25 / 33
25.愛していた!!!
しおりを挟むボストール家令嬢アリアの部屋。
ミラント国の兵士に囲まれたアリアはぽろぽろと涙を流している。
「やめてよ。ステフ‥‥私たち友達でしょう?私、なんにも悪い事…していないのに…。」
アリアは、ステフとココの婚約を知る数少ない人間だった。ココへの想いがあふれてどうしようもなくなった時、アステフの相談を聞くのはアリアだ。彼女は、ステフが弱っていることに気づくのが上手い。
―――だがそれも…アリアの策略だったんだろうか?
ココに告白しようとするステフをアリアはいつも必死で説得していた。
”ステフの想いが、ココを不幸にするのよ?”
それがアリアの口癖だった。
「友人だと…思っていた。だが、今は違う。アリア・ボストールを捕まえろ!」
ステフの命令で、兵士はアリアをとらえた。
「何をするのよ?!」
アリアはさっきまでのしおらしい姿が嘘のように暴れまわった。
「アリア…君の企みには気が付いているんだ。これ以上罪を重ねないでくれ。」
ステフは冷静な口調で、アリアを見つめる。暴れまわるアリアは、今まで友人だと思っていた人間とまるで別人のように見えた。
「違う!!!私は違う!!!!ねぇ、信じてよ!ステフ!!」
ヒステリックに叫ぶアリア。
―――僕は今までアリアの何を見ていたんだろう?
ボストール家の悪行は決して許されるものではない。そこに加担していたアリアもまた、長い間牢屋から出ることはできないだろう。
「君の家族はもう明日には捕まる!隠したって無駄なんだよ!お願いだから、ココの居場所を教えてくれ!」
ルカ・ザイラスを利用してココを売り飛ばそうとしたアリア。同情の気持ちは一切わかなかった。ただ、一刻も早く、ココの元に行きたいのだ。
この状況でもなお、ステフはアリアを見ていない。アリアはそれがどうしても許せなかった。10年間、アリアはステフだけを見つめてきたのに。
「ああ。あああ!頭が痛い!!なんで貴方はココばかりなの?!」
金切り声をあげたアリアは、頭を大きく振り壁に顔を打ち付けた。
「何をしているんだ!やめろ!」
ステフはアリアの頭を押さえた。彼女の額から、血が一滴流れる。
「ステフのために顔を傷つけたら、ココみたいに守ってくれる?」
アリアは狂気じみた顔で笑う。
「本当は…私がステフを助けたかった!そのために、わざわざ部屋に火をつけたのに…!!」
「…どういうことだ?!」
心臓が、ドクリと音を立てる。ステフは唾を飲み込んだ。
「10年前、火事を起こしたのは…私よ!ココが顔に火傷を負ったのは私が火事を起こしてあげたからよ!!!」
勝ち誇った口調で、アリアがステフに吐き捨てる。アリアの顔は醜く歪んでいる。
「なんだと…?!」
74
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された公爵令嬢ですが、王太子を破滅させたあと静かに幸せになります
ふわふわ
恋愛
王太子の婚約者として尽くしてきた公爵令嬢エレナは、
誕生日の舞踏会で突然、婚約破棄を宣言される。
「地味で役に立たない」と嘲笑され、
平民の少女を新たな婚約者に選ぶ王太子。
家族にも見放され、エレナは王都を追われることに――。
しかし彼女は、ただの“癒しの令嬢”ではなかった。
静かに力を蓄え、事実と証拠だけで王太子の虚飾を暴き、
自らの手で破滅へと導いていく。
復讐の果てに選んだのは、
誰かに与えられる地位でも、名誉でもない。
自分で選び取る、穏やかな幸せ。
これは、
婚約破棄された公爵令嬢が
王太子を終わらせたあと、
本当の人生を歩き出す物語。
-
《完結》金貨5000枚で売られた王太子妃
ぜらちん黒糖
恋愛
「愛している。必ず迎えに行くから待っていてくれ」
甘い言葉を信じて、隣国へ「人質」となった王太子妃イザベラ。
旅立ちの前の晩、二人は愛し合い、イザベラのお腹には新しい命が宿った。すぐに夫に知らせた イザベラだったが、夫から届いた返信は、信じられない内容だった。
「それは本当に私の子供なのか?」
悪役令嬢は殿下の素顔がお好き
香澄京耶
恋愛
王太子の婚約者アメリアは、 公衆の場で婚約破棄される夢を見たことをきっかけに、自ら婚約解消を申し出る。
だが追い詰められた王太子、ギルバートは弱さと本心を曝け出してしまい――。
悪役令嬢と、素直になれない王太子の“逆転”ラブコメディ。
王太子殿下のおっしゃる意味がよくわかりません~知能指数が離れすぎていると、会話が成立しない件
碧井 汐桜香
恋愛
天才マリアーシャは、お馬鹿な王子の婚約者となった。マリアーシャが王妃となることを条件に王子は王太子となることができた。
王子の代わりに勉学に励み、国を発展させるために尽力する。
ある日、王太子はマリアーシャに婚約破棄を突きつける。
知能レベルの違う二人の会話は成り立つのか?
あなたの思い通りにはならない
木蓮
恋愛
自分を憎む婚約者との婚約解消を望んでいるシンシアは、婚約者が彼が理想とする女性像を形にしたような男爵令嬢と惹かれあっていることを知り2人の仲を応援する。
しかし、男爵令嬢を愛しながらもシンシアに執着する身勝手な婚約者に我慢の限界をむかえ、彼を切り捨てることにした。
*後半のざまあ部分に匂わせ程度に薬物を使って人を陥れる描写があります。苦手な方はご注意ください。
天真爛漫な婚約者様は笑顔で私の顔に唾を吐く
りこりー
恋愛
天真爛漫で笑顔が似合う可愛らしい私の婚約者様。
私はすぐに夢中になり、容姿を蔑まれようが、罵倒されようが、金をむしり取られようが笑顔で対応した。
それなのに裏切りやがって絶対許さない!
「シェリーは容姿がアレだから」
は?よく見てごらん、令息達の視線の先を
「シェリーは鈍臭いんだから」
は?最年少騎士団員ですが?
「どうせ、僕なんて見下してたくせに」
ふざけないでよ…世界で一番愛してたわ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる