主に交われば

かんだ

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22.種明かし

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「交流会か。リリオン先輩は他寮の交流会もよく手伝っていたから。そこで交流会担当に、自分が手伝うことを同意させた。学園にいる者は身分問わず全員が交流会運営に協力をしなければならない。という義務がある。運営に協力ということは、交流会を手伝うリリオン先輩を助けることにも義務が生じる。僕の顧客もそうですが、随分と強引な方法だ」
 ある意味理屈は通るから、マリグノ先輩だから、きっと成功したのだろう。
 教師の一人が「顧客? 交流会? 理解が追い付かん」と困惑な声を出す。
「交流会はいいとして、いや理解はできないが、顧客の方は余計に分からん。サービス向上のため? それがリリオンを助けるための同意になり得るのか? 持ち得る全てを賭けたとしても、顧客との契約には当たらない」
 その問いに答えたのは、とても美しい声だった。
 低過ぎず高過ぎず、心地よく鼓膜に響く声だった。
「ユヌ・アイントロイヤー君が俺のものなら、話は変わるのでは?」
「…………ぁ」
 確かめてはいないが、多分その場にいた全員が、彼の名前を呟いたと思う。
「り、りりおん、先輩」
 リリカ・リリオン先輩が、マリグノ先輩の後ろで起き上がり、立っていた。
 いつもと変わらない姿。奇跡のように美しい姿。ただ、以前よりも痩せた気がする。大きめのワイシャツに素足という格好だったため、その細さがより目立つ。
 リリオン先輩はマリグノ先輩の横に立つと、マリグノ先輩は慣れたようにその腰を引き寄せた。
「ユヌ君の商売はユヌ君のものだけど、そのユヌ君の雇用主が俺なら理屈は通るでしょう?」
「いつからユヌ・アイントロイヤーが君の従業員になったんだ」
「さあ。それはルディ先輩の力量かな?」
 リリオン先輩がマリグノ先輩を見上げると、マリグノ先輩は躊躇わずその唇を吸った。
「……ルディ、誰がキスしろと言ったんだよ」
「もう一週間以上キスしていない」
「あとでにしてくれ。俺は本当に死んでいたんだ。正直まだ本調子じゃない。早く終わらせて」
 マリグノ先輩はリリオン先輩に再びキスをした。すると、リリオン先輩の体から力が抜け、意識を失った。崩れ落ちる体を抱き上げる。
「人間族の王女がリリカに魔法薬を盛って、リリカは解呪するために魔力暴走を起こし死んだ。僕はリリカが死ぬ前に無理やり魂を肉体に縫い止めた。魂が現世を抜けてしまったらもう打つ手がなくなるからね。禁忌魔法の方法は知っているけど、魔力が足りなかったから奪えるだけ奪ったんだよ。皆の魔力はすぐに元に戻るから安心して良い」
 マリグノ先輩は宝物を抱えるようにリリオン先輩の体を抱く。
 澱みない説明に、誰一人納得はしていなかっただろう。学園長は小さく息を吐いた。
「魔法機関が黙っていません。禁忌魔法を使ったんだ。今後自由があると思わないことです」
「はは」
「何が面白いんです」
「いや、後始末もしない馬鹿だと思われているんだなと。これから時間操作が行われる。対象は禁忌魔法行使の瞬間。行使法は削除」
 なるほど、と思った。
 禁忌魔法を行使した時間を削除したら、証拠がなくなる。マリグノ先輩が行使したという事実がなくなる。それは禁忌魔法によって生き返ったリリオン先輩も対象となり、生き返ったことがなかったことになるのでは、と思うが、指定した対象以外の時間に影響はない。『今』は『今』として存在する。これは魔法使いの力量に寄ると、呪魔法書に書いてあった。どれほど対象時間を正確に詳細にどのように処理するか、旧暦、新暦、神歴、古暦、全ての暦を使い魔法陣に組み込めるかに寄る。少しでも間違いがあれば失敗に終わる。
「王女がリリカに魔法薬を盛って、仮死状態だったが奇跡的に生還した。この事実だけが残る。皆の魔力も数分間奪っただけだから、中には気付かない者もいるだろう。学園側がすることは、『善良な生徒を守る』ことだけだよ」
 マリグノ先輩はそれだけ言うと、悠々と部屋から出て行った。学園長も教師陣も誰も止めない。
「まぁ、必要があれば全生徒に記憶操作の魔法を掛けてもいいけど」
 最後、振り返って笑った。
 ハイリッヒ先輩とクラージュ先輩は「これは忙しくなるな」と溜め息を吐いた。
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