食の雑学

床間信生

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49-間違いというのは修正するだけが正しい道ではない。時には時間を置いてみることも必要だという話

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今の日本においてタルトと言うお菓子は、丸い小麦生地の上にフルーツやジャム・アイスなどがトッピングされているような洋菓子というのが大方の想像ではないでしょうか。

そして多分これは日本国内だけではなく海外も含めて理解についてはさほど変わらないのだと思います。

ですが実は…

日本でタルトと言うお菓子は複数存在しているのを知っていますか?

今、話題にあがったタルトは明治以降に伝わった洋菓子としてのタルトです。

となると…

「じゃー、もう一つってどんなの?」

なんてことを思いますよね。

1640年代に長崎の近くでポルトガルの船が2隻日本に来たそうです。

この時に海上警備にあたったのが、久松家初代松山藩主・松平定行公だと言われています。

(現在の愛媛県の辺り)

どうやらこの時のポルトガル船ですが遭難かなにかは詳しくは分かりませんが、何かしらの異常があったようで定行公がポルトガル船を救助したそうです。

そして、そこで出会ったポルトガル人から定行公はタルトと言う料理を出されたようなのですが…

人間誰でも初見で見たものの印象というのは結構強いイメージになったりしますよね。

それでなくても砂糖など甘味系には日本はあまり明るくはなかった中で、お礼に振る舞われたタルト!

これはもう!

さぞ感動したことでしょう!

現に定行公は、とても気に入り作り方も教えてもらうようです。

ただ…

ここで色々と問題が明るみになってくるのも事実です。

と言うのも恐らく定行公が感動したタルトというのは、今まで味わったことの無い甘さもそうですが、見たことの無い技法であったり食材が使われていたという驚きもあったと思います。

そして料理を教えて貰った定行公だって、普段から料理動画を熱心にとるような料理男子というわけでは絶対にありません。

どちらかというと初代藩主というほどなので、切った張ったという感じで色々と揉め事の多い人生だったことでしょう。

そんな人が主導で料理???

材料もない、道具もない、挙げ句の果てに技術もない。

そんな中で人間が美味しい料理を再現するって…

今の私たちの間ではそう言ったことを「無理ゲー」と呼んでいるはずです。

そんな感じで試行錯誤を重ねた定行公の料理教室は、お題がタルト料理であったはずなのに、出来てみると何故かそこにはロールケーキがありました。

多分…

周囲にいる家臣たちは、みんな手を取り合って喜んでいたとは思うのですが…

当の本人、定行公においては実物を知っているだけに何とも言えない気持ちになっていたと思います。

もしかしたら「殿も涙が止まらないでござるか?」などと家臣に言われ、心の中で「お前たちとは涙の種類が違うんじゃ!」などと思っていたかもしれません。

なので…

「一生懸命頑張ってみたら全く違うゴールにたどり着いてしまった…」

「でも今さらそんなことを周囲には言えない…」

そんなことを思った定行公の苦肉の考えというのが、あれは「タルト」で、こっちを「松山タルト」と呼ぶことだったそうです。

そんな感じで今でも愛媛県の辺りには松山タルトと呼ばれる全く別種のタルトが今でも伝わっています。

ということで今日の一言!!
「間違いというのは修正するだけが正しい道ではない。時には時間を置いてみることも必要だ」という話です。
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