レイルーク公爵令息は誰の手を取るのか

宮崎世絆

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「しかし、これなら魔術学園に行かなくても良い位だな!!」
「え? 魔術学園? 母様何それ。学校?」

(魔術学園なんて初めて聞いた。魔法が学べる学校なんてあったんだ?)

「ん? レイには言ってなかったか! この国では、魔力が一定以上高い者は、十五歳から魔術学園に通って、魔術を学ばなければならない決まりがある! 正しい使い方や、一流の魔法を学べたり出来るからな! 四年間、学ばなければならないが、なかなか有意義ではある!!」
「へえ! そうなんだ。じゃあ僕も、そこに通う予定ではあるんだね」

(魔法を学べるなんて、何だか面白そう!)

「まあ、聞くだけでは、四年は長く感じるかもしれないが! なかなか…いやな学園でな!! 四年なんて、あっという間で、兎に角面白かったよ!!」
「そっか、母様も通ってたんだよね」
「そこでレオに出会った訳だ! な、レオ!!」

「……まあ、そうだな」
「え! 二人は恋愛結婚だったんだ!」

(おおっラブロマンス!! いいな。僕も、いつか彼女が欲しいな)

「ね、どっちが先に好きになったの? いつから好きになった?」
「ハハハ! どうだったかな!!」

 ルシータは高笑いするばかりで答える気はないらしい。レオナルドに目線を移すと、視線を逸らされた。

「……まあ、魔術学園については、レイにはまだまだ先の話だ。ユリアは五年後か。今、その話をする事も無いだろう。私は先に帰る」
「えー!? 待って、ちょっと位聞かせてよー!」

 レイルークの懇願虚しく、レオナルドは踵を返した。
 ランディはこちらに軽く礼をしてから、レオナルドの後を追い、帰っていった。

「……母様は、教えてくれる?」
「ハハハ! まあ私達のことはさておき、魔術学園の事はもう少し話してあげようじゃないか!!」

 頭を撫でられる。ロマンス話、聞きたかったが魔術学園の話も気になるので渋々うなずいた。

「魔術学園は、魔力が高い者しか通う事は許されない。という事は、必然的に貴族の子供達が集まる場所となる! そういう意味では、面倒臭い場所でもあるからな! レオナルドは、泥臭い話をまだ話したくは無いのだろう!!」

 その言葉に、レイルークはハッとした。

 平民が高い魔力を持つ事は稀だ。もし高い魔力の子供が生まれても、大抵、貴族達に養子として引き取られる。
 魔術学園を、前世の学校の様に考えてしまっていた。

 それに公爵家としての心構えが出来ていないことにも、気付かされた。


「お義母様。レイルークを通わせるのですか? 私は反対です! そんなの、勉強の話どころではなくなってくるではありませんか!」

 ユリアは何故か憤慨している。レイルークは首を傾げた。

「姉様? どうして僕が行くと、そうなるの?」
「レイ……。貴方はそろそろ自分の価値を自覚した方が良いわ。レイの存在は奇跡に近いのよ。大勢の令嬢達にレイが言い寄られる姿なんて、私、見たくないわ!」
「ええ? 言い寄られるの? 僕が?」

(えっと、確かに僕の顔はかなり整ってはいるけど……。あ、そうか! 僕が公爵嫡子だから! 玉の輿狙いのご令嬢のことを、姉様は心配しているんだな!)

「それは心配は要らない! ユリアの言ったような事は、昔からあるからな! 学園側も、重々承知しているんだ! それを防ぐ方法が、また面白いんだ!! 何しろ『変装石』を使うからな!!」
「『変装石』? 何それ?」

 新しいキーワードに首を傾げた。変装って事は、姿を変えれる石……?

「フッフッフッ、これから先は、正式に入学が決まった者にしか言えない! 入学が決まってからの、楽しみに取って置こうな!! レイは別に通わなくても構わないしな! さっ、今度こそ帰ろうか!!」
「えーー?!」

 殆ど何も聞けてないとごねるが、ルシータに背中を押されて渋々歩き出す。
 ユリアも、また納得していない顔だ。

「ユリア、君はあと五年だ。魔術学園は貴族で魔力が高い分、実力のある者達が揃う! にも、通い始める迄には、ある程度実力をつけておくのが良いだろう。……言っている意味は、分かるな?」
「!……はいっ!!」

 何やらユリアは俄然やる気を見せている。
 ユリアも魔法が大好きなようだ。レイルークはユリアの意外な一面を知れて嬉しくなった。

「じゃあ僕も魔術の勉強頑張るよ! 姉様に負けてられないからね!」
「あ…えっと。レイはそんなに、頑張らなくて良いと思うな……。私だってレイを守ってあげたいし……」(ボソ)
「姉様、今なんて言ったの? よく聞こえなかった」

「私は五年後だけど、レイはまだ先の話だからね。今からそんなに頑張らなくても良いと思うよ? まずは、マナーの勉強からがいいんじゃないかな?」
「うぐっマッマナー……!」

 痛い所を突かれ、思わず言葉に詰まるレイルーク。
 ルシータはニヤリと笑って、レイルークの肩に手を置いた。

「そうだなぁ! レイもそろそろマナーレッスンを、始めても良い頃かなー? なあ? レ・イ・ルー・ク?」

(うう……マナーは苦手なんだよ!!)

 レイルークは乾いた小さな声で「そうですね。精いっぱい、頑張ります……」と辛うじて答えた。
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