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200話 - 大人の時間(長編)
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獣人国重鎮一行の家を全て作り終わって今は20時くらい。
王夫妻の6畳1間風呂付きという尋常ではなく小さな一軒家を建てたら王夫妻が吠えた。
いい意味でね。
涙をにじませながら吠えていた。
ちなみに6畳1間ってマンションじゃないんだよ!?
だから超デフォルメされたアニメとかに出てきそうな三角屋根のちっちゃなお家になっている。
出来るだけ外面もしょぼくしてほしいって注文もクラムにしてたから可愛らしい外装もない。
本当にどシンプルな赤いお屋根の小さなお家だ。
贅沢に興味ないのは2人見てたら分かるけどここまでする??
2人が寝っ転がるともうスペース全くないよ……。
なんでだろ……?
本題に入る前に多分誰もご飯の用意をしていないだろうなと思ったので今日来たメンツに食事だけ配って戻ってきたところだ。
その時ちょうどクラムも眠いって言い出したから家に預けてきた。
おばあちゃんとクラマは2人そろって寝ていた。
お疲れ様。
今日はクラムは大活躍だったからな。
ゆっくり休んでほしい。
『まぁノリでお茶おいたけどやっぱお酒でも飲めば?今大人だけだし。はい、僕のお気に入りのワイン。小樽で置いとくから好きなだけ飲めばいいよ。エステルも飲みな?で、これここの名産のチーズ。最近の僕の好物。まぁ王様と王妃様の口に合うかわからんけどね』(トントントントンッ)
話する時って場の雰囲気整えるのも大切だからね。
2人ともすげえ興奮してたし。
ここからは大人の時間だな。
「「「「かんぱ~いっ!」」」」
「美味しいですよね~!このワイン。コクコク……」
エステルお酒強いよねぇ~?
見た目とのギャップ凄いんだよなぁ。
「お、こりゃありがてぇ!頂くわ。おぉ!このワインうめぇな!このチーズってやつも酒に合う!良い具合の癖があって酒で流し込むのがたまらん!!ゴクッ……だはぁ……。王城から解放されて飲む酒うめぇ~!!マジで週1、2は王止めてぇわ」
「ゴクッ……はぁ~おいしっ!ほんとそれよ!年中無休だもん!それに城で見栄張った貴族と飲むお酒よりとーっても美味しいわ!ありがと!」
わかるわかる。
僕も美味しいお酒飲むより安酒を気分よく飲む方が好きだな。
『まぁそりゃよかったよ。のんびり飲み食いしながら話そうよ。ゴクッ。んまい!!』
「ってかクロムってそもそも大人なのか?」
『前世の記憶ありきで精神的に30中頃くらいだね。ただ体との年齢が違うからちょっと自分が何歳って言っていいかわかんないの。こっちの世界きて10年くらいらしいけどそれも半分以上意識無かったからね。酒に関しては酔えない。アルコール完全に分解しちゃうみたいだ。味は分かるけどね』
「不思議な境遇してるもんね~クロムくん」
「まぁクロムさんはクロムさんですからね♪」
「なるほどな?スチュワードんところでごくごく酒飲んでたから大丈夫なのかと思ってたわ!俺と同い年くらいじゃねぇか。俺32だぞ!」
『そうなん?王なのに若くね?もっと上だと思った』
王様と話す時って急用ありきだからグダグダする時間ないんだよね~。
こういう話ってなかなかしないよなぁ。
「私は26だわ?」
「そういえば……たぶんもうすぐ私は24ですね」
『あ!エステルもうすぐなの!?この世界誕生日祝ったりしないの!?ってか今そもそも何月!?』
僕全く日付とか意識して生きてない!
ダンジョン出たり入ったりしてるし1日も曖昧になる日あるぞ!?
時計買ってからは大丈夫だけどさ……。
誕生日くらい祝いたい!
ってかみんな誕生日いつなんだ……?
この前寿命聞いたときにメモしたな……。
後で見とこ。
おばあちゃんとか覚えてんのかなぁ……
「今日は11の月の1週目、水の日だぞ。俺は王やってるから日時管理しねぇとダメだからな。日まで覚えてねぇやつが多いから獣人国は祝うなら日じゃなくて月だな。月の終わりにその月に産まれたやつを一緒に祝うんだ。でも種族毎に違うし適当だぞ」
やっぱり……
僕の感覚では12月上旬頃だった……。
季節もわかんないし、ダンジョンで生活してる時間もあるし、魔の森は温度変わらないしなぁ……
感覚かなりズレてたんだな……
「そうなんですか?11の月なら私の誕生月は来月でした。コクコク……」
わー。
エステル興味なさそ~。
「じゃあエステルは年末に祝えばいいのか。ありがと!あぶねぇ……ごめん今まで忘れてたよ……」
「祝っていただけるのです?私も忘れていましたしそんな場合ではなかったですし……。といいますか、そもそも誕生月を祝う習慣はハイエルフにはありませんよ?」
「まぁハイエルフだしね!」
「そだな。みんないくつなのかわっかんねぇよ。エステルちゃんが若すぎて驚いたわ」
『ビックリするよな。わかる。ハイエルフってそもそも年齢自体曖昧じゃん。エルノアママが覚えてたのが逆にすごいよ』
「お母様は几帳面ですからねぇ~」
『まぁせっかくだし祝おうよ。楽しい日は多くていいよ。ってか獣人の人もあんま年齢わかんないよ?種族まちまちって感じだもん。ポートルのギルマスが兄者って呼んでるし、王だし、2人とももっと上なのかと思ってたけどね』
「獣人国の王は強さで王決めてるとこあるから即位するのは若めなんだよ。オグルの件は単純に兄弟子だからだな」
「オグル34、5位だったんじゃない?老けてるわよねあいつ」
そうだった。オグルさんだった。
おっさんって印象強すぎてわすれるんだよね。
人の名前覚えるの苦手なんだよ……
『うん、ビビった。45くらいだと思ってたわ。ってか王様とオグルのおっさんは老けてるっていうより貫禄の問題。ってかオグルのおっさんここ呼ばなくてよかったのか?呼んできてくれてよかったけど。言ったよね?』
「「あ……」」
・
・
・
うん。まぁいい具合でリラックスできたかな。
お酒入ってホワっとしてきたくらいだ。
『そろそろ落ち着いた?話する?』
「あら!気を遣わせちゃったわね!ごめんね?」
『使ってないよ~。僕が楽に聞きたいだけ~』
「クロムさんはそういうところありますよね、ふふ♪」
『興奮すると話しうまく出てこないじゃん。僕がそうだしね~』
「この子ガウルと性格ちょっと似てるわよね?」
「わかります!息ピッタリですよね!!」
『「そうか?」』
「まぁいいや。あんがとよクロム、落ち着いたしいい気分だ。さってと、いざ話すってなるとどっから話していいもんかってなるんだけどよ……。ちっとなんつったらいいかわかんねぇんだよなぁ」
『難しい話なの?』
「いや、そういうことじゃねぇ。まずは……こいつと結婚した経緯は……冒険者やってる時に同じパーティー組んでて……」
え、そっから??
「結婚!?詳しくお願いします!」
あ、エステルが興味津々だ。
「詳しくっつっても冒険者してるときにキャシーがこいつ連れてきて、長旅してるうちに俺が惚れこんだだけだ。こいつ真っすぐだろ?いいやつだし裏表全くねぇんだ。俺変わった眼もって生まれてきちまったからよ。それが凄い新鮮だったんだよ」
「惚れられたわね!すごいアプローチだったわ!」
確かに……
深層心理勝手に見ちゃう眼をもった王様とリトさんの相性はとてもよさそうだ。
話していてもカラっとしてて気持ちいい人だもんな。
「で?で?どうやって結婚まで関係を進めたんですか??」
「ん?唐突だったわ。ドラゴン倒しに行く前にポートルの港でプロポーズされたわよ?ここ逃すともうねぇ!生き残れたら俺と結婚してくれ!ってね」
「素敵です!とってもロマンあります!憧れますねぇ……」
え、完全なる死亡フラグじゃねぇか……
この世界の人と僕との価値観が違うのか!?
「いや、本当にやばいやつだったからよ。結果オグルが1番ボロボロだったしよ……」
「それでリトさんはお返事をしたのですか!?」
ガンガンいくねぇエステル。
ゴクゴク……。ぷはっ。
「うん!即答したわよ?もちろんって。私もガウルのこと大好きだったから結婚は全然よかったの!こいつ腕っぷし強くて図体デカいくせにすごく弱気でしょ?そこがいいの!大雑把に見えるのに小さなことにも気付くし凄く優しいの!不器用なところなんか超可愛いでしょ!」
「すごくわかります!!強いのに鼻にかけてない所とか最高ですよね!!」
「でしょ!?そうなのよねぇ~。だからこいつに結婚を申し込まれたときとってもうれしかったの!」
「そうか?でっへっへ……」
そうだな。
そういう性格してるから市民の苦しみがわかってあげられている感じがする。
王である事を鼻にかけることなんか全く無いしなぁ。
「でもねぇ……。こいつ私に結婚申し込んでくるその時まで王目指してるなんて一言も言わなかったのよ。ドラゴン討伐終わってから話聞いてほしいってプロポーズの後にポートルの宿屋で言われたのよ!?ずっと一緒に冒険者生活して、既に付き合ってたっていうのに!寂れた宿屋の娘してた私からしたら大ごとよ!嬉しさが吹っ飛んだわ!だからぶん殴ってやったの!」
うわぁ……。
後出ししたんだ……。
「やはり……嫌だったんですか?」
「嫌とかじゃないわ!別に惚れた男が何目指してても応援してあげるわよ!ただ、私は実家を立て直す為の資金稼ぎの為に冒険者始めたただの平民なんだもの。貴族に興味なんかないし、ましてや王妃になるなんて急に言われてビックリ!将来設計が一気に変わっちゃったわ!」
「いや、ドラゴン前にしてそんなこと話せるかよ!んでドラゴンのダメージ抜けきってないところにリトからの痛恨の一撃食らった。まぁ、俺が悪いんだけどよ?単純にビビっちまったんだ。俺が王目指してんだなんてな。柄じゃねぇし。俺なんぞそこら辺のチンピラだったからな……。これ言ったら着いてきてくれねぇんじゃねぇかと思ってよぉ……」
「ちっちゃいわね!そんなことないわよ!」
どっちの気持ちもわかる気がするな。
まぁ王様の場合夢がデカすぎたな。
『ただリトさんからすればすごい決意だよな』
「そんなことないわよ?こいつの立場とか私にとってはどうでもいいもの。王目指してるって理由にも納得したしね」
「素敵な話ですねぇ~」(キラキラ)
エステルの目が輝いている。
でもいい関係だな。僕もちょっと憧れるよ。
『すげぇ素敵な話だった。王様はリトさんがオッケーしてくれてよかったな』
「おう!ほんとそうだ!ずっと感謝してるぞ!」
『……ただ、なんでそこまでして王やってんだ?正直向いてねぇだろ?世界の民が飯に困らないように、だったか?城忍び込んだ時に言ってたよな』
「そうだ。俺は獣人国のすっげー南にある忘れ去られたような小さい農村で生まれたんだ。作物が育たねぇから食料もねぇ。井戸もからっからでよ。川すら近くにねぇんだ。幼い時から体が大きかった俺がずっと川を往復して水運んでたんだ」
『王都はマシな方だぞって言ってたな』
「ああ、そうだな。飢えるやつも多くてよ……死人が沢山出ていた。周りの農村も同じ状況だ。そんな状況でもそん時の王は市政に全く興味のないやつでな……。もちろん領主も村のことなんぞそっちのけだ。気づいたときには親もくたばっちまった。で、そんな時に偶然貴族に出くわす機会があったんだわ。そんとき幼い俺は必死に助けを求めたんだ。だが……貴族に足蹴にされた。虫けらを見るような目だったな。はは。今でも忘れねぇよ」
「酷い……。獣人の方は強い者が正義……でしたか?以前お聞きしました」
「えぇ、特に田舎の貴族はそれが顕著ね……」
王都に来た時に商人さんから獣人は強いやつが正義って文化だったって聞いたんだよな確か。
『その貴族のこと恨んでんのか?』
「恨んでねぇ。生きるのに必死で何も覚えてねぇくらいだ……。そうじゃないんだ。獣人国がそういう文化だったんだわ。当たり前だったんだよ。そういう国民性。強いやつが勝ち取ればいい。苦しんでいるなら力つけてテメェで這い上がってこいっていうな。だからクルードの奴みたいに虐げてるやつとは色がちげぇんだよ。弱いものに興味がねぇんだ。だから仕方なかったんだよ……」
そうか……
本当に獣人は典型的な弱肉強食なんだな。
むしろこの王が変わり者なんだな。
「ただ、皆って程じゃねぇんだぞ?小さい村は助け合って生きてるさ。ただ、特に国の中枢部程その考えは強くなるわな。そうやって自分達で勝ち取った地位だからよ。で、それとは逆に中枢の貴族じゃないと頭使うこともねぇから”田舎の”貴族が一番やべぇんだ」
「えぇ、私が住んでた村の平民なんか皆で助け合って生きていたわよ?ただ貴族共がそういう考えだったことは事実。そこまで田舎じゃないけどね。それでも領主からはかなり搾取されていたわ。私も貴族は大嫌いだった」
『なるほどな。しかもその地位絶対手放したくないだろうな。話も聞かなそうだ。』
「そうなんだよ……。だから難しいことにそれが悪りぃってんでもねぇんだよな。そいつらなりに然るべき努力して貴族になったんだからよ。だが、貴族程弱い者に手を差し伸べない。だから弱い民はどんどん環境の悪い土地へ追いやられるし人口も減っていく。もう最悪だろ?強い者だけが甘い蜜吸える国だったな」
難しい話だな……。
文化と国民性なぁ。
獣人ならではっていうか……。
少なくとも前世の人間にはなかなか想像がつかない世界だな。
「なんとも言えないですね……価値観の問題でしょうか。ハイエルフとは真逆です」
『僕もそう思う。獣人の文化でそれが正義って言われてしまうとどうしようもない』
地球でも自然の生物はそうだからな。
「俺もそう思う。さらに王がそういう主義の国なのに下も軒並みそうなるわな。それもずっとだ。歴代の王もその体制変えようとしねぇんだよ。ただ、俺はこんな眼持って生まれてきたこともあって獣人の中では多分変わりもんだったんだよ。頭わりぃからうまく言葉に出来ねぇんだが……。ぜってぇそんなのおかしいと思ってたんだよ。柔いやつだって優れてるところはいっぱいある。素敵な奴だって多いさ。だから国変える為にはもう頂点に立つしかなかった。1回国の体制崩しちまわねぇとどうもなんねぇんだ」
『その国民性なら自分より地位が下のやつのいう事聞くわけないもんなぁ』
「そうなんだよな。そう思ってからいても立ってもいられなくなって村飛び出してよ?魔物狩りながら冒険者になって。強くなってちょっと調子に乗ってたらキャシーにボコボコにされてな!あっはっは。んで事情話したらキャシーが弟子にしてくれたって訳だ」
「で、その後に私と出会うのよ。それから強くなる為に色々冒険してねぇ。もう王になるってこと私に伝えてからは酷かったわよ?数年ダンジョンに籠りっきりだったもん。私も付き合ったんだけどね。キャシーもオグルもマルスも付き合ってくれたわ。その後は名声を上げる為にその辺の街の闘技大会に片っ端から出場したの」
「結局ずっと勝てなかったんだよなぁキャシーだけには。国の王になるわけだから仲間内でも手抜きはダメだからな。まぁ、俺はリトにもあんま勝てなかったけどな!ぶっ飛ばされまくったな!あっはっは!ってな具合だ。で、先代から俺達は揃って王位継承された。まぁ簡単に言えばそんな感じだな」
「そもそもガウルは私と相性が悪いだけだわ!そんなに変わらないもの。でもそうね、そんな流れね」
「お話ありがとうございます!とっても素敵な話が聞けました!!」
『ほぇ~。2人が戦ってるとこ見てみたいな。それにしても皆ダンジョンで強くなったんだな?』
「あぁ。ダンジョンが一番敵が多いし強くなるのに手っ取り早い。そん時は既にA級だったからもう冒険者としての名声は要らねぇと思って外の依頼無視したんだ。大会とかで実力示す方が早いからな。ただ、死ぬわけにはいかなかったから全員30階層付近で戦ってたんだけどよ。キャシーなんかは40階層でも行けたと思うがな。俺なんかの為に本当に感謝してるさ」
なるほど。
だからこの一派は他の人種より強さが飛びぬけてるんだな。
しっかりと危険くぐり抜けてきたんだ。
「楽しかったわよ?ここでまた鍛えて久しぶりに潜りたいわね!」
「時間できたらクロム達に教えてもらって久しぶりにダンジョン行くのもいいな!あっはっは!」
「ねぇねぇ!ダンジョンのこと教えてよ!深くまで潜ったんでしょ!?私もっと進みたかったのよね!!階層主はなんなの!?」
「あ……やっちまった……」
・
・
・
『あぁ……。別にいいけど60より下にはマジで行かないほうがいいぞ。王様達なら頑張れば50くらいまでは行けると思うけど……』
「いや!ぜってぇいかねぇ!!こんなんでも王だからよ?それに俺はそんなに戦いに興味ねぇ……」
「私は興味あるわ!ダンジョンの話聞かせて!!」
「やめとけよ……」
(興味ないんじゃないのかよ……)
(俺は……って言ったろ……)
「ふふ♪わかりました!ただ、低階層はあまり覚えてないんですよねぇ。知らないのは40階層からですよね?……40がシルバーグリズリーでしたっけ?クラマ君が一刀両断しました。50はワイバーンでしたね」
『はぁ……まぁエステルの謎パワーで一撃だったな』
「謎パワーってなんだよ……。まぁそれ聞けば一撃は無理だが、前と同じパーティー組めば今ならいけそうか……。ただ時間かかるから階層主だけの問題でもねぇんだけどよ」
やっぱそうだよな。
長期間ダンジョンに潜ってないといけないってのがかなり足引っ張るよな。
「そうね?ワイバーンは現役の時に倒したことあるわ!」
『まぁドラゴン討伐パーティーだもんね。ドラゴンのステータスとか計ってないの?何の属性だったの?』
せっかくの流れだしクラマの為に聞いておこう。
外のドラゴンはダンジョンのドラゴンと強さ違うのかな?
「計ってるわ!ギルドから魔道具持ってきてくれたもの!たしか……1000位だったんじゃない?」
「クロムの鑑定でいうところの1万平均位じゃねぇか?属性は火だったな。でもほぼ魔法使わなかったなあのドラゴンは。火吐いてくるくらいだったぞ」
『それでも1万だろ?よく倒したな……』
「マジで死ぬかと思った。キャシーのおかげだわな」
「キャシーも飛べるわけじゃないから辛そうだったけどね。なんとか魔法で引きずりおろして長時間かけて削ったわ!」
なるほど?
外のドラゴンステータス1万くらいか。
じゃあ単体だとクラマは今余裕そうだな。
いい情報聞いた。
『ってかキャシーってパーティー入ってたんだな。完全に師匠かと思ってた』
「正式って感じじゃねぇな。まちまちだ。遠出する時なんかは教える為についてきてくれたぞ。そもそもあいつもそんな戦い好きじゃねぇからなぁ」
『そうなんだ?でも師匠ならそうか。ありがと。ちょっと参考にしたいことあったんだよ。んでダンジョンは次の階層くらいからはちょっときついと思う。環境的にね。次の階層は水場だな。3分の2は水だ』
「私達はクラムちゃんの毒で敵を一掃しました!ただ60階層の階層主はわからないんです……。クラムちゃんが階層を丸ごと凍らせてしまったので……」
『そうだな。今だに謎だ……。ボス何だったんだろ……。ただ階層丸ごと水中だよ?息できる道具つかっても水中戦闘なんかキツいでしょ?』
「毒?あの子毒使えんのか?それに水中戦闘なんかしたことねぇな。無理だ」
「水は苦手ね!私泳げないわ!」
クラムに今毒のイメージないよなぁ。
超強力なんだけどねぇ。
獣人国荒野だもんな。
泳げない人多そうだ。
『で、こっからだよ……。もうあのダンジョン絶対生物殺す気だもん……』
「61階層からは空ですね。上空どれくらいの高さかわかりません。足場もほとんどないですね。敵はワイバーンがほとんど。というよりきっとワイバーンの巣ですね。いくら倒しても減りません。70階層の階層主はグリフォンです。私が倒しましたが……やはりほぼ空中戦闘ですねぇ」
『高所恐怖症だから怖かったなぁ……。もうダンジョン攻略やめようかと思った。ボスはもう飛べないと倒すの無理だな。グリフォンずっと空から魔法打ってくるから。エステルが意味わかんない技で消し飛ばしたんだ。マジですごかったよ?あ、ちなみにニヴルヘイムの世界樹工場もそれで最終的に消し飛ばした!』
「意味わかんなくないですもん!でも私は楽しかったです!私はまた行きたいです!!」
「飛べるのかしら私……それにエステルちゃんの技気になるわね……」
「無理だろ。ってかそもそもお前らは飛べるんだな……」
『僕あんま飛べないけどね!ってか飛びたくない!!』
「お。クロムにも弱点あったのか」
あるよ……。
僕を何だと思ってんだ……。
「71階層からは溶岩エリアです。入ると服が発火する温度です。溶岩の海ですね……。76階層からは……トカゲの巣ですか?80階層のボスは溶岩竜ですね。溶岩吐いてきますよ?クラマくんが倒しました!カッコよかったです!」
『クラマめっちゃかっこよかったよな!最終的に空中でドラゴンの首一刀両断したからな!クラマがボロボロじゃなかったら湧き上がってたぞ!うちの子かっこいい!!あれは撮影したかったなぁ。……あの階層本当にきつかった……トカゲが音立てるだけで爆速の燃える弾丸打ってくるんだぞ。75階層までは溶岩の海から出てくるし。76階層からはそいつらが何100匹もいるよ。無限沸きする。ちなみにトカゲって言っても王様達が倒したドラゴンより多分強いよ』
「溶岩の海でドラゴン無限沸きってどうやって攻略すんだよ……」
『イライラするうるさい鳥がいるんだ~』
「は??」
「ちなみにそのドラゴンはステータスどれくらいなの?」
『2万5千くらいかな?ちょっと速度遅いけど。あ、そっちのステータスだと2500くらいかな?基本僕が言うステータスは10倍になってると思えばいいよ』
「それはキツイわね!溶岩吐いてこなくても無理だわ!トカゲはなんとかならないかしら……」
「俺たちが5人で何時間もかけて倒したやつの倍以上かよ……ってかそろそろ諦めようぜ……」
「その先の90階層の階層主が……私にはまだ倒せないのです……溶岩竜は倒せるんですけどねぇ……」
「どんな階層!?階層主なんなの!?気になる!!」
この話聞いても気になるのか……すげぇな。
思い出すだけで吐き気するけどなぁ……
リトさん血気盛んだなぁ。
すげえ冒険好きなんだな……
『暗黒大陸。光ゼロ。85階層までは洞窟。86階層からは峡谷?バジリスクってやつが完全な闇の中魔眼で目線合わせて石化してくるんだ……。で、石化したらステータス33333のゴーレムに潰される。81階層に入った瞬間殺されるよ。空飛べるうえに光魔法と聖属性常に使えないと攻略不可能だね。即死する』
「殺意高すぎるだろ……ダンジョンってなんだよ……」
『あれそもそもダンジョンじゃないんだよ。また話すわ』
「お、おう。そうなのか?」
『うん、人が入れるように作ったものじゃないのに勝手に入り出したんだって』
「クロムさんがいなかったら私達も81階層で何もできず全滅でしたよ。いえ、そもそもクラムちゃんを除けば私達も50階層の水中エリアから無理でしたねぇ。階層主はドラゴンのゴーレムです。殆どのステータスの値が55555でした。魔力が続く限り高速再生しますね。途中から何十体ものゴーレムを同時に何度も召喚します……。勝てません……悔しいです。もう少し攻撃の継続力があれば……」
『まぁクラムは遊んでたけどね。って勝てる訳ないでしょあんなの……。あのダンジョンほんっとーに頭おかしいと思う……はぁ。ゴクゴク……ぶはーっ。お酒おかわりしよっと」
「もうさすがに行こうと思わないわ!」
「やっとかよ……行こうと思うなよ……。ってかクラムちゃんはそいつに圧勝ってどういうこったよ……。ちょっと言葉になんねぇ……」
『クラム強いからねぇ。で、そこで魔石集まったからハイエルフ助けに行って今ここで止まってるの。進むならちょっとエステルとクラマ強化しておばあちゃんに少し慣れてもらいたいね。ドラゴンゴーレムはせめて倒せるようになってから行こう』
「がんばります!負けません!!ちなみに皆さんが転移に使ってる魔石はこのドラゴンゴーレムの魔石ですよ?」
「やっぱなんか申し訳なくなってきたわ……」
「話には聞いてたけど……この子たちそんなに強いんだ……」
『それはいいよ。多分今までのケースなら91階層行けば1等級ならどんどん集まるから。足りなくならないけど足りなくなったら僕行ってくるよ。……ちらっと覗いて分裂に射撃させれば多分大丈夫……多分……不安だけど……やっぱもうちょっと訓練しようかな……』
「クロムさんずっと引け腰なんですけどねぇ……。ここまで全ての階層主一撃なのに……」
『いいよ言わなくて……相性の問題だもん。偶然だよそんなの』
「一撃なの……?」
「みんな即殺です!階層に入った瞬間木っ端みじんです!クロムさんは凄いんです!!」
「えぇ……。お前……もうちょっと引くわ……。って偶然ってなんだよ……そんな偶然あるかよ……」
『ちがうの!僕的には油断したら危なかったところいっぱいあったの!勝率が99.9%でも戦いたくない!100%にならないと安心できないの僕は!なんかあったらみんな守れないでしょ!?パパなんだから!!家族は絶対守んないと……。まだまだ弱いんだ僕は……うぅ』
「なんで弱いって言ってるのか私にはわかんないわ!」
「こいつらヤバいやつらだって言ったろ!?いいやつだからよかったけど世界なんか一瞬で滅ぶぞ……。あぁそうだった。クラムちゃん1人でも世界は数日で滅ぶんだったな……はは」
『王様だって国民守りたいでしょ!僕にとっての国は家族なの!!』
「その部分だけはわかるがよ!”だけ”な!!……っつーか、不安だとかいってる癖になんでお前らずっと1人で階層主と戦ってんだよ?わけわかんねぇよ……」
『僕だってわけわかんねぇよ!それはエステルに言って欲しい!!』
「え、エステルちゃんの問題なのか!?」
『主に。あとちょっとだけクラマ。クラムはどっちでもいい子なんだ。僕はみんなで戦うのを推奨している!おばあちゃんは戦わない!!』
「だって……挑戦したいじゃないですか……」
「その気持ちはわかるわ!また時間ある時に相手して欲しいわね!私もまだ強くなれるかもしれないわ!」
「是非!私もリトさんから学びたいです!!」
『エステルとリトさんってなんか似てるよなぁ……』
「あぁ……なんかちょっと印象変わったわ……。活発な子だったんだな……そういや闘神様の加護持ってんだもんなぁ~」
『エステルは見た目が穏やかなだけだよ。場合によりけり。中身は結構やんちゃだ。まぁそういうとこもあっていいと思うけどね。危険じゃなければ……』
「わかるわ……危険じゃなければなぁ……。すぐ飛び込むんだよこいつ……」
「そんなことないわよ!!」
「そんなことないですもん!」
『「はぁ~……」』
『まぁみんなもっとお酒飲みなよ!お腹も空いたね?なんか適当に出すわ………あれ?』
「あ?どうした?まだ深夜にもなってねぇぞ?もっと付き合えよ。腹減ったからガッツリ喰うのには賛成だ!」
「まだまだ足りないわ!私も何か持ってくれば良かったわね!」
「食事は沢山あるので大丈夫ですよ、ふふ」
『……じゃなくて。なぁ、話逸れてね?まぁいい話聞けたし、全然いいんだけども。こういう時間が好きだし』
「俺もだ!ほんとだな!?俺らの話だったわ!気分良くなりすぎちまったな!あっはっは!」
「すごく楽しいわ!……はぁ。こんなにお城じゃ力抜いて話せることないもんねぇ……」
「夜は基本お2人で過ごしているのではなかったのです?」
「お!そうだ!良い感じにつながった!どう話していいかよくわかんなかったんだよなぁ……。で、随分前からの話になっちまったんだよ……」
じゃあ前半ただの惚気話じゃん。
惚気話聞くの好きだけどね。ほっこりするし。
仲良さそうで何よりだよ。
最初その話からするから夫婦仲に問題あるのかと思ったわ。
後半何故かダンジョンの話になったけど。
グダグダか……。
まぁこんな感じがいいよね。
なんで王やってんのか不思議だったんだよ。
聞けて良かった。
『で、なんなの?ほい、これオークキングの角煮。あとこっちファングボアの香草焼き。どっちも魔の森産だからこの2つ超美味いよ!!やっぱ料理うまいよなぁ……。で、これがクラムがさいくろ~んした時のよくわからん魚つかったアクアパッツァ。最後はクラマとおばあちゃんが魔の森で摘んできてくれたニンニクっぽい風味する野草といつ誰が倒したのかわからんどっかしらのヘビっぽい魔物のアーリオ・オーリオペペロンチーノ。適当な粉捏ねて刻んで麵作った。お腹張るんじゃない?ちゃんと鑑定してるから食えるし美味いかどうか知らんけどお酒には合うと思うよ』(モグモグ)
「後半ちょっと何言ってるかわかんなかったが全部うんめー!てかうますぎるだろ!?すっげぇな!全部城の料理より全然うめぇ!!」
「すっごく美味しいわ!強いうえに料理まで作れるの!?エステルちゃんまた作ってね」(ニコッ)
「…………前半クラムちゃん……後半クロムさんです」
「「え?」」
「…………前半クラムちゃん……後半クロムさんです」
「「…………」」
『あ、うっかり忘れてた!!エステルのパン使ったガーリックトースト!ワインに合うよ!!エステルのパン超美味しいの!食べてみて!!僕等の主食なの!このパンが世界で一番おいしい!!』
「でも調理したのクロムさんじゃないですか……」
『……やっぱそのままが最強だよね!そこのバカップル!!見てないではよ胃に詰め込めッ!!』
(なんで見た目スライムの2人主体で料理作ってんだ!?リトが言ったんだろ!この空気なんとかしろよ!!)
(クロムくんとクラムちゃんが料理作ってるなんて思わないでしょ!?クラマくんは作りそうにないしティアさん神でしょ!?消去法でエステルちゃんだと思うじゃない!あんたこそ王の癖に何とかしなさいよ!!)
(お前も王妃だろ!ってか地位は関係ねぇだろ!!)
・
・
・
『はぁ……腹いっぱいだ。パンが一番うまかったよな!?な!?』
「ええ。とてもおいしかったわ……」
「獣人国にもこのパンの作り方届けて欲しいよなぁ~」
「もちろんです!!頑張って作ります!!」
(((はぁ……よかった……)))
『で、結局なにがそんなにつらいの?王は自分で進んでなったんでしょ?色々辛い事もありそうだけどさ』
「あぁ、たまに馬鹿らしくなるがな。しょーもない争いしてる貴族にはうんざりする。でもそれはわかりきってたことだ。じゃねぇと王になってねぇ」
「ちなみに今貧しい農村などは大丈夫なのですか?」
「今目につくところは近くの豊かな村から資材送ってもらったり合併させたり、ひどすぎる領主は挿げ替えて何とかしてる。まだまだ食料難だがこの5年でかなりマシにはなったな。でもクルードん時の農村みたいに領主が搾取してたりまだ見つかってない村もあるかもしれねぇだろ?スチュワードに協力してもらって情報探り探りやってんだ。これからも頑張るさ。ここは地道な活動だな」
「私も協力するわ!」
『大変なのにこっちにも気遣ってもらって悪いな。僕も出来ることは協力するよ』
「いや、お前ら家族はやりすぎだって。少しずつ冷蔵庫も浸透してるぞ。特に肉屋に大評判だ!魚も輸入できるようにしてぇな」
『お!よかった!じゃあ少しずつ改善できるといいな。あ、ちょうどいいじゃん。この村で見つけて国に問題なさそうなものあったら作るから教えてくれ』
「またお前に恩積み重なっちまうがな!わかった。感謝する」
『……ふむ……じゃあ何がそんなに不満なんだ?』
「見られてるのよ……ずっと……」
「あぁ……」
「王様ご夫妻なので多少は……やはり……」
「いや、おかしいんだって本当に……俺が即位した当初は……
「なぁ?王座の後ろに10人も立ってなくていいぞ?護衛か?」
「…………」
「あぁそうか……はぁ。話していいぞ。ってか今後そんなことに気を遣うな……。城の皆に伝えておいてくれ……時間の無駄だ」
「光栄の至り!この勤めは我らの誇り!誠意をもって取り組んでおります!」
「……護衛がってことか?まぁそうかもしれねぇけどよ。城の周りで警備した方が有意義だろ?」
「いえ!護衛も警備も他におります!抜かりはありません。ご安心ください!」
「安心とかじゃねぇって……。立ってるのが仕事なのか?そんなわけないよな?」
「はい!王の権威を示す、その為に我らは先代の王に雇われております!」
「……じゃあ今日から他のことしてくれ……他の勤めはねぇのか」
「いえ……我らは……この勤めを誇りにしておりますので……」
「他にもあるわよ?」
スタスタスタ……
タッタッタッ……
「ねぇ。ずっと着いてこなくていいわよ……あなたは侍女?」
「……」
「直訴してほしいわ……」
「私は王妃に付き従うことを生業としております。侍女や小間使いは他に」
「他に仕事はないの?こんなことしてないで侍女としての務めを果たしてくれていいわよ……」
「かしこまりました…………では……侍女から出直してまいります……」
「ちょっと待って。使用人の序列どうなってるの?」
「私が一番上にございます」
「おかしいだろ?権威示す為だけの仕事だぞ?」
「それにずっと付きまとわれるのよ?」
「えぇ……」
『なんだそれ……弱肉強食のトップだからってことか?強さを見せびらかしてるってこと?』
「端的に言うとそうだ。そんな仕事のやつが城中にいるんだぞ……こんな国が貧しいのに無駄もいいところだ!」
「無表情でただただ立ってるのよ!?部屋の中にまで居るの!!」
『執事さん……ってこと?城の中の仕事よくわかんないんだけど……』
「しかも……」
「その節は愚弟が申し訳ございませんでした……」
『「うおっ!!」』
「「きゃっ!!」」
スチュワードさんか………ビビった……
「セバスみたいなことすんなよ……びっくりするじゃねぇか……」
「ノックしたんですがね?話に集中されてましたので。それに私は愚弟みたいな事は致しません。ハイエルフ様方に食材を分けて頂いたので試しに作った料理をお持ちしただけです」
『セバス?セバスチャン?』
「なぜ愚弟の名前を?」
『前世にも同じ名前あるんだよ……スチュワードさんの弟セバスチャンなんだ』
「そうなのですか?面白いですね。私もお邪魔しましょうかね。ワインをいただいても?」
『あ、いいよ。どうぞどうぞ』
「そう!説明難しいから手間が省けたわ!!こんな感じ!!」
「こんな感じとは……?」
「俺ら夫婦仲すげえいいんだよ。おかしいと思わねぇ?」
なにが……?
「子供いないでしょ」
『そういえば……疑問だったな……王位継承権とかどうなってんだ?』
「この国は必ずしも子孫に王位が継承されるわけではありませんが、それでも継承権のある王子や王女は居るのが普通です。ガウル王とリト王妃は先代の王子、王女からも全て認められた上で王位を継承しております。それが愚弟のせいで……」
「弟さんのせい……ですか?」
「ずっと執事や侍女が部屋に突っ立ってんだよ。その執事がセバスだな。ただ、リトも俺ももう精神的に限界でよ。夜だけでも子作りって言おうぜって作戦立てたんだよ。でもそれでも突っ立ってんだ。見てるのが普通だってよ!?そんな馬鹿げた話あるかよ……」
「でも何か月もかけて侍女も執事もなんとか部屋から追い出したの。子供作れないって言ってね……さすがに危機感を持ったのか引き下がってはくれたわ……でも……」
「なぁ……あいつらほんとにいねぇとおもうか?」
「わからないわ……呼んでみる?」
「セバス……いるか」(コソッ)
「はい。お呼びでしょうか?」(シュタッ)
「陰に隠れてやがったんだ!ってかどっから出てきたのかわかんねぇ!!そっから使用人の名前片っ端から呼んだんだ……。10人以上湧き出てきたんだぞ!!もう……夜になる度思い出しちまってよ……ずっと2人で震えて寝てるんだよ……」
「もう絶叫よ!?しかもセバスなんて言ったとおもう!?それが生きがいなんですって!執事の矜持らしいわ!!人の生活盗み見る矜持って何よ!?私達には自由にさせてもらえる時間は一時たりともないの!?ずっと監視されてるのよ!?私達最初は1人で用も足せなかったんだから!!」
「そうだぞ!!ケツ拭く仕事ってなんだよ!?金〇洗う仕事まであったんだぞ!?ふざけんな!!しかもそれ誇りにしてんだぞ!!まだまだ言い足……
『「…………………」』
夜が嫌いってそういう事か……
子作りあながち冗談でもなかったんだ……
笑い話かと思ったよ……
「……私達の生活より辛いかもしれません」
『無理だ……ただの監禁だ………牢獄じゃん……』
「愚弟は仕事は優秀なのですが融通が利かないのです。愚弟だけではなく先代に仕えていたものは皆そうですね……。配下は黙って言う事を聞くことが誉とされておりました。王族は何もしない程美徳とされておりましたので……」
『ひどすぎる……』
「えぇ……言葉を失います……」
その後スチュワードさんが出てきてセバスさんや他の使用人を躾けた、と。
セバスさんは今別の貴族についているらしい。
先代やそれまでの人はそんな生活を誇りに思ってたらしいよ……
意識改革に3年以上かかったって。
さらにまだ完全じゃないって。
だから王様の部屋に僕が行くときいつも誰もいなかったんだ……
それでも気が休まらないって。
無理だ……そんな生活したくない……
帰りたくないに決まってる……
想像するだけで震えるよ……
その後も2人の愚痴はもうとどまることを知らず……
今夜中2時くらい。
スチュワードさんは皆に食事を持っていくためにワイン1杯飲んで直ぐ帰った。
「すまんなクロムとエステルちゃん!真夜中になっちまったわ」
「あースッキリした!!話聞いてくれてありがと!!」
『いや……なんかもうゆっくりしてくれとしか言えん……冗談でも帰れよって言えなくなったわ……』
「えぇ……心安らかにお過ごしください……」
「あっはっは!まぁ今はだいぶマシだ!気にすんな!明日もゆっくりさせてもらうぞ!じゃあな!おやすみ!」
「明日は魔の森の魔物見に行きましょ!?2人ともおやすみ!」
ガチャ。
気にしないとか無理だって。
ぞっとするわ……
なんか一人で眠るの怖くなった……うう。
家限界まで狭いのもそれが理由か。
贅沢に興味ないって言うのには限度あるなと思ったんだよ……
広いと怖いんだなぁ……
「クロムさん……一緒に寝ましょ……怖いです……」
『うん……同じこと思ってた……とりあえず帰ろ……』
「はい……お家帰ってから飲みなおしましょ……」
『うん……』
トボトボトボ……
『あ。エステル待って。”サイレントルーム”』
「……そうですね。心置きなく仲良くしてください」
『……あのバカップルの元気な赤ちゃんが見られますように』
王夫妻の6畳1間風呂付きという尋常ではなく小さな一軒家を建てたら王夫妻が吠えた。
いい意味でね。
涙をにじませながら吠えていた。
ちなみに6畳1間ってマンションじゃないんだよ!?
だから超デフォルメされたアニメとかに出てきそうな三角屋根のちっちゃなお家になっている。
出来るだけ外面もしょぼくしてほしいって注文もクラムにしてたから可愛らしい外装もない。
本当にどシンプルな赤いお屋根の小さなお家だ。
贅沢に興味ないのは2人見てたら分かるけどここまでする??
2人が寝っ転がるともうスペース全くないよ……。
なんでだろ……?
本題に入る前に多分誰もご飯の用意をしていないだろうなと思ったので今日来たメンツに食事だけ配って戻ってきたところだ。
その時ちょうどクラムも眠いって言い出したから家に預けてきた。
おばあちゃんとクラマは2人そろって寝ていた。
お疲れ様。
今日はクラムは大活躍だったからな。
ゆっくり休んでほしい。
『まぁノリでお茶おいたけどやっぱお酒でも飲めば?今大人だけだし。はい、僕のお気に入りのワイン。小樽で置いとくから好きなだけ飲めばいいよ。エステルも飲みな?で、これここの名産のチーズ。最近の僕の好物。まぁ王様と王妃様の口に合うかわからんけどね』(トントントントンッ)
話する時って場の雰囲気整えるのも大切だからね。
2人ともすげえ興奮してたし。
ここからは大人の時間だな。
「「「「かんぱ~いっ!」」」」
「美味しいですよね~!このワイン。コクコク……」
エステルお酒強いよねぇ~?
見た目とのギャップ凄いんだよなぁ。
「お、こりゃありがてぇ!頂くわ。おぉ!このワインうめぇな!このチーズってやつも酒に合う!良い具合の癖があって酒で流し込むのがたまらん!!ゴクッ……だはぁ……。王城から解放されて飲む酒うめぇ~!!マジで週1、2は王止めてぇわ」
「ゴクッ……はぁ~おいしっ!ほんとそれよ!年中無休だもん!それに城で見栄張った貴族と飲むお酒よりとーっても美味しいわ!ありがと!」
わかるわかる。
僕も美味しいお酒飲むより安酒を気分よく飲む方が好きだな。
『まぁそりゃよかったよ。のんびり飲み食いしながら話そうよ。ゴクッ。んまい!!』
「ってかクロムってそもそも大人なのか?」
『前世の記憶ありきで精神的に30中頃くらいだね。ただ体との年齢が違うからちょっと自分が何歳って言っていいかわかんないの。こっちの世界きて10年くらいらしいけどそれも半分以上意識無かったからね。酒に関しては酔えない。アルコール完全に分解しちゃうみたいだ。味は分かるけどね』
「不思議な境遇してるもんね~クロムくん」
「まぁクロムさんはクロムさんですからね♪」
「なるほどな?スチュワードんところでごくごく酒飲んでたから大丈夫なのかと思ってたわ!俺と同い年くらいじゃねぇか。俺32だぞ!」
『そうなん?王なのに若くね?もっと上だと思った』
王様と話す時って急用ありきだからグダグダする時間ないんだよね~。
こういう話ってなかなかしないよなぁ。
「私は26だわ?」
「そういえば……たぶんもうすぐ私は24ですね」
『あ!エステルもうすぐなの!?この世界誕生日祝ったりしないの!?ってか今そもそも何月!?』
僕全く日付とか意識して生きてない!
ダンジョン出たり入ったりしてるし1日も曖昧になる日あるぞ!?
時計買ってからは大丈夫だけどさ……。
誕生日くらい祝いたい!
ってかみんな誕生日いつなんだ……?
この前寿命聞いたときにメモしたな……。
後で見とこ。
おばあちゃんとか覚えてんのかなぁ……
「今日は11の月の1週目、水の日だぞ。俺は王やってるから日時管理しねぇとダメだからな。日まで覚えてねぇやつが多いから獣人国は祝うなら日じゃなくて月だな。月の終わりにその月に産まれたやつを一緒に祝うんだ。でも種族毎に違うし適当だぞ」
やっぱり……
僕の感覚では12月上旬頃だった……。
季節もわかんないし、ダンジョンで生活してる時間もあるし、魔の森は温度変わらないしなぁ……
感覚かなりズレてたんだな……
「そうなんですか?11の月なら私の誕生月は来月でした。コクコク……」
わー。
エステル興味なさそ~。
「じゃあエステルは年末に祝えばいいのか。ありがと!あぶねぇ……ごめん今まで忘れてたよ……」
「祝っていただけるのです?私も忘れていましたしそんな場合ではなかったですし……。といいますか、そもそも誕生月を祝う習慣はハイエルフにはありませんよ?」
「まぁハイエルフだしね!」
「そだな。みんないくつなのかわっかんねぇよ。エステルちゃんが若すぎて驚いたわ」
『ビックリするよな。わかる。ハイエルフってそもそも年齢自体曖昧じゃん。エルノアママが覚えてたのが逆にすごいよ』
「お母様は几帳面ですからねぇ~」
『まぁせっかくだし祝おうよ。楽しい日は多くていいよ。ってか獣人の人もあんま年齢わかんないよ?種族まちまちって感じだもん。ポートルのギルマスが兄者って呼んでるし、王だし、2人とももっと上なのかと思ってたけどね』
「獣人国の王は強さで王決めてるとこあるから即位するのは若めなんだよ。オグルの件は単純に兄弟子だからだな」
「オグル34、5位だったんじゃない?老けてるわよねあいつ」
そうだった。オグルさんだった。
おっさんって印象強すぎてわすれるんだよね。
人の名前覚えるの苦手なんだよ……
『うん、ビビった。45くらいだと思ってたわ。ってか王様とオグルのおっさんは老けてるっていうより貫禄の問題。ってかオグルのおっさんここ呼ばなくてよかったのか?呼んできてくれてよかったけど。言ったよね?』
「「あ……」」
・
・
・
うん。まぁいい具合でリラックスできたかな。
お酒入ってホワっとしてきたくらいだ。
『そろそろ落ち着いた?話する?』
「あら!気を遣わせちゃったわね!ごめんね?」
『使ってないよ~。僕が楽に聞きたいだけ~』
「クロムさんはそういうところありますよね、ふふ♪」
『興奮すると話しうまく出てこないじゃん。僕がそうだしね~』
「この子ガウルと性格ちょっと似てるわよね?」
「わかります!息ピッタリですよね!!」
『「そうか?」』
「まぁいいや。あんがとよクロム、落ち着いたしいい気分だ。さってと、いざ話すってなるとどっから話していいもんかってなるんだけどよ……。ちっとなんつったらいいかわかんねぇんだよなぁ」
『難しい話なの?』
「いや、そういうことじゃねぇ。まずは……こいつと結婚した経緯は……冒険者やってる時に同じパーティー組んでて……」
え、そっから??
「結婚!?詳しくお願いします!」
あ、エステルが興味津々だ。
「詳しくっつっても冒険者してるときにキャシーがこいつ連れてきて、長旅してるうちに俺が惚れこんだだけだ。こいつ真っすぐだろ?いいやつだし裏表全くねぇんだ。俺変わった眼もって生まれてきちまったからよ。それが凄い新鮮だったんだよ」
「惚れられたわね!すごいアプローチだったわ!」
確かに……
深層心理勝手に見ちゃう眼をもった王様とリトさんの相性はとてもよさそうだ。
話していてもカラっとしてて気持ちいい人だもんな。
「で?で?どうやって結婚まで関係を進めたんですか??」
「ん?唐突だったわ。ドラゴン倒しに行く前にポートルの港でプロポーズされたわよ?ここ逃すともうねぇ!生き残れたら俺と結婚してくれ!ってね」
「素敵です!とってもロマンあります!憧れますねぇ……」
え、完全なる死亡フラグじゃねぇか……
この世界の人と僕との価値観が違うのか!?
「いや、本当にやばいやつだったからよ。結果オグルが1番ボロボロだったしよ……」
「それでリトさんはお返事をしたのですか!?」
ガンガンいくねぇエステル。
ゴクゴク……。ぷはっ。
「うん!即答したわよ?もちろんって。私もガウルのこと大好きだったから結婚は全然よかったの!こいつ腕っぷし強くて図体デカいくせにすごく弱気でしょ?そこがいいの!大雑把に見えるのに小さなことにも気付くし凄く優しいの!不器用なところなんか超可愛いでしょ!」
「すごくわかります!!強いのに鼻にかけてない所とか最高ですよね!!」
「でしょ!?そうなのよねぇ~。だからこいつに結婚を申し込まれたときとってもうれしかったの!」
「そうか?でっへっへ……」
そうだな。
そういう性格してるから市民の苦しみがわかってあげられている感じがする。
王である事を鼻にかけることなんか全く無いしなぁ。
「でもねぇ……。こいつ私に結婚申し込んでくるその時まで王目指してるなんて一言も言わなかったのよ。ドラゴン討伐終わってから話聞いてほしいってプロポーズの後にポートルの宿屋で言われたのよ!?ずっと一緒に冒険者生活して、既に付き合ってたっていうのに!寂れた宿屋の娘してた私からしたら大ごとよ!嬉しさが吹っ飛んだわ!だからぶん殴ってやったの!」
うわぁ……。
後出ししたんだ……。
「やはり……嫌だったんですか?」
「嫌とかじゃないわ!別に惚れた男が何目指してても応援してあげるわよ!ただ、私は実家を立て直す為の資金稼ぎの為に冒険者始めたただの平民なんだもの。貴族に興味なんかないし、ましてや王妃になるなんて急に言われてビックリ!将来設計が一気に変わっちゃったわ!」
「いや、ドラゴン前にしてそんなこと話せるかよ!んでドラゴンのダメージ抜けきってないところにリトからの痛恨の一撃食らった。まぁ、俺が悪いんだけどよ?単純にビビっちまったんだ。俺が王目指してんだなんてな。柄じゃねぇし。俺なんぞそこら辺のチンピラだったからな……。これ言ったら着いてきてくれねぇんじゃねぇかと思ってよぉ……」
「ちっちゃいわね!そんなことないわよ!」
どっちの気持ちもわかる気がするな。
まぁ王様の場合夢がデカすぎたな。
『ただリトさんからすればすごい決意だよな』
「そんなことないわよ?こいつの立場とか私にとってはどうでもいいもの。王目指してるって理由にも納得したしね」
「素敵な話ですねぇ~」(キラキラ)
エステルの目が輝いている。
でもいい関係だな。僕もちょっと憧れるよ。
『すげぇ素敵な話だった。王様はリトさんがオッケーしてくれてよかったな』
「おう!ほんとそうだ!ずっと感謝してるぞ!」
『……ただ、なんでそこまでして王やってんだ?正直向いてねぇだろ?世界の民が飯に困らないように、だったか?城忍び込んだ時に言ってたよな』
「そうだ。俺は獣人国のすっげー南にある忘れ去られたような小さい農村で生まれたんだ。作物が育たねぇから食料もねぇ。井戸もからっからでよ。川すら近くにねぇんだ。幼い時から体が大きかった俺がずっと川を往復して水運んでたんだ」
『王都はマシな方だぞって言ってたな』
「ああ、そうだな。飢えるやつも多くてよ……死人が沢山出ていた。周りの農村も同じ状況だ。そんな状況でもそん時の王は市政に全く興味のないやつでな……。もちろん領主も村のことなんぞそっちのけだ。気づいたときには親もくたばっちまった。で、そんな時に偶然貴族に出くわす機会があったんだわ。そんとき幼い俺は必死に助けを求めたんだ。だが……貴族に足蹴にされた。虫けらを見るような目だったな。はは。今でも忘れねぇよ」
「酷い……。獣人の方は強い者が正義……でしたか?以前お聞きしました」
「えぇ、特に田舎の貴族はそれが顕著ね……」
王都に来た時に商人さんから獣人は強いやつが正義って文化だったって聞いたんだよな確か。
『その貴族のこと恨んでんのか?』
「恨んでねぇ。生きるのに必死で何も覚えてねぇくらいだ……。そうじゃないんだ。獣人国がそういう文化だったんだわ。当たり前だったんだよ。そういう国民性。強いやつが勝ち取ればいい。苦しんでいるなら力つけてテメェで這い上がってこいっていうな。だからクルードの奴みたいに虐げてるやつとは色がちげぇんだよ。弱いものに興味がねぇんだ。だから仕方なかったんだよ……」
そうか……
本当に獣人は典型的な弱肉強食なんだな。
むしろこの王が変わり者なんだな。
「ただ、皆って程じゃねぇんだぞ?小さい村は助け合って生きてるさ。ただ、特に国の中枢部程その考えは強くなるわな。そうやって自分達で勝ち取った地位だからよ。で、それとは逆に中枢の貴族じゃないと頭使うこともねぇから”田舎の”貴族が一番やべぇんだ」
「えぇ、私が住んでた村の平民なんか皆で助け合って生きていたわよ?ただ貴族共がそういう考えだったことは事実。そこまで田舎じゃないけどね。それでも領主からはかなり搾取されていたわ。私も貴族は大嫌いだった」
『なるほどな。しかもその地位絶対手放したくないだろうな。話も聞かなそうだ。』
「そうなんだよ……。だから難しいことにそれが悪りぃってんでもねぇんだよな。そいつらなりに然るべき努力して貴族になったんだからよ。だが、貴族程弱い者に手を差し伸べない。だから弱い民はどんどん環境の悪い土地へ追いやられるし人口も減っていく。もう最悪だろ?強い者だけが甘い蜜吸える国だったな」
難しい話だな……。
文化と国民性なぁ。
獣人ならではっていうか……。
少なくとも前世の人間にはなかなか想像がつかない世界だな。
「なんとも言えないですね……価値観の問題でしょうか。ハイエルフとは真逆です」
『僕もそう思う。獣人の文化でそれが正義って言われてしまうとどうしようもない』
地球でも自然の生物はそうだからな。
「俺もそう思う。さらに王がそういう主義の国なのに下も軒並みそうなるわな。それもずっとだ。歴代の王もその体制変えようとしねぇんだよ。ただ、俺はこんな眼持って生まれてきたこともあって獣人の中では多分変わりもんだったんだよ。頭わりぃからうまく言葉に出来ねぇんだが……。ぜってぇそんなのおかしいと思ってたんだよ。柔いやつだって優れてるところはいっぱいある。素敵な奴だって多いさ。だから国変える為にはもう頂点に立つしかなかった。1回国の体制崩しちまわねぇとどうもなんねぇんだ」
『その国民性なら自分より地位が下のやつのいう事聞くわけないもんなぁ』
「そうなんだよな。そう思ってからいても立ってもいられなくなって村飛び出してよ?魔物狩りながら冒険者になって。強くなってちょっと調子に乗ってたらキャシーにボコボコにされてな!あっはっは。んで事情話したらキャシーが弟子にしてくれたって訳だ」
「で、その後に私と出会うのよ。それから強くなる為に色々冒険してねぇ。もう王になるってこと私に伝えてからは酷かったわよ?数年ダンジョンに籠りっきりだったもん。私も付き合ったんだけどね。キャシーもオグルもマルスも付き合ってくれたわ。その後は名声を上げる為にその辺の街の闘技大会に片っ端から出場したの」
「結局ずっと勝てなかったんだよなぁキャシーだけには。国の王になるわけだから仲間内でも手抜きはダメだからな。まぁ、俺はリトにもあんま勝てなかったけどな!ぶっ飛ばされまくったな!あっはっは!ってな具合だ。で、先代から俺達は揃って王位継承された。まぁ簡単に言えばそんな感じだな」
「そもそもガウルは私と相性が悪いだけだわ!そんなに変わらないもの。でもそうね、そんな流れね」
「お話ありがとうございます!とっても素敵な話が聞けました!!」
『ほぇ~。2人が戦ってるとこ見てみたいな。それにしても皆ダンジョンで強くなったんだな?』
「あぁ。ダンジョンが一番敵が多いし強くなるのに手っ取り早い。そん時は既にA級だったからもう冒険者としての名声は要らねぇと思って外の依頼無視したんだ。大会とかで実力示す方が早いからな。ただ、死ぬわけにはいかなかったから全員30階層付近で戦ってたんだけどよ。キャシーなんかは40階層でも行けたと思うがな。俺なんかの為に本当に感謝してるさ」
なるほど。
だからこの一派は他の人種より強さが飛びぬけてるんだな。
しっかりと危険くぐり抜けてきたんだ。
「楽しかったわよ?ここでまた鍛えて久しぶりに潜りたいわね!」
「時間できたらクロム達に教えてもらって久しぶりにダンジョン行くのもいいな!あっはっは!」
「ねぇねぇ!ダンジョンのこと教えてよ!深くまで潜ったんでしょ!?私もっと進みたかったのよね!!階層主はなんなの!?」
「あ……やっちまった……」
・
・
・
『あぁ……。別にいいけど60より下にはマジで行かないほうがいいぞ。王様達なら頑張れば50くらいまでは行けると思うけど……』
「いや!ぜってぇいかねぇ!!こんなんでも王だからよ?それに俺はそんなに戦いに興味ねぇ……」
「私は興味あるわ!ダンジョンの話聞かせて!!」
「やめとけよ……」
(興味ないんじゃないのかよ……)
(俺は……って言ったろ……)
「ふふ♪わかりました!ただ、低階層はあまり覚えてないんですよねぇ。知らないのは40階層からですよね?……40がシルバーグリズリーでしたっけ?クラマ君が一刀両断しました。50はワイバーンでしたね」
『はぁ……まぁエステルの謎パワーで一撃だったな』
「謎パワーってなんだよ……。まぁそれ聞けば一撃は無理だが、前と同じパーティー組めば今ならいけそうか……。ただ時間かかるから階層主だけの問題でもねぇんだけどよ」
やっぱそうだよな。
長期間ダンジョンに潜ってないといけないってのがかなり足引っ張るよな。
「そうね?ワイバーンは現役の時に倒したことあるわ!」
『まぁドラゴン討伐パーティーだもんね。ドラゴンのステータスとか計ってないの?何の属性だったの?』
せっかくの流れだしクラマの為に聞いておこう。
外のドラゴンはダンジョンのドラゴンと強さ違うのかな?
「計ってるわ!ギルドから魔道具持ってきてくれたもの!たしか……1000位だったんじゃない?」
「クロムの鑑定でいうところの1万平均位じゃねぇか?属性は火だったな。でもほぼ魔法使わなかったなあのドラゴンは。火吐いてくるくらいだったぞ」
『それでも1万だろ?よく倒したな……』
「マジで死ぬかと思った。キャシーのおかげだわな」
「キャシーも飛べるわけじゃないから辛そうだったけどね。なんとか魔法で引きずりおろして長時間かけて削ったわ!」
なるほど?
外のドラゴンステータス1万くらいか。
じゃあ単体だとクラマは今余裕そうだな。
いい情報聞いた。
『ってかキャシーってパーティー入ってたんだな。完全に師匠かと思ってた』
「正式って感じじゃねぇな。まちまちだ。遠出する時なんかは教える為についてきてくれたぞ。そもそもあいつもそんな戦い好きじゃねぇからなぁ」
『そうなんだ?でも師匠ならそうか。ありがと。ちょっと参考にしたいことあったんだよ。んでダンジョンは次の階層くらいからはちょっときついと思う。環境的にね。次の階層は水場だな。3分の2は水だ』
「私達はクラムちゃんの毒で敵を一掃しました!ただ60階層の階層主はわからないんです……。クラムちゃんが階層を丸ごと凍らせてしまったので……」
『そうだな。今だに謎だ……。ボス何だったんだろ……。ただ階層丸ごと水中だよ?息できる道具つかっても水中戦闘なんかキツいでしょ?』
「毒?あの子毒使えんのか?それに水中戦闘なんかしたことねぇな。無理だ」
「水は苦手ね!私泳げないわ!」
クラムに今毒のイメージないよなぁ。
超強力なんだけどねぇ。
獣人国荒野だもんな。
泳げない人多そうだ。
『で、こっからだよ……。もうあのダンジョン絶対生物殺す気だもん……』
「61階層からは空ですね。上空どれくらいの高さかわかりません。足場もほとんどないですね。敵はワイバーンがほとんど。というよりきっとワイバーンの巣ですね。いくら倒しても減りません。70階層の階層主はグリフォンです。私が倒しましたが……やはりほぼ空中戦闘ですねぇ」
『高所恐怖症だから怖かったなぁ……。もうダンジョン攻略やめようかと思った。ボスはもう飛べないと倒すの無理だな。グリフォンずっと空から魔法打ってくるから。エステルが意味わかんない技で消し飛ばしたんだ。マジですごかったよ?あ、ちなみにニヴルヘイムの世界樹工場もそれで最終的に消し飛ばした!』
「意味わかんなくないですもん!でも私は楽しかったです!私はまた行きたいです!!」
「飛べるのかしら私……それにエステルちゃんの技気になるわね……」
「無理だろ。ってかそもそもお前らは飛べるんだな……」
『僕あんま飛べないけどね!ってか飛びたくない!!』
「お。クロムにも弱点あったのか」
あるよ……。
僕を何だと思ってんだ……。
「71階層からは溶岩エリアです。入ると服が発火する温度です。溶岩の海ですね……。76階層からは……トカゲの巣ですか?80階層のボスは溶岩竜ですね。溶岩吐いてきますよ?クラマくんが倒しました!カッコよかったです!」
『クラマめっちゃかっこよかったよな!最終的に空中でドラゴンの首一刀両断したからな!クラマがボロボロじゃなかったら湧き上がってたぞ!うちの子かっこいい!!あれは撮影したかったなぁ。……あの階層本当にきつかった……トカゲが音立てるだけで爆速の燃える弾丸打ってくるんだぞ。75階層までは溶岩の海から出てくるし。76階層からはそいつらが何100匹もいるよ。無限沸きする。ちなみにトカゲって言っても王様達が倒したドラゴンより多分強いよ』
「溶岩の海でドラゴン無限沸きってどうやって攻略すんだよ……」
『イライラするうるさい鳥がいるんだ~』
「は??」
「ちなみにそのドラゴンはステータスどれくらいなの?」
『2万5千くらいかな?ちょっと速度遅いけど。あ、そっちのステータスだと2500くらいかな?基本僕が言うステータスは10倍になってると思えばいいよ』
「それはキツイわね!溶岩吐いてこなくても無理だわ!トカゲはなんとかならないかしら……」
「俺たちが5人で何時間もかけて倒したやつの倍以上かよ……ってかそろそろ諦めようぜ……」
「その先の90階層の階層主が……私にはまだ倒せないのです……溶岩竜は倒せるんですけどねぇ……」
「どんな階層!?階層主なんなの!?気になる!!」
この話聞いても気になるのか……すげぇな。
思い出すだけで吐き気するけどなぁ……
リトさん血気盛んだなぁ。
すげえ冒険好きなんだな……
『暗黒大陸。光ゼロ。85階層までは洞窟。86階層からは峡谷?バジリスクってやつが完全な闇の中魔眼で目線合わせて石化してくるんだ……。で、石化したらステータス33333のゴーレムに潰される。81階層に入った瞬間殺されるよ。空飛べるうえに光魔法と聖属性常に使えないと攻略不可能だね。即死する』
「殺意高すぎるだろ……ダンジョンってなんだよ……」
『あれそもそもダンジョンじゃないんだよ。また話すわ』
「お、おう。そうなのか?」
『うん、人が入れるように作ったものじゃないのに勝手に入り出したんだって』
「クロムさんがいなかったら私達も81階層で何もできず全滅でしたよ。いえ、そもそもクラムちゃんを除けば私達も50階層の水中エリアから無理でしたねぇ。階層主はドラゴンのゴーレムです。殆どのステータスの値が55555でした。魔力が続く限り高速再生しますね。途中から何十体ものゴーレムを同時に何度も召喚します……。勝てません……悔しいです。もう少し攻撃の継続力があれば……」
『まぁクラムは遊んでたけどね。って勝てる訳ないでしょあんなの……。あのダンジョンほんっとーに頭おかしいと思う……はぁ。ゴクゴク……ぶはーっ。お酒おかわりしよっと」
「もうさすがに行こうと思わないわ!」
「やっとかよ……行こうと思うなよ……。ってかクラムちゃんはそいつに圧勝ってどういうこったよ……。ちょっと言葉になんねぇ……」
『クラム強いからねぇ。で、そこで魔石集まったからハイエルフ助けに行って今ここで止まってるの。進むならちょっとエステルとクラマ強化しておばあちゃんに少し慣れてもらいたいね。ドラゴンゴーレムはせめて倒せるようになってから行こう』
「がんばります!負けません!!ちなみに皆さんが転移に使ってる魔石はこのドラゴンゴーレムの魔石ですよ?」
「やっぱなんか申し訳なくなってきたわ……」
「話には聞いてたけど……この子たちそんなに強いんだ……」
『それはいいよ。多分今までのケースなら91階層行けば1等級ならどんどん集まるから。足りなくならないけど足りなくなったら僕行ってくるよ。……ちらっと覗いて分裂に射撃させれば多分大丈夫……多分……不安だけど……やっぱもうちょっと訓練しようかな……』
「クロムさんずっと引け腰なんですけどねぇ……。ここまで全ての階層主一撃なのに……」
『いいよ言わなくて……相性の問題だもん。偶然だよそんなの』
「一撃なの……?」
「みんな即殺です!階層に入った瞬間木っ端みじんです!クロムさんは凄いんです!!」
「えぇ……。お前……もうちょっと引くわ……。って偶然ってなんだよ……そんな偶然あるかよ……」
『ちがうの!僕的には油断したら危なかったところいっぱいあったの!勝率が99.9%でも戦いたくない!100%にならないと安心できないの僕は!なんかあったらみんな守れないでしょ!?パパなんだから!!家族は絶対守んないと……。まだまだ弱いんだ僕は……うぅ』
「なんで弱いって言ってるのか私にはわかんないわ!」
「こいつらヤバいやつらだって言ったろ!?いいやつだからよかったけど世界なんか一瞬で滅ぶぞ……。あぁそうだった。クラムちゃん1人でも世界は数日で滅ぶんだったな……はは」
『王様だって国民守りたいでしょ!僕にとっての国は家族なの!!』
「その部分だけはわかるがよ!”だけ”な!!……っつーか、不安だとかいってる癖になんでお前らずっと1人で階層主と戦ってんだよ?わけわかんねぇよ……」
『僕だってわけわかんねぇよ!それはエステルに言って欲しい!!』
「え、エステルちゃんの問題なのか!?」
『主に。あとちょっとだけクラマ。クラムはどっちでもいい子なんだ。僕はみんなで戦うのを推奨している!おばあちゃんは戦わない!!』
「だって……挑戦したいじゃないですか……」
「その気持ちはわかるわ!また時間ある時に相手して欲しいわね!私もまだ強くなれるかもしれないわ!」
「是非!私もリトさんから学びたいです!!」
『エステルとリトさんってなんか似てるよなぁ……』
「あぁ……なんかちょっと印象変わったわ……。活発な子だったんだな……そういや闘神様の加護持ってんだもんなぁ~」
『エステルは見た目が穏やかなだけだよ。場合によりけり。中身は結構やんちゃだ。まぁそういうとこもあっていいと思うけどね。危険じゃなければ……』
「わかるわ……危険じゃなければなぁ……。すぐ飛び込むんだよこいつ……」
「そんなことないわよ!!」
「そんなことないですもん!」
『「はぁ~……」』
『まぁみんなもっとお酒飲みなよ!お腹も空いたね?なんか適当に出すわ………あれ?』
「あ?どうした?まだ深夜にもなってねぇぞ?もっと付き合えよ。腹減ったからガッツリ喰うのには賛成だ!」
「まだまだ足りないわ!私も何か持ってくれば良かったわね!」
「食事は沢山あるので大丈夫ですよ、ふふ」
『……じゃなくて。なぁ、話逸れてね?まぁいい話聞けたし、全然いいんだけども。こういう時間が好きだし』
「俺もだ!ほんとだな!?俺らの話だったわ!気分良くなりすぎちまったな!あっはっは!」
「すごく楽しいわ!……はぁ。こんなにお城じゃ力抜いて話せることないもんねぇ……」
「夜は基本お2人で過ごしているのではなかったのです?」
「お!そうだ!良い感じにつながった!どう話していいかよくわかんなかったんだよなぁ……。で、随分前からの話になっちまったんだよ……」
じゃあ前半ただの惚気話じゃん。
惚気話聞くの好きだけどね。ほっこりするし。
仲良さそうで何よりだよ。
最初その話からするから夫婦仲に問題あるのかと思ったわ。
後半何故かダンジョンの話になったけど。
グダグダか……。
まぁこんな感じがいいよね。
なんで王やってんのか不思議だったんだよ。
聞けて良かった。
『で、なんなの?ほい、これオークキングの角煮。あとこっちファングボアの香草焼き。どっちも魔の森産だからこの2つ超美味いよ!!やっぱ料理うまいよなぁ……。で、これがクラムがさいくろ~んした時のよくわからん魚つかったアクアパッツァ。最後はクラマとおばあちゃんが魔の森で摘んできてくれたニンニクっぽい風味する野草といつ誰が倒したのかわからんどっかしらのヘビっぽい魔物のアーリオ・オーリオペペロンチーノ。適当な粉捏ねて刻んで麵作った。お腹張るんじゃない?ちゃんと鑑定してるから食えるし美味いかどうか知らんけどお酒には合うと思うよ』(モグモグ)
「後半ちょっと何言ってるかわかんなかったが全部うんめー!てかうますぎるだろ!?すっげぇな!全部城の料理より全然うめぇ!!」
「すっごく美味しいわ!強いうえに料理まで作れるの!?エステルちゃんまた作ってね」(ニコッ)
「…………前半クラムちゃん……後半クロムさんです」
「「え?」」
「…………前半クラムちゃん……後半クロムさんです」
「「…………」」
『あ、うっかり忘れてた!!エステルのパン使ったガーリックトースト!ワインに合うよ!!エステルのパン超美味しいの!食べてみて!!僕等の主食なの!このパンが世界で一番おいしい!!』
「でも調理したのクロムさんじゃないですか……」
『……やっぱそのままが最強だよね!そこのバカップル!!見てないではよ胃に詰め込めッ!!』
(なんで見た目スライムの2人主体で料理作ってんだ!?リトが言ったんだろ!この空気なんとかしろよ!!)
(クロムくんとクラムちゃんが料理作ってるなんて思わないでしょ!?クラマくんは作りそうにないしティアさん神でしょ!?消去法でエステルちゃんだと思うじゃない!あんたこそ王の癖に何とかしなさいよ!!)
(お前も王妃だろ!ってか地位は関係ねぇだろ!!)
・
・
・
『はぁ……腹いっぱいだ。パンが一番うまかったよな!?な!?』
「ええ。とてもおいしかったわ……」
「獣人国にもこのパンの作り方届けて欲しいよなぁ~」
「もちろんです!!頑張って作ります!!」
(((はぁ……よかった……)))
『で、結局なにがそんなにつらいの?王は自分で進んでなったんでしょ?色々辛い事もありそうだけどさ』
「あぁ、たまに馬鹿らしくなるがな。しょーもない争いしてる貴族にはうんざりする。でもそれはわかりきってたことだ。じゃねぇと王になってねぇ」
「ちなみに今貧しい農村などは大丈夫なのですか?」
「今目につくところは近くの豊かな村から資材送ってもらったり合併させたり、ひどすぎる領主は挿げ替えて何とかしてる。まだまだ食料難だがこの5年でかなりマシにはなったな。でもクルードん時の農村みたいに領主が搾取してたりまだ見つかってない村もあるかもしれねぇだろ?スチュワードに協力してもらって情報探り探りやってんだ。これからも頑張るさ。ここは地道な活動だな」
「私も協力するわ!」
『大変なのにこっちにも気遣ってもらって悪いな。僕も出来ることは協力するよ』
「いや、お前ら家族はやりすぎだって。少しずつ冷蔵庫も浸透してるぞ。特に肉屋に大評判だ!魚も輸入できるようにしてぇな」
『お!よかった!じゃあ少しずつ改善できるといいな。あ、ちょうどいいじゃん。この村で見つけて国に問題なさそうなものあったら作るから教えてくれ』
「またお前に恩積み重なっちまうがな!わかった。感謝する」
『……ふむ……じゃあ何がそんなに不満なんだ?』
「見られてるのよ……ずっと……」
「あぁ……」
「王様ご夫妻なので多少は……やはり……」
「いや、おかしいんだって本当に……俺が即位した当初は……
「なぁ?王座の後ろに10人も立ってなくていいぞ?護衛か?」
「…………」
「あぁそうか……はぁ。話していいぞ。ってか今後そんなことに気を遣うな……。城の皆に伝えておいてくれ……時間の無駄だ」
「光栄の至り!この勤めは我らの誇り!誠意をもって取り組んでおります!」
「……護衛がってことか?まぁそうかもしれねぇけどよ。城の周りで警備した方が有意義だろ?」
「いえ!護衛も警備も他におります!抜かりはありません。ご安心ください!」
「安心とかじゃねぇって……。立ってるのが仕事なのか?そんなわけないよな?」
「はい!王の権威を示す、その為に我らは先代の王に雇われております!」
「……じゃあ今日から他のことしてくれ……他の勤めはねぇのか」
「いえ……我らは……この勤めを誇りにしておりますので……」
「他にもあるわよ?」
スタスタスタ……
タッタッタッ……
「ねぇ。ずっと着いてこなくていいわよ……あなたは侍女?」
「……」
「直訴してほしいわ……」
「私は王妃に付き従うことを生業としております。侍女や小間使いは他に」
「他に仕事はないの?こんなことしてないで侍女としての務めを果たしてくれていいわよ……」
「かしこまりました…………では……侍女から出直してまいります……」
「ちょっと待って。使用人の序列どうなってるの?」
「私が一番上にございます」
「おかしいだろ?権威示す為だけの仕事だぞ?」
「それにずっと付きまとわれるのよ?」
「えぇ……」
『なんだそれ……弱肉強食のトップだからってことか?強さを見せびらかしてるってこと?』
「端的に言うとそうだ。そんな仕事のやつが城中にいるんだぞ……こんな国が貧しいのに無駄もいいところだ!」
「無表情でただただ立ってるのよ!?部屋の中にまで居るの!!」
『執事さん……ってこと?城の中の仕事よくわかんないんだけど……』
「しかも……」
「その節は愚弟が申し訳ございませんでした……」
『「うおっ!!」』
「「きゃっ!!」」
スチュワードさんか………ビビった……
「セバスみたいなことすんなよ……びっくりするじゃねぇか……」
「ノックしたんですがね?話に集中されてましたので。それに私は愚弟みたいな事は致しません。ハイエルフ様方に食材を分けて頂いたので試しに作った料理をお持ちしただけです」
『セバス?セバスチャン?』
「なぜ愚弟の名前を?」
『前世にも同じ名前あるんだよ……スチュワードさんの弟セバスチャンなんだ』
「そうなのですか?面白いですね。私もお邪魔しましょうかね。ワインをいただいても?」
『あ、いいよ。どうぞどうぞ』
「そう!説明難しいから手間が省けたわ!!こんな感じ!!」
「こんな感じとは……?」
「俺ら夫婦仲すげえいいんだよ。おかしいと思わねぇ?」
なにが……?
「子供いないでしょ」
『そういえば……疑問だったな……王位継承権とかどうなってんだ?』
「この国は必ずしも子孫に王位が継承されるわけではありませんが、それでも継承権のある王子や王女は居るのが普通です。ガウル王とリト王妃は先代の王子、王女からも全て認められた上で王位を継承しております。それが愚弟のせいで……」
「弟さんのせい……ですか?」
「ずっと執事や侍女が部屋に突っ立ってんだよ。その執事がセバスだな。ただ、リトも俺ももう精神的に限界でよ。夜だけでも子作りって言おうぜって作戦立てたんだよ。でもそれでも突っ立ってんだ。見てるのが普通だってよ!?そんな馬鹿げた話あるかよ……」
「でも何か月もかけて侍女も執事もなんとか部屋から追い出したの。子供作れないって言ってね……さすがに危機感を持ったのか引き下がってはくれたわ……でも……」
「なぁ……あいつらほんとにいねぇとおもうか?」
「わからないわ……呼んでみる?」
「セバス……いるか」(コソッ)
「はい。お呼びでしょうか?」(シュタッ)
「陰に隠れてやがったんだ!ってかどっから出てきたのかわかんねぇ!!そっから使用人の名前片っ端から呼んだんだ……。10人以上湧き出てきたんだぞ!!もう……夜になる度思い出しちまってよ……ずっと2人で震えて寝てるんだよ……」
「もう絶叫よ!?しかもセバスなんて言ったとおもう!?それが生きがいなんですって!執事の矜持らしいわ!!人の生活盗み見る矜持って何よ!?私達には自由にさせてもらえる時間は一時たりともないの!?ずっと監視されてるのよ!?私達最初は1人で用も足せなかったんだから!!」
「そうだぞ!!ケツ拭く仕事ってなんだよ!?金〇洗う仕事まであったんだぞ!?ふざけんな!!しかもそれ誇りにしてんだぞ!!まだまだ言い足……
『「…………………」』
夜が嫌いってそういう事か……
子作りあながち冗談でもなかったんだ……
笑い話かと思ったよ……
「……私達の生活より辛いかもしれません」
『無理だ……ただの監禁だ………牢獄じゃん……』
「愚弟は仕事は優秀なのですが融通が利かないのです。愚弟だけではなく先代に仕えていたものは皆そうですね……。配下は黙って言う事を聞くことが誉とされておりました。王族は何もしない程美徳とされておりましたので……」
『ひどすぎる……』
「えぇ……言葉を失います……」
その後スチュワードさんが出てきてセバスさんや他の使用人を躾けた、と。
セバスさんは今別の貴族についているらしい。
先代やそれまでの人はそんな生活を誇りに思ってたらしいよ……
意識改革に3年以上かかったって。
さらにまだ完全じゃないって。
だから王様の部屋に僕が行くときいつも誰もいなかったんだ……
それでも気が休まらないって。
無理だ……そんな生活したくない……
帰りたくないに決まってる……
想像するだけで震えるよ……
その後も2人の愚痴はもうとどまることを知らず……
今夜中2時くらい。
スチュワードさんは皆に食事を持っていくためにワイン1杯飲んで直ぐ帰った。
「すまんなクロムとエステルちゃん!真夜中になっちまったわ」
「あースッキリした!!話聞いてくれてありがと!!」
『いや……なんかもうゆっくりしてくれとしか言えん……冗談でも帰れよって言えなくなったわ……』
「えぇ……心安らかにお過ごしください……」
「あっはっは!まぁ今はだいぶマシだ!気にすんな!明日もゆっくりさせてもらうぞ!じゃあな!おやすみ!」
「明日は魔の森の魔物見に行きましょ!?2人ともおやすみ!」
ガチャ。
気にしないとか無理だって。
ぞっとするわ……
なんか一人で眠るの怖くなった……うう。
家限界まで狭いのもそれが理由か。
贅沢に興味ないって言うのには限度あるなと思ったんだよ……
広いと怖いんだなぁ……
「クロムさん……一緒に寝ましょ……怖いです……」
『うん……同じこと思ってた……とりあえず帰ろ……』
「はい……お家帰ってから飲みなおしましょ……」
『うん……』
トボトボトボ……
『あ。エステル待って。”サイレントルーム”』
「……そうですね。心置きなく仲良くしてください」
『……あのバカップルの元気な赤ちゃんが見られますように』
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