主に交われば

かんだ

文字の大きさ
21 / 23

21.協力

しおりを挟む
 段々と冷静さを取り戻してきた僕の思考は、次々と疑問が浮かんでくる。
 教師の一人が代弁してくれた。
「何故トイフェルの再来だと可能に」
「禁忌魔法の多くはトイフェルが作り出した魔法陣ですからね」
「――っそうなんですか!?」
「真実ですよ。トイフェルが作り出した魔法をトイフェルの再来が行使する、何も不思議はないです」
「ですが、それでも、いくら彼の魔力量が多くても全く足りないのでは?」
「そこで、我々の魔力ですよ」
 学園長の説明に、マリグノ先輩が口を挟む。
「僕だけの魔力では足りないから皆の魔力を借りたんだ。とても助かったよ」
 マリグノ先輩は僕を見た。
「ありがとう、ユヌ・アイントロイヤー」
「…………ぼ、く?」
 僕が、なに?
 僕はこの学園内では普通レベルだ。特別な力もない。何にでも助けになりたいとは言ったが、正直できることは少なかった。
 なのに、マリグノ先輩は僕を見て、僕にお礼を言う。
 僕は分からないのに、学園長は納得した反応をする。
「……あぁ、なるほど。ユヌ君の顧客ですか」
「顧客、僕の?」
「ユヌ君、ルディ・マリグノ君と契約しましたね? 自分の顧客と彼を繋ぎましたね?」
「なんの、ことですか?」
 どうしよう。意味が分からない。学園長は全てを分かっているようだけど、欠片も分からない自分には一から説明してもらわないと何も言えない。今はまだ頭が働かない。
「ルディ・マリグノ君は、自分だけの魔力では足りないため他者の魔力も発動の基にしたんですよ。学園の者からあなたが持つ顧客の魔力を、勝手に奪って勝手に使った。ではその方法は? 簡単です。魔法は互いの同意があり、正確な魔法陣または詠唱があり、それに耐え得る魔力があれば何でもできる」
 顧客、僕の顧客?
 僕の家は長年大きな商会を営んでいる。家の方針から子どもは経営に触れさせられ、商会を手伝いながら、自分でも人脈を作りつつ商売を行っている。他の兄弟に比べて才能があるのか、僕の個人資産はダントツで一番だ。イコール、僕の顧客は多い。……その顧客の魔力を使うとは、同意とは。
 思考が目まぐるしく駆け巡る。
 僕は、一つの出来事を思い出した。
「……昨日の夜、僕の」
 ――僕にできることなら何でもします。もし、僕なんかの協力が必要だったら、何でも言ってください。
 僕の言葉、僕の願い。
 ――リリオン先輩が無事に笑ってくれるなら、僕の持てる全てを賭けます。
「あれが、同意」
 僕の持ち物には、僕の顧客情報が入る。僕が賭けると、協力すると言った言葉は、同意となり、マリグノ先輩に移行させたのか。顧客全員の魔力を使うなら、本来顧客一人一人の同意が必要になる。普通、契約上に知り得た情報は漏らさないこと、二次利用しないことが前提であり、どんな種類の契約でも必ず契約条項に盛り込む。ただ、いくつかの例外がある中に、サービス向上のために個人情報を使用するという文言がある。
 魔法の天才トイフェルの再来と言われるマリグノ先輩なら、僕の同意を得た時点でこの条項を上手く使えるだろう。
 合点がいった僕の表情に、マリグノ先輩は複雑なそれをした。「リリカが気に入るのが分かるな」と嫌そうに呟く。
 僕経由で顧客の魔力を使ったなら、生徒はどういった方法を使ったのだろうか。学園と生徒間であれば入学時に似たような契約をするが、それを知り得る者は学園長含む限られた者だけで、僕のような同意をするとは思えない。なら、他にどんな方法があるだろう。
 気付かないうちに冷静さを取り戻していた僕は、いつもみたいに素早い脳処理を感じながら「あぁ」と声を漏らす。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ビジネス婚は甘い、甘い、甘い!

ユーリ
BL
幼馴染のモデル兼俳優にビジネス婚を申し込まれた湊は承諾するけれど、結婚生活は思ったより甘くて…しかもなぜか同僚にも迫られて!? 「お前はいい加減俺に興味を持て」イケメン芸能人×ただの一般人「だって興味ないもん」ーー自分の旦那に全く興味のない湊に嫁としての自覚は芽生えるか??

Sランク冒険者クロードは吸血鬼に愛される

あさざきゆずき
BL
ダンジョンで僕は死にかけていた。傷口から大量に出血していて、もう助かりそうにない。そんなとき、人間とは思えないほど美しくて強い男性が現れた。

僕の恋人は、超イケメン!!

八乙女 忍
BL
僕は、普通の高校2年生。そんな僕にある日恋人ができた!それは超イケメンのモテモテ男子、あまりにもモテるため女の子に嫌気をさして、偽者の恋人同士になってほしいとお願いされる。最初は、嘘から始まった恋人ごっこがだんだん本気になっていく。お互いに本気になっていくが・・・二人とも、どうすれば良いのかわからない。この後、僕たちはどうなって行くのかな?

恋は、遠い背中から始まった

葉空
BL
中学1年の体育祭。清水結斗は、走高跳で宙を舞う紫川斗葵の跳躍に心を奪われ、その美しさを忘れられずにいた。 高校で再び同じ学校に通うことになっても、陸上部のエースとして輝く斗葵と、帰宅部で学年も違う結斗に接点はない。 だが、陸上部である幼馴染の光希と友人の春利の縁で言葉を交わしたことで、2人の距離は静かに近づいていく。 他サイトでも公開しています

隣に住む先輩の愛が重いです。

陽七 葵
BL
 主人公である桐原 智(きりはら さとし)十八歳は、平凡でありながらも大学生活を謳歌しようと意気込んでいた。  しかし、入学して間もなく、智が住んでいるアパートの部屋が雨漏りで水浸しに……。修繕工事に約一ヶ月。その間は、部屋を使えないときた。  途方に暮れていた智に声をかけてきたのは、隣に住む大学の先輩。三笠 琥太郎(みかさ こたろう)二十歳だ。容姿端麗な琥太郎は、大学ではアイドル的存在。特技は料理。それはもう抜群に美味い。しかし、そんな琥太郎には欠点が!  まさかの片付け苦手男子だった。誘われた部屋の中はゴミ屋敷。部屋を提供する代わりに片付けを頼まれる。智は嫌々ながらも、貧乏大学生には他に選択肢はない。致し方なく了承することになった。  しかし、琥太郎の真の目的は“片付け”ではなかった。  そんなことも知らない智は、琥太郎の言動や行動に翻弄される日々を過ごすことに——。  隣人から始まる恋物語。どうぞ宜しくお願いします!!

不器用なαと素直になれないΩ

万里
BL
美術大学に通う映画監督志望の碧人(あおと)は、珍しい男性Ωであり、その整った容姿から服飾科のモデルを頼まれることが多かった。ある日、撮影で写真学科の十和(とわ)と出会う。 十和は寡黙で近寄りがたい雰囲気を持ち、撮影中もぶっきらぼうな指示を出すが、その真剣な眼差しは碧人をただの「綺麗なモデル」としてではなく、一人の人間として捉えていた。碧人はその視線に強く心を揺さぶられる。 従順で可愛げがあるとされるΩ像に反発し、自分の意思で生きようとする碧人。そんな彼の反抗的な態度を十和は「悪くない」と認め、シャッターを切る。その瞬間、碧人の胸には歓喜と焦燥が入り混じった感情が走る。 撮影後、十和は碧人に写真を見せようとするが、碧人は素直になれず「どうでもいい」と答えてしまう。しかし十和は「素直じゃねえな」と呟き、碧人の本質を見抜いているように感じさせる。そのことに碧人は動揺し、彼への特別な感情を意識し始めるのだった。

異世界転移した元コンビニ店長は、獣人騎士様に嫁入りする夢は……見ない!

めがねあざらし
BL
過労死→異世界転移→体液ヒーラー⁈ 社畜すぎて魂が擦り減っていたコンビニ店長・蓮は、女神の凡ミスで異世界送りに。 もらった能力は“全言語理解”と“回復力”! ……ただし、回復スキルの発動条件は「体液経由」です⁈ キスで癒す? 舐めて治す? そんなの変態じゃん! 出会ったのは、狼耳の超絶無骨な騎士・ロナルドと、豹耳騎士・ルース。 最初は“保護対象”だったのに、気づけば戦場の最前線⁈ 攻めも受けも騒がしい異世界で、蓮の安眠と尊厳は守れるのか⁉ -------------------- ※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!

俺が王太子殿下の専属護衛騎士になるまでの話。

黒茶
BL
超鈍感すぎる真面目男子×謎多き親友の異世界ファンタジーBL。 ※このお話だけでも読める内容ですが、 同じくアルファポリスさんで公開しております 「乙女ゲームの難関攻略対象をたぶらかしてみた結果。」 と合わせて読んでいただけると、 10倍くらい楽しんでいただけると思います。 同じ世界のお話で、登場人物も一部再登場したりします。 魔法と剣で戦う世界のお話。 幼い頃から王太子殿下の専属護衛騎士になるのが夢のラルフだが、 魔法の名門の家系でありながら魔法の才能がイマイチで、 家族にはバカにされるのがイヤで夢のことを言いだせずにいた。 魔法騎士になるために魔法騎士学院に入学して出会ったエルに、 「魔法より剣のほうが才能あるんじゃない?」と言われ、 二人で剣の特訓を始めたが、 その頃から自分の身体(主に心臓あたり)に異変が現れ始め・・・ これは病気か!? 持病があっても騎士団に入団できるのか!? と不安になるラルフ。 ラルフは無事に専属護衛騎士になれるのか!? ツッコミどころの多い攻めと、 謎が多いながらもそんなラルフと一緒にいてくれる頼りになる受けの 異世界ラブコメBLです。 健全な全年齢です。笑 マンガに換算したら全一巻くらいの短めのお話なのでさくっと読めると思います。 よろしくお願いします!

処理中です...