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13.結婚しないか?
しおりを挟む次の日学校に行くと、ココは一人だった。カノナが風邪をこじらせてしばらく学校を休んでいるらしい。
―――好都合だ。
そう自分自身に呟いて、ルカはココの隣を歩く。
「おはよう・・・ルカ。」
ルカが近寄ると、ココは少し照れくさそうに顔をそらした。
―――なぁ、ココ。君の肩を抱いて、今すぐここから逃げだしたいよ。
高く上った太陽が、ココの目を照らしてキラキラと光る。昔、妹がまだ元気だったときは・・・こんな天気のいい日は一緒に遊んでいたことをルカは思い出していた。
「ココに伝えたいことがあるんだ。」
―――伝えたくても伝えられないことばかりだ。
「・・・この間の話?」
ココはまだ隣国セブリンに行くか迷っている。
きっとステフと離れる決心がまだついていないのだ。
「いいや。もっと大切なこと。」
ルカは歩きながら、いつも通りの口調でココに言った。
「俺と結婚しないか?」
緊張はしなかった。本気で、ココにプロポーズをしようとしたわけではない。彼女に自分が本気だと示すためのパフォーマンス。アリアの命令を遂行するための行動に過ぎない。
「・・・。」
ココは大きく目を見開いてルカを見つめる。
―――ごめんな。ココ。
ルカはココのことを愛し、同時に憎んでいる。ルカは悪に染まるしかなかった。誰も助けてはくれなかった。
「結婚して、一緒にセブンリ国に行こう。俺たちはどこか似ている。一緒にいれば幸せになれると思うんだ。」
ルカの声色は真剣だった。心の中では、どす黒い感情だけが渦巻いているのだが。
「結婚して一緒に・・・。」
ココは瞬きを繰り返している。
「今はステフのことを忘れられなくてもいい。そんなココごと、俺は抱きしめたいから。」
ルカは必死で言葉を重ねた。何が本心なのか自分でもよくわからない。
「ルカ・・・。」
ルカが一歩ココに近づくと、彼女は一歩後ずさった。
「・・・私たちは、友達でありつづけるべきだと思う。ねぇ。ルカ。なぜだかわからないけれど、貴方の言葉が全部嘘をついているように聞こえるの。」
ココの目には涙が浮かんでいる。
「本心・・・だよ。結婚が嫌なら、しなくたっていい。ただ俺は、君と一緒に隣国で夢を追いかけたいだけなんだ。」
―――だめだ。失敗か。
「なんだか・・・ルカらしくない。なんだか、苦しんでいるように見えるの」
「俺は苦しんでなんかいない!!!」
思わず大声をあげた。
ルカの大声に周りの生徒が何事かと振り向く。
「どうしても・・・そうだ。一度だけでも、話を聞きに隣国に行ってくれないか。もう馬車を用意しているんだ。」
ルカがいつもどおりではないことにココは気が付いていた。だが、ココにとってルカは大切な友達だったから。
「わかったわ。セブンリ国に行きましょう。」
ココは涙をぬぐって頷いた。
◇◇◇
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