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21.協力
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段々と冷静さを取り戻してきた僕の思考は、次々と疑問が浮かんでくる。
教師の一人が代弁してくれた。
「何故トイフェルの再来だと可能に」
「禁忌魔法の多くはトイフェルが作り出した魔法陣ですからね」
「――っそうなんですか!?」
「真実ですよ。トイフェルが作り出した魔法をトイフェルの再来が行使する、何も不思議はないです」
「ですが、それでも、いくら彼の魔力量が多くても全く足りないのでは?」
「そこで、我々の魔力ですよ」
学園長の説明に、マリグノ先輩が口を挟む。
「僕だけの魔力では足りないから皆の魔力を借りたんだ。とても助かったよ」
マリグノ先輩は僕を見た。
「ありがとう、ユヌ・アイントロイヤー」
「…………ぼ、く?」
僕が、なに?
僕はこの学園内では普通レベルだ。特別な力もない。何にでも助けになりたいとは言ったが、正直できることは少なかった。
なのに、マリグノ先輩は僕を見て、僕にお礼を言う。
僕は分からないのに、学園長は納得した反応をする。
「……あぁ、なるほど。ユヌ君の顧客ですか」
「顧客、僕の?」
「ユヌ君、ルディ・マリグノ君と契約しましたね? 自分の顧客と彼を繋ぎましたね?」
「なんの、ことですか?」
どうしよう。意味が分からない。学園長は全てを分かっているようだけど、欠片も分からない自分には一から説明してもらわないと何も言えない。今はまだ頭が働かない。
「ルディ・マリグノ君は、自分だけの魔力では足りないため他者の魔力も発動の基にしたんですよ。学園の者からあなたが持つ顧客の魔力を、勝手に奪って勝手に使った。ではその方法は? 簡単です。魔法は互いの同意があり、正確な魔法陣または詠唱があり、それに耐え得る魔力があれば何でもできる」
顧客、僕の顧客?
僕の家は長年大きな商会を営んでいる。家の方針から子どもは経営に触れさせられ、商会を手伝いながら、自分でも人脈を作りつつ商売を行っている。他の兄弟に比べて才能があるのか、僕の個人資産はダントツで一番だ。イコール、僕の顧客は多い。……その顧客の魔力を使うとは、同意とは。
思考が目まぐるしく駆け巡る。
僕は、一つの出来事を思い出した。
「……昨日の夜、僕の」
――僕にできることなら何でもします。もし、僕なんかの協力が必要だったら、何でも言ってください。
僕の言葉、僕の願い。
――リリオン先輩が無事に笑ってくれるなら、僕の持てる全てを賭けます。
「あれが、同意」
僕の持ち物には、僕の顧客情報が入る。僕が賭けると、協力すると言った言葉は、同意となり、マリグノ先輩に移行させたのか。顧客全員の魔力を使うなら、本来顧客一人一人の同意が必要になる。普通、契約上に知り得た情報は漏らさないこと、二次利用しないことが前提であり、どんな種類の契約でも必ず契約条項に盛り込む。ただ、いくつかの例外がある中に、サービス向上のために個人情報を使用するという文言がある。
魔法の天才トイフェルの再来と言われるマリグノ先輩なら、僕の同意を得た時点でこの条項を上手く使えるだろう。
合点がいった僕の表情に、マリグノ先輩は複雑なそれをした。「リリカが気に入るのが分かるな」と嫌そうに呟く。
僕経由で顧客の魔力を使ったなら、生徒はどういった方法を使ったのだろうか。学園と生徒間であれば入学時に似たような契約をするが、それを知り得る者は学園長含む限られた者だけで、僕のような同意をするとは思えない。なら、他にどんな方法があるだろう。
気付かないうちに冷静さを取り戻していた僕は、いつもみたいに素早い脳処理を感じながら「あぁ」と声を漏らす。
教師の一人が代弁してくれた。
「何故トイフェルの再来だと可能に」
「禁忌魔法の多くはトイフェルが作り出した魔法陣ですからね」
「――っそうなんですか!?」
「真実ですよ。トイフェルが作り出した魔法をトイフェルの再来が行使する、何も不思議はないです」
「ですが、それでも、いくら彼の魔力量が多くても全く足りないのでは?」
「そこで、我々の魔力ですよ」
学園長の説明に、マリグノ先輩が口を挟む。
「僕だけの魔力では足りないから皆の魔力を借りたんだ。とても助かったよ」
マリグノ先輩は僕を見た。
「ありがとう、ユヌ・アイントロイヤー」
「…………ぼ、く?」
僕が、なに?
僕はこの学園内では普通レベルだ。特別な力もない。何にでも助けになりたいとは言ったが、正直できることは少なかった。
なのに、マリグノ先輩は僕を見て、僕にお礼を言う。
僕は分からないのに、学園長は納得した反応をする。
「……あぁ、なるほど。ユヌ君の顧客ですか」
「顧客、僕の?」
「ユヌ君、ルディ・マリグノ君と契約しましたね? 自分の顧客と彼を繋ぎましたね?」
「なんの、ことですか?」
どうしよう。意味が分からない。学園長は全てを分かっているようだけど、欠片も分からない自分には一から説明してもらわないと何も言えない。今はまだ頭が働かない。
「ルディ・マリグノ君は、自分だけの魔力では足りないため他者の魔力も発動の基にしたんですよ。学園の者からあなたが持つ顧客の魔力を、勝手に奪って勝手に使った。ではその方法は? 簡単です。魔法は互いの同意があり、正確な魔法陣または詠唱があり、それに耐え得る魔力があれば何でもできる」
顧客、僕の顧客?
僕の家は長年大きな商会を営んでいる。家の方針から子どもは経営に触れさせられ、商会を手伝いながら、自分でも人脈を作りつつ商売を行っている。他の兄弟に比べて才能があるのか、僕の個人資産はダントツで一番だ。イコール、僕の顧客は多い。……その顧客の魔力を使うとは、同意とは。
思考が目まぐるしく駆け巡る。
僕は、一つの出来事を思い出した。
「……昨日の夜、僕の」
――僕にできることなら何でもします。もし、僕なんかの協力が必要だったら、何でも言ってください。
僕の言葉、僕の願い。
――リリオン先輩が無事に笑ってくれるなら、僕の持てる全てを賭けます。
「あれが、同意」
僕の持ち物には、僕の顧客情報が入る。僕が賭けると、協力すると言った言葉は、同意となり、マリグノ先輩に移行させたのか。顧客全員の魔力を使うなら、本来顧客一人一人の同意が必要になる。普通、契約上に知り得た情報は漏らさないこと、二次利用しないことが前提であり、どんな種類の契約でも必ず契約条項に盛り込む。ただ、いくつかの例外がある中に、サービス向上のために個人情報を使用するという文言がある。
魔法の天才トイフェルの再来と言われるマリグノ先輩なら、僕の同意を得た時点でこの条項を上手く使えるだろう。
合点がいった僕の表情に、マリグノ先輩は複雑なそれをした。「リリカが気に入るのが分かるな」と嫌そうに呟く。
僕経由で顧客の魔力を使ったなら、生徒はどういった方法を使ったのだろうか。学園と生徒間であれば入学時に似たような契約をするが、それを知り得る者は学園長含む限られた者だけで、僕のような同意をするとは思えない。なら、他にどんな方法があるだろう。
気付かないうちに冷静さを取り戻していた僕は、いつもみたいに素早い脳処理を感じながら「あぁ」と声を漏らす。
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