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本編
たんたんと罠にはめる(10)
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食事を終えると、またあの高級なお宿へと戻る。
行きは右手拘束だけだったモニカなのだが、帰りは右腕拘束という、さらに拘束度があがってしまった。つまり、カリッドと腕を組んで歩いている、ということ。手を繋ぐよりも密着度が高い。
これに困惑しているのはモニカだけではない。むしろカリッドの方が動揺している。
「帰りは腕を組んで帰る。俺のここに、モニカ、君の腕を絡ませてみろ」
と命令をしたカリッドではあるが、そうやって腕を組んで歩いているときに気付いてしまったのだ。自分の腕が彼女の胸に微かに当たっている、ということに。柔らかくてふんわりとした感触が腕に伝わってくる。
カリッドは超絶焦っていた。結婚したくないという理由で、女性との出会いからわざと逃げていたためかもしれない。とにかく、カリッドのヤツがむくむくと反応してしまうのだ。今、そうやって女性から逃げていたことを激しく後悔している。
つまり、カリッドはこう見えて、女性との接触に対して耐性がないということ。いや、女性との接触ではない。むしろ相手がモニカだからだ。カリッド本人はそれにすら気付いていない。
先ほど、出かける前に軽く彼女に口づけをしたときには耐えられた。恐らく、一瞬だったからだろう。だけど、今は辛い。だって、宿に着くまでずっと彼女のそこに触れているわけで。
「だ……リディ、どうかしましたか?」
さらにこうやって彼女から見上げられてしまったら、カリッドの心臓はドドドドとリズミカルに太鼓を叩くように鳴り始める。これではモニカに気付かれるかもしれない。
「なんでもない」
とりあえず、カリッドは第四騎士団のメンバーを脳内で思い浮かべることにした。あの男くさいメンバーを思い浮かべれば、カリッドのヤツもきっと落ち着いてくれるだろう、と。
むさ苦しい騎士が一人、胡散臭い騎士が二人、鬱陶しい騎士が三人……。
第四騎士団は、五つの部隊から成っている。各部隊は約二十名前後で構成され、交代で休みを取り、約七割の人員で任務につくようにしていた。
それはカリッドが団長に就任してから取り入れたシフト制であり、この地方勤務という精神的な圧力をかけられるような環境にいるから考えたものだ。
女性騎士は、各部隊に最低一人は配属するようにした。一部では女性を一か所に集めた方がいいのではないか、という意見もあがったのだが、女性が必要とされる場面に遭遇した時、すぐに女性騎士を派遣できないのは不便である、という理由でカリッドの意見が通った。
そしてモニカは第五部隊の所属。弓の能力に長けているのは、リヴァージュの民だからというのも理由の一つ。あそこは、狩猟の部族である。
恐らく、彼女も幼い頃から弓を射て、獲物を捕らえていたのだろう。だから余計に、彼女にとってマルセルの魔導弓というものは魅力的な報酬なのだ。
「あ」
モニカは腕を拘束されて歩くことに慣れていなかった。相手と歩調を合わせ、そしてその腕を掴んでいるため、適度な距離を保ちながら歩かなければならない。これがなかなか難しい。だから、見事に足を引っかけてしまった。
前のめりになるモニカを、すかさずカリッドは空いている手を出し、その倒れそうになる彼女の身体を前から支えた。前から支えたから、がっつりとその手の平で触れてしまった。
彼女のその豊かな胸に。
罠にはめられたのは、カリッドの方なのかもしれない。
行きは右手拘束だけだったモニカなのだが、帰りは右腕拘束という、さらに拘束度があがってしまった。つまり、カリッドと腕を組んで歩いている、ということ。手を繋ぐよりも密着度が高い。
これに困惑しているのはモニカだけではない。むしろカリッドの方が動揺している。
「帰りは腕を組んで帰る。俺のここに、モニカ、君の腕を絡ませてみろ」
と命令をしたカリッドではあるが、そうやって腕を組んで歩いているときに気付いてしまったのだ。自分の腕が彼女の胸に微かに当たっている、ということに。柔らかくてふんわりとした感触が腕に伝わってくる。
カリッドは超絶焦っていた。結婚したくないという理由で、女性との出会いからわざと逃げていたためかもしれない。とにかく、カリッドのヤツがむくむくと反応してしまうのだ。今、そうやって女性から逃げていたことを激しく後悔している。
つまり、カリッドはこう見えて、女性との接触に対して耐性がないということ。いや、女性との接触ではない。むしろ相手がモニカだからだ。カリッド本人はそれにすら気付いていない。
先ほど、出かける前に軽く彼女に口づけをしたときには耐えられた。恐らく、一瞬だったからだろう。だけど、今は辛い。だって、宿に着くまでずっと彼女のそこに触れているわけで。
「だ……リディ、どうかしましたか?」
さらにこうやって彼女から見上げられてしまったら、カリッドの心臓はドドドドとリズミカルに太鼓を叩くように鳴り始める。これではモニカに気付かれるかもしれない。
「なんでもない」
とりあえず、カリッドは第四騎士団のメンバーを脳内で思い浮かべることにした。あの男くさいメンバーを思い浮かべれば、カリッドのヤツもきっと落ち着いてくれるだろう、と。
むさ苦しい騎士が一人、胡散臭い騎士が二人、鬱陶しい騎士が三人……。
第四騎士団は、五つの部隊から成っている。各部隊は約二十名前後で構成され、交代で休みを取り、約七割の人員で任務につくようにしていた。
それはカリッドが団長に就任してから取り入れたシフト制であり、この地方勤務という精神的な圧力をかけられるような環境にいるから考えたものだ。
女性騎士は、各部隊に最低一人は配属するようにした。一部では女性を一か所に集めた方がいいのではないか、という意見もあがったのだが、女性が必要とされる場面に遭遇した時、すぐに女性騎士を派遣できないのは不便である、という理由でカリッドの意見が通った。
そしてモニカは第五部隊の所属。弓の能力に長けているのは、リヴァージュの民だからというのも理由の一つ。あそこは、狩猟の部族である。
恐らく、彼女も幼い頃から弓を射て、獲物を捕らえていたのだろう。だから余計に、彼女にとってマルセルの魔導弓というものは魅力的な報酬なのだ。
「あ」
モニカは腕を拘束されて歩くことに慣れていなかった。相手と歩調を合わせ、そしてその腕を掴んでいるため、適度な距離を保ちながら歩かなければならない。これがなかなか難しい。だから、見事に足を引っかけてしまった。
前のめりになるモニカを、すかさずカリッドは空いている手を出し、その倒れそうになる彼女の身体を前から支えた。前から支えたから、がっつりとその手の平で触れてしまった。
彼女のその豊かな胸に。
罠にはめられたのは、カリッドの方なのかもしれない。
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