣に挑んでこそ冒険者だという人もいる。ただそう言っていた冒険者の多くは亡くなったり、大きな怪我を負ったりしているのを何度も見てきた。高階位の冒険者ほど慎重にやっていくべきだと言う人が多いように思う。
 無理をして怪我をしてしまっては結局無駄な時間を費やすだけだし、そのときは気分的にはいいかもしれないが、それは一時的な感情でしかない。

 トルイサの町は冒険者にはいい町なんだが、やはりいろいろと見聞を広げることも大事だろうと言うことで町を出ることにした。ある程度お金も貯まっているし、とりあえず季候の良い間に北の方まで足を伸ばすことにした。

 場所によって魔獣の種類も変わるし、個体の性質も若干異なっているので苦労することもあったが、いろいろな経験を積むことが出来た。行ったことのない土地でいろいろな話を聞き、多くの冒険者とも交流を持つことでいろいろと知識も増えていった。
 途中でアーマトに寄ったときに、クラーエルの二人からジュンイチとジェニファーがやってくるという話を聞いた。少し滞在していくらしいので折角だからとこの町での滞在期間を延ばして待つことにした。以前二人が結婚するという連絡はもらっていたのだが、お祝いには行けなかったのでこの機会にお祝いをしようと思ったからだ。
 しばらく滞在するというので両親も喜んでいたけど、「子供はまだか?」と言われてちょっと困ってしまったよ。


 久しぶりに二人を見ると、初めて会った頃と見た目がほとんど変わっていないことに驚いた。ただ装備などは以前よりもさらに良くなっているみたいで良階位になっていることを聞いて驚いた。
 挨拶をすると、当時と同じように話してくれた。良階位になると今までと態度が変わる人もいるが、彼らは出会ったときと同じようにに話をしてくれるのがうれしかった。

 このあと食事となり、いろいろな話を聞くことが出来た。結婚式にはクラーエルと風の翼のメンバーは行ったらしく、話を聞いて驚いた。この話は秘密にしてくれとは言われたけど、他で言っても信じてもらえないだろうな。
 二人の結婚祝いとして準備はしていたんだけど、渡すかどうか悩んでしまった。カナからは「二人だったらきっと喜んでくれるわよ。」といわれて用意していたタオルのセットを渡すことにした。

 冒険者はあまりかさばるものをもらっても困ることが多く、お祝いを贈る場合は通常はほしいものを聞いてから買うというのが一般的だ。ただそれが無理な場合はタオルなどを送ることが多い。もちろん実用的なものだが、ちょっとした刺繍の入ったタオルに二人の名前を入れて送るのだ。タオルの品質や刺繍によって値段がかなり違ってくるが、がんばってそこそこいい物を用意したつもりだった。
 二人に渡すと、すぐに箱を開けて見てくれた。それを見た二人はとても喜んでくれた。「だけどイメージがこの鳥なの?」と言っていたけどね。刺繍されている鳥は魔獣ではないが、魔獣を襲って捕らえることも出来る魔鷹に似た鳥で、強さの象徴でもある。

 このあと二人がナンホウ大陸やハクセンやアルモニアに行って訓練をした話を聞いた。サビオニアでは革命にも巻き込まれそうになったらしく大変だったみたい。いろいろと話をしているとすぐに時間が経ってしまい、お開きとなった。


 翌日に訓練場で手合わせしてもらったけど、まったく刃が立たなかった。同じ頃に冒険者になったのにここまで強くなれるんだと驚いた。風の翼のメンバーもかなわないくらいになっていたからね。これで魔法の方が得意というのだから驚きだ。しかも治癒魔法まで使えるのだからすごいことだ。
 そのあとも何回か会って魔法のことなどもいろいろと教えてもらったりして、数日後に二人を見送った。見送った後でカナがつぶやいた。

「あんな風な二人になれるといいわね。」

「ああ、夫婦としても、冒険者としても目標になるよね。」

 カナも思ったことは同じだったようだ。


~~~~~

 アーマトを出発し、拠点に泊まりながらオカニウムにやってきた。

「オカニウムが見えてきたわ!!磯の香りがする!!はやく、はやく!!」

 ジェンがかなりはしゃいでいるなあ。まあしょうが無いけどね。


 受付をしてから町に入り、まずはメイルミの宿に顔を出す。

「メイサン!!ルミナ!!ただいま!!!」

「ジェン!やっとやって来たわね。いつ来るかと指折り待っていたわよ。もう! 元気にしてた?」

「ええ。元気、元気!ルミナの方こそ大丈夫?」

「うちらも元気にしているわよ。まだまだ働かないとね。今回はマラル達の結婚式に来たんでしょ?それまではうちに泊まっていくのよね?」

「ええ、もちろん。時間があるときはまた手伝うからね。」

「それはありがたいわね。ジェンのことを知ったらお客が増えそうだしね。結婚してるって分かっていても鼻の下を伸ばしてくる奴らが多いからね。」

 なんか実家に帰ってきたような感じだな。こっちの世界に来たときに二人には本当にお世話になったみたいだからね。メイサンもやって来てしばらく話した後、部屋の予約をしてから出かける。


 まずは役場の受付に行って冒険者の登録をするが、前にいたマーニさんの姿がなかった。話を聞くと結婚して他の町に移ったらしい。少し資料を見てからカサス商会へと向かう。

 商会に着くと、すぐにフラールさんとマラルさんがやって来た。

「ジェン!久しぶり!」

「久しぶり!結婚するって聞いたときは驚いたわよ。アキラも一緒って言うから余計にね。」

「最後にジェンに会ったときはまだ友人という感じだったんだけどね。ふふふ。
 そのあといろいろあって結婚する話になったんだけど、アキラも同じくらいにプロポーズされたみたいなのよ。それで一緒にって話になったの。だけどごめんね。わざわざこっちまでやって来てくれるなんてうれしいわ。」

「当たり前じゃない!!もし呼ばれなかったら一生恨むわよ。」

 しばらく二人が挨拶するのを待ってから結婚式の話を聞く。結婚式は10日後に行われるのは予定通りだけど、もちろんカサス商会が売り込んでいる結婚式のスタイルで行うようだ。まだ検討中のイベントも試験的にやってみるらしく、盛りだくさんな内容になりそうだ。
 イベントの内容を聞くと、地球でもすでに行われていた内容もあったので、聞いたことのある範囲で助言しておいた。なにか手伝うことが無いかと思っていたんだけど、あらかた形が決まっているので特に出番がなさそうだ。

 入場行進の曲は自分たちが使ったメンデルスゾーンの結婚行進曲が定番となっているらしく、ジェンがお願いした演奏家と契約して録音させてもらったものを使うみたい。ちゃっかりしているね。
 音楽の権利についてはジェンが演奏するのは問題が無いことになっているので、当日は録音されたものではなく、ジェンが演奏することになった。式場にはちゃんと演奏用に楽器もおいているので大丈夫らしい。あとは披露宴の余興についてもお願いされたので引き受けることにした。


 この日の夜はマラルさんとアキラさんの相手の二人を交えて食事をすることになった。彼らには冒険者をやっている二人で以前はこの町に住んでいたこともあると話をしているらしい。

「初めまして、冒険者をやっているジュンイチと言います。」

「同じくジェニファーと言います。以前この町に住んでいたときにアキラとマラルに出会ったんです。」

「初めまして。カサス商会に勤めていますトオルといいます。二人のことはマラルからも良く聞いていますよ。お二人の結婚式が衝撃だったみたいで今回はそれにあやかってやってもらうことになりました。」

「クニオと言います。アキラと同じ港の事務所に勤めています。アキラからも二人のことは聞いていまして、サクラに行ったときの話はもう何度も聞かされましたよ。」

 どうやらいわゆる職場結婚というやつだな。まあこっちでは結構そういうのが多いみたいだけどね。

「冒険者を始めた頃にマラルとアキラの二人と一緒に魔獣を狩ったりしていたんですよ。悩んでいたときに二人に悩みを聞いてもらったりしてとってもお世話になったんです。二人のことをよろしくお願いしますね。」

 このあと食事をとりながら二人のなれそめや今の仕事のことなど話をする。自分たちは外国を回ってきたことを話したんだが、やはりあまり聞かない異国のことなのでかなり興味を引いていた。
 特にマラルさんやトオルさんはカサス商会で出世するには他の国にも行った方がいいと言われているらしく、いろいろと他の国のことを聞かれた。

「トウセイ大陸にはまだ行ったことがないので分かりませんが、ハクセンとアルモニア、タイガならそこまで雰囲気は変わりませんね。ただヤーマンよりも貴族の権威が強いのでそこがちょっと異なるところですね。
 ナンホウ大陸は以前よりはだいぶ良くなってきていますが、貴族の権限がさらに強いので苦労するかもしれません。モクニク国の支店長がちょっと愚痴っていましたしね。サビオニアはいろいろと状況が変わっているので何とも言えないですね。ただまだ支店を出してから日が浅いのでそういう面で苦労するかもしれませんね。」

「やっぱりアルモニアやハクセンを希望したほうがいいかな?」

 他の店員からもいろいろと話は聞いているみたいで、他の国に行くならその二つの人気が高いらしい。一番人気が低かったのはナンホウ大陸だったようだけど、今はだいぶ情勢が変わってきているので悩ましいところだ。
 いろいろと話をしていたらかなり遅い時間になったので慌ててお開きとなってしまったが、ジェンは久しぶりに二人と話しが出来てとても楽しそうだった。



 結婚式までは宿の手伝いをしたり、訓練をしたり、鍛冶をしたりと基本的に町の中で過ごすことにした。一回だけオカニウムに来るための転移場所を探すために出かけたくらいだ。
 サクラと同じように、車で少し走ったところにある岩山の上に転移場所を作ったけど、もし魔獣がいたとしても並階位レベルなので問題ないだろう。

 訓練場では知った顔も結構いたんだけど、自分たちの技量がかなり上がっていることに驚いていた。まあ6年前は初心者講習に出るレベルだったからなあ。

 さすがにメインの武具を装備するわけにもいかないので予備として持っていたものを装備をしているんだけど、それでもかなりいい装備になるのでちょっとうらやましがられてしまったよ。
 普通は良階位になってもなかなかミスリルの装備なんてそろえられないからね。オリハルコンなんてもってのほかだ。だいたいが鋼レベルのものが多いくらいだし、品質も高階位くらいだからね。



 結婚式当日は晴天というわけではなかったけど、雨は降りそうになくて良かった。今回は以前ハクセンで作った正装を着ることにした。この格好であれば基本的に問題は無いらしい。
 二人が着ているドレスは自分たちの結婚式の時に渡したドレスを少しアレンジしたものだった。思い出のものだし、気に入っているので仕立て直して使うことにしたようだ。元は同じドレスなんだけど、それぞれが気に入った形にアレンジしているのでオリジナルよりも二人に似合っている。

 ファーストルックというものはせず、教会式から始まるものだったけど、ジェンの演奏に合わせて4人と親戚の女の子二人が花びらを巻きながら入ってきた。
 壇上に上がった後、指輪交換をしてから結婚の宣誓を行う。宣誓の時、自分たちと同じように前に並んでいる5柱の神のカムヒ様の像が光ったので祝福をくれたようだ。鑑定してみると祝福が付いていたから間違いない。神父に祝福のことを言われて4人はかなり喜んでいた。
 自分たちも祝福はもらったんだけど、100組に1組あればいい方と言っていたのでかなりの確率だろう。

 一通りの式が終わってからブーケトスとなるが、二人の友人の未婚の女性が結構な人数参加していた。特に説明もなく行われていたので、大分このイベントについて認識されてきているのだろう。
 花嫁だけでなく、花婿からも同じようなイベントがあり、未婚の男性が参加するというものだ。投げるのはそれ用に準備されたような花で作ったボールだった。

 そして最後に既婚者への幸せのお裾分けとして既婚者女性のみの参加するイベントもあった。いろいろと考えているんだなあ。
 ジェンは参加して花のボールを奪っていた。だけど、そこで魔法を使うのは卑怯だと思うよ。しかも突撃のスキルとか重量軽減魔法とかも使って回り込んでいたよね。ほとんどの人は気がついていなかったけど、ジェンの動きを見て引きつっていた人が数名いたよ。
 ちなみにこの花のボールはこのままつり下げて飾ることが出来るようになっているみたいで、持ち運び用のケースも準備されていた。劣化防止の魔法もかかっているようなのでかなり長持ちするらしい。

 披露宴はクリスさんの店で行うみたいで、すぐ近くにあるので歩いて移動となった。新郎新婦は車に乗っての移動だけどね。車には一面に花が飾られていてかなり目立つ仕様だ。今回実験的にやっているものらしい。

 会場で席に着いてしばらくすると二組の新郎新婦が入場してきた。このときの伴奏はジェンが演奏していた。
 披露宴は自分たちがやったような感じなんだけど、ファーストバイトではそれぞれの両親にも挑戦してもらっていた。これはフラールさんにも内緒にしていたことで、いきなりふられて驚いていたが、照れながらも両親全員がやってくれていた。
 途中でお色直しをしたり、キャンドルサービスではろうそくが変わった形になっていたり、ケーキカットのケーキがかなり豪華になっていたりといろいろと工夫を凝らしている。
 ジェンは披露宴でバイオリンのようなもので演奏を披露していた。あとはジェンと二人で練習した魔法を使った隠し芸だ。魔力操作が上がって細かく魔法が制御できるようになったのが大きい。ジョニーファン様やラクマニア様が披露してくれた内容をアレンジしたものだが、結構うけたので良かった。

 結婚式から披露宴まで2時間近くかかって終了となったが、参加した人たちは目新しいことも多くてかなり満足していたようだ。
 だけどこういうことはやり出すとどんどん派手になっていくんだよなあ・・・。聞いた話だとゴンドラとかに乗って登場とかもあったらしいしね。うちの両親はバイクで入場したらしいけどね。両親の友人達の中では同じようなことをする人が多かったらしい。


 結婚式が終わったあと、結婚式のイベントについていろいろと話をした。当事者と参加者の目線からいろいろと改善すべき点があったからだ。

 少ししてから4人と食事会をして改めて結婚祝いを渡すことにした。こっちでは結婚祝いには事前に新郎新婦に聞いてから何人かのグループでまとめて送ったりするらしく、送るものは家具だったり、食器だったりと長く使えるものが一般的のようだ。冒険者はタオルという風習はあるけど、それは冒険者特有のものだ。
 それで何か希望がないか聞いてみたんだが、あらかたのものはすでに友人達にお願いしたみたいですぐに浮かぶものがなかった。そこでいろいろ話した結果、錬金術のスキルがあるのでアクセサリー関係を送ることになった。

 デザインはジェンが考えたもので、金とミスリルを使ってネックレスを作成した。よくある二つをあわせることの出来るネックレスで、事前に聞いたお互いへの思いを中に刻みこんでいる。
 折角なので付与魔法で新郎には「筋力向上」、新婦には「魔力強化」を付けている。がんばってやった甲斐があり、レベルは2になったのでそこそこの性能だろう。

「改めて結婚おめでとうございます。前に言っていたネックレスですが、なんとか完成したのでお渡ししますね。」

「「「「ありがとうございます。」」」」

 それぞれに間違えないように渡して、デザインと付与魔法の説明をする。

「あの、それって買ったらかなりの金額になるのでは・・・?」

「どうなんだろう?材料も持っていたものを自分たちで加工したものだし、アクセサリーとしては並レベルなのでそこまで高いものではないと思いますよ。あまり気にしなくていいので、普段使いにしてください。折角の付与魔法の効果がもったいないですから。」

 このあと結婚式の話やこの後住む場所についての話などでこの日も夜遅くまで盛り上がってしまった。ジェンが持っていたお酒も出していたからね。トオルさんもクニオさんもお酒はそれほど詳しくないみたいで「お酒がそんなに好きではないですが、かなりおいしいですね。」と結構飲んでいた。


~アキラSide~
 久しぶりにジェンとジュンイチさんに会った。初めて会ったときからほとんど変わらない容姿にちょっと驚いたけど、そういう人たちもいるという話は聞いたことがあるし、そんなことはたいした問題じゃないわ。

 この日は私たちの結婚相手を紹介するということでマラル達も一緒に食事をすることになった。食事の場所は私たちの結婚式会場にもなる店の食堂だ。
 カサス商会と提携しているので結婚式の場合は普通に使用できるけど、高級店なので特別な時じゃないと簡単に使うようなところじゃない。
 なかなか予約も取れないところらしいけど、ジュンイチさんがオーナーのクリストフ王爵の親友と言うことだから大丈夫なんだろうね。クニオもトオルさんもちょっと緊張しているみたい。

 今回は個室を予約してくれていたみたいで、部屋に案内されたけど、正直場違いなところに来てしまった感覚に襲われる。ジェン達は普通にしているんだけどね。


 最初は緊張していたけど、話しているうちにやっと慣れてきたわ。クニオもお酒を少し飲んでからはいつもの調子が戻ってきたみたい。
 マラルが他の国の店に行くかもしれないという話から外国の話になったんだけど、やっぱり行ったことのある人の話を直接聞くとおもしろいわね。でもやっぱり結構大変なこともあったみたいだし、貴族の権威が強いところは出来るだけ避けた方がいいと言われてしまった。爵位相当を持っている二人が言うのだから余計に実感してしまう。

 食事の後、ジェンがマラルにこっそりと「私の知っている人の国に行くことになったら、何かあったら助けてもらうように伝えるわよ。」と言っていたが、助けてもらう相手ってちょっと怖いわよね。
 あとでマラルにも聞いたらさすがに恐れ多すぎて頼めないと言っていた。たぶんあの二人の結婚式に来ていた人たちだもんね。あとサビオニアにも伝手があると言われて驚いたわ。新しい国の政府の関係者だからと言っていたけど、正直なところどのくらいの人なのか怖いわよね。二人の知り合いってかなりの人たちだからね。

 結婚式はジェンの結婚式の時にもらった衣装を手直ししたものを使うことになった。その話をしたとき、マラルも同じ事を考えていたみたいでお互いに好きにアレンジしようと言うことになった。もちろんジェンにもちゃんと確認はとったわ。
 結婚式ではジェンが演奏してくれてうれしかったわ。披露宴での余興もすごかったしね。ジュンイチさんと二人の魔法はみんな驚いていたわ。

 結婚式の後で二人から結婚祝いとしてネックレスをもらったのだけど、あまりの出来にちょっと驚いたわ。ジェンがデザインしてジュンイチさんが作ったみたいなんだけど、そこら辺で売っているものよりもできがいい物だった。しかも付与魔法まで付けてくれたみたい。
 マラルが後で少し調べたみたいなんだけど、結婚祝いで送ってもらう金額のものではなかったみたい。ただそういう手間を度外視して二人のために作ってくれたものなのでありがたく受け取っておきなさいと言われたらしい。
 本当にジェンに出会えてよかったわ。ジェンに出会えたおかげでいろいろな人と出会えたし、いろいろな経験をすることが出来た。そしてこんな私を親友と呼んで慕ってくれるなんてね。


~~~~~~

 結婚式の後5日ほどオカニウムに滞在してから出発した。転移魔法でサクラに戻ることは出来るんだけど、さすがに時間差なくサクラに現れるのはまずいだろうと言うことでしばらく人里離れたところで狩りをしていくことにした。

 オカニウムに着いたときに、道しるべの玉に魔素がたまるのにどのくらい時間がかかるかを確認することにしたんだけど、道しるべの玉を取り出し、自分は携帯したままで、ジェンには空いた時間に魔素を注ぎ込むようにしてもらった。
 サクラまではジェンは7日目に魔素がたまり、自分は8日目にたまった。さらに遺跡の島はジェンは11日目で自分は12日目だ。遺跡の島は山脈を大きく迂回していくので転移を使ったときのメリットは大きいな。
 行き先を選択したときに、魔素がたまっているところは表示の部分が光るので行けるところはすぐに分かるようになっている。
 飛行艇とか使った場合はそっちの方が早く着くかもしれないけど、先に魔素を貯めておけると言うことを考えるとやはり便利と言っていいだろう。道しるべの玉をいくつも持っていたら連発することも出来るしね。
 ただこの道しるべの玉なんだけど、どうも回数制限のようなものがあるらしい。ある程度までは保証されているようだけど、ある程度経過すると一定の割合で壊れてしまうことがあるらしい。
 見た感じではよく分からないようだが、充電式電池のような感じなのだろうか?まあ新品なのでそうそう壊れないと思うけど、年数は経っているわけだからねえ。


 意識して注入した場合の魔素を貯める速度は感じ的に10%くらいの差だろうか?ジェンは起きている時間の半分くらいは魔素を注ぎこんでいたので、魔素を注入していた時間は1日の1/3くらいと言うことになる。
 おおざっぱな計算だけど、持っているだけの場合と比較して寝ないで注入すれば時間的におおよそ7割くらいになるという感じか。
 この天体上で一番遠いところは天体内部を抜けていくとして13000キヤルド、外周を移動するとして20000キヤルドくらいとなるはずだ。サクラまでの距離が直線距離で6000キヤルドくらいと考えると20000キヤルドとしても持っているだけで25日くらいで魔素はたまると考えていいのかな?全力で注入して19日というところか?そう考えると普通に貯まるだけでもいいのかな?
 その町に10日くらい滞在すると考えたら十分に魔素を貯めることが出来るので十分なのかもしれないな。もし複数人数が転移できるようになれば2つだけでも簡単に往復することが出来るしね。



 オカニウムの北にあるクニアレアの山奥に移動してから狩りを続けた。変装の魔道具を使っているし、知り合いもほとんどいないので特に気がつかれることもないだろう。さすがに町に入ったりするとおかしな事になるので拠点生活だけどね。

 8日ほどしたところでそろそろいいだろうと転移魔法を使ってみる。装備をちゃんと確認して、何かあってもすぐに動ける体勢を取ってから順番に転移する。
 視界が変わり目の前の視界が一気に開けた。すぐに辺りを索敵するが特に何もいないようだ。

「ちゃんと転移できたね。」

「ええ、ちょっと緊張したけど大丈夫ね。」

「転移先に魔獣がいたらと考えるとかなり怖いけど、使えることは使えるな。出来ればちゃんとした空間にしておいた方が安全と言えば安全だけど、管理する人がいなければ結局は意味が無いだろうからなあ。」

「まあ、それは仕方がないわよ。転移先さえちゃんと設定していたら大丈夫と思うわ。」

 転移してしまうとたまった魔素はすべて消費してしまうみたいで、一からからためなければならないようだ。まあそんなにしょっちゅう使うつもりもないからいいんだけどね。


 サクラに戻り、いつもの宿のシルバーフローにチェックインする。今後の予定が決まらないとアパートとかを借りるわけにもいかないからとりあえずそれまでは宿暮らしだな。

「ジェン、予定の年数はとうに過ぎてるけど、この後どうしようか?」

「そうねえ。あと3年と言うことだったから出来るだけいろいろなところに行こうって思ってたけど、思ったよりも長いわよね。」

「サビオニアにまた行ってみるのも一つだけど、折角なら行ったことのないトウセイ大陸に行くのもありかな?」

「トウセイ大陸と言うことはアウトラス帝国ね。前はキクライ大陸から進出してきたルトラ帝国と戦争をやっていたみたいだけど、最近は一応落ち着いているみたいだしね。」

「あっちはかなり離れているので今までと違った生活習慣とかもあっておもしろいかもしれないよ。帝国というとちょっとイメージが悪いけど、別に侵略戦争をやっているところでもないし、ヤーマンとは交流もあるからね。どちらかというとルトラ帝国の方がちょっと怖いよ。」

「それじゃあトウセイ大陸についての情報を集めることにしましょう。」


 トウセイ大陸の事を本でいろいろと調べてみたんだけど、思ったよりも最近の情報が少ない。詳しいものは数十年前の戦争を行っていた頃までしか書かれていないものだったりする。まあ歴史などの背景はいろいろと分かったんだけどね。

「やっぱり本とかだと限界があるかなあ?」

「新聞のようなものもあるけど、やっぱり情報はかなり少ないからね。もともと海外旅行どころか国内の観光旅行というものがほとんどない世界だから仕方が無いかもね。」

「役場の資料に魔獣とかに関する資料はある程度はそろっているんだけど、やっぱり町の情報とかは少なすぎるよなあ。」

「やっぱり行ったことのある人に直接聞いた方がいいんじゃないかしら?」

 冒険者の伝を使ってトウセイ大陸に行ったことのある人を紹介してもらったけど、そもそもトウセイ大陸に行ったことのある人が少ない。やはり国交はあるが、遠いというのがネックだろう。
 トウセイ大陸に行っても魔獣の種類がそこまで変わるわけでもないし、魔獣素材の価格が上がるわけではないから冒険者がわざわざ向こうの大陸に渡る意味が少ないんだよなあ。
 特に一攫千金の可能性のある遺跡の調査はこっちの大陸より進んでいるので新しく遺跡を発見する可能性は低いわけだし。

 よくあるゲームのようなダンジョンとかがあるのなら行く意味はあるのかもしれないけど、そういうものはこの世界にはないからね。まあモンスターが沸いて宝箱があるというダンジョンなんてどう考えてもゲームの世界の延長線上でしかないもんな。

 さらに向こうの大陸に行きにくくしている要因は、ナンホウ大陸程ではないけど貴族社会ということだろう。特にヤーマンに住んでいたら余計に抵抗があるだろうな。


 それでも優階位以上の冒険者も多いサクラなので、護衛などでアウトラス帝国やルトラ帝国に行った人や国に仕える高官の人たちからも話が聞くことが出来たのはよかった。
 もちろん普通はなかなかそんな伝はないものだけど、クリスさんや王家の剣のメンバーを知っているのが強いな。

 いろいろと冒険者達に話を聞いていたんだけど、久しぶりにカサス商会によってカルニアさんと話したところ、「なんで私たちに言ってくれなかったんですか!!」と言われてしまった。カサス商会がトウセイ大陸まで支店を持っていたことを完全に忘れていたよ。
 話を聞くと、「本当は機密書類に当たるんですけどね」と言われていろいろと資料を見せてくれた。魔獣関係の資料は少なかったけど、一番不足していた文化や情勢などについてかなり細かくおまとめられていた。
 世界を股にかける商会なんだから各国の情勢をつねに把握しておくのは当たり前だよな・・・。なぜ忘れていたんだか・・・。


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  88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。  異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。  その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。  飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。  完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。  

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

『ミッドナイトマート 〜異世界コンビニ、ただいま営業中〜』

KAORUwithAI
ファンタジー
深夜0時——街角の小さなコンビニ「ミッドナイトマート」は、異世界と繋がる扉を開く。 日中は普通の客でにぎわう店も、深夜を回ると鎧を着た騎士、魔族の姫、ドラゴンの化身、空飛ぶ商人など、“この世界の住人ではない者たち”が静かにレジへと並び始める。 アルバイト店員・斉藤レンは、バイト先が異世界と繋がっていることに戸惑いながらも、今日もレジに立つ。 「袋いりますか?」「ポイントカードお持ちですか?」——そう、それは異世界相手でも変わらない日常業務。 貯まるのは「ミッドナイトポイントカード(通称ナイポ)」。 集まるのは、どこか訳ありで、ちょっと不器用な異世界の住人たち。 そして、商品一つひとつに込められる、ささやかで温かな物語。 これは、世界の境界を越えて心を繋ぐ、コンビニ接客ファンタジー。 今夜は、どんなお客様が来店されるのでしょう? ※異世界食堂や異世界居酒屋「のぶ」とは 似て非なる物として見て下さい

異世界に転生したら?(改)

まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。 そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。 物語はまさに、その時に起きる! 横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。 そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。 ◇ 5年前の作品の改稿板になります。 少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。 生暖かい目で見て下されば幸いです。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

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